be-nippon 「美しい国づくり」プロジェクト

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この人に聞く!


中西輝政「美しい国づくり」企画会議有識者:京都大学大学院人間・環境学研究科教授

「美しい国づくり」は「美しい日本人の心」から


中西輝政 日本人にとって「美しい国」とは「心が美しい国」という意味だと思う。現代日本の「心の荒廃」という問題がある今、「美しい日本人の心」について、もう一度、我々自身で、また互いに、深く考えてみる大切な機会であるように思う。
 日本人が、「美しい国とは?」と問われれば、それは必ず「心が美しい国」という意味だと私は思う。
 それはもう、思うというより感じる、と言った方が良いのかもしれないのだが、「美しい」という日本語の語感の中に、何か深く「内面的なもの」を含んでいるように私には思われるからである。
 たしかに、富士山の姿は、誰が見ても形状的に美しいものだ。しかし、早朝の日の光の差す富士、夕陽の中に真紅に染まる富士は、日本人の「心の奥底」を震わせるような特別な美しさだからこそ、古来多くの人々が特に深く感動し多くの絵画や歌に記憶をとどめようとしてきたのだと思う。
 その富士山も、いま高度成長のあとに訪れた「心の荒廃」の中で、「環境の危機」が叫ばれる存在と成り果てている。「世界遺産」にさえなれない富士山の現状は、まさに、「美しい国、日本」とは何か、それが喪(うしな)われようとしている原因は何か、ということを象徴しているように思う。
 「美しい国」について、いま我々が考え、提言しようとするとき、様々な角度から多くの人々が、自らの感性や知性で、それぞれに大切と思えることを互いに出し合って、一つの大きな流れが生まれてくることが期待される。私自身は、さきの富士山の話で見たように、現代日本の「心の荒廃」という問題が、「美しい国、日本」という言葉の対概念として、どうしても浮かんできてしまう。
 環境や景観の問題を考えるとき、たしかに制度や政策というアプローチが大切なのだが、「日本の環境」を守るものは、つまるところ「日本人の心」なのではないか。そして今、「美しい国、日本」を求めるとしたら、やはり「美しい日本人の心」について、もう一度、我々自身で、また互いに、深く考えてみる大切な機会でもあるように思う。

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