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東京都千代田区にある神田神保町。かつては印刷・製本事業者が立ち並び、今は、本、音楽、絵画などのお店が軒を連ねる、本・文化の街。そんな神保町にとことん惚れ込んで、「何かまちづくりのお手伝いをしたい」という思いで立ち上がった神保町応援隊。今回は、そんな熱い思いをもった応援隊の方々に、お話をお伺いしました。
(編集部) 皆さんが思う"神保町らしさ"とは、何でしょうか。
(下田さん) 38年間、神保町にある会社に勤めていたんですが、ずいぶん変わりました。でも、神保町の大ファンなんです。かつての神保町では、印刷・製本を生業とする小さな事業所が立ち並んでいました。その頃に嗅いだインクの匂いをよく覚えています。あと、今もそうですが、当時から古本屋もたくさんあり、まさに「紙と本のまち」といえるのではないでしょうか。
(佐藤さん) そうそう。私は、神保町で印刷に関わる事業を営んでいるのですが、この町は、活字を大切にする雰囲気がありますね。あと、本だけではなく、音楽や絵画に関連するお店も多いですし。一言でいえば、「アカデミックで文化を感じるまち」でしょうか。そんな雰囲気があるせいか、風俗店も馴染みにくいようで、この辺りではあまり見かけませんね(笑)
(石川さん) 会社勤めの方、商店街の方、学生さん、NPOの方など、みんなこのまちが好きで、誇りに思い、このまち並みや伝統を残したいと思っているんですが、一人ひとり自然体なんですよ。毎年5月下旬の「神田すずらんまつり」では、そんな方々とともに、神保町応援隊も一緒になって参加しました。そのときは、若い人はもちろん、団塊世代のパワーに圧倒されましたね。
(中谷さん) そうなんですよ。とにかく神保町は、会社員から学生までいろんな人が来るんですが、皆さんがおっしゃるように、ここはすごく寛大で、ポジティブな雰囲気があると思います。「神田すずらんまつり」でも、学生さんが、FMラジオの番組制作や祭りの後のゴミ拾いに率先して参加していましたね。
(編集部) なるほど。お話にでた「神保町応援隊」ですが、どのようなきっかけで始まったのでしょうか。
(白石さん) 「神保町応援隊」は、神保町ファンの集まりです。活動のきっかけは、この街で20年前から続いている「すずらん祭り」が、参加者の高齢化を背景に、「もうそろそろやめようか」という声が挙がったんです。このとき、参加者の一人だった下田さんが、「せっかくの祭り、何とかして次の世代に残したい。お勤めの人なども参加してもらい、続けられないか」ということで、周りの人々を口説きまわり、結成されたのが始まりです。
会社勤めの方、学生さん、ぷらっと遊びに来た方々など、いわゆるよそ者で構成されているんですが、「何かちょっとまちの役に立ちたい」、「まちおこしのお手伝いをしたい」、そんな方々が集まっていますね。楽しみながらも、評論家ではなくて、実際に手を動かして活動する人たちばかり、というのが、応援隊の特徴かな。
(下田さん) 活動の中でこだわっている点は、一人ひとりの「何かやりたい」気持ちを大切にするところです。例えば、入会フォームには、「特技・趣味」を書く欄があって、参加の仕方も、一人ひとりの特技や趣味次第で様々。ホームページを作ったり、チラシを作ったり、会合を仕切ったり。でも、会議ができる場所を提供いただけることが、実はとてもありがたいんです。
(佐藤さん) 石川さんが編集長をしている情報誌「おさんぽ神保町」の存在も大きいですね。この情報誌があるおかげで、外に向かって定期的に情報発信ができるだけでなく、内でもコミュニケーションが一層活発になってきました。また、今後、中谷さんが進めているコミュニティ放送局などができると、より広い地域の方々とつながっていけるのでは、と期待しています。
(石川さん) そう言っていただけると、とても嬉しいです。「おさんぽ神保町」は、もともと「すずらん祭り」を取り上げたフリーペーパーだったんですが、それが発展して、今はタウンガイド誌として、街のお店やイベントなどを広く紹介をしています。
編集に当たって、「お店からみたお店の宣伝」にならないよう、そこで買い物や生活をする人の視点を心がけています。記者オススメのカレーのメニューとか、「近くの楽器屋の店長がライブやるよ」とか。そんな身近な記事を書き続けているうちに、次第に、本に載ったお店同士で、「あなたのお店、載っていたね」とか、「新しいメニューができたの」といったコミュニケーションが広がって、同じ本の中で、町内のつながりが一層深まっていくことが感じられました。また、「おさんぽ神保町」の中でお店を紹介することで、地元の方々とも親しくなれて、信頼関係を培えた気がします。取材をしたお店は、お祭りや応援隊の活動にも協力してくれたりして、とても感謝しているんです。
(中谷さん) 私の方では、今、神保町を含む千代田区を対象地区としたFM局の開設に向けて、準備を進めているところです。マスメディアには取り上げられないような、"地域らしさ"、観光や防災などの情報を発信し、地域の皆さんに役立つラジオ局作りを目指しています。
(編集部) お話、ありがとうございます。最後に、こうした活動を通じた皆さんの夢や、それに向けた今後の活動を教えてください。
(下田さん) "神保町らしさ"を是非、残したいと思っています。私自身、油絵を描いてこの街の素敵な風景を残していきたいと思っているのですが、描きながら感じることは、"神保町らしい"まち並みの素晴らしさ。この"らしさ"を残す上で大事なことは、通りに面したところに、レストランやお店があること。馴染みのお店が、その街の顔になってくるんだと思います。
(佐藤さん) 私の目標は、「街に関わっていた人が、年を重ねて、またこの街に戻ってきたときに、ゆっくりと歩きながら楽しめるまち」であること。神保町応援隊の活動を通じて、そんなまちづくりのお手伝いをしたいと思っています。
(白石さん) こんな隊員たちの熱い思いを糧に、これからも楽しく熱く活動を続けていきます。今後、神保町では、神田古本祭り、神保町ブックフェスティバルなどが予定されています。皆さんも是非、来てくださいね!
【編集後記】
取材の最後に、活動の目標をお伺いしたところ、皆さん揃って「街に関わっていた人が、またこの街に戻ってきたときに、ゆっくりと歩きながら楽しめる街」とおっしゃっていたことが、大変印象的でした。今回の取材でみられたように、「その街らしさ」というものは自然に何となく残るものでは決してなく、一人ひとりの熱意と知恵と、そして実際に手を動かして活動を続ける結果、ようやく得られるものだと、改めて教えていただいた気がします。取材にご協力いただいた応援隊の皆さん、ありがとうございました!
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