日経サステナブルフォーラム

更新日:令和5年10月2日 総理の一日

 令和5年10月2日、岸田総理は、東京都内で行われた日経サステナブルフォーラムに出席しました。

 総理は、世界の機関投資家の潮流についてのセッションのオープニングリマークスで次のように述べました。

「皆様こんにちは。内閣総理大臣の岸田文雄です。
 本日は、日経サステナブルフォーラムにお招きいただきましてありがとうございます。そして、このフォーラムの御盛会をお慶(よろこ)び申し上げるとともに、開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
 岸田政権においては、官民の連携によって、社会課題を成長のエンジンに転換する、新しい資本主義の取組を進めています。その重要な政策課題の一つが、家計の資金を成長投資につなげ、家計の資産形成と、日本、そして世界の持続的な発展を実現する、貯蓄から投資へのシフトです。
 まず、貯蓄から投資への動きを幅広い層に広げるために、NISA制度(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化と金融経済教育の充実を進めてまいります。
 あわせて、家計の資産を預かる資産運用業の改革が重要となります。
 私が目指す資産運用業の姿は、国の内外において優れた事業者や人材が日本に向けて集まり、競い合って専門性と運用能力を高め、家計を含む投資家により良い商品やサービスを提供する、こういった姿を考えています。
 これを実現するため、日本独自のビジネス慣行や参入障壁を是正し、新規参入者への支援プログラムを整備するとともに、資産運用に資源を集中できるように、バックオフィス業務のアウトソーシングを可能とする規制緩和を実施してまいります。
 さらに、日本が資産運用の拠点として選ばれるよう、世界に開かれた金融資本市場の発展に向けた取組を強化してまいります。そのために、意欲ある地方自治体と連携して、資産運用特区を創設し、規制改革とビジネス環境・生活環境の整備を重点的に進めてまいります。
 また、特に、資産運用会社を抱える大手金融グループに、運用力向上やガバナンス改善・体制強化を求めていきます。
 年金や保険等の形で家計から運用を委託されている、アセットオーナーシップの改革にも取り組んでまいります。受益者に適切な運用の成果をもたらすよう、アセットオーナーに求められる役割を明確化したアセットオーナー・プリンシプルを、来年夏を目途(めど)に策定いたします。その中で、最善の利益をもたらす資産運用会社の選択や、ステークホルダー等への運用内容の見える化などを求めてまいります。
 特に、企業年金については、加入者のための運用の見える化の充実のほか、確定給付企業年金向けの共同運用の選択肢の拡大、また確定拠出年金の運用において加入者による適切な商品選択がなされるような改善を進めてまいります。
 こうした取組を具体化すべく、新しい資本主義実現会議の下、資産運用立国分科会を4日に設立し、年末までに政策プランを策定いたします。皆様の意見に真摯に耳を傾け、必要な改革に躊躇(ちゅうちょ)なく取り組んでまいります。
 次に、日本の投資先としての魅力に触れたいと思います。日本には、社会課題を成長のエンジンに転換する、力強い動きが、今、広がっています。多くの企業がサステナビリティを中核的な経営課題として位置付けているほか、脱炭素といった世界共通の社会課題を、日本の技術力で解決しようとする若い起業家がどんどんと増えています。
 岸田政権は、こうした動きを強力にサポートいたします。具体的には、人への投資、スタートアップ育成・先端技術開発、GX(グリーン・トランスフォーメーション)・DX(デジタル・トランスフォーメーション)に対して、官民連携で投資を促進いたします。まずはグリーン・イノベーションについて、世界初の、国が発行するトランジション・ボンドを、「クライメート・トランジション・ボンド」と名付け、国際的な基準に適合する形で本年度から発行いたします。これを原資とした20兆円規模の国の先行投資によって、今後10年間で官民合わせて150兆円超の脱炭素投資を進めてまいります。
 また、国内投資を促進するためには、知的財産を始めとする無形資産への投資も重要となります。知的財産の創出に向けたイノベーション投資やその産業化を促すため、特許などの所得に対する減税制度の創設の検討を進めてまいります。
 さらに、社会課題の解決に取り組むスタートアップの育成に向けた支援策を推進するべく、社会課題の解決と投資収益の両立を図るインパクト投資を有力な投資手法として発展させたいと考えています。
 国内外から優れた人材が集まり、金融の力で社会課題を成長のエネルギーに変えていく国際金融センター、日本。その実現に向けて、私も全力で取り組んでいきたいと考えております。
 御清聴、誠にありがとうございました。」

これまでの総理の一日