岸田総理によるジャパンタイムズ紙への寄稿文

更新日:令和4年8月26日 総理の指示・談話など

日本とアフリカで持続可能な世界を構築する好機

 日本は、8月27日及び28日に、チュニジアにてTICAD8(第8回アフリカ開発会議)を開催します。

 TICADは、冷戦後、国際社会のアフリカに対する関心が低下する中、アフリカの自立的な発展を支援すべく、1993年に我が国が立ち上げた会議です。既に四半世紀を超える歴史を有し、アフリカ開発に関するフォーラムとして先駆的な存在です。

 今、アフリカは、若年層を中心とした人口増が期待される「可能性の宝庫」です。日本としても、「共に成長するパートナー」として、アフリカ自らが主導する持続可能な開発を全力で支えていきます。

 アフリカを始め、国際社会は今、多くの社会課題に直面しており、我々の未来に向けてそれらの課題を共に手を携えて克服していくことが必要です。例えば、新型コロナウイルス感染症や、ロシアのウクライナ侵略は、世界のエネルギー・食料価格にも混乱をもたらし、アフリカの経済・社会にも甚大な影響を及ぼしています。また、不透明・不公正な開発金融は、アフリカの持続可能な発展を妨げています。

 日本としては、TICAD8において、「人」に着目したアプローチで、強靱(きょうじん)で持続可能なアフリカを共に実現していきたいと考えています。新型コロナ禍においても、ガーナの野口医学記念研究所やケニア中央医学研究所(KEMRI)等が地域の新型コロナ対応の拠点になるなど、日本の長年の「人」作りが具体的成果を産み出しています。今後も、こうした保健・医療分野の支援に加え、グリーン投資、若者の起業を支えるためのスタートアップ支援、人材育成、質の高いインフラの推進を含む自由で開かれた経済システムの強化に焦点を当て、アフリカの人々の生活を向上させるとともに、強靱な経済の構築に資するべく、具体的な取組を進めていきます。

 TICAD8は、パンデミック発生後初めて、日本とアフリカの首脳が直接議論する大規模な国際会議であり、極めて重要な外交機会となり得ます。アフリカにとって、日本が信頼できるパートナーであることをしっかりと示しながら、ポストコロナを見据え、日本とアフリカが持続可能な世界を一緒になって創っていく、そのための具体策を掘り下げて議論する機会としたいと考えます。


岸田文雄内閣総理大臣

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