岸田総理大臣による「カタール国営通信」紙寄稿

更新日:令和5年7月18日 総理の指示・談話など

 今般、総理大臣に就任後初めて、日本の重要なパートナーであるカタール国を訪問する機会が得られたことを大変嬉(うれ)しく思います。
 この半世紀、日本とカタールは、エネルギーのみならず様々な分野で、着実に関係を発展させてきました。カタールからのLNG(液化天然ガス)や石油の安定的な供給は、我が国の経済成長を長年にわたって支えており、日本とカタールは互恵的な関係を築いてきました。 日本企業は1990年代以降カタールで本格化したLNGプラント建設に貢献し、2021年2月には、カタールの繁栄の礎となったノースフィールド・ガス田の拡張事業におけるプラント建設を日本企業が受注しました。その他にも、ドーハメトロやハマド国際空港の建設等、カタールの基幹的なインフラ構築にも貢献してまいりました。高い技術を有する日本企業が、カタールの更なる発展に引き続き貢献できることを大変嬉しく思います。
 また、2011年3月11日に発生した東日本大震災に際し、カタールから400万トンものLNGの追加供給と1億ドルの支援金など寛大な支援を頂いたことは決して忘れません。更に、カタール政府には、アフガニスタンからの日本関係者の出国や在ロシア在留邦人の帰国のためのカタール航空の協力等、様々な場面で多大なる支援を頂いており、これらは両国間の深い友情を象徴するものであると言えます。

 2020年10月、日本は2050年までにカーボンニュートラルと脱炭素社会の実現を目指すことを表明しました。世界でグリーン社会の実現に向けた動きが加速する中、比較的環境負荷の低いエネルギーであるLNGを活用しつつ、省エネや水素・アンモニアを含むクリーンエネルギー分野に両国の協力を広げていくことは重要です。この観点から、クリーンエネルギー分野における両国の協力として、カタールにおける初の大規模太陽光発電事業に日本企業が参画していることを大変嬉しく思います。他方で、世界的に需給がひっ迫するLNG市場の安定化に向けて、両国が互いに一層連携し合うことが極めて重要です。G7議長国としてガスセキュリティやクリーンなLNG利用について世界に発信するべく、ちょうど私のカタール訪問時に、東京でLNG産消会議を開催できることを大変嬉しく思います。
 このように、遠く離れた日本とカタールが、長期にわたって良好で安定的に関係を深めていくことができているのは、両国が共に属するインド太平洋地域が、様々な挑戦に直面しつつも、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜いてきたからです。本年5月に日本が主催したG7広島サミットでは、全ての国が、主権や領土一体性の尊重といった国連憲章の原則を守るべきこと等を確認しました。日本は、インド太平洋において法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、地域及び世界の平和と安定、繁栄を実現する「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを推進しています。このビジョンを実現するため、いかなる国も排除せず、全ての国との間で協力を進めていますが、特に、同じく法の支配を重視する国であるカタールとは緊密に連携していきたいと考えています。
 現在、日本とカタールの関係は、エネルギーにとどまりません。2019年1月のタミーム首長訪日時には、外相間の「戦略対話」が創設され、両国間の関係を更に強化していくことを両首脳間で確認しました。この枠組みの下、エネルギー分野にとどまらない幅広い分野での交流・協力に関する議論が行われるとともに、湾岸情勢、中東和平、イランを含む中東情勢及び中国、北朝鮮等の東アジア情勢についても意見交換が行われています。アフガニスタン情勢を始め、国際社会の緊張緩和と情勢安定化に重要な役割を果たすカタールと、国際場裡(じょうり)においても緊密に連携していく考えです。
 また、日本は、産業多角化と人材育成を重視する「カタール国家ビジョン2030」を重視し、その実現に引き続き協力してまいります。同ビジョンは、タミーム首長の強いリーダーシップと明確なビジョンを示すものであり、その成功は、カタールのみならず中東地域の繁栄と安定のためにも極めて重要です。
 この半世紀の二国間関係を振り返ると、私は、両国の間の協力には更に大きな可能性を感じます。次の50年に向け、私はタミーム首長と協力して、この可能性を現実のものに変えていきたいと考えています。来る訪問において、タミーム首長を始めとするカタールの皆様と、両国関係を一層強固なものにするための方策を話し合うことを、今から楽しみにしています。

日本国内閣総理大臣
岸田 文雄