岸田総理によるボルネオ・ブレティン紙への寄稿文

更新日:令和5年12月16日 総理の指示・談話など

「信頼に基づき共に創るインド太平洋の未来」

 ブルネイ国民の皆様にご挨拶申し上げます。日本国総理大臣の岸田文雄です。今週、私は日本ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力50周年特別首脳会議を主催します。この歴史的節目に、ブルネイから、ボルキア国王陛下を東京にお迎えすることを大変嬉(うれ)しく思います。
 世界に先んじて1973年にASEANとの対話を開始してから半世紀、日本は、ASEANの発展と統合の道のりをブルネイをはじめとするASEAN諸国と共に歩んできました。また、日本は、これまで様々な分野での開発協力や貿易・投資を通じ、ASEAN地域の発展を支えてきました。
 日本とブルネイをはじめとするASEANの関係はビジネスにとどまりません。日本とASEANの真の友人としての関係の基盤となっているのは、「心と心」のふれ合う相互信頼関係です。それは、広範な分野における人的交流によって長年にわたり育まれてきました。
 また、日本とASEANは、1997年のアジア通貨危機、2004年のスマトラ沖大地震及びインド洋大津波、2011年の東日本大震災、2019年からの新型コロナのパンデミックなど、多くの試練を経験する中で、互いに手を差し伸べ合い、「信頼できるパートナー」であることを示しました。
 現在、国際社会は歴史の転換点にあり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は重大な挑戦を受けています。また、我々は気候変動や格差、公衆衛生危機、デジタル化、AI(人工知能)ガバナンスなど、複雑で複合的な課題に直面しています。私は、誰もが尊厳を持って生きられる平和で安定した世界、持続可能で繁栄した未来を「共創」するために、強固な「信頼」に基づき、これまで以上に緊密にASEANの皆様と協力していきたいと考えます。
 記念すべき50周年の締め括(くく)りとして、ASEAN諸国の首脳をお迎えする特別首脳会議では、過去半世紀の日ASEAN関係を総括し、将来のための新たなビジョンと具体的な協力を打ち出したいと思います。
 この歴史的な特別首脳会議を、我々の「輝ける友情」を次世代に繋(つな)げる「輝ける機会」としたいと思います。
 来年、日本とブルネイは、外交関係開設40周年を迎えます。二国間関係の飛躍に繋がる年となるよう、力を尽くしたいと思います。