ギルドホールにおける岸田総理基調講演

更新日:令和4年5月5日 総理の演説・記者会見など

 本日、世界随一の金融街であるロンドン・シティで講演の機会を持てたことを感謝しています。この講演の実現に御尽力いただいた、ロード・メイヤー・チャールズ・ボウマン卿を始めとするシティ・オブ・ロンドン・コーポレーションの皆様に、心より御礼申し上げます。
 ロシアによるウクライナ侵略という暴挙は、主権と領土の一体性を力によって変更しようとする明確な国際法違反です。また、ブチャ等においては極めて非人道的な民間人への攻撃も明らかになっています。
 こうした国際法違反、戦争犯罪を伴う行動は、断じて許されず、最も強い言葉で非難いたします。
 特に、核兵器の使用についての脅威を、現実のものとして考えないといけない状況となってしまったことに、私は、特別な、そして強い感情を抱きます。それは、私が、被爆地広島出身の政治家だからです。親類縁者には、被爆者や、被爆死した人間もおり、子供の頃から、何度も核兵器の話を聞いてきました。それが、私の原体験になっています。
 こうした広島の記憶が、私を、平和を取り戻すための行動に駆り立てます。
 平和を実現するためには、国際社会として、暴挙には代償と責任が伴うことを、明確に示していかなければなりません。英国政府が、そして英国民が、毅然(きぜん)とした姿勢でロシアに臨み、ウクライナに手を差し伸べていることに、最大限の敬意を表します。
 我が国も、ロシアの侵略直後から経済制裁、人道支援に全力を挙げています。引き続き、英国始め国際社会と連携し、一日も早くこの非道な行いをやめさせ、平和を取り戻すために、毅然と対応していきます。
 そして、ウクライナ侵略により、原油・資源・穀物高、市場の不安定など、世界の経済は激震に見舞われています。コロナ禍と相まって、多くの国が経済的苦境に立たされています。
 民主主義を守る戦いのためには、我々自身が強くなければなりません。
 今年のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)のテーマは、「共に、より力強い回復」です。イギリス訪問に先立ち、今年のG20議長国であるインドネシア、そして、ベトナム、タイを訪問し、アジアの諸国と共に、力強い回復を目指すことを確認してきました。日本は、エネルギー調達の多角化、再エネの最大限導入や原子力の活用を通じたエネルギー源の多様化など自らのエネルギーの自給率の脆弱(ぜいじゃく)性を克服するとともに、世界の回復にも積極的に貢献していきます。
 今回の問題は、ヨーロッパだけの問題ではありません。アジアを含む世界の秩序に関わる問題です。誤ったメッセージが伝わり、力による一方的現状変更が万一にも繰り返されることのないよう、各国と協調し、断固たる決意で行動いたします。
 時代は大きな変化の時を迎えていますが、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する日英は、安全保障においても、経済においても、これからも良いパートナーであり続けます。
 皆さん、我々が信じる価値を守り抜くために、更に一致団結していこうではありませんか。
 その上で、今日は、私が提唱する経済政策、特に新しい資本主義についてお話ししたいと思います。私からのメッセージは一つです。「日本経済は、これからも、力強く成長を続ける。安心して、日本に投資して欲しい。」、Invest in Kishidaです。
 もちろん、日本には多くの課題があります。私は、この解決のため、先頭に立って真正面から改革を進める覚悟です。
 地政学的リスクの在り様が大きく変化し、サプライチェーンの組替えや、資源・エネルギーの調達や供給の在り方が想像しない形で変わる不安定な時代です。だからこそ、日本の安定性が強みになります。
 成長を続け、しかも安定している日本市場、安全・安心な日本企業・製品・サービスは買いだと申し上げます。
 本題に入る前に、簡単な自己紹介をいたします。私は、幼少時代、父親の仕事の関係で、ニューヨークで現地の小学校に通いました。子供ながら、米国経済の豊かさと、その多様性に大きな感銘を受けました。
 1982年から1987年には、日本の産業復興を支援する銀行で働きました。戦後の日本の総理大臣の中で、金融業界出身は私が初めてです。国際競争に苦しむ海運業界の融資担当として、いくつかの倒産も経験しながら、経営者と協力して、企業の再建をお手伝いいたしました。
 こうした仕事を通じて、民間のアニマルスピリッツに支えられた強い経済こそ、最も重要だと強く確信いたしました。1993年に国会議員に当選した後も、産業政策や科学技術政策、あるいは中小企業政策、こうした政策をライフワークとして、日本経済の活性化に取り組んできました。
 こうした経験から、私は、最近の総理大臣の中では、最も経済や、あるいは金融の実態に精通した人間だと自負しており、これからもマーケットの声、現場の声をよく聞き、政策を進めてまいります。
 その際大切なことは、日本は、これまでも、そしてこれからも、世界に開かれた貿易・投資立国であり続けるということです。世界とつながり、世界とヒト、モノ、カネ、デジタルが自由に往来することで、日本は成長していきます。
 昨年末、オミクロンの世界的拡大を受けて水際対策を強化しましたが、それは、国内への流入をできるだけ遅らせ、医療提供体制確保やワクチン接種を進めるために必要なことでした。お陰様で世界的に見ても、日本のコロナ対応は成功しています。
 現在では、大幅な緩和を実現し、6月には、他のG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を更に緩和していきます。
 英国が、古くから、そして、近年では、ここシティを中心に国際金融の一大拠点として、世界とつながることで、繁栄してきたように、同じ海洋国家である日本も、世界とつながることが、発展のための必要条件であると確信しています。
 こうした考えの下、日本は近年、世界で最も、自由貿易を推進してきた国です。昨年、日英EPA(経済連携協定)を発効させ、今正に、手続きが進んでいる英国のTPP(環太平洋パートナーシップ)加盟を強く支持しています。
 日本は、今後とも世界に対してオープンです。是非、日本にお越しください。最大限のおもてなしをいたします。
 さて、本題に入ります。
 新しい資本主義とは何か。一言でいえば、資本主義のバージョンアップです。より強く、持続的な資本主義です。
 なぜバージョンアップが必要か。それは、2つの現代的な課題を解決する必要があるからです。1つは、格差の拡大、地球温暖化問題、都市問題など外部不経済の問題です。グローバル資本主義は、成長をけん引し、人々を豊かにしました。その功績は正当に評価されるべきですが、同時に、負の側面ももたらしています。
 もう1つは、権威主義的国家からの挑戦です。ルールを無視した、不公正な経済活動等によって急激な経済成長を成し遂げた権威主義的体制から、自由主義と民主主義が厳しい挑戦に今さらされています。我々は、自らの経済を持続可能で、包摂的なものとすることで、自由と民主主義を守らなければなりません。
 こうした2つの課題に、資本主義のバージョンアップで対応していきます。資本主義は、これまで、少なくとも2回、大きな転換を経験しています。レッセフェールから福祉国家、福祉国家から新自由主義への転換です。これら2回の転換では、「市場か国家か」、「官か民か」、振り子のように大きく揺れてきましたが、3回目の転換、すなわち「新しい資本主義」においては、「市場も国家も」、「官も民も」、すなわち「or」ではなく「and」でつなぎ、官民連携で新たな資本主義を作っていきます。
 官はこれまで以上に、民の力を最大限引き出すべく行動し、一方で、これまで官の領域とされてきた社会課題の解決に、民の力を大いに発揮してもらいます。
 新たな資本主義の下では、社会課題を障害物と捉えるのではなく、成長のエンジンへと転換していきます。官が呼び水となって、課題とされる分野に新たなマーケットを作り、民間の投資を集め、官民連携で社会課題を解決するとともに、力強く成長する。二兎(にと)を追うことで、持続可能な経済を作ります。
 そのためには、1つは、分配の目詰まりの解消、2つ目として、付加価値を生む分野への過少投資の克服、3つ目として、新分野への労働移動の後押し、4つ目、多様性の取り込み、5つ目、健全な新陳代謝の実現、こうしたものを進めなければなりません。
 具体的に何にどのように取り組んでいくのか。「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップ投資」、そして、「グリーン、デジタルへの投資」、この4本柱です。
 まず、岸田政権の成長戦略の中核に、人的資本への投資を位置付けます。これからの時代、有形資産「モノ」より無形資産「コト」が重要になってきます。特に、デジタル化や脱炭素化といった大きな変革の波の中で創造性を発揮するためには、人が大切です。とりわけ、我が国は、今後、労働力不足の局面に入り、付加価値をいかに創造していくかがより重要になってきます。
 そうした中、フローとストック両面で人への投資を伸ばしていく必要があります。フロー面での人への投資といえば、まずは賃金です。単位時間当たりの労働生産性の伸びは諸外国と比べて悪くないのに、賃金の伸びが低いことが我が国の大きな課題です。賃金が伸びなければ、消費にはつながらず、次なる成長も導き出せません。生産性を上昇させるとともに、それに見合った形で賃金を伸ばすために、賃上げ税制を導入するなど、官民連携して賃上げの社会的雰囲気を醸成します。
 次に、ストック面での人への投資については、職業訓練、学び直し、生涯教育などへの投資が重要です。この分野への我が国企業の投資は諸外国と比べて格段に少ないのが実情です。政府として、既に3年4,000億円のパッケージを導入していますが、今後更に教育訓練投資を強化して、人的資本の蓄積を推進することで、労働移動、雇用流動化を積極的に支援していきます。特に兼業・副業の推進とともに、リスキリングに力を入れます。
 その際、重要なキーワードは、多様性です。我が国には、素晴らしい女性や若者がたくさんいます。さらには、外国人の方も増えています。これからの日本企業は、組織の中でこうした多様性をもっといかさなければなりません。働き方を柔軟化するとともに、子育て支援などを充実することで、多様性を成長につなげることを応援します。
 そして、もう一つ重要なストック面での人への投資が、「貯蓄から投資」です。我が国個人の金融資産は2,000兆円と言われていますが、その半分以上が預金・現金で保有されています。この結果、この20年間※で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、我が国においては1.4倍にしかなっていません。ここに日本の大きなポテンシャルがあります。
 私は、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現いたします。そのために、NISAの抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員して「資産所得倍増プラン」を進めていきます。
 2つ目が科学技術・イノベーションへの投資です。
 コロナ禍でワクチンが切り札になったように、科学技術・イノベーションには、感染症・地球温暖化・少子高齢化など、世界が直面する様々な社会課題を解決する力があります。
 同時に、民主主義と権威主義の競争が激化する中で、最終的な勝者を決めるのは、科学技術の力です。例えば、先端半導体を開発・生産できる力を持っているかどうかが、国際競争力、あるいは国家安全保障を左右します。
 しかし、残念ながら、我が国企業の研究開発投資は、先進諸国と比較して圧倒的に少ない状況です。設備投資も同様です。これを転換しなければなりません。
 国が国家戦略・国家目標を明確に提示することで、企業が重視する将来の期待成長率を示し、国家が呼び水となって企業の投資を引き出します。
 このため、AI(人工知能)、量子、バイオ、デジタル、脱炭素、この5領域において国家戦略を明示していきます。その上で、こうした国家戦略に応じて、研究開発投資を増加する企業に対しては、大胆なインセンテイブを付与していきます。
 科学技術・イノベーションには、産学官の連携、とりわけアカデミアの活性化が不可欠です。昨年、10兆円の大学基金を立ち上げました。この基金を通じ、大学の研究開発を支援していきます。その前提として、大学においても、経営と学問の分離、外部資金や外部経営陣の導入などのガバナンス改革を徹底していきます。
 3点目がスタートアップ投資です。
 日本企業といえば、ホンダやソニーといった大企業が思い浮かべられると思います。しかし、こうした日本をけん引してきた大企業も、もともとは、戦後間もなく、当時の若者が起業したスタートアップでした。
 ホンダは1946年に39歳の本田宗一郎が起業しました。ソニーも1946年に25歳の盛田昭夫が起業した会社です。
 米国においても、GAFAMなどの企業は、スタートアップから大きく成長しました。テクノロジー分野での米国経済の復活は、こうしたスタートアップがけん引しました。
 私は、戦後に次ぐ、第二の創業ブームを日本で起こしたい。
 足元では、日本も変化しています。優秀な大学生が、卒業後に、伝統的な大企業に就職するのではなく、スタートアップを起業する動きが出てきています。日本で最も歴史がある東京大学でも、大きな変化が起き、300社以上の大学発ベンチャー企業が生まれています。
 もう一つ大きな変化があります。それは、社会的課題の解決の強い志を持った起業家が増えていることです。先日、社会的企業家との会合に参加した際に話を伺った、ある女性経営者は、在学中に新しい事業を開始し、卒業後すぐに、クラウドファンディングのスタートアップを始めました。コロナ禍では、患者急増で苦労する病院や、客が少なくなって困っているレストランなども支援してきました。LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)で学んだ経験もある素晴らしい経営者です。経済成長と、社会的起業の二兎を追う新しい資本主義の担い手として、彼ら、彼女達の今後の活躍を大いに期待しています。
 私は、こうした日本社会の前向きな変化を、更に後押ししていきます。若者が、躊躇(ちゅうちょ)なく、スタートアップに飛び込んでいける環境を整備します。
 そのために、海外の一流大学の誘致を含めたスタートアップキャンパスの創設、スタートアップへのSBIR制度(中小企業技術革新制度)の抜本拡充、海外のベンチャーキャピタルの誘致と海外ベンチャーキャピタルへの公的資本の参加、さらには、個人金融資産及びGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)等の長期運用資金のベンチャー投資への循環、さらには、スタートアップの成長を図るためのストックオプション等の環境整備、こうしたものを一体的に進めます。
 こうしたスタートアップエコシステム育成の全体像を、5か年計画としてまとめるとともに、実行のための横断的な司令塔機能を明確化していきます。
 4点目は、グリーン、そしてデジタルへの投資です。
 ロシアによるウクライナ侵略は、エネルギー安全保障をめぐる環境を一変させました。
 喫緊の課題である気候変動問題に加え、世界全体でのエネルギーの脱ロシアに貢献するためにも、再エネに加え、安全を確保した原子炉の有効活用を図ります。既存の原発一基が再稼働すれば、年間100万トンのLNG(液化天然ガス)を世界市場に新規に供給するのと同じ効果があります。
 あわせて、長期的な視野を持って、エネルギーの安定供給を確保しながら、2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46パーセント排出削減という国際約束を実現していきます。その目標を達成するため、我が国において、2030年に17兆円、今後10年間で、官民協調により150兆円の新たな関連投資を実現いたします。
 我が国には、2,000兆円の金融資産、320兆円の企業内部の現預金があります。巨大な金融潜在力と巨額の投資ニーズをイノベーティブな政策イニシアティブにより結び付け、民間企業が先行き不透明でためらっている関連投資を引き出し、中期的な成長戦略の柱としていきます。
 150兆円の新たな関連投資を引き出すため、第一に、企業の予見可能性を高めつつ、一方で、成長やイノベーションを促進するような成長志向型カーボンプライシング、いわば“pro growth Carbon Pricing”の最大限活用、第二に、省エネ基準強化など制度面での対策と、長期大規模投資を促進するための支援などの資金支援をセットで講じる、規制・支援一体型投資促進策の活用という2つのイニシアティブからなる、2030年までの包括的政策ロードマップの策定を早急に進めます。
 そして、デジタルへの投資です。労働人口が減少する中で、デジタル技術の活用が急務であり、官民双方で、デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進します。
 デジタルサービスは、新しい付加価値を生み出す源泉であり、日本の地方が直面する少子高齢化や、過疎化といった課題を解決するための鍵でもあります。ブロックチェーンや、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)、メタバースなど、web3.0の推進のための環境整備を含め、新たなサービスが生まれやすい社会を実現いたします。
 その際、テクノロジーの進展に合わない制度や規制は大胆に見直す必要があります。昨年発足したデジタル庁の下、4万以上のアナログな規制を洗い出し、3年間で一気に見直す、大改革を今進めています。
 さらには、本格的なデジタル経済の到来を見据え、5年程度で、99パーセントの需要をカバーできるように5Gや光ファイバーの整備を進め、世界最高水準のデジタルインフラを実現いたします。
 以上、新しい資本主義について、ポイントとなる4本柱をご紹介しました。
 こうした政策課題・対応が成功するためには、それを支える強いマクロ経済フレームワークと金融市場改革が必要です。
 引き続き、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めます。
 そして、厳しい財政状況の中で、真に機動的な財政政策を実現するため、2つの意味で、財政の在り様を改革していきます。第一は予算の単年度主義です。国の長期的方向性や予見可能性を高め、企業が将来の期待成長率を導き出せるよう、基金等を活用して、予算単年度主義を打破していきます。第二に、税制においても、現時点での減税等のインセンティブが将来の増収をもたらすという動的思考を積極的に導入していきます。
 最後に、金融市場改革について申し上げます。本日申し上げた新しい資本主義を実現するためには、国際金融センターとしての日本の復活が必要です。
 私は、自由民主党政調会長時代、海外投資運用業者の参入を促す環境整備、コーポレートガバナンス・コードの改訂、そして、プロ投資家の要件弾力化等を決定しました。引き続き着実に取組を進めていきます。
 特に、日本のコーポレートガバナンス改革は、この10年で大幅に進展しましたが、企業の中長期的な価値向上を可能とする改革を更に強力に進めていきます。
 加えて、先ほど私が申し上げた「資産所得倍増プラン」によって、眠り続けてきた1,000兆円単位の預貯金をたたき起こし、市場を活性化するための仕事をしてもらいます。
 また、2050年カーボンニュートラルを見据えて、グリーンボンド市場、アジア向けのトランジショナルボンド市場の整備を進めていきます。
 今日、ロンドンを離れ日本に戻れば、いよいよ夏の政治決戦、参議院選挙公示まで50日を切ることとなります。
 現在のウクライナ危機、日本をめぐる安全保障環境の悪化、そして原油高等の経済危機を考えると、政府の安定を損なうことは許されません。石にかじりついても勝ち抜き、今日お話しした様々なプランを実行するための力を得ます。
 Kites rise highest against the wind - not with it.(凧(たこ)が一番高く上がるのは、風に向かっているときである。風に流されているときではない。)
 私は、今、改めて、チャーチル元首相の言葉を、かみ締めています。ウクライナ危機、権威主義的国家の台頭、気候変動、格差問題。暴風が吹く、現代世界において、私は決して、風に流されたりしません。
 特に、来年は我が国がG7の議長国です。民主主義国家の旗手として、新しい資本主義という理念を掲げながら、この暴風に向かって真正面から向き合っていきます。
 そして、高く舞い上がった凧として、またこの場に戻ってくることをお約束して、私からのスピーチを締めたいと思います。御清聴、誠にありがとうございました。

 ※講演中、「10年間」と発言しましたが、「20年間」に訂正いたします。

 

関連リンク

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