ASEANインド太平洋フォーラム 岸田総理スピーチ

更新日:令和5年9月6日 総理の演説・記者会見など

 御来賓の皆様、Selamat pagi、おはようございます。この度、日本ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力50周年、そして、日・インドネシア外交関係樹立65周年の記念すべき年に、日本の総理大臣として、インドネシアを訪問し、このASEANインド太平洋フォーラムにおいて、お話しできますことを大変光栄に思っております。
 インドネシアを始めとするASEAN諸国の飛躍的な経済発展に後押しされ、インド太平洋地域は、世界経済を力強く牽引(けんいん)しています。インドネシアが本年のASEAN議長国として、「成長の中心(Epicentrum of Growth)」をテーマに掲げたこと、これは正に時宜を得たものだと思います。
 また、今回のフォーラムにおいて、日本から多くの協力プロジェクトが紹介される、このことを大変誇らしく思います。

 ASEANの掲げる「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」と、日本が進める「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」は、開放性、透明性、あるいは包摂性、国際法の尊重といった本質的な原則を共有しています。
 ASEANの中心性・一体性を一貫して支持してきた日本は、2019年にいち早くAOIPへの全面的な支持を表明いたしました。そして、本日ここに私は、「日ASEAN包括的連結性イニシアティブ」を発表し、日本として6つの分野で連結性強化の協力を進めていく旨、宣言いたします。

 6つの分野とは具体的に次のとおりです。
 第1に、交通インフラの整備です。港湾、道路、鉄道、空港を整備し、ASEAN諸国の人の流れ、物の流れを促進していく。我が国が現在実施しているプロジェクトは、約2兆8,000億円分にまで拡大しています。ハード面での協力に加え、技術面によるソフト面での協力を行い、日本の技術や知識を継続的に提供してまいります。
 第2に、デジタル・コネクティビティです。日本は、ASEAN各国の更なるデジタル化、そしてデジタル技術を用いた地域の連結性強化に協力していくとともに、サイバー空間の安全を守ることに貢献していきます。
 第3に海洋協力です。海でつながった日本とASEAN諸国の連結性を強化する上で重要な要素です。我が国は海上保安機関や海上警察への研修の実施、巡視船の供与などを通じて、海上法執行能力の強化を支援していきます。
 第4は、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化です。新型コロナのパンデミックやロシアのウクライナ侵略を受け、物資の安定的な流通の確保や食料安全保障が重要な課題となっています。我が国は、ASEAN地域のサプライチェーン強靱化に貢献し、共に危機に強い経済、これを築いていきます。
 第5に、電力の連結性です。急速な経済発展を遂げているASEAN地域では、電力需要も増大しています。安定的な電力供給を確保するため、我が国は、マスタープランの策定や研修などを通じて、電力の連結性向上を支援していきます。
 そして、最後に、人・知の連結性です。社会の発展を支えているのは、人であり、人が持つ知です。我々は、幅広い分野の人材交流や研修事業などを通じて、ASEAN諸国の人材を育成するとともに、日本とASEAN諸国の人々のネットワーク、これを強化していきます。
 日本は、これらの分野において、今後3年間で5,000人の人材育成を行います。ASEAN諸国と技術協力を進め、ネットワークを強化することで、我が国もASEANと共に成長していく。日本とASEANが新たな社会的価値を共有できる未来を築いていきたいと思います。

 本年12月、日本ASEAN友好協力50周年の締めくくりに、ASEAN諸国の首脳を東京にお招きし、日・ASEAN特別首脳会議を開催いたします。そして、その場で、将来の日ASEAN関係と協力の大きな方向性を示すビジョンを共同で打ち出したいと考えています。
 政治・安全保障、経済、文化・社会の各分野にわたる幅広い協力のイニシアティブを打ち出すとともに、魅力ある文化・人的・知的交流や日本語教育支援の取組、これを更に推進してまいります。
 こうした取組を通じて、日本とASEANの輝ける友情を次世代につなぎ、新たな時代を我々の輝ける機会とすべく、皆さんと共に前進してまいりましょう。Terima kasih、ありがとうございました。

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