「21世紀日本の構想」懇談会
第2回「21世紀日本の構想」懇談会
議事概要
- 1.日時 平成11年4月21日(水) 18:30−20:30
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- 2.場所 内閣総理大臣官邸大食堂
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- 3.出席者
- (メンバー50音順、敬称略)
浅海保、天野曄、五百旗頭真、翁百合、河合隼雄、川勝平太、小島明、小林陽太郎、佐々木毅、中村桂子、船橋洋一、星野昌子、三善晃、山崎正和、山本正
- (政府)
小渕内閣総理大臣、野中内閣官房長官、鈴木内閣官房副長官、上杉内閣官房副長官、古川内閣官房副長官
- 4.議題等
- (1)最終報告書の取りまとめ方について
- (2)分科会の進め方について
- (3)今後の予定等について
5.会議の模様
(1)本懇談会の報告書の取りまとめ方について、「大平総理の政策研究会」の報告書(一覧は資料1)を参照しつつ、 議論を行った。冒頭、同研究会のメンバーでもあった河合座長及び山崎正和氏から当時のレビューが行われ、それを受けてメンバー間で意見交換が持たれた。主な意見には次のようなものがあった。
- 「大平総理の政策研究会」の報告書は、 極めて質の高いものであり、 今日でもそのまま妥当する内容を多く含んでいる。 「総合安全保障」「環太平洋」などのキャッチ・フレーズを生み出した知的営為は印象深い。
- 時代背景としては、 当時は一種の高揚感があった。しかし、現在は自信喪失ぎみであり、相当な隔たりがある。 また、その後の20年間に日本社会が大きく変質していることにも、十分な留意が必要である。
- 同研究会では、経済が成熟してきたので、いよいよその上に文化の時代を築くとの発想だったが、実際にもたらされたのはバブル経済であった。また、ソ連の崩壊や冷戦の終結は予見されていなかった。少子高齢化や教育の課題も十分には視野に入っておらず、家庭が安定した基盤として存続するという点で楽観的に過ぎたきらいがあった。子供や女性の意識の変化や、NPOを育てようとする社会風土の変化も十分に予見されていなかった。安全保障についても、冷戦構造の中でストレートに論ずることに困難が見られた。
- 同研究会の成果を踏まえるならば、本懇談会では、冷戦後という国際環境の大きな変化や、右肩上がりの経済成長を前提にできなくなった新しい状況を見据えて、今という時代の客観的な認識から始めることが肝要となる。理想論だけでなく、具体的な政策や課題の提示といった核となるものが必要で、その現実的妥当性については十分吟味していかなければならない。 単一のモデルを提示して、その正当性を各分野で論証していくというアプローチも、もはや時代に適応しないだろう。
- 報告書については、政策形成に携わる者はもちろん、国民の間に広く議論を起こすためのきっかけとなるようなものとしたい。
- 日本人の間では、自ら選択した人間関係においてはより強い一体感を産み出すという新しい傾向も見られ、関係が一面で崩壊すると同時に、他方で新たな関係の模索が始まっている。古いものを踏まえて、示唆的な関係を作る努力が求められている。
- 文化を支える経済という視点も重要で、経済と文化を対立的に考えるべきではない。
- 日本にとっての「ソフト・パワー」が何かを考えてみることも重要である。
(2)こうした各メンバーの意見を集約する形で、河合座長から、最終報告書の方向性について次のような発言があり、了承された。
- 理念と政策のバランスにおいては、理念に重点を置くが、向こう5−10年くらいの中長期的な政策提言も含むものとする。短期的な政策については必要な範囲で扱う。
- 10年位は読み継がれるようなインパクトのある報告書を目指し、分量としてはあまり大部にならず、読みやすいものとする。
- 今後、総論と各分科会報告書の起草者及び全体の取りまとめ編集役を指名し、各分科会報告と総論の整合性に十分配意する。
- 最終報告は、和英両文で刊行する。
(3)次に、河合座長から、今後5つの分科会を設けるとして、各分科会の名称、座長、懇談会メンバーの分担、主要テーマ等(分科会の概要は資料2)について説明があり、了承された。メンバーからは次のようなコメントがあった。
- 提言を実現するにあたって前提となるコスト・条件を横断的に議論する場が必要。
- 10〜20年後に提言を実現していく担い手はどのような人たちなのか、イメージを具体化していくことが重要。
- 今は20年前のように高揚した時代ではないことを踏まえると、提言のリアリティー・チェックはより厳密に行うべき。
- グローバル・スタンダードを形成していく過程に参加できるような人材の育成が重要。
- 和英両文で報告書を作成することは、思考を明確にすることに資するので、望ましい。
- 現実の科学技術は資金と競争が支配する弱肉強食の世界となっており、国としての品格を保ちつつ科学技術立国という考え方を組み込んでいくことは困難な課題。それゆえ、科学技術の位置づけをきちんと行い、より高い次元から複数の分科会にわたって科学技術が論じられるべき。
- 第4分科会タイトルの「美しい国土」の「国土」は、自然風土と生活風土の両方を含む広義のものであるべきで、英語でいう“country”に近いものと考えるべき。
(4)次いで、河合座長から、分科会の進め方について次のような説明があった。
- 準備が整い次第、各分科会を順次開催する。
- 分科会全メンバーによる合宿も検討する。
- 分科会会合に外部の専門家、政治家、官僚等を招き、意見を聞くことも考慮する。
- 分科会によっては、海外での意見交換の機会も考慮する。
(5)最後に、河合座長から、次のような計画の説明があった。
- 総理官邸のホームページに、当懇談会専用のホームページを開設し、懇談会・分科会の基本的な情報、毎回会合の討議概要等を掲載する。
- その後、準備が整った段階で、電子メールまたは専用FAXにより、分科会単位で、国民からの意見公募を行う。寄せられた意見は担当室で整理分類し、分科会会合に提供していく。
(文責:「21世紀日本の構想」懇談会担当室。なお、速報のため事後修正の可能性があります。)
(資料1)
「大平総理の政策研究会」最終報告書
「大平総理の政策研究会」では、1979年から80年にかけ、9つのテーマについて200人余りの有識者が研究を行い、その成果は下記の9巻の報告書にまとめられている。
21世紀へ向けての提言(総説)
研究グループ報告書
| 1、文化の時代研究 | 議長 | 山本七平 |
| 2、田園都市構想研究 | 議長 | 梅棹忠夫 |
| 3、家庭基盤充実研究 | 議長 | 伊藤善市 |
| 4、環太平洋連帯研究 | 議長 | 大来佐武郎 |
| 5、総合安全保障研究 | 議長 | 猪木正道 |
| 6、対外経済政策研究 | 議長 | 内田忠夫 |
| 7、文化の時代の経済運営研究 | 議長 | 館龍一郎 |
| 8、科学技術の史的展開研究 | 議長 | 佐々學 |
| 9、多元化社会の生活関心研究 | 議長 | 林知己夫 |
(資料2)
「21世紀日本の構想」懇談会
分科会の概要
- 第1分科会「世界に生きる日本」
- 座長:五百旗頭真
- 懇談会メンバー:船橋洋一
- 主要テーマ:国際関係の新しい枠組み/日本の国益−国際的役割の再定義/世界の中の日本人
- 第2分科会「豊かさと活力」
座長:小林陽太郎
- 懇談会メンバー:翁百合・佐々木毅
- 主要テーマ:企業と社会・組織と個人/新しい「公平」の概念/社会のガバナンスのあり方(自助・自立・自己責任)
- 第3分科会「安心とうるおいの生活」
- 座長:中村桂子
- 懇談会メンバー:小島明 ・星野昌子
- 主要テーマ:生涯の充実充足度/多様性と選択肢/人間・自然・科学
- 第4分科会「美しい国土と安全な社会」
- 座長:川勝平太
- 懇談会メンバー:天野 曄・浅海 保
- 主要テーマ:美しい環境/新たな文明の生態系/安全のためのシステム
- 第5分科会「日本人の未来」
- 座長:山崎正和
- 懇談会メンバー:三善 晃・向井千秋
- 主要テーマ:世界的人材の育成/教育の基礎の再定義/社会の品格