「21世紀日本の構想」懇談会

「二十一世紀日本の構想」懇談会 第一分科会の第一回会合

平成十一年五月二十七日
内閣総理大臣挨拶


一.本日は、皆様、大変お忙しい中を御出席頂き、誠にありがとうございます。まず私より、簡単に御挨拶申し上げさせて頂きたいと存じます。

二.私は、二十一世紀の日本と日本人に、明るい希望に満ち、思いやりがあり、志の高い、そして世界にも貢献する堂々たるものとなって欲しいとの願いをもっており、総理就任以来、そのあり方とそこに至る具体的方策を問いかけてきております。「二十一世紀日本の構想」懇談会は、そうした私の思いを、有識者の皆様方にご検討いただくために、去る三月末に設けさせて頂いたものですが、今般、五つのテーマ別に分科会を設けて、更に多くの方々にご参加頂き、検討を進めて頂けることとなりました。

三.本日、そのトップ・バッターとして、第一分科会の最初の会合が開催され、「世界に生きる日本」についての御議論を伺う機会が得られたことを嬉しく思っております。できるだけ機会を見つけて、諸先生方から直接勉強させて頂ければと考えております。

四.さて、国際社会の枠組みは、いわゆる冷戦の崩壊以降の二十世紀最後の十年に、大変大きな変革を遂げました。経済面を中心とした相互依存関係も、益々深化する方向にあります。その一方で、我々が住むアジア太平洋地域には、未だ冷戦の残滓とも呼ぶべき要素が残っているのが現状であります。我が国と致しましても、こうした世界と地域の状況を踏まえた、新しい国際社会の枠組みの構築に、主体的に参画していく必要があると考えております。また、今後の国際社会においては、国家以外の主体が益々大きな役割を果たし、「国益」の意味するところは一層複雑になっていくものと考えられます。より複雑化した世界の中での、日本の「国益」とは何か、常に真摯に見つめていくことが重要であろうと考えております。

五.私はかねてから、日本のあるべき姿として「経済的な富」に加え、「品格ある国家」、「徳のある国家」となって、いわば、「物と心のバランス」のとれた国、即ち「富国有徳」の国家として、世界のモデルになるように目指したい、と考えてまいりました。「世界に生きる日本」をテーマとするこの第一分科会の議論は、当然、日本のあるべき国家像にも及ぼうかと存じます。座長の五百旗頭先生をはじめ、メンバーの皆様方におかれましては、是非、自由闊達なご議論を行っていただき、二十一世紀を担っていく世代のために、指針をまとめて頂くようお願いを申し上げます。

六.御多忙な各位のお時間を頂戴致しますのは恐縮の至りでございますが、お力添えをいただきますよう、重ねてお願い申し上げまして、私の御挨拶と致します。