| 平成十一年五月二十八日 内閣総理大臣挨拶 |
一.本日は、皆様、大変お忙しい中をご出席頂き、誠にありがとうございます。
二.この「21世紀日本の構想」懇談会第2分科会の第1回会合が開催されるにあたりまして、私より一言ご挨拶申し上げます。
三.「21世紀日本の構想」懇談会は、21世紀における日本のあるべき姿について有識者にご検討いただくために、去る3月末に設けたものでありますが、今般、5つの大きなテーマ別に分科会を設けて、更に多くの方々に御参加頂き、検討を進めて頂けることとなりました。皆様方に心より感謝申し上げます。
四.私は、かねてから、「他人にやさしく、美しきものを美しいとごく自然に感じ取ることのできる社会」、「隣人がやさしくふれあうことのできる社会」、そして何よりも「住みやすい地域社会」を建設することが必要であるとの考えを持っておりました。そして、こうした考えに立ち、21世紀において、日本のあるべき姿として、「経済的な富」に加え「品格ある国家」、「徳のある国家」となって、いわば、「物と心のバランス」のとれた国、即ち「富国有徳」の国家として、世界のモデルになるように目指したい、と考えている次第であります。
五.この第二分科会の基本テーマは「豊かさと活力」であります。これは「富国有徳」と言う際の「富国」の部分と深く関わるものと考えますが、明治時代や戦後の高度成長期に考えられていた「富国」の概念とは異なる、新しい時代にふさわしい、「有徳」の概念とも両立し得る、「富国」の考え方が求められているように思います。近代日本は高度に完成した工業社会を実現しましたが、これからは、国民一人一人が個人のレベルでも豊かさと幸せをより実感でき、その豊かさと幸せを内外で分かち合い、活力に満ち溢れた経済社会の実現を目指していかなければなりません。内外情勢の変化は大きく、かつ速く、いまや歴史的な発展段階の転換をも感じさせるものがあります。世界は「多様な知恵の時代」へと進んでおります。この新しい人類文明において、我が国は、新たな「豊かさと活力」の創出に向けて、積極的かつ創造的な役割を果たすべきであると考えます。
六.本分科会では、この新たな「豊かさと活力」のあり方を探る切り口として、「企業と社会・組織と個人」、「新しい『公平』の概念」、「社会のガバナンスのあり方」などを中心テーマとして、ご検討を進められると伺っておりますが、座長の小林陽太郎さんをはじめ、分科会メンバーの皆様方におかれましては、それぞれのご専門の分野や、豊かなご経験に基づき、是非、自由闊達なご議論を行って頂き、21世紀を担っていく若い世代のために、指針をまとめて頂くようお願い申し上げます。
七.御多忙な各位のお時間を頂戴致しますのは恐縮の至りでございますが、お力添えをいただきますよう、重ねてお願い申し上げまして、私の挨拶に代えさせて頂きます。