「21世紀日本の構想」懇談会

「二十一世紀日本の構想」懇談会第四分科会の第一回会合

平成十一年六月八日
内閣総理大臣挨拶


一、本日は、大変お忙しいところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。「二十一世紀日本の構想」懇談会第四分科会の第一回会合が開催されるに当たりまして、一言御挨拶申し上げます。

二、「二十一世紀日本の構想」懇談会は、有識者の皆様方に二十一世紀のあるべき日本の姿について御議論いただき、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめたいとの考えで、去る三月末に設けたものですが、今般、五つの大きなテーマ別に分科会を設けて、具体的に議論を進めていただくこととなりました。

三、本日は、その第四分科会の第一回の会合として、「美しい国土と安全な社会」というテーマで御議論いただくことになり、座長の川勝先生はじめ、ご多忙の中メンバーをお引き受けいただいた皆様方に心よりお礼申し上げます。

四、私自身、かねてから、「他人にやさしく、美しきものを美しいとごく自然に感じ取ることのできる」社会、隣人がやさしく触れ合うことのできる社会、そして何よりも住みやすい地域社会を建設することが必要であるとの考えを持っておりました。本分科会のテーマである「美しい国土と安全な社会」はこうした社会を作るための基本的な条件であります。

五、わが国は、先人の努力により近代国家としての基礎を築き、驚異的な経済成長と今日の繁栄を成し遂げました。しかし、大量生産・大量消費型の社会は、大量の廃棄物を生み、地域社会、また、地球環境に大きな負担をかけております。また、私たちの生活は、エネルギーや食料の安定供給の問題や地震などの自然災害、国民生活を脅かす様々な犯罪や事故など、多くのリスクを抱えており、そのリスクは経済の発展や社会の動きに伴い常に変化しています。社会の活力を維持しながら美しい環境を子孫に伝え、国民の生命や安全な生活を守るといった「人間の安全保障(ヒューマンセキュリテイ)」の確立は、国としての最も基本的な役割であります。そして、これは、私たちが今後どのような文明を築いていくのか、についての新しい理念の構築とその実践の営みでもあります。

六、座長をお引き受けいただいた川勝先生はかねてから「富国有徳」の国づくりを提唱されておりますが、この「富国有徳」という考え方は、二十一世紀における日本のあるべき姿として、「経済的な富」に加え、「品格」あるいは「徳」のある国、物と心のバランスの取れた国家として、他の国から顧みて真に尊敬に価する国を目指す上で大変貴重なものと考えております。皆様方におかれましては、御専門の分野や御経験に基づき、幅広い見地から自由で闊達な御議論を行っていただき、二十一世紀を担っていく若い世代のために、指針をまとめていただきますようお願い申し上げます。私自身も、今後ともできる限り本会合に参加して、皆様方のご賢察を直接うかがいたいと思っております。

七、ご多忙な各位の貴重なお時間を頂戴いたしますのは恐縮の至りでございますが、お力添えをいただきますよう、重ねてお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。