「21世紀日本の構想」懇談会

「二十一世紀日本の構想」懇談会第五分科会の第一回会合

平成十一年五月三十一日
内閣総理大臣挨拶


一、本日は、皆様、大変お忙しい中をご出席いただきまして、誠にありがとうございます。この「二十一世紀日本の構想」懇談会第五分科会の第一回会合が開催されるにあたりまして、私より一言ご挨拶申し上げます。

二、「二十一世紀日本の構想」懇談会は、二十一世紀における日本のあるべき姿について有識者にご検討頂くために、去る三月末に設けたものでありますが、今般、五つの大きなテーマ別に分科会を設けて、更に多くの方々にご参加いただき、検討を進めて頂けることとなりました。ここに、厚く御礼申し上げます。

三、この第五分科会の基本テーマは、「日本人の未来」であります。翻って、戦後の歩みを振り返りますと、我が国は、急速に復興を果たし、今日の繁栄を築いてまいりました。このような我が国の発展は、諸先輩方の努力によるものであり、我々の誇りとすべきものであります。しかしながら、社会経済の目覚しい発展の一方で、「人を思いやる気持ち」や「公徳心」の欠如など、人間としての「心」の在り方が問われるようになってまいりました。しかも、このことは人格形成途上にある子どもたちの問題にとどまらず、責任をもって社会を支えてゆくべき我々大人に関しても問われていると存じます。即ち、今日の社会について、物と心のバランスの観点から見た場合、心の部分が忘れられている面があるのではないかと思います。

四、私はこのような観点から、今後の日本のあるべき姿として「経済的な富」に加えて、「品格のある国家」、「徳のある国家」となって、いわば、「物と心のバランス」のとれた国、即ち「富国有徳」の国家として、他の国から顧みて真に尊敬に値する国を目指すことが必要であると考えております。

五、このためには、幅広い観点からの様々な検討が必要であると思いますが、国家を動かし、変革するのは、結局のところ国民一人一人であります。また、言うまでもなく、「未来の担い手」は若者たちであります。このような意味において、「世界的人材の育成」、「教育の基礎の再定義」、「社会の品格」といった「人」に関わる諸問題についての本分科会のご論議は、本懇談会全体において極めて重要な位置を占めるものと存じます。座長の山崎先生をはじめ、本日お集まりの皆様方におかれましては、ご専門の分野や今までの豊かなご経験に基づいた、自由で闊達なご論議を頂き、「二十一世紀のあるべき国の姿」についての指針をまとめて頂くようお願い申し上げます。

六、ご多忙な各位のお時間を頂戴いたしますのは恐縮の至りでございますが、お力添えをいただきますよう、重ねてお願い申し上げまして、私の挨拶に代えさせて頂きます。