(かずさアカデミアセンター、1999年8月7日)
小渕総理、どうもありがとうございました。
総理のスピーチにはたくさん触発されることがございましたが、今日まで皆で一生懸命論議してきたことと、総理が今日おっしゃってくださったことに、照合する点が非常に多いというのが、まず一番初めに感じたことでございます。
総理は、現在を「第三の改革」の時代という言葉で位置づけされましたが、これはまさにその通りで、今、日本の我々が置かれている状況がいかに厳しく、生半可な気持ちでは絶対に乗り越えられない局面にあるのか、そういう認識なのだと思います。その厳しい認識がキャッチフレーズ的ではなくて、お話の中に一貫して出ていたと私は思います。
どれ一つを取っても言えることでございますけれども、日本は、今まで、キャッチアップするために頑張ってきた。それは間違っていなかった。しかし、それがうまく行ってきたからと言って、これからもそのままでいくというのは絶対だめで、ここで「第三の改革」をしなくてはならない。しかも、それにはモデルがないのだということを、総理もはっきり言われました。本当に根本的な改革を実現するためには、今こそ、我々一人ひとりが主体的に関わっていくことが求められているのだと思います。
総理は「責任ある先覚者」という言葉をお使いになりましたが、改革にはモデルがないわけですから、やはり、これがいいとか、この方向にいこうという先覚的な責任感、意識を持って進んでいく人たちが重要であると、私も思っております。あちらでもこちらでも、そういう先覚者が起こってくる。そして、いろんな場所で自分がコミットしていく。我々が責任を持ってコミットする、関わっていくということが非常に大事だと思います。
そして同時に、総理も、失敗しても、もう一遍やり直しがきくことの重要性に触れられましたが、やはり「やり直しが可能な社会」を我々がつくっていかねばならないということも大事なことだと思います。
また、総理は「もの」についても言及されました。「もの」というのは、日本語ではもともと「物」も「心」も含んだ言葉でありまして、「もののけ」という言葉もありますように、「もの」というのは本来的にそうだった。しかし、「物」と「心」を分離して考えないと近代化ができませんので、我々はそこを分離して、「物」をどんどん発達させていった。そこにアンバランスが生じてきた。そうならば、「もの」の価値をもう一遍見直したい。「物」として平板な貨幣価値にだけ換算するのではなくて、もっと固有の価値を見出していこうではないかとも、総理はおっしゃったと思います。
こういうことは、世界の中で行っていかねばなりません。だから、世界に通用しないことを日本だけで言っていても何の意味もない。と同時に、世界に通用していくんだけれども、そこにまた、日本固有のものをどう活かしていくかも忘れてはならない。
こういうすべてのことを行っていく根本に「人づくり」ということがあって、「国づくりは人づくり」だと総理もおっしゃいました。人づくりの問題は、どの分科会でも一貫して議論にのぼり、その重要性を改めて痛感しております。その意味では、若い世代の人と話し合いたいと総理がおっしゃってくださるのは、非常にありがたいことで、これは是非実現していただきたい。
それから、幸いにもインターネットがあり、すでに当懇談会でも、10歳から76歳という非常に幅広い方々からご意見を頂いておりまして、大変喜んでおります。「21世紀日本の構想」を築きあげていくには、国民的な論議が不可欠ですので、今後も議論の高まりを期待したいと思っております。
最後に、総理も、今日は「一つ釜の飯を食う」と言われましたが、本当に寝食を共にして話し合うということは非常にありがたいことです。我々もそれに応えるだけの勢いを持って、この合同合宿を意義深いものとするよう頑張っていきたい思っております。
どうもありがとうございました。