21世紀日本の構想報告書

日本のフロンティアは日本の中にある

―自立と協治で築く新世紀―

 

第1章 総論「日本のフロンティアは日本の中にある」 要旨

T.日本の巨大な潜在力

U.変革強いる世界の潮流

【グローバル化】

【グローバル・リテラシー(国際対話能力)】

【情報技術革命】

【科学技術】

【少子高齢化】

V. 何が問われているか

1、統治からガバナンス(協治)へ

2、 個の確立と新しい公の創出

W. 21世紀日本のフロンティア

1、先駆性を活かす

(1) 教育を転換する

(2) グローバル・リテラシー(国際対話能力)を確立する

2、多様性を力とする

(1) 自ら生涯を設計する

(2)地域は自治で自立する

(3)非営利民間セクターを立ちあげる

(4)移民政策へ踏み出す

3、ガバナンス(協治)を築く

(1)政策選択を多様化し透明化する

(2)選挙権を18歳に

(3)政府の役割を絞り込む

(4)ルールにもとづく

4、「開かれた国益」を求める

(1) グローバル・シビリアン・パワー

(2)総合的・重層的安全保障

(3)隣交

X 日本の志 ひとりひとりの志


第2章 豊かさと活力(第2分科会報告書)要旨

T.はじめに ― 活力を通して豊かさへ

1.20世紀から21世紀へ

2.組織と人間との多様な関わり方 ― ガバナンスの問いかけ

U.「富を創り、富を活かす」 ― 企業のガバナンスと経済の活力

1.これからの企業とその担い手たち

2.企業と個人との関係

3.企業の新しいミッション

V.「参加し公を担う」 ― 社会のガバナンスを担う活力

1.「官」の統治から自治的統治へ

2.社会のガバナンスを担う主体

3.「参加」のための条件整備

W.中央政府の役割と国民 ― 21世紀型ガバナンス

1.パターナリズムからの脱却

2.中央政府の役割

3.政策決定プロセスの見直し ― アカウンタビリティの確立

X.おわりに ― 専門的人材の育成と新しい公平の観念

1.人材の流動性と活力ある社会

2.新しい公平の観念


第3章 安心とうるおいの生活(第3分科会報告書)要旨

T.夢を持ち、信頼しあう社会を求めて

U.不安の本質と対処

V.時代の転換が引き起こす不安

1.20世紀の安心の保障

2.21世紀の不安

W.転換期を生かして21世紀を安心の社会に

1.新しい価値軸の設定

2.個人を活かす社会システムへの転換

X.安心とうるおいの社会の提案

1.安心を支えるために

(1)教育 − いつでも、どこでも、誰もが学べる

(2) 仕事 − 複線社会の中で

(3) 家庭・地域社会 − 多様性を活かし、自ら選ぶ人間関係

(4) 社会保障(医療・介護・年金) − 生き生きとした「健康長寿」の確保

[医療]

[介護]

[年金]

(5) 文化・芸術活動 − 新しい道を探す気持ちの表現

2.ライフステージ・分散協調型ネットワーク社会を支える情報と科学技術

(1) 情報 − 共有とコミュニケーションにより新しいコミュニティを

(2) 科学および科学技術 − 自然・人間・人工の関係の再構築


第4章 美しい国土と安全な社会(第4分科会)要旨

T.開かれた社会の環境と安全の確保に向けて

U.物心ともに豊かな暮らし

1.魅力ある文化の創造

2.「もの」の価値の再発見

V.「活かしあう社会」づくり−個と公の新しい関係

1.関わり合う「たくましくて、しなやかな人」

2.活かし合う透明な制度

W.「地域」の自決−住民主体の地域づくり

1.暮らしの場としての「地域」

2.住民主体の地域ガバナンスに向けて

X.危機に強い国づくり

1.戦略的に思考する

2.科学と情報を使いこなす

3.連携して危機を管理する

Y.新しいソフトパワーの創造


第5章 日本人の未来(第5分科会報告書)要旨

T.はじめに

U.教育のもつ二面性

V.日本の教育をめぐる現状と課題

W.改革のための提言

X.最後に


第6章 世界に生きる日本(第1分科会報告書)要旨

T.20世紀の財産目録 ― 自由、民主主義、日米同盟

1.近代(戦前期)の日本
近代(戦前期)の日本には、輝かしい近代化の成功があった一方、強大となった力を政治的英知をもってコントロール出来ず、戦争にのめり込んだ。

2.戦後の日本
(1) 戦後日本が、平和的発展の道を求め、経済国家としての再生に成功したことは高く評価すべきであり、そうした成功を支えてきたのが自由、民主主義、日米同盟であった。他方、冷戦下の米国依存症の下での責任感と自己決定能力の低下、近隣アジアとの関係の深化の不十分さは大きな問題である。

(2) 21世紀には、戦後日本の良き面を支えた自由、民主主義、日米同盟を資産として守りつつ、アジアとの協調を発展させ、国際社会における責任感と自己決定能力を向上させて、国際システムの構築に参画することが必要である。

U.21世紀の課題

1.開かれた国益
(1)「開かれた国益」の提唱
国民の利益を増進しない対外政策は、国内的に持続不可能であり、自己利益の一方的追求は、国際的に持続不可能である。そこで、相手国の利益をも尊重する相互性に立ち、友好国を増やし、国際環境の改善を通じて、自らの必要を迂回的に満たしていくような長期的・間接的なアプローチを重視する「開かれた国益」(enlightened self-interest)を追求していくことが大切である。

(2)国民に開かれた国益
その際、国民に開かれた国益であること、すなわち、@大きく見て実質内容的に国民的必要を満たす政策であること、A国民との間で情報と認識が共有され、国民がさまざまな方法で政策決定に参画していることが重要である。

2.隣交 ― 近隣アジアとの協調
(1)隣交の提唱
東北アジア地域には、冷戦の氷塊、経済的貧富の格差、「地理と歴史」を巡る溝など様々な断層があった。今後、地域の共同利益に眼を向け、協調の精神を共同で活性化し、亀裂や対立を緩和していくことが、この地域の発展のために不可欠であり、それは日本の国益である。

(2)障害の克服と国民的交流の促進
近隣諸国との関係は、領土問題には冷静に平和的解決に徹し、思想と認識の差異を乗り越えて発展させていく必要がある。観念上の相違は、政府間だけで克服できるものではなく、社会レベルでの幅広い相互交流によって解消されていく部分が大きい。相互の言語習得機会の増大、人的交流の拡大などが促進されるべきである。

(3)東アジアの多国間協調体制
二国間の友好関係をたばねる地域枠組を形成し、多国間関係を二国間関係に重層的に組み合わせていくことが重要である。@南北朝鮮と日米中ロの計6ヵ国による安全保障に関する国際会議開催による信頼醸成、A事実上の東アジアサミット(ASEAN+3)における地域問題解決(アジア通貨基金創設の検討、環境・災害対策の協力、人材育成と交流計画など)、B共通の屋根としてのAPECによる地域共同利益の推進などが進められる必要がある。

3.シビリアン・パワー
(1)シビリアン・パワー日本の変容
戦後日本は、もっぱら非軍事の経済中心主義的な国という意味で、シビリアン・パワーであった。今後は、シビル・ソサエティーの充実した民尊の達成される社会、文明的な態度という「シビル」の他の意味もあわせ持ったシビリアン・パワーとして、国際社会に建設的役割を担っていくべきである。

2)シビリアン・パワーの安全保障
シビリアン・パワーは軍事をもって自国の発展や紛争解決を図ったりすることを峻拒するが、国際社会の安全に無関心ではない。

@日本への直接的脅威には日米同盟を中心に対応し、その枠組が円滑に動くための条件を法制整備、基地問題対応、ホスト・ネーション・サポート、政策対話の強化、国民的理解の増進などを通じて確保していくことが重要である。

Aまた、日本が国際安全保障上の共同行動に参画することも原理的には肯定されねばならない。具体的な判断が限りなく慎重なのは当然であるが、安全保障に関する国際的共同対処からの一般的逃亡を21世紀を通じて続けることはできない。憲法や集団的自衛権の問題など国民的論議が必要である。国連PKOへの参画に積極的であるべきは言うまでもなく、任務や武器使用などについての現在の過度な制約を見直す必要がある。

Bさらに、グローバルな安全保障システムそのものの再構築を支えていくべきである。常設事務局すらないNPT体制やジュネーブ軍縮会議の議事規則の見直しなど、軍備管理・軍縮体制強化に非核シビリアン・パワーはイニシアティブを発揮すべきである。また、「人間の安全保障」に関わるグローバル・イシューへの貢献を、日本の国際活動のジャンルの一つとして定着させることが望まれる。国連活性化に向けて、日本は常任理事国になって建設的役割を果たしていくべきである。

(3)国際経済秩序の再編
国際経済制度再構築にも積極的に貢献していくべきである。

@金融分野でも、グローバルなレベルと地域レベルを重層的に使いこなすべきであり、アジア通貨基金の創設も改めて検討する必要がある。円の国際化により為替変動リスクを小さくすることが望ましく、それによりアジア諸国などに選択の幅を提供することを考慮すべきである。

A多角的貿易体制の拡大・深化に伴い、グローバルな合意形成が難しくなる中で、国際公益の制度化に向けた努力を重ねつつも、地域レベルの自由貿易協定などの連携・統合を補完的に併用する重層的体制の構築を目指す。

(4)ODAの活用
ODAは、日本の対外関係の中で、最も役に立っている活動であり、シビリアン・パワーとしての日本がODAを軽視するのは致命的な誤りである。国際的な貧富の格差や破産国家の増大を食い止めるためにも、さまざまな種類の無償援助、円借款によるインフラ整備などを組み合わせる総合的援助メニューを維持し効果的に展開する必要がある。

V.21世紀の世界に生きるための国内基盤

1.言力政治(ワード・ポリティクス)の強化
今日急速に重要性を高めているのは、言語を武器とする言力政治(ワード・ポリティクス)であり、その内容は、情報力、構想力、提案能力、表現力などである。言力政治に対応しうる能力を持つ個人が、政治家をはじめ各分野で輩出されることが重要である。そのためには、情報公開の促進、官民人事交流、官民合同チームによる政権毎の外交戦略の考案、重大事件についての報告書作成の慣行化などが必要である。

2.国際知識の集積・人材育成
国際知識の集積や各分野の人材育成こそが基盤である。政府対外関係部門の強化、世界の各地域をカバーする研究所の創設や拡充、大学の国際化、マスメディア水準の向上、NPO機能の拡充などを進めていくべきである。

3.グローバリゼーションへの対応
グローバリゼーションに対応すべく、英語やインターネットを日常的に使用し、優れた外国人を多く日本に迎え、国内多様性を形成すべきである。