日・アルゼンチン外交関係樹立120周年閉幕式 安倍総理挨拶

平成30年12月1日
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 親愛なるマクリ大統領及び日本との関係に尽力されているアルゼンチンの友人の方々、日系社会代表者の皆様、御列席の皆様、本日120周年の閉幕式典に出席し、皆様と共に祝福できることを大変うれしく思います。G20(金融・世界経済に関する首脳会合)サミットにおいて卓越した指導力を発揮されたマクリ大統領に心から祝意と敬意を表します。
 アルゼンチンは、自由で開放的な国際経済システムの構築に、共に取り組むパートナーです。この観点から日本は、マクリ大統領の改革努力と、アルゼンチンのOECD(経済協力開発機構)加盟審査開始を強く支持しています。
 本日、両国の友情の歴史の証人の皆様がこの会場にお見えです。120年前に修好通商航海条約が署名された翌年、横浜に寄港したサルミエント号に乗ってアルゼンチンに来て、正式な移民第1号となった、榛葉贇雄(しんやよしお)さんのお孫さん、現在各方面で活躍中の各団体の会長、さらに、マリア・コダマさん、アリシア・テラダさんもお見えであります。
 この長い歴史の中で皆様は、日本人としての誇りを胸に、困難そして苦労を乗り越えてこられました。そして今や多くの方が各界で活躍し、アルゼンチン社会からの尊敬を受けていらっしゃいます。こうして両国の懸け橋として様々な分野で活躍されている日系人の皆様に心から敬意を表します。また、アルゼンチン社会が、6万5,000人の日系社会と共存していることに感謝します。
 日本とアルゼンチンの外交関係樹立120周年を迎えた本年、両国で300以上にのぼる記念行事が盛大に開催されました。日系社会、文化、スポーツ等、国民レベルの交流が大きく進展したことを大変喜ばしく思います。
 この3年間でアルゼンチン進出の日系企業が倍増しました。日系企業のマクリ政権への期待の証です。多数の投資案件が進み、また、JBIC(国際協力銀行)、NEXI(日本貿易保険)とアルゼンチン国立銀行が融資枠設定契約に調印しました。日本の技術でインフラ整備に貢献します。
 投資協定の署名、租税条約の実質合意、双方向での牛肉の輸出入実現も、本年の重要な成果です。私も早速、総理官邸の昼食で大変美味なパタゴニア産牛肉を頂きました。また7月にここブエノスアイレスで日本産牛肉が、11月に大阪を含む3大都市でパタゴニア産牛肉がプロモーションされ、メディアでも取り上げられました。
 4年前私は、日本が中南米と相携えて協力するために、共に発展、共に主導、共に啓発という3つのJuntos(フントス)を指導理念として提唱し、その下で我々は実りある関係を構築してきました。次のステップとして、私は更に野心的な方針、すなわち日本と中南米の連結性強化を提唱します。
 最初の柱は経済の連結性強化です。中南米と日本が共に享受してきた自由で開かれた経済システムを守り、発展させるため、共に前進しましょう。日本企業がグローバル・バリューチェーン構築に貢献できるよう、投資協定等の整備を進めます。また、質の高いインフラは持続的な発展の基礎となります。
 2番目は価値の連結性強化です。日本と中南米は、自由民主主義、法の支配といった基本的価値に基づく国際秩序を共に享受してきました。自由で開かれた海洋秩序もその重要な要素です。今日、様々な挑戦に直面するこの国際秩序を守るべく、ハイレベルの交流を重ねつつ、共にリードしていきましょう。
 最後に、知恵の連結性強化です。環境、貧困、治安、保健、衛生、高齢化などSDGs(持続可能な開発目標)の主要課題解決には、地域を超えた知恵の知見の共有が不可欠です。日本はICT、防災等への対応で経験や知見を有しています。また、支援を必要とする他の国々においても、日本と中南米の国々が手を携え、知見を共有できればすばらしいことです。
 このイニシアティブにおいても、120年の友好と協力の歴史を共有する日本とアルゼンチンは、戦略的パートナーとして多面的に協力できます。両国の友好のきずなが次の120年に向けてますます強固になることを祈念し、私の挨拶とします。

関連リンク

総理の演説・記者会見など