アフリカの角及び周辺地域の平和と安定特別会合 安倍総理挨拶

令和元年8月29日
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 皆様をお迎えして、アフリカの角及び周辺地域の平和と安定について議論できることを大変うれしく思います。
 長い間、紛争のるつぼと言われてきたこの地域に、昨年来、エチオピア・エリトリア間の外交関係の再開を皮切りに、アフリカ自身による平和構築の動きが見られています。こうした取組を高く評価すると同時に、国際社会の長年にわたる貢献に心より敬意を表します。
 アフリカの角は、古来よりアジアとアフリカ、中東、欧州をつなぐ結節点でした。国際物流がより活発になった現代において、その重要性は一層高まっています。
 私は、TICAD VI(第6回アフリカ開発会議)で、アジアからアフリカに及ぶ一帯を、成長と繁栄の大動脈にしようと、呼びかけました。
 この地域が真に安定し、経済統合が進展すれば、5月に発効した自由貿易圏協定と相俟(ま)って、アフリカの成長と繁栄は、更により確固たるものとなる。こうした思いから、私はこの会合を開催することとしました。
 日本のこの地域への支援の方向性は、3つに集約されます。1つ目は、人材育成支援です。この地域の人口ボーナスを安定と繁栄につなげるため、若者や女性が自らの手で生計を支える術を身につけ、経済活動の主体とならなければなりません。
 日本は、人間の安全保障を実現する観点から、人間一人一人の保護、そして能力の向上に着目した支援を長年にわたり行ってきましたし、これからも着実に実施していきます。
 2つ目は、アフリカ自身による平和構築への支援です。平和は、特にその初期において脆弱なものであり、これを後戻りさせてしまってはなりません。日本は、アフリカによる取組を支持し、支援することをお約束します。
 アビィ・エチオピア首相、あなたの勇敢な平和への努力を心から賞賛します。大きな抵抗に遭遇し、2度も生命の危険に晒(さら)されても、あなたは平和の追求をやめることはありませんでした。日本政府は、これからもあなたの改革を全力で支援してまいります。
 南スーダンでは、IGAD(政府間開発機構)が主導している和平合意プロセスが正念場を迎えています。その財政を支援しているドナー国は日本だけであり、国際社会に対して、アフリカ自身による平和に向けた取組への支援を呼びかけます。
 さらに、暫定統治機構の設立に向けた文書の署名という嬉しいニュースがスーダンから舞い込んできました。今回の署名は、スーダンの安定に向けた重要な前進であり、我が国は、アフリカ連合とエチオピアの仲介努力に敬意を表します。
 3つ目は、連結性の向上の支援です。地域が擁する港湾とその周辺の内陸部を国を超えて結ぶことにより、経済成長の果実を地域全体に行き渡らせることができます。例えば、昨年、外交関係を再開したエチオピアとエリトリアについてもこれが当てはまると考えます。日本は引き続き、質の高いインフラによる広域開発支援を力強く進めていきます。
 また、これに加えて二国間支援として、南スーダンのナイル架橋の建設や、ジブチとエチオピアをつなぐ道路の改修への支援を今後も実施していきます。
 本日の会合が、アフリカの角と周辺地域の平和と安定を確固たるものとし、それを通じて、実り多い成長と繁栄をもたらす上で、重要な契機となることを願ってやみません。ありがとうございました。

総理の演説・記者会見など