首相官邸  
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年頭所感

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年9月、戦後生まれ初の内閣総理大臣として就任し、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、「美しい国、日本」の実現のため、未来は開かれているとの信念の下、たじろぐことなく、改革の炎を燃やし続けてまいりました。

 昨年10月、重要な隣国である中国及び韓国を訪問し、中国とは、友好関係から戦略的互恵関係へと高めていく点で、韓国とは、自由と民主主義などの価値を共有する関係の下にパートナーシップを強化していく点で一致しました。今後、両国との信頼関係、未来志向の関係を構築していきます。

 北朝鮮の核・ミサイル問題に対しては、関係国と連携しつつ、北朝鮮に対し国連安全保障理事会において全会一致で採択された決議1718号の誠実な実施を強く求めるとともに、六者会合の枠組みを活用して平和的、外交的解決を図ります。また、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はありえません。昨年9月に設置した拉致問題対策本部を中心に政府一体となって、対話と圧力の方針の下、引き続き、拉致被害者が全員生存しているとの前提に立って、すべての拉致被害者の生還を強く求めてまいります。

 昨年11月には、APEC首脳会議において、イノベーションとオープンの考え方のもとに、世界に開かれ、力強く成長する日本を実現していくという考え方を説明しました。日本は、世界第2の経済規模を有する国、アジアで最も伝統ある民主政治の国としてこれらの地域の発展に引き続きリーダーシップを発揮していきます。

 世界に誇れる自然、歴史、伝統をあらためて評価し、「美しい国、日本」の魅力を世界にアピールするとともに、新たな「創造と成長」を目指して、アジアと世界の人材や情報が日本に集まり、日本から世界に発信され、日本が世界、アジアにとって魅力的な場所となるよう「アジア・ゲートウェイ構想」を推進します。

 本年1月には防衛省が発足します。国民の生命と財産を守り、国土を守るという崇高な使命を果たすため、職員のさらなる奮励努力を期待します。イラクの復興については、航空自衛隊の支援活動やNGOとも連携した政府開発援助により、引き続き支援していくとともに、国際社会と協力してテロや国際組織犯罪の防止・根絶に取り組みます。

 私の内閣の大きなテーマである教育再生については、昨年の臨時国会において59年ぶりに教育基本法が改正されました。自律の精神や公共の精神、自分が生まれ育った地域への愛情など、戦後忘れられがちだった基本的な価値観が盛り込まれました。今後は、こうした理念を踏まえ、質の高い教育、家庭や地域の教育力の向上、教育委員会のあり方などについて、教育再生会議において抜本的な施策案を検討し、政府全体として取り組んでまいります。

 平成19年度予算では、新規国債の発行額を過去最大規模で減額するなど、財政健全化に向けた内閣の厳正かつ強固な意志を明確にしました。一般会計のプライマリーバランスの赤字は、今年度11.2兆円でしたが、平成19年度予算では4.4兆円にまで減らすことができました。一方で、そうした厳しい財政規律の下でも、教育や少子化対策、中小企業対策や科学技術振興といった、未来への投資については増額し、メリハリのついた予算編成を行うことができました。

 道路特定財源については、昭和29年に制度が創設されて以来の本格的な改革を行うことができました。特定の税収が自動的に道路整備に充てられる現在の仕組みを改め、まず真に必要な道路予算の額を決めた上で、それ以上の揮発油税などの税収はすべて一般財源とすることとします。

 本年は、憲法が施行されてから60年になります。憲法は、国の理想、かたちを物語るものです。新しい時代にふさわしい憲法を、今こそ私たちの手で書き上げていくべきです。まずは、その前提となる、日本国憲法の改正手続に関する法律案について、本年の通常国会での成立を期します。そして、それを契機として、憲法改正について、国民的な議論が高まることを期待しております。

 私たちの国、日本は、世界に誇りうる美しい自然に恵まれた長い歴史、文化、伝統を持つ国です。戦前、戦中生まれの鍛えられた世代、国民や国家のために貢献したいとの熱意あふれる若い人たちとともに、日本を、世界の人々が憧れと尊敬を抱き、子どもたちの世代が自信と誇りを持てる「美しい国、日本」とするため、私は、先頭に立って、国民の参加と協力を得ながら、全身全霊を傾けて挑戦していく覚悟であります。

 国民の皆様の一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆様一人一人にとって実り多い素晴らしい一年となりますよう心からお祈り申し上げます。

平成19年1月1日

内閣総理大臣 安倍 晋三