独立行政法人会計基準研究会

独立行政法人会計基準研究会
第五回議事録


1 日時:平成11年7月26日(月)15:00〜17:00
 
2 場所:中央合同庁舎第4号館4階共用特別第3会議室
 
3 出席者:研究会メンバー4名他
 
4 議題
(1)運営費交付金の扱いについて
(2)寄附金の扱いについて

5会議経過

(1)座長の開会宣言の後、まず事務局から、前回の会合で質問として出されていた放送大学の減価償却については、放送大学学園会計規程に基づき、土地等を除く有形固定資産について定額法で減価償却が行われている旨の説明があった。

(2)引き続き事務局から、独立行政法人の運営費交付金の扱いについて、資料に沿って説明があり、@成果進行型と費用進行型に区分することの是非はどうか、A2つのうちのどちらが原則ということはないと考えるがどうか、B成果進行型において成果をどのように測定するか、簡便法として例えば3段階評価のようなものが可能か、C予定された以上の成果を上げた場合に未収収益を計上することを極めて限定的とすることの是非はどうか、D自己収入がある場合の修正をどうするか、といった論点が提示されたうえで審議が行われた。

 まず、「中央省庁等改革の推進に関する方針」によれば、独立行政法人に対する運営費交付金の交付方法について手法1と手法2の2つが想定されているが、手法2によると前年度の事業の進行を見て年度毎に交付金額が微修正されることになり、手法1と手法2のいずれをとるかによって未収収益の立て方など会計処理の方法が変わることになるのではないか、との質問があり、これに対して事務局から、手法2でのルールの定め方にもよるが、例えば予め中期計画期間の総費用見積を積み上げて各年度で割るようなルールとしておけば前年度の進行状況によって次年度の交付金額が決まるということにはならず、手法1と手法2で決算における財務処理が異なることはないのではないか、ただし、未収収益を立てることがどのようなケースで認められるかについては引き続き議論が必要との説明があった。

 運営費交付金の処理の流れについて、資料のような処理方法は、中期計画期間の終了によって支出の効果が消滅するということを前提としていると思うが、運営費交付金で固定資産を購入する場合にもこのような前提をおいているのか、との指摘があり、事務局から、確かに固定資産購入の問題は残っており、本件の議論が収束してからその応用問題として議論したいとの説明があった。

 次に、成果進行型と費用進行型の2つの類型の必要性は理解できる、ただし、成果進行型で予定以上の成果を上げた場合に、予定以上の費用を使ったとはいえ損益計算上マイナスの評価となるというのは酷なのではないか、また、成果をデジタルに測定して期間損益を確定することは民間企業でも難しい面があり、独立行政法人でこのような処理を行うことには成果の測定など相当の困難が予想されるので、どのように運用していくかについての議論が必要であるとの指摘があり、事務局から、予定以上の成果を上げた場合の評価については独立行政法人の業務が無制限に拡張しかねないことに対してどう評価するかの議論が必要である、また、成果進行型の現実の運用に困難が生じないように考える必要があるとの説明があった。これに対し、損益計算のマイナス評価の問題は会計の限界の問題であり、損として計上したうえで、それが必要な損であることは別途言葉で説明すべきなのではないかとの意見があった。

 関連して、運営費交付金に頼る独立行政法人が費用を予定以上に使うことは実際上ありえないのではないかとの指摘があり、事務局から、キャッシュ・ベースで考えるとなさそうではあるが発生主義上はあり得るかもしれないとの説明があったが、独立行政法人は複数の業務を並行して行うのであろうから、それぞれの業務の進行状況によっては法人内で資金の融通が可能となる場合も考えられないかとの指摘があり、事務局から、区分経理をしていない業務間であれば確かに可能であるとの補足説明がなされた。これを受けて、それであれば予定以上の評価はプラスで評価しないと複数業務を平均した場合におかしくならないかとの意見があり、これに対して事務局から、少なくとも同一の勘定区分内で成果進行型と費用進行型が併存することは考えにくく、予定以上の成果の問題とは、会計上同一に扱うべき各業務間でその進行の凹凸をならした上で、総体として予定以上の成果が出た場合にマーケットの評価のない独立行政法人で未収収益を立ててよいのかという問題なのではないか、との指摘があった。

 引き続き、やはり会計として処理する限界であるように思うが、その上で次期計画を策定するうえでの情報提供として活かせるようにすることが重要であるとの意見があり、事務局から、社会的なニーズとして独立行政法人が計画以上に成果を上げることが求められるならば、それは中期計画の変更や補正予算による年度計画の変更などのプロセスがマーケットに代わる措置としてとられるのではないか、むしろ悩ましいのは予定の費用で予定以上の成果を出しても損益計算上ゼロとなってしまうことであり、これについても何らかの補足的な情報の提供が必要なのではないかとの説明があった。

 さらに、本来翌年度に提供すれば良いようなサービスを先喰いして予定以上の成果が出た場合には、その成果は繰延資産として計上すべきではないか、との指摘があり、事務局から、サービスの提供が完了していないのであればそのような処理もあり得るとの補足があった。これに関連して、予定以上の成果とは、結局は計画を先喰いで実行する以外には実際上考えられないのではないか、という質問があり、事務局から、例えば研究業務である年度の研究内容が充実した、また、良い企画展を開催して多くの入場者を集めた、これらのケースは必ずしも翌年度分の成果の先喰いには当たらないのではないかとの説明があった。続いて、例えば単純に施設建設を業務とするような法人が5年計画のところを4年で完成させたというケースを考えるなら、それはその計画が4年で終わったということで次の計画で勘案するということなのではないかとの意見があった。これに対し、このようなケースでは前倒し分をしっかり収益計上すべきなのではないかとの意見があり、事務局から、要はそのような前倒し分を会計上の評価の問題としてプラスに捉えるのか、あるいは会計外の評価として何らかのプラスの評価を与えるのかの議論なのではないかとの指摘があった。これを受けて、やはり会計上は未収収益を計上できるケースは限定し、あとは別の会計以外の評価に委ねることにより、やみくもに独立行政法人が業務を拡大することを抑えることが必要なのではないかとの意見が出された。

 これらの意見を受けて座長から、やはり税金である国費を使って事業を行う以上、業務を無秩序に拡大することは避けるべきであり、その上で効率化を図った点については正当に評価することが必要であろうとの意見が示され、事務局から、何らオーソライゼーションのない業務拡充は好ましくないが、社会情勢の中で業務拡充の要請がある場合には、中期計画等の変更というオーソライズを経て、当初予定された要求水準自体が変更されるのであろうという認識が示された。

 以上の議論について各省からのオブザーバー出席者に意見を求めたところ、出席者の個人的な感想として、研究業務については成果を事前に予測して管理することはどうしても難しい面があり、成果が予定より上がらなかったときには費用を投入してもこれに対応する収益の計上が認められない一方で、成果が予定より上がったときには未収収益の計上が許されないというのは厳しいという印象を受けたとの意見があり、確かにそのような処理を前提とするならば、結果的に研究機関は費用進行型になってしまうのではないかとの意見が出された。これを受けて事務局から、成果進行型はどのような業務にふさわしいかあてはめを無理に行うべきではないが、成果進行型を実際に導入する局面では、成果の測定はある程度大括りに、例えば3段階評価などで実施するといった運用が機能しうる精一杯のところなのではないか、との説明があった。これについて、3段階評価というのは成果をデジタルに測定する民間の会計からは極めてユニークな発想だという指摘があり、事務局から、成果をデジタルに測ることが望ましいことは言うまでもないが、利益獲得を目的としてその測定のために円単位で精緻に期間収益を測定する一般企業とは異なり、行政領域を担う独立行政法人の評価は、ある程度の期間損益的なものが表示できれば多少大括りとなってもやむを得ないのではないか、との説明があった。これを受けて座長から、評価を行い効率化に役立てるという独立行政法人の趣旨からして、段階評価となるせよ期間の成果を測定すること自体が重要なのだろうとの意見が示された。

 次いでオブザーバーから、例えば結核医療など、費用は人件費のウェイトが高く固定的である一方で、結核患者が多発しないと成果が計上できないというのでは非合理であり、どうしても費用進行型を採らざるを得ない領域があるのではないか、との意見があった。これに関連して人件費の計算方法について質問があり、事務局から、現段階で完全なルールが決まっているわけではないが、独立行政法人への移行後は予算定員という概念はなくなり、中期計画の中でどのように計画人員を見積るかによるとの説明があった。また、成果進行型では人件費の削減などの成果はどのように測定されるのかとの質問があり、事務局から、成果進行型でいう成果とはアウトプットとしての結果のことであり、経費の削減などは費用の減として測定されるという説明があった。

 次いでオブザーバーから、研究機関などを考えると費用進行型となるかと思うが、インセンティブの面から考えると問題があり、ある程度の時間がたてば成果のありようも見えてくるのではないか、との意見があった。これに関連して事務局から、費用進行型によると費用を削減しても損益計算上はゼロとしか評価されないことについてどう考えるかとの問題提起があり、これに対して、費用進行型は例外として考えるべきで、原則としては何らかの形で成果を測定させるべきだ、当初予定された費用以下で実現したということ自体が何らかの成果とも評価できるのではないかという意見があり、座長から、成果自体は現状維持だったとしても費用の節減というのは重要なことであるので何らかの評価が必要なのではないかとの意見が出された。これについて事務局から、この問題は、成果をどのように測定できるのかという点に尽きており、成果進行型と費用進行型とどちらが原則とも言い難いとの説明があった。

 これに関連して、一つの法人の中で区分経理などによって複数の基準が併走する場合には、成果だけでなく費用についても厳格で複雑な会計管理が必要であり、このような会計システムを構築する困難を考えればむしろある程度の任意の選択を認めないとどうにもならないのではないかとの意見が出され、事務局から、対象事業の中には小規模であってマンパワー的に十分でないものも確かに存在する旨補足があった。また、先の意見の補足として、明らかに通常通りの業務運営がなされている場合には成果を100と置き、その上で費用の節減を計算することができれば、費用進行型であっても成果進行型に近い運用ができるのではないかとの意見が出された。

 さらに、大半の法人が費用進行型となるようであれば、費用進行型では運営費交付金を一旦負債計上して逐次収益化することをせず、全額を直接に収益計上することを再考してもよいのではないか、また成果を測定するインディケーターを充実させる、インセンティブを付与するなど成果進行型を導入しやすい環境を考えるべきではないかとの意見が出され、事務局から、インセンティブについては引き続き検討したいが、直接収益計上するとなると成果進行型との間で運営費交付金の扱いを変えることに合理的な説明が可能か検証が必要である、いずれにしても引き続き検討したいとの説明があった。さらに、運営費交付金を収益計上して経営努力認定を精密に行う方法と、負債計上して収益化を精密に行う方法とのどちらを各省庁は望んでいるのか確認したいとの意見があり、事務局から、現段階で各省庁の意見は確定していないだろうが、今後はそのような意見交換も含め検討を進めたいとの説明があった。

(3)続いて事務局から、寄附金の会計上の取扱いについて、@毎事業年度における処理として、使途の定めのない寄附金については費用進行型と同様に扱い、使途の定めのある寄附金については当該使途に使った場合に逐次収益化するということではどうか、A中期計画終了時については次期中期計画への持ち越しを認めるべきではないか、との論点の提示があり、議論が行われた。

 まず、中期計画に基づいて交付される運営費交付金との関係をどう整理するのかとの質問があり、事務局から、寄附者の意図によって変わり得るが、いずれにしても中期計画で予測することは不可能であり、計画外の金銭ということになろうとの回答があった。これを受け、使途の定めのない寄附金については独立行政法人の側でその使用計画を立て、これに基づいて収益化していくべきなのではないか、との意見が出された。続いて、本来反対給付を求められない寄附金を負債とする理由は何かとの質問があり、事務局から、損益計算に乗せずに通則法でいう積立金の処分と別の扱いとするところに意味があるとの回答があった。また、欠損の補填のように使途の定めのないときは収益計上かもしれないが、定めのあるときは負債とせざるを得ないのではないかとの意見が出されたが、いずれにせよ引き続き検討していくこととなった。

(4)次回の会合については、8月24日(火)午後2時から2時間程度の予定で開催することとなった。

以上
(文責中央省庁等改革推進本部事務局)
−速報のため事後修正の可能性あり−

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