独立行政法人会計基準研究会

独立行政法人会計基準研究会
第八回議事録

1 日 時:平成11年10月26日(火)10:00〜12:00
 
2 場 所:中央合同庁舎第4号館4階共用特別第3会議室
 
3 出席者:総務総括政務次官、研究会メンバー4名他
 
4 議 題
(1)最終報告の構成イメージについて
(2)会計方針の多様性(選択性)について

5 会議経過

(1)座長の開会宣言及び総務総括政務次官からの挨拶の後、事務局から、最終報告の構成について、現在考えられる大まかなイメージと、検討すべき論点について資料1に沿って説明があり、これを受けて議論が行われた。

 まず、そもそも財務情報の開示は独立行政法人の情報公表の全体の枠組みの中でどのように行われるのか、また、財務情報の開示に関して何らかの基準は設けないのかとの質問があった。これに対し事務局から、独立行政法人制度では情報の能動的な公表を義務付けており、財務情報は給与規程や評価委員会の評価結果などとともにその一部を構成することになる、開示方法については、これらの情報はある程度まとめた形で閲覧、公告、電子媒体などの形で公表されることになろう、また、財務情報の開示の基準については、作成されたものはすべて公表される前提で議論しているので問題とはならないのではないか、との説明があった。

 次いで、わかりやすく開示するというのは理念としてはそのとおりだが、ある程度の知識を有している利用者を念頭に置くという前提も必要となるのではないかとの意見があり、利用者には独立行政法人や会計制度にある程度の知識があり分析力を持つ人を想定さざるを得ないという賛同意見があった。関連して、貸借対照表や損益計算書の本体ではある程度情報を大括りにして概括的に捉えやすい形にしたうえで、詳細な情報は必要に応じて別にアクセスできるようにするべきなのではないかとの意見があり、貸借対照表や損益計算書は一定の会計知識さえあれば理解できるようなものとしておき、あとは附属明細書や注記等によって開示すべきで、資料のような貸借対照表や損益計算書のイメージでは細かすぎるとの賛同意見があった。さらに、やはり利用者としては少なくとも制度のあらましを理解している人を想定すべきで、近年は企業会計においても専門的処理が相当進んでいるような状況なので、細部は専門知識のある人が理解できるようにしておけばよく、貸借対照表や損益計算書の様式としては概観がつかみやすいような形にすることが大事であるとの賛同意見と、独立行政法人については公表する情報はなるべくひとまとめにして、バラバラに情報収集する不利益のないようにして欲しいとの要望があった。以上の議論に対し事務局から、細部の情報をどこまで財務諸表に載せられるかについては法人の規模などによって相違があろうし、実務経験が蓄積されるのを待って段階的に追加していくという視点も必要なのではないかとの意見が述べられた。さらに事務局から、一般企業の場合は自分で投資を行う投資家が会計情報の利用者であるので一定の知識を要求しても当然であろうが、独立行政法人における納税者もこれと同様に考えて良いのかという問題提起があり、これに対しては、納税者が大切なのは言うまでもないが、財務諸表が示している情報の意味や目的なども明示しつつ、納税者に対して会計の専門知識を持つ第三者がきちんと説明できるところまで開示するということで良いのではないかという意見と、注記をわかり易くしたり統一したりする努力は怠るべきでないとの意見があった。

 次に、会計基準の体系については資料のとおりで十分だと思うが、今後時代に適応して機動的にルールをメンテナンスできるようにすることが必要であろうとの意見があり、事務局から、確かに基準は常に変動しうるものであるので、それを視野に置く必要があると考えているとの説明があった。

 また、事務局からキャッシュフロー計算書という用語について問題がないかとの問いかけがあり、企業会計においてもキャッシュフロー計算書という用語を用いており、これと違う用語を用いると逆に企業会計との違いは何かということになるのでこのままの表現で良いのではないかという意見があった。また、キャッシュフロー計算書の構成については、海外でも企業会計と同じように政府機関のキャッシュフローをオペレーティング・投資・財務の3つに分けて考えており問題ないのではないかとの意見があった。

(2)続いて、企業会計原則の一般原則を独立行政法人にどのように適用するかに関して議論が行われた。

 まず、資料中の「保守主義の原則を理由として会計情報が歪められる傾向がある」との記述の意味について質問があり、委員から、企業実務においては保守主義の原則を持ち出して会計方針を途中で変更するという例があり、これは保守主義の本旨とは違うのではないかと思っている、独立行政法人については企業会計ほど継続企業の公準にとらわれる必要がないので保守主義の原則は一般原則としなくてもよいのではないか、という意見があった。これに対し、運営費交付金の一旦の負債計上などは保守主義で説明することになるので必要ではないかとの反論と、このようなものは保守主義を用いなくても説明できるのではないかとの再意見があったが、結局、保守主義についての規定振りを容認規定的ではなく強制規定的にするなど実際の規定の仕方を工夫する方向で検討していくことになった。

 次いで、単一性の原則について、資料ではその必要性が疑問視されているが、法人が一般向けのパンフレットや起債目論見書を作成する場合には、別の財務諸表を作成することも予想されるので、あえて削らなくともよいのではないかとの意見があり、あっても実害がないのであれば残すこととし、規定振りを工夫すれば良いとの賛同意見があった。

 また、正規の簿記の原則について、資料ではこれを複式簿記の原則としているが、単に複式簿記というツールがすべてなわけではないことや、行政コストなど複式簿記でない領域でも簿記による記帳が必要であるという点から違和感があるとの意見があり、事業規模に応じた適切な会計帳簿を備え付けよという意味まで含んだ広い原則であると解せば複式簿記と限定してしまうのはよくないのではないかとの意見があった。さらに、正規の簿記の原則には、すべての取引について網羅的に、検証可能にシステマティックに記帳するという比較的重要なルール全般が含まれていると思われ、複式簿記という技術論以上の価値があるのではないかとの意見があり、正確な会計帳簿を適正なプロセスを経て作成するという原則の趣旨を掘り下げて書き込むことで意見が一致した。

 次に、以上の企業会計原則の一般原則の他に、独立行政法人特有のものとして中期計画準拠の原則を設ける必要があるかに関し、計画に則って運営を管理することが重要であるのは当然ではあるが、中期計画については法律で既に様々な規定が置かれているので会計上ことさらに規定する意味はないとの意見と、独立行政法人においては中期計画での予測と照らし合わせて説明することが重要であるので何らかの原則が必要ではないかという意見とがあったが、当該原則の具体的内容を明確にしてからその必要性を議論することとなった。

 さらに、重要性の原則の扱いについて、法人の規模によって開示すべき情報の幅も生じることになるので一般原則に引き上げて明確に位置付けるべきではないかという意見と、重要性の乏しいものは簡便に処理してよいという趣旨は真実性の原則に含まれるとも考えられるので、他と同格に一般原則で扱うのにはやや違和感があるという意見があり、これらを受けて、およそ重要性が乏しいような取引についても杓子定規に処理してしまうことがないよう何らかの形で表現するべきで、例えば前文である「独立行政法人会計基準の設定について」で財務諸表の目的と併せて書くのはどうかとの提案があり、引き続き検討することとなった。

(3)事務局から、損益計算書について、費用を先に計上することや経常と特別の区分を設けることの是非についてはどう考えるか、との問題提起があり、これを受けて、特別損益の区分を設けることについては、企業実務において額が大きい損失を「特別」として扱って経常損益計算から分離してしまうなどの区分の趣旨をはき違えた例が見られることから、経常/特別という区分は不要と考えるが、「臨時」等の用語であれば認める余地もあるとの意見があり、さらに、独立行政法人の場合「経常」の事業活動と「特別」の活動とを分ける意味は通常は考えられず、災害時などだけ特別の対応を考えればよいのではないかとの賛同意見があった。

(4)次に、資料2に沿って会計方針の多様性(選択性)について説明があり、議論が行われた。

 まず、企業会計が多様性を容認しているものが独立行政法人についてどうなるかをそれぞれ考えてみたが、有価証券については独立行政法人の場合は保有目的が限定されるので自ずと一元化される、たな卸資産には低価基準、また減価償却には使われた年限に応じて均等に割り振るという意味で定額法がそれぞれなじむ等々、各独立行政法人ごとの選択を特に認める必要がありそうなものは存在しないのではないかとの意見があり、これに対して、完全に一本化して説明することが可能かについては疑念がある、リースや外貨換算などは一本化できるにしても、たな卸資産や減価償却については複数の処理を排除する積極的な論拠がなく、海外の公会計でも選択が認められていることを考えれば、たとえ限定的にせよ選択性が必要な局面自体は残るのではないかという反論があった。これについてはさらに、たな卸資産については低価基準で説明できるだろうし、減価償却についても定率法がふさわしい技術革新の著しい資産があるとは思えないので、これから立ち上げる新制度であることを考えれば一本に演繹的に決めてしまえば対応できるとの再意見がある一方で、評価基準を低価基準に一本化したとしても先入先出法などの評価方法については分かれるのではないか、また、試験研究機関の中には陳腐化が急で定率法による減価償却がふさわしい機器類を導入しているものがあるとも予想され、結局のところ恣意的な運用を避けるにせよ選択性は残さざるを得ないのではないかとの再反論があった。また、陳腐化の急なものについては償却期間を短縮すれば定額法でも対応可能であるとの補足意見や、たな卸資産の評価方法については移動平均法で決算期に一括処理するしかないのではないかとの補足意見も出されたが、最終的には今後基準の内容を詰めていく過程で引き続き議論することとなった。

(5)最後に、@本日の議論を踏まえて今後事務局において会計基準に関する具体的な起草作業に入ることとし、個々の規定案等が出来上がった段階で適宜本研究会において検討すること、A今後の予定として来年2月を目途に最終的な報告書のとりまとめを行うこととし、今後も概ね月1回のペースで会合を行うこと、B次回会合は11月17日(水)午前10時から、次々回会合は12月16日(木)午後2時から、各2時間程度の予定で開催すること、を決めて散会した。

以上
(文責中央省庁等改革推進本部事務局)
−速報のため事後修正の可能性あり−