独立行政法人会計基準研究会

独立行政法人会計基準研究会

第九回議事録

1 日 時:平成11年11月17日(水)10:00〜12:00

2 場 所:中央合同庁舎第4号館4階共用特別第3会議室

3 出席者:研究会メンバー5名他

4 議題
(1)経営努力認定に係る論点及び考え方について
(2)行政コストを表示する書類(仮称)について

5会議経過

(1)座長の開会宣言の後、事務局から経営努力認定に係る論点及び考え方について資料1に沿って説明があり、これを受けて議論が行われた。

 まず、本研究会で会計論を超えた政策的見地から議論を行うことが許容されるのかとの質問があり、事務局から、剰余金の使徒の在り方の部分については中央省庁等改革推進本部決定において当研究会での検討項目とされており、支障ないとの説明があった。

 次に、役職員への報酬を経営努力認定と無関係に費用として処理すると他の費用に埋没して解りにくくなる懸念があり、経営努力認定に係らしめたほうが明確化するのではないか、また経営努力分のうち国庫納付する部分があってよいのではないか、との意見があった。これに対して事務局から、法令上の仕組みとしては、積立金は、中期目標期間終了時には翌期に引き継がれる部分を除いて国庫納付されることになる、また役員賞与については、まず費用処理部分に業績反映があるのは事実であり、それ以上に経営努力認定の部分で追加的にインセンティブを与えるかどうかの問題であるが、給与基準についても公表事項となっており他の費用に埋没することはないと思われるので、結局のところ経営努力認定として事前承認制とするかどうかの問題なのではないか、との説明があった。

 これに対し、独立採算が可能な独立行政法人では、ある程度の限度内で賞与としてもよいのではないかとの意見があった。他方、自己収入が多いところには特例を認めるべきかもしれないが、「行政」領域を担う以上は費用として処理するのが原則である、優先度の面から一旦断念した事業に経営努力次第で着手できるようになるというのは十分インセンティブになるし、その経営努力の挙証責任を独立行政法人に負わせるのも法人の説明責任という面から評価できる、との意見があった。また、公費で運営資金が賄われていることを考えると剰余金の使途は世間的な常識の範囲内にとどめるべきであり、その点からは役職員への報酬というのはプライオリティーが低く、追加的な業務遂行を可能ならしめることの方が重要であるとの意見があった。関連して、自己収入が多い場合でもその収入が業務の独占によっている可能性もあり、直ちに賞与でいいとは言えず、単に賞与として配分する余地があるにすぎないとの補足意見があった。これに対して、自己収入と運営費交付金とのバランスを言い出すと自己収入の獲得に注力して本来業務をおろそかにすることにならないかとの意見があったが、自己収入と運営費交付金とは背反する関係に必ずあるわけでもないので、結局自己収入の内容によるのではないかとの指摘があった。

 次に、資料の「3.経営努力認定を相当とする考え方」のところで経営努力が認められる場合が色々と述べられているが、何を経営努力と考えるか含めて独立行政法人の裁量と責任とした方が、法人のマネジメント能力を高め説明責任を貫徹する点で意味があるのではないか、との意見があった。

(2)次に、独立行政法人が経営努力認定を得て業務を追加的に実施した場合、その追加実施部分に係る支出が翌期の費用として認識されると翌期の費用が膨らんでしまうのではないかという質問があり、事務局から、資料の案では経営努力認定による追加実施業務に係る費用収益相当分は翌期の損益計算から外されることになるとの説明があった。これに関して、この案で行くと独立行政法人に関連するコストのうち損益計算書上の費用に含まれないものが存在することになるが、それについては施設費等の減価償却分などと同様に「行政コストを表示する書類(仮称)」で表示することになるのではないかという指摘があった。

 続いて、資料の「2.4)年度末において目的積立金が未費消の場合の会計処理」に関連して、中期計画終了時に目的積立金の未使用分があった場合にはどうなるのかという質問があり、通則法の解釈として、剰余金の使途については中期計画で定めるので、当該中期計画が終了した時点で目的積立金の目的が一旦不能になり、通則法第44条第1項の通常の積立金に戻ることになるだろうという説明があった。

 これらの議論に対して、この案では法人のある期の活動のトータルコストが損益計算書だけでは解らないことになるのではないか、また損益計算書からキャッシュ・フロー計算につなげるのが難しいのではないか、という指摘があった。これに対し事務局から、企業会計では目的積立金の取崩額を収益に計上することができないことを踏まえ、この案ではこれに関連する費用ともども損益計算から切り離し、損益計算を経営努力による追加分以外の本来的業務部分の計算に純化している、ただし、損益計算書とキャッシュ・フロー計算書のつなぎ方に関しては確かに問題があるので検討する必要があるとの説明があった。これを受けて、資料の案は損益計算書を法人の経営努力を測定するための計算書に純化するための策と考える、独立行政法人に関する総コストを表示するという意味では損益計算書より「行政コストを表示する書類(仮称)」の方が重要だと考えるべきだという意見があった。

 以上の議論を受けて、座長から、役職員への賞与を剰余金の使途とするか費用処理するかについては、インセンティブの付与も重視すべきだが、国民の関心も高いところであり、株式会社との相違も考えてわかりやすく表示することが必須で、厳格な運用が必要なのだろうとの意見があった。関連して、挙証責任を有する法人が経営努力を証明したのにそれを役職員の賞与にできないのはインセンティブの面で問題があるのではないかと当初は考えていたが、通則法第52条や国民感覚を考えると当面は役職員の賞与は費用処理すべきだろう、ただ、導入後効率化などの成果が上がり、制度の趣旨が浸透してくれば、やり方を変える余地も認められるのではないかとの意見があった。

(3)引き続いて、事務局から「行政コストを表示する書類(仮称)」について、資料2に沿って計算表示方法に関するA〜Cの3案の説明と、会計監査人による監査の対象とすべきかの論点について説明があり、議論が行われた。

 まず、A案は損益計算書とほぼ同じであり利用者が混乱するだろう、一般企業と費用と収益の関係が逆である独立行政法人の特性を考えれば費用を中心に据えるべきでB案が望ましいが、そのプロセスを明らかにするためC案の定性的な情報を付加する必要がある、行政コスト計算については、どの情報までが会計監査の対象なのかを明確にしておけば監査の対象とすることも可能だろうが、いきなり機会費用などもすべて計算させるのは実務上困難かもしれない、という意見があった。続いて、B案に賛成で、C案はB案の附属書類という位置付けなのではないか、さらに国の予算書の予算費目との関連も解るようにして会計士の監査のみならず議会の予算統制にも役立てるべきだ、また機会費用という概念は少なくとも将来的には導入する必要があるとの意見があった。関連して、機会費用の算定が必要だという総論は理解できるが、どこまでが機会費用なのかについては議論が分かれるので監査などで混乱を呼ぶ可能性があるとの意見と、監査責任の範囲が事前に確定しているのであれば監査対象としても問題ないと考えるとの意見があった。さらに、やはりB案が基本であり、注目を受ける資料であるという点を考えれば監査の裏付けが必要だろうとの意見と、外部の専門家が入ることにより作業の標準化や支援が期待できることからも監査の対象とするべきであるという意見があった。また、剰余金の使途としての費用も「行政コストを表示する書類(仮称)」に含むべきであるという意見があり、剰余金の使途としての費用は他の費用と区別した上で「行政コストを表示する書類(仮称)」で開示すべきとの同意意見があった。

 次に、施設の大半を無償使用に頼るような法人については、無償使用コストを損益計算書にも含めるべきではないかという意見があり、事務局から、無償使用コストについては損益計算書ではなく「行政コストを表示する書類(仮称)」で表示する方向で検討しているが、仮に損益計算書の中で表示することになると少なくとも同額の見合い収益を立てて損益をニュートラルにすることになるとの説明があった。関連して、国有財産を無償使用する場合、その特定はどれくらい詳細に行われるのか、契約書など明示的な資料がないと監査時に検証が困難である、との指摘があり、事務局から、国有財産の使用許可とは民法上の契約ではなく行政上の許可であるので契約書でなく国有財産使用許可書になる、詳細は不明だが対象財産が特定できるように運用されているはずであるとの説明があった。

 続いて事務局から、「行政コストを表示する書類(仮称)」については全ての法人に同一基準で作成させるべきであるか問いかけたところ、国民の関心の高い領域であり、ある意味では損益計算書よりも重要なので、全ての法人が一律に作成すべきであるとの意見があり、重要性の原則による情報の取捨選択は当然にあるという前提のもとで同意する意見があった。最後に、独立行政法人と会計監査人の双方に準備期間が必要であるので、始動期間を設けて経過的にC案のみによることも認めるべきではないかとの意見があった。

(4)本日のテーマ全体で議論していないものがあれば議論したいとの座長からの提案を受け、経営努力認定による積立金について、資料ではこれを累積欠損金へ充当することを「可能とする」としているが、可能性の問題ではなく義務なのではないかとの意見があった。これに対して事務局から、将来発生する可能性がある欠損金への充当を認める趣旨であるとの説明があった。続いて、中期目標期間終了時に累積欠損がある場合どうなるのかという質問があり、事務局から、中期計画終了時の見直しで処理を検討することになろうが、キャッシュ・フローが回っているのであれば欠損のまま次期中期計画に引き継ぐこともあり得るという説明があった。また、剰余金の使途をもっと具体的に論じる必要はないのかという質問があり、事務局から、個々の法人の業務内容の違いがあるので包括的に議論するのが難しいが、少なくとも特定が可能な活動に使用すべきだとの指針は示しているとの説明があった。

(5)最後に、次回会合を12月16日(木)午後2時から2時間程度の予定で開催することを決め、散会した。

(文責中央省庁等改革推進本部事務局)
−速報のため事後修正の可能性あり−