独立行政法人会計基準研究会

独立行政法人会計基準研究会

第十一回議事録

1 日時:平成12年1月24日(月)9:30〜11:30
 
2 場所:中央合同庁舎第4号館4階共用特別第3会議室
 
3 出席者:研究会メンバー5名他
 
4 議題:独立行政法人会計基準の検討状況について

5 会議経過

(1)座長の開会宣言の後、独立行政法人会計基準の検討状況について、事務局から資料に沿って現時点での検討状況の説明があり、議論が行われた。

 まず、独立行政法人通則法第44条第3項の経営努力相当分の承認について、中期計画最終年度の経営努力分は次期中期計画の初年である翌年に使用できるようにしてはどうか、最終年度の経営努力の認定作業を行わないのは好ましくないのではないかとの意見があり、事務局から、独立行政法人は中期計画期間の終了時に一旦業務を見直すところに特色があり、企業でいう継続(going concern)の概念と独立行政法人の継続概念とではその点で若干異なる、法律に基づき対象期間が設定されている中期計画の中に当該期間終了後の事項をあらかじめ記載しておくことは難しいが、次期中期計画の策定の過程で次期計画へ繰り越すべきものがあれば制度上もその繰り越しが認められるので、次期計画期間中にこれを何らかの使途に充てることも認め得るとの説明があった。

 これについては、独立行政法人という性格からみて最終年度の処理が事務局の説明のようになるのもやむを得ないだろう、ただ、この経営努力額の処分の局面で顕著に問題となりそうなこととして、開示すべき情報の重要性についての判断が経営の見地からと財政の見地からとで異なることが考えられるので、独立行政法人における「重要性の原則」を考えるうえではこういった観点からの整理も必要なのではないか、との指摘があった。これに対して事務局から、確かに重要な論点として認識しているが、基準自体というより基準を運用する上での判断の局面として問題となるのだろうとの意見があった。また、通則法第44条第3項の承認のための書類には該当しないにしても、中期計画最終年度の経営努力相当分を算定してディスクローズすることは望ましいのではないかとの意見があり、事務局からそのような情報を算定することは技術上は可能だろうとの説明があった。

 関連して、この経営努力分によって次期中期計画での予算規模は縮小することになるのかとの質問があり、事務局から、独立行政法人の予算規模については一義的にはその領域での行政需要がどれくらいあるかによって決まるので経営努力額の大小が予算規模に直結するわけではないが、組織全般にわたる定期的な見直しがシステム化されているところに特色があるとの説明があった。

 また、独立行政法人が施設費を使って資産を取得した場合と運営費交付金を使用した場合とで国有財産法の体系での扱いが変わってくるのかとの質問があり、事務局から、独立行政法人が所有する資産についてはその財源の如何にかかわらず国有財産法の体系からは外れるとの説明があった。

(2)引き続き、基準の内容について、以下の議論が行われた。

 まず、「明瞭性の原則」に関連して、独立行政法人の財務諸表の読者である「利害関係者」としてはどういう対象を想定すればよいのかとの問題提起があり、事務局から、基本的には一定水準の財務知識を有している一般国民を想定することになろうが、副次的には独立行政法人に対する債権者等も考えられるだろうとの説明があった。これに対して、直接に国民一般向けとすると情報を要約して一覧性を高めることが必要であるが、そうすると詳細な会計知識を欲する者にとっては情報が足りないことになる、また、公的セクターの分析のうえでは非財務情報も重要となるので、有価証券報告書のようにこれらの情報がまとめて開示される仕組みとして欲しいとの意見があった。これについては事務局から、会計情報については作成と公開の2面から方法を論じる必要があり、この研究会では主に作成技術としての会計処理方法を議論しているが、公開の内容と手段をどうするかについては会計処理基準の作成後も議論していく必要がある、非財務情報については既に通則法などで様々な情報の開示が義務付けられており、これらの運用の問題として考える必要があるとの説明があった。関連して、一覧性と詳細性のバランスについては、両方のニーズを満たせるものが必要で、そこに非財務情報も盛り込むといった仕組みが望ましいとの要望があった。

 次いで、「資本取引・損益取引区別の原則」に関して、これは独立行政法人の性格上極めて規定が難しい概念であり、資料でもその書き振りに苦心しているようだが、この案だけでは説明が足りないので前文などで総括的に独立行政法人の性格論や会計の考え方を十分説明しておく必要がある、また、「簡便基準の原則」は、会計の世界では「重要性の原則」として海外も含めて広く普及している概念であり、あえてタイトルを変更する必要はないとの意見があった。これについては、「簡便基準の原則」の概念はたな卸資産など独立行政法人の規模や業務内容によって簡便な処理方法が要るものもあるので必要であるが、金額の大小だけでなく財政など質の面でも「重要性」を判断するという意味から、やはりタイトルは「重要性の原則」がよいのではないかとの賛同意見があった。

 「継続性の原則」に関しては、独立行政法人制度では、新制度であることや株主総会での決算承認といった仕組みでのガバナンスがないことを考えると、複数の処理方法からの選択を認める必要がどれだけあるか疑問であるとの意見があった。また、「正規の簿記の原則」について、その必要性は当然だが、行政コスト計算書がここでいう複式簿記の原則により体系的に作成される書類に該当するかどうかについては検討が必要だろうとの意見があった。

 「中期計画準拠の原則」に関しては、これは中期計画どおりに決算しなければならないといった誤解を招きかねないものであり、一般原則として他と同列に取り上げるべきかどうか必要性も含めて再検討すべきとの意見があったが、他方で、誤解を招きかねないにしても独立行政法人の計画と評価と予算会計制度とをリンクさせることに行政コスト計算と同様に大きな意義があるのではないかとの意見もあった。これについては、中期計画どおりに業務をした方がいいといった行為規範は会計に直接には影響しないので、「中期計画準拠の原則」が適用される場面としては、例えば引当金の設定のように会計上の判断が必要な場合に中期計画を前提に将来の予測をするといった程度の狭い範囲しか考えられないのではないか、との指摘があり、事務局から、ここでいう「中期計画準拠の原則」とは基本的には指摘のように狭い局面でのものとして考えているが、誤解を招きやすいものでもあり、その必要性についてはさらに検討したいとの説明があった。

 これに関連して、中期計画の記載事項はどのように決まるのかとの質問があり、事務局から、中期計画に記載すべき事項については通則法や「中央省庁等改革の推進に関する方針」で既に決められている、各項目に具体的に何を盛り込むかについては現在各省で検討を進めており、予算要求に向けて充実させていくことになるとの説明があった。さらに、表示や開示のレベルにおいては中期計画との対比ができるような仕組みが必要なのではないかとの意見があり、事務局から中期計画の内容が未確定の段階でそこまで視野に入れた検討を行うのは難しいのではないかとの説明があった。

(3)上記の議論のほか、資料の書き振りや構成について、「損益がニュートラル」などの一部の言葉遣いについて、より分かりやすく適切な表現振りを考えて欲しいとの要望と、資料の案は全16章で構成しているが、分かりやすくするため大きく3つくらいに括り直してはどうかとの提案があった。さらに、全体論として、今後、多種多様な独立行政法人が出現した場合についてもその会計処理の示唆を与えることができるよう、前文に何らかの記述をしたほうがいいのではないかとの意見があった。

(4)最後に、座長から、各省庁からの出席者についてもコメントがあれば事務局に寄せて欲しいとの呼びかけがあり、次回の最終とりまとめのための会合を2月16日(水)午後3時から2時間程度の予定で開催することを決め、散会した。

以上
(文責中央省庁等改革推進本部事務局)
−速報のため事後修正の可能性あり−