独立法人会計基準研究会

「独立行政法人会計基準」及び
「独立行政法人会計基準注解」

第1章 一般原則

第1 真実性の原則

 独立行政法人の会計は、独立行政法人の財政状態及び運営状況に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。(注1)

 <注1> 真実性の原則について

  1. 独立行政法人は国の事務及び事業の実施主体であって、その業務の実施に関して負託された経済資源に関する情報を負託主体である国民に開示する責任を負っており、説明責任の観点から、その財政状態及び運営状況を明らかにし、適切に情報開示を行うことが要請される。
  2. 独立行政法人の業務運営については、その自律性及び自発性の発揮の観点から、国による事前統制から事後チェックへの移行がその特徴であるが、適切に事後チェックを行うためには、業績評価が適正に行われなければならない。
  3. このような説明責任の観点及び業績の適正評価の観点から、独立行政法人の会計は、その財政状態及び運営状況に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

第2 正規の簿記の原則

  1. 独立行政法人の会計は、独立行政法人の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について、複式簿記により体系的に記録し、正確な会計帳簿を作成しなければならない。(注2)
  2. 会計帳簿は、独立行政法人の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について、網羅的かつ検証可能な形で作成されなければならない。
  3. 独立行政法人の財務諸表は、正確な会計帳簿に基づき作成し、相互に整合性を有するものでなければならない。(注3)

 <注2>複式簿記について

     独立行政法人においては、その財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について捕捉しうる合理的な会計処理及び記録の仕組として、複式簿記を導入するものとする。

 <注3>行政サービス実施コスト計算書の整合性について

  1. 行政サービス実施コスト計算書は、独立行政法人の財務諸表を構成する書類の一つであり、基本的には正確な会計帳簿に基づき作成されるべきものである。
  2. しかし、行政サービス実施コスト計算書には、その性格上一定の仮定計算に基づく機会費用を含むことから、会計帳簿によらないで作成される部分が存することに留意する必要がある。その場合には、当該部分の作成根拠等を注記等により開示しなければならない。

第3 明瞭性の原則

 独立行政法人の会計は、財務諸表によって、国民その他の利害関係者に対し必要な会計情報を明瞭に表示し、独立行政法人の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。(注4)

 <注4>明瞭性の原則について

  1. 国民の需要に即応した効率的な行政サービスの提供を実現するために創設された独立行政法人においては、その行政サービスの提供のために負託された経済資源に関する会計情報を負託主体である国民を始めとする利害関係者に対し報告する責任を負っている。
  2. 国民その他の利害関係者にわかりやすい形で適切に情報開示するため、独立行政法人の財務諸表は明瞭に表示されなければならない。

第4 重要性の原則

  1. 独立行政法人の会計は、国民その他の利害関係者の独立行政法人の状況に関する判断を誤らせないようにするため、取引及び事象の金額的側面及び質的側面の両面からの重要性を勘案して、適切な記録、計算及び表示を行わなければならない。
  2. 質的側面の考慮においては、独立行政法人の会計の見地からの判断に加え、独立行政法人の公共的性格に基づく判断も加味して行わなければならない。
  3. 重要性の乏しいものについては、本来の方法によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則及び明瞭性の原則に従った処理として認められる。(注5)

 <注5>重要性の原則について

  1. 公共的な性格を有する独立行政法人の会計は、独立行政法人会計基準に定めるところに従った会計処理及び表示が求められるものである。
  2. ただし、独立行政法人の会計が目的とするところは、独立行政法人の財政状態及び運営状況を明らかにし、国民その他の利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあることから、重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで合理的な範囲で他の簡便な方法によることも、正規の簿記の原則に従った処理として認められる。
  3. 重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用され、本来の財務諸表の表示方法によらないで合理的な範囲で他の簡便な方法によることも、明瞭性の原則に従った表示として認められる。

第5 資本取引・損益取引区分の原則

 独立行政法人の会計においては、資本取引と損益取引とを明瞭に区別しなければならない。(注6)

 <注6>資本取引・損益取引区分の原則について

  1. 公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としない独立行政法人においては、第一に、経営成績ではなく運営状況を明らかにするために損益計算を行うこととしている。この観点からその運営状況を適正に示すため、独立行政法人が中期計画に沿って通常の運営を行った場合、運営費交付金等の財源措置が行われることにより損益が均衡するように損益計算の仕組みが構築されることとなる。また、政策の企画立案主体としての国との関係において、独立行政法人の独自判断では意思決定が完結しないような行為に起因する支出など独立行政法人の業績を評価する手段としての損益計算に含めることが合理的ではない支出は、独立行政法人の損益計算には含まれないものとする。
  2. また、独立行政法人においては、第二に、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第44条にいう利益又は損失を確定するために損益計算を行うこととしている。
  3. このように独立行政法人においては、その運営状況を適正に示すという観点及び通則法第44条にいう利益又は損失の確定を適切に行うという観点から、その会計において、資本取引と損益取引とを明瞭に区別しなければならない。

第6 継続性の原則

 独立行政法人の会計においては、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。(注7)

 <注7>継続性の原則について

  1. 独立行政法人はその公共的な性格から適切に情報開示を行わなければならず、その会計処理の原則及び手続に関する選択性は原則として排除される。
  2. しかしながら、一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められる場合は皆無とはいえない。そのような場合において、独立行政法人が選択した会計処理の原則又は手続を継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる計算結果が算出されることになる。その結果、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、独立行政法人の財政状態及び運営状況に関する国民その他の利害関係者の判断を誤らしめるおそれがある。したがって、いったん採用した会計処理の原則及び手続は、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諸表を作成する各事業年度を通じて継続して適用しなければならない。
  3. 正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に変更を加えたときは、これを財務諸表に注記しなければならない。
  4. 財務諸表の表示方法について変更を加えたときは、これを財務諸表に注記しなければならない。

第7 保守主義の原則

  1. 独立行政法人の会計は、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならない。
  2. 独立行政法人の会計は、過度に保守的な会計処理を行うことにより、独立行政法人の財政状態及び運営状況の真実な報告をゆがめてはならない。

第2章 概念

第8 資産の定義

  1. 独立行政法人の資産とは、過去の取引又は事象の結果として独立行政法人が支配する資源であって、それによりサービス提供能力又は将来の経済的便益が期待されるものをいう。
  2. 資産は、流動資産及び固定資産に分類される。
  3. 独立行政法人においては、繰延資産を計上してはならない。(注8)

 <注8>繰延資産について

     独立行政法人においては、企業会計原則に基づく繰延資産の計上要因たる行為は想定され難い。また、研究開発費等を資産として貸借対照表に計上することは適当でないとする「研究開発費等に係る会計基準」や、独立行政法人に対する所要の財源措置が毎事業年度とられることを勘案すると、独立行政法人においては繰延資産を計上することは適当ではなく、支出した当該事業年度の費用として処理すべきものである。

第9 流動資産

 次に掲げる資産は、流動資産に属するものとする。 (注9)

    (1)現金及び預金。ただし、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内(以下この章において「一年以内」という。)に期限の到来しない預金を除く。
    (2)市場性のある有価証券で一時的所有のもの
    (3)受取手形(独立行政法人の通常の業務活動において発生した手形債権をいう。ただし、破産債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)
    (4)売掛金(独立行政法人の通常の業務活動において発生した未収入金をいう。ただし、破産債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)
    (5)製品、副産物及び作業くず
    (6)半製品
    (7)原料及び材料(購入部分品を含む。)
    (8)仕掛品及び半成工事
    (9)商品
    (10)消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品で相当価額以上のもの
    (11)前渡金(原材料、商品等の購入のための前渡金をいう。ただし、破産債権、更生債権その他これらに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)
    (12)前払費用で一年以内に費用となるべきもの (注10)
    (13)未収収益で一年以内に対価の支払を受けるべきもの (注10)
    (14)その他の資産で一年以内に現金化できると認められるもの

 <注9>流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について

  1. 独立行政法人の通常業務により発生した受取手形、売掛金、前渡金、買掛金、前受金等の債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更生債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たるその他の資産に属するものとする。
  2. 借入金、差入保証金、当該独立行政法人の通常の業務以外によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年を超えて到来するものは、その他の資産又は固定負債に属するものとする。
  3. 現金及び預金は、原則として、流動資産に属するが、預金については、一年以内に期限が到来するものは、流動資産に属するものとし、期限が一年を超えて到来するものは、その他の資産に属するものとする。
  4. 有価証券のうち、証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとする。
  5. 製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、独立行政法人がその業務目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しない財貨は、固定資産に属するものとする。
  6. なお、固定資産のうち残存耐用年数が一年以下となったものも流動資産とせず固定資産に含ませ、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。

 <注10>経過勘定項目について

  1. 前払費用
    (1)前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。
    (2)したがって、前払費用として対価を支払った独立行政法人においては、いまだ提供されていない役務の提供を受けるという経済的便益が期待されるものであるため、前払費用は資産に属するものとする。
  2. 前受収益
    (1)前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。
    (2)したがって、前受収益として対価の支払を受けた独立行政法人においては、いまだ提供していない役務の提供をしなければならず、経済的便益の減少を生じさせるものであるため、前受収益は負債に属するものとする。
  3. 未払費用
    (1)未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。
    (2)したがって、既に提供された役務に対していまだ対価の支払を終えていない独立行政法人においては、その対価の支払を行わなければならず、経済的便益の減少を生じさせるものであるため、未払費用は負債に属するものとする。
  4. 未収収益
    (1)未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。
    (2)したがって、既に提供した役務に対していまだ対価の支払を受けていない独立行政法人においては、その対価の支払を受けるという経済的便益が期待されるものであるため、資産に属するものとする。

第10 固定資産

 固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及びその他の資産に分類される。(注9)

第11 有形固定資産

 次に掲げる資産(ただし、(1)から(7)までに掲げる資産については、独立行政法人の通常の業務活動の用に供するものに限る。)は、有形固定資産に属するものとする。

    (1)建物及び付属設備
    (2)構築物(土地に定着する土木設備又は工作物をいう。以下同じ。)
    (3)機械及び装置並びにその他の付属設備
    (4)船舶及び水上運搬具
    (5)車両その他の陸上運搬具
    (6)工具、器具及び備品。ただし、耐用年数一年以上のものに限る。
    (7)土地
    (8)建設仮勘定(前各号に掲げる資産で通常の業務活動の用に供するものを建設した場合における支出及び当該建設の目的のために充当した材料をいう。以下同じ。)
    (9)その他の有形資産で流動資産に属しないもの

第12 無形固定資産

 特許権、借地権、地上権、商標権、実用新案権、意匠権、鉱業権、漁業権、ソフトウェアその他これらに準ずる資産は、無形固定資産に属するものとする。

第13 その他の資産

 流動資産、有形固定資産又は無形固定資産に属するもの以外の長期資産は、その他の資産に属するものとする。

第14 負債の定義

  1. 独立行政法人の負債とは、過去の取引又は事象に起因する現在の義務であって、その履行が独立行政法人に対して、将来、サービスの提供又は経済的便益の減少を生じさせるものをいう。
  2. 負債は法律上の債務に限定されるものではない。
  3. 負債は、流動負債及び固定負債に分類される。

第15 流動負債

 次に掲げる負債は、流動負債に属するものとする。(注9)

    (1)運営費交付金債務
    (2)預り施設費
    (3)預り寄附金。ただし、一年以内に使用されないと認められるものを除く。
    (4)短期借入金
    (5)買掛金(独立行政法人の通常の業務活動に基づいて発生した未払金をいう。以下同じ。)
    (6)前受金(受注工事、受注品等に対する前受金をいう。以下同じ。)
    (7)引当金(資産に係る引当金及び固定負債に属する引当金を除く。)
    (8)独立行政法人の通常の業務活動に関連して発生する未払金又は預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの
    (9)未払費用で一年以内に対価の支払をすべきもの (注10)
    (10)前受収益で一年以内に収益となるべきもの (注10)
    (11)その他の負債で一年以内に支払又は返済されると認められるもの

第16 固定負債

 次に掲げる負債は、固定負債に属するものとする。(注9)

    (1)退職手当に係る引当金
    (2)退職手当に係る引当金及び資産に係る引当金以外の引当金であって、一年以内に使用されないと認められるもの
    (3)資産見返負債(中期計画の想定の範囲内で、運営費交付金により、又は寄附金により寄附者の意図に従い若しくは独立行政法人があらかじめ特定した使途に従い償却資産を取得した場合に計上される負債をいう。)
    (4)預り寄附金(流動負債に属するものを除く。)
    (5)長期借入金
    (6)その他の負債で流動負債に属しないもの

第17 引当金

  1. 将来の支出の増加又は将来の収入の減少であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当該金額を引当金として負債に計上するとともに、当期の負担に帰すべき金額を費用に計上する。ただし、引当金のうち資産に係る引当金の場合は、資産の控除項目として計上する。
  2. 法令、中期計画等に照らして客観的に財源が措置されていると明らかに見込まれる将来の支出については、引当金を計上しない。
  3. 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金は計上することができない。

第18 資本の定義

  1. 独立行政法人の資本とは、独立行政法人の業務を確実に実施するために与えられた財産的基礎及びその業務に関連し発生した剰余金から構成されるものであって、資産から負債を控除した額に相当するものをいう。
  2. 資本は、資本金、資本剰余金及び利益剰余金に分類される。

第19 資本金等

  1. 資本金とは、独立行政法人に対する出資を財源とする払込資本に相当する。
  2. 資本剰余金とは、資本金及び利益剰余金以外の資本であって、贈与資本及び評価替資本が含まれる。(注11)
  3. 利益剰余金とは、独立行政法人の業務に関連し発生した剰余金であって、稼得資本に相当する。

 <注11>資本剰余金を計上する場合について

  1. 独立行政法人が固定資産を取得した場合において、取得原資拠出者の意図や取得資産の内容等を勘案し、独立行政法人の財産的基礎を構成すると認められる場合には、相当額を資本剰余金として計上する。
  2. 具体的には、以下のような場合が想定される。
    (1)国からの施設費により非償却資産又は「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産を取得した場合
    (2)中期計画に定める「剰余金の使途」として固定資産を取得した場合
    (3)中期計画の想定の範囲内で、運営費交付金により非償却資産を取得した場合
    (4)中期計画の想定の範囲内で、寄附金により、寄附者の意図に従い又は独立行政法人があらかじめ特定した使途に従い、非償却資産を取得した場合
  3. なお、上記2(3)及び(4)の場合において償却資産を取得した場合には、相当額を資産見返負債として計上する。

第20 費用の定義

 独立行政法人の費用とは、サービスの提供、財貨の引渡又は生産その他の独立行政法人の業務に関連し、その資産の減少又は負債の増加(又は両者の組合せ)をもたらす経済的便益の減少であって、独立行政法人の財産的基礎を減少させる資本取引によってもたらされるものを除くものをいう。(注12)

 <注12>独立行政法人の費用の定義から除かれる事例について

     資本取引として独立行政法人の費用から除外されるものの例は、以下のとおり。

    (1)「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産の減価償却相当額
    (2)上記(1)の償却資産の売却、交換又は除去等に直接起因する資産の減少又は負債の増加(又は両者の組合せ)

第21 収益の定義

 独立行政法人の収益とは、サービスの提供、財貨の引渡又は生産その他の独立行政法人の業務に関連し、その資産の増加又は負債の減少(又は両者の組合せ)をもたらす経済的便益の増加であって、独立行政法人の財産的基礎を増加させる資本取引によってもたらされるものを除くものをいう。(注13)

 <注13>独立行政法人の収益の定義から除かれる事例について

     資本取引として独立行政法人の収益から除外されるものの例として、「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産の売却、交換又は除去等に直接起因する資産の増加又は負債の減少(又は両者の組合せ)がある。

第22 キャッシュ・フロー計算書の資金

 独立行政法人のキャッシュ・フロー計算書が対象とする資金の範囲は、手元現金及び要求払預金とする。(注14)(注15)

 <注14>貸借対照表との関連性について

     キャッシュ・フロー計算書の現金の期末残高と貸借対照表上の科目との関連性については注記することとする。

 <注15>要求払預金について

     要求払預金には、例えば、当座預金、普通預金、通知預金及びこれらの預金に相当する郵便貯金が含まれる。

第23 行政サービス実施コストの定義

 独立行政法人の行政サービス実施コストとは、独立行政法人の業務運営に関して、国民の負担に帰せられるコストをいう。

第24 行政サービス実施コスト項目

 次に掲げるコストは、行政サービス実施コストに属するものとする。

    (1)独立行政法人の損益計算上の費用から運営費交付金に基づく収益以外の収益を控除した額
    (2)「第77 特定の償却資産に係る減価の会計処理」を行うこととされた償却資産の減価償却相当額
    (3)「第78 退職手当に係る会計処理」により、引当金を計上しないこととされた場合の退職手当増加見積額
    (4)国の資産を利用することから生ずる機会費用
    ア 国有資産の無償使用から生ずる機会費用
    イ 政府出資等から生ずる機会費用

第3章 認識及び測定

第25 取得原価主義

 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。

第26 無償取得資産の評価原則

 譲与、贈与その他無償で取得した資産については、公正な評価額をもって取得原価とする。

第27 たな卸資産の評価方法

  1. 製品、半製品、原材料、仕掛品、商品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、これに個別法、先入先出法、平均原価法等のうちあらかじめ定めた方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。(注16)
  2. ただし、時価が取得原価よりも下落した場合には時価をもって貸借対照表価額としなければならない。
  3. なお、たな卸資産の評価方法は毎事業年度継続して適用しなければならず、みだりに変更してはならない。

 <注16>たな卸資産の貸借対照表価額について

     製品、半製品、原材料、仕掛品、商品等のたな卸資産の貸借対照表価額の算定のための方法としては、次のようなものが認められる。ただし、重要性の乏しいものについては、最終仕入原価法によることも認められる。

    (1) 個別法  たな卸資産の取得原価を異にするに従い区別して記録し、その個々の実際原価によって期末たな卸資産の価額を算定する方法
    (2) 先入先出法  最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末たな卸品は最も新しく取得されたものからなるものとみなして期末たな卸品の価額を算定する方法
    (3) 平均原価法  取得したたな卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末たな卸品の価額を算定する方法
    平均原価は、総平均法又は移動平均法により算出する。

第28 有価証券の評価方法

 有価証券については、原則として購入代価に手数料等の付随費用を加算し、これに平均原価法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、取引所の相場のある有価証券については、時価が取得原価よりも下落した場合には時価をもって貸借対照表価額としなければならない。

第29 有形固定資産の評価方法

  1. 有形固定資産については、その取得原価から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。
  2. 有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める。
  3. 政府からの現物出資として受入れた固定資産については、個別法の現物出資の根拠規定に基づき評価委員が決定した価額を取得価額とする。
  4. 償却済の有形固定資産は、除却されるまで残存価額又は備忘価額で記載する。

第30 無形固定資産の評価方法

 無形固定資産については、当該資産の取得のために支出した金額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。(注17)

 <注17>ソフトウェアについて

  1. ソフトウェア(コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等をいう。以下同じ。)を用いて外部に業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計した上、当該ソフトウェアの制作に要した費用に相当する額を無形固定資産として計上しなければならない。
  2. 法人内利用のソフトウェアについては、完成品を購入した場合のように、その利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、当該ソフトウェアの取得に要した費用に相当する額を無形固定資産として計上しなければならない。
  3. 機械装置等に組み込まれているソフトウェアについては、当該機械装置等に含めて処理する。

第31 リース資産の会計処理

 リース取引に係る会計基準については、リース取引をファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の二種類に分け、ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行い、オペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行い、かつ、リース期間の中途において当該契約を解除することができるオペレーティング・リース取引を除き、次に掲げる事項を財務諸表に注記する。(注18)

    (1)貸借対照表日後一年以内のリース期間に係る未経過リース料
    (2)貸借対照表日後一年を超えるリース期間に係る未経過リース料

 <注18>リース資産の表示方法について

  1. ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借り手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的便益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいう。
  2. 独立行政法人におけるファイナンス・リース取引の会計基準については、独立行政法人が公共性等共通の性格を持ち、一の統一した制度の下に存在するものであって、その比較可能性を考慮した場合、企業会計原則では認められている「通常の賃貸借取引に係る方法に準じ」た会計処理を選択的に認めることは適切ではないことから、通常の売買取引に係る方法に準じた処理を行うものとする。

第32 費用配分の原則

  1. 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。
  2. 有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法によってその取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、定額法によってその取得原価を各事業年度に配分しなければならない。

第33 発生主義の原則

  1. 独立行政法人に発生したすべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。
  2. なお、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。

第4章 財務諸表の体系

第34 財務諸表の体系

 独立行政法人の財務諸表の体系は、次のとおりである。

    (1)貸借対照表
    (2)損益計算書
    (3)キャッシュ・フロー計算書
    (4)利益の処分又は損失の処理に関する書類
    (5)行政サービス実施コスト計算書
    (6)附属明細書

第35 セグメント情報の開示

  1. 独立行政法人における開示すべきセグメント情報は、当該法人の事業内容等に応じた適切な区分に基づくセグメント情報とする。
  2. 開示すべき情報は、事業収益、事業損益及び当該セグメントに属する総資産額とする。(注19)

 <注19>セグメント情報の開示について

  1. 独立行政法人においても、その業務の内容が多岐にわたる場合、説明責任の観点から、その業務ごとのセグメントに係る財務情報を開示する必要がある。
  2. セグメントの区分については、一律かつ統一的に設定することは逆にその意味を失わせることにもなりかねないため、運営費交付金に基づく収益以外の収益の性質や複数の業務を統合した法人における業務の区分を参考にしつつ、各法人において個々に定めていくこととする。

第36 貸借対照表の作成目的

 貸借対照表は、独立行政法人の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、国民その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。

第37 損益計算書の作成目的

  1. 損益計算書は、独立行政法人の運営状況を明らかにするため、一会計期間に属する独立行政法人のすべての費用とこれに対応するすべての収益とを記載して当期純利益を表示しなければならない。
  2. 損益計算書は、通則法第44条にいう利益又は損失を確定するため、当期純利益に必要な項目を加減して、当期総利益を表示しなければならない。

第38 キャッシュ・フロー計算書の作成目的

 キャッシュ・フロー計算書は、独立行政法人の一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告するため、キャッシュ・フローを一定の活動区分別に表示しなければならない。(注20)

 <注20>キャッシュ・フロー計算書の位置付けについて

     キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり、貸借対照表及び損益計算書と同様に独立行政法人の活動の全体を対象とする重要な情報を提供するものである。このようなキャッシュ・フロー計算書の重要性にかんがみ、企業会計においては既に平成11年4月1日以降に開始する事業年度からキャッシュ・フロー計算書が財務諸表の一つに位置付けられているところである。独立行政法人においても、キャッシュ・フローの状況についての情報を提供することの重要性に変わりはないため、キャッシュ・フロー計算書を通則法第38条第1項の「主務省令で定める書類」として財務諸表を構成する書類に位置付け、主務大臣の承認、一般の閲覧や同法第39条に基づく会計監査人の監査の対象とすべきである。

第39 利益の処分又は損失の処理に関する書類の作成目的

 利益の処分又は損失の処理に関する書類は、独立行政法人の当期未処分利益の処分又は当期未処理損失の処理の内容を明らかにするために作成しなければならない。

第40 行政サービス実施コスト計算書の作成目的

 行政サービス実施コスト計算書は、一会計期間に属する独立行政法人の業務運営に関し、行政サービス実施コストに係る情報を一元的に集約して表示する。(注21)

 <注21>行政サービス実施コスト計算書について

  1. 行政サービス実施コスト計算書は、独立行政法人の業務運営に関して国民が負担するコストを集約し、情報開示の徹底を図り、納税者である国民の行政サービスに対する評価・判断に資するための書類である。独立行政法人の損益計算書は法人の運営状況を表示する書類であり、ここに計上される損益は、法人の業績を示す損益であって必ずしも納税者にとっての負担とは一致しない。例えば、運営費交付金収益が増えると、独立行政法人の損益にはプラスにはたらくが、納税者の負担は逆に増加する。また、損益計算を通じない場合の減価償却相当額、引当金を計上しない場合の退職手当増加見積額、国有財産や国の出資等を利用することから生じる機会費用など、独立行政法人の損益計算書等には計上されないが、広い意味で最終的に国民の負担に帰すべきコストも存在する。行政サービス実施コスト計算書は、これらのコストを集約表示する書類である。
  2. なお、表示すべき行政サービス実施コストには、政府内の企画立案部門の費用等までは含まないものとし、「第24 行政サービス実施コスト項目」で示した項目に限定する。
  3. 行政サービス実施コスト計算書は、独立行政法人独自の計算書類であり、独立行政法人の財務諸表の一つに位置付けられるものとする。

第5章 貸借対照表

第41 表示区分

 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び資本の部の三区分に分かち、更に資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

第42 資産、負債、資本の記載の基準

 資産、負債及び資本は、適切な区分、配列、分類及び評価の基準に従って記載しなければならない。

第43 総額主義の原則

 資産、負債及び資本は、総額によって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は資本の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。

第44 資産と負債・資本の均衡

 貸借対照表の資産の合計金額は、負債と資本の合計金額に一致しなければならない。

第45 配列

 資産及び負債の項目の配列は、この基準に定めるもののほか、流動性配列法によるものとする。

第46 貸借対照表科目の分類

  1. 資産、負債及び資本の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類しなければならない。
  2. 資産は、流動資産に属する資産及び固定資産に属する資産に分類しなければならない。
  3. 負債は、流動負債に属する負債及び固定負債に属する負債に分類しなければならない。
  4. 資本は、資本金に属するもの、資本剰余金に属するもの及び利益剰余金に属するものに分類しなければならない。

第47 資産の表示項目

  1. 流動資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す 名称を付した科目をもって表示しなければならない。
    (1)現金及び預金
    (2)有価証券
    (3)受取手形
    (4)売掛金
    (5)たな卸資産(「第9 流動資産」(5)から(10)までに掲げる資産をいう。以下同じ。)
    (6)前渡金
    (7)前払費用
    (8)未収収益
    (9)その他
  2. 有形固定資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。
    (1)建物(その付属設備を含む。以下同じ。)
    (2)構築物
    (3)機械及び装置(その付属設備を含む。以下同じ。)
    (4)船舶(水上運搬具を含む。以下同じ。)
    (5)車両その他の陸上運搬具
    (6)工具、器具及び備品
    (7)土地
    (8)建設仮勘定
    (9)その他
  3. 無形固定資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。
    (1)特許権
    (2)借地権(地上権を含む。)
    (3)商標権
    (4)実用新案権
    (5)意匠権
    (6)鉱業権
    (7)漁業権
    (8)ソフトウェア
    (9)その他
  4. その他の資産に属する資産は、当該資産を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。
  5. 売掛金その他の債権に対する貸倒引当金は、原則として、その債権が属する科目ごとに債権金額又は取得金額から控除する形式で記載する。

第48 減価償却累計額の表示方法

  1. 有形固定資産に対する減価償却累計額は、その資産が属する科目ごとに取得原価から控除する形式で記載する。(注22)
  2. 無形固定資産については、減価償却累計額を控除した未償却残高を記載する。

 <注22>減価償却累計額について

     減価償却累計額とは、減価償却費と損益外減価償却相当額との累計額をいう。

第49 負債の表示項目

  1. 流動負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。
    (1)運営費交付金債務
    (2)預り施設費
    (3)預り寄附金
    (4)短期借入金
    (5)買掛金
    (6)未払金
    (7)未払費用
    (8)前受金
    (9)預り金
    (10)前受収益
    (11)引当金
    (12)その他
  2. 固定負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもって表示しなければならない。
    (1)資産見返負債
    (2)長期預り寄附金
    (3)長期借入金
    (4)引当金
    (5)その他

第50 資本の表示項目

  1. 資本金は、政府出資金とそれ以外の者からの出資金(出資者等により適切な名称を付することを要する。)とに区分して表示しなければならない。
  2. 資本剰余金は、資本剰余金の総額を表示するとともに、「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」を行うこととされた償却資産の損益外減価償却相当額の累計額を損益外減価償却累計額として控除して表示しなければならない。
  3. 利益剰余金は、通則法第44条第1項に基づく積立金(以下「積立金」という。)、個別法において定められている場合における前中期目標期間繰越積立金、通則法第44条第3項により中期計画で定める使途に充てるために、使途ごとに適当な名称を付した積立金(以下「目的積立金」という。)及び当期未処分利益に区分して表示する。なお、当期未処分利益の内訳として、当期総利益を表示するものとする。

第51 貸借対照表の様式

 貸借対照表の標準的な様式は、次のとおりとする。


貸借対照表
(平成○○年3月31日)

資産の部
I 流動資産
  現金及び預金XXX
 有価証券XXX
 受取手形XXX
  貸倒引当金XXX  XXX 
 売掛金XXX
  貸倒引当金XXXXXX
 たな卸資産XXX
 前渡金XXX
 前払費用XXX
 未収収益XXX
  ・・・XXX
   流動資産合計    XXX
           
II 固定資産
 1有形固定資産
 建物XXX
  減価償却累計額XXX XXX
 構築物XXX
  減価償却累計額XXXXXX
 機械装置XXX
  減価償却累計額XXXXXX
 船舶XXX
  減価償却累計額XXXXXX
 車両運搬具XXX
  減価償却累計額XXXXXX
 工具機具備品XXX
  減価償却累計額XXXXXX
 土地XXX
 建設仮勘定XXX
  ・・・XXX
  有形固定資産合計  XXX
           
 2無形固定資産
 特許権XXX
 借地権XXX
 ・・・XXX
  無形固定資産合計  XXX
           
 3その他の資産
  ・・・XXX
 その他の資産合計XXX
  固定資産合計 XXX 
   資産合計XXX
負債の部
I 流動負債
  運営費交付金債務   XXX
 預り施設費 XXX
 預り寄附金 XXX
 短期借入金 XXX
 買掛金 XXX
 未払金 XXX
 未払費用 XXX
 前受金 XXX
 預り金 XXX
 前受収益 XXX
 引当金
  (何)引当金XXX
   ・・・XXX  XXX
 ・・・ XXX 
  流動負債合計XXX
           
II 固定負債
  資産見返負債
  資産見返運営費交付金  XXX
  資産見返寄附金XXX  XXX 
 長期預り寄附金 XXX
 長期借入金 XXX
 引当金
  退職手当引当金XXX
  追加退職手当引当金XXX
  (何)引当金XXX
   ・・・XXX XXX
  ・・・ XXX
   固定負債合計XXX
    負債合計XXX
           
資本の部
I 資本金
 政府出資金 XXX
(何)出資金 XXX 
 資本金合計  XXX
II 資本剰余金
 資本剰余金XXX 
損益外減価償却累計額(−)  XXX 
 資本剰余金合計XXX
III 利益剰余金(又は繰越欠損金)
 前中期目標期間繰越積立金   XXX
(何)積立金 XXX
積立金 XXX
当期未処分利益 XXX
 (又は当期未処理損失)
(うち当期総利益(又は当期総損失)XXX)
利益剰余金(又は繰越欠損金)合計XXX
 資本合計XXX
  負債資本合計XXX

第6章 損益計算書

第52 表示区分

 損益計算書には、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。

第53 総額主義の原則

 費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。

第54 費用収益対応の原則

 費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各費用項目とそれに関連する収益項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。

第55 損益計算書科目の分類

  1. 経常損益計算の区分は、当該独立行政法人の業務活動から生じた費用及び収益を記載して、経常利益を計算する。
  2. 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、固定資産売却損益、災害損失等の臨時損益を記載し、当期純利益を計算する。(注23)
  3. 純損益計算の結果を受けて、目的積立金取崩額等を記載し、当期総利益を計算する。

 <注23>臨時損益項目について

     臨時損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。

第56 費用の表示項目

 業務費及び一般管理費については、これらを構成する費用の内容に応じて区分し、それぞれにその内容を表す適切な名称を付して表示するものとする。

第57 収益の表示項目

  1. 運営費交付金収益は、「第73 運営費交付金の会計処理」による会計処理を行った結果、当期の収益として認識された額を表示する。
  2. 受託収入、手数料収入、売上高等については、実現主義の原則に従い、サービスの提供又は商品等の販売によって実現したもののみをそれぞれ適切な名称を付して表示する。
  3. 寄附金収益は、「第75 寄附金の会計処理」による会計処理を行った結果、当期の収益として認識された額を表示する。

第58 損益計算書の様式

 損益計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。

損益計算書
(平成○○年4月1日〜平成○○年3月31日)

経常費用
  (何)業務費
   ・・・XXX
   ・・・XXX
  減価償却費XXX
   ・・・XXX XXX
 一般管理費
   ・・・XXX
   ・・・XXX
  減価償却費XXX
   ・・・XXXXXX 
 財務費用
  支払利息XXX
   ・・・XXXXXX
 雑損XXX
  経常費用合計XXX
経常収益
 運営費交付金収益  XXX
  (何)手数料収入XXX
  (何)入場料収入XXX
 受託収入XXX
 寄附金収益XXX
 財務収益
  受取利息XXX
  ・・・XXXXXX
 雑益XXX
  経常収益合計XXX
   経常利益XXX
    
臨時損失
 固定資産除却損XXX
  ・・・XXXXXX
臨時利益
 固定資産売却益XXX
  ・・・XXXXXX
    
当期純利益XXX
目的積立金取崩額XXX
当期総利益XXX

第7章 キャッシュ・フロー計算書

第59 表示区分

  1. キャッシュ・フロー計算書には、業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの区分を設けなければならない。(注24)
  2. 業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載する。(注25)
  3. 投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得及び売却、投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載する。(注26)
  4. 財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記載する。(注27)
  5. 国庫納付に係るキャッシュ・フローは、業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。
  6. 利息に係るキャッシュ・フローについては、受取利息及び支払利息はともに業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。(注28)

 <注24>キャッシュ・フロー計算書の表示区分について

  1. キャッシュ・フロー計算書においては、一会計期間におけるキャッシュ・フローを業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの三つに区分して表示することとする。
  2. 業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、独立行政法人の通常の業務の実施に係る資金の状態を表すため、サービスの提供等による収入、原材料、商品又はサービスの購入による支出等、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載することとする。
  3. 独立行政法人に対して国から交付される運営費交付金については、法人がその業務を行うことを前提に、そのための財源として交付される資金であり、損益計算においても法人の業務の遂行によって最終的に収益計上されるものであるので、その収入額を業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示することとする。
  4. なお、サービスの提供等により取得した手形の割引による収入等、業務活動に係る債権・債務から生ずるキャッシュ・フローは、業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示することとする。
  5. 投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得など、将来に向けた運営基盤の確立のために行われる投資活動に係る資金の状態を表すため、固定資産の取得及び売却、投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載することとする。
  6. 独立行政法人に対して国から交付される施設費については、その収入額を投資活動によるキャッシュ・フローの区分に表示することとする。
  7. 財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、増減資による資金の収入・支出、債券の発行・償還及び借入れ・返済による収入・支出等、資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記載することとする。
  8. 独立行政法人の場合、通則法第47条で余裕金の運用先を安全資産に限るなど、本来実施すべき業務以外の資産運用等によって収益を上げることは期待されていない上、出資や長期借入れも原則として禁止されている。したがって、固定資産の取得以外の投資活動や財務活動をより厳格に捕捉しなければならない必要性は低いと考えられる。このため、利息の表示区分としては、損益の算定に含まれる受取利息及び支払利息はすべて業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する方法に限定することとする。

 <注25>業務活動によるキャッシュ・フローの区分について

     業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。

    (1)原材料、商品又はサービスの購入による支出
    (2)人件費支出(職員及び役員に対する報酬の支出)
    (3)その他の業務支出
    (4)運営費交付金収入
    (5)受託収入、手数料収入等サービスの提供等による収入((4)及び(6)に掲げるものを除く。)
    (6)寄附金収入
    (7)利息の受取額
    (8)利息の支払額
    (9)国庫納付金支出

 <注26>投資活動によるキャッシュ・フローの区分について

     投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。

    (1)有価証券の取得による支出
    (2)有価証券の売却による収入
    (3)有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出
    (4)有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入
    (5)施設費による収入
    (6)施設費の精算による返還金の支出

 <注27>財務活動によるキャッシュ・フローの区分について

     財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。

    (1)短期借入金の返済による支出
    (2)短期借入れによる収入
    (3)金銭出資の受入による収入

 <注28>利息の表示について

     利息の受取額及び支払額は、総額で表示するものとする。

第60 表示方法

  1. 業務活動によるキャッシュ・フローは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法により表示しなければならない。
  2. 投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フロ ーは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない。
  3. 資金に係る換算差額は、他と区別して表示する。

第61 キャッシュ・フロー計算書の様式

 キャッシュ・フロー計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。


キャッシュ・フロー計算書
(平成○○年4月1日〜平成○○年3月31日)

I 業務活動によるキャッシュ・フロー
 原材料、商品又はサービスの購入による支出  −xxx
 人件費支出−xxx
 その他の業務支出−xxx
 運営費交付金収入 xxx
 受託収入 xxx
 手数料収入 xxx
 ・・・・・・・・・・・・・・ xxx
 寄附金収入 xxx
   小計 xxx
 利息の受取額 xxx
 利息の支払額−xxx
 ・・・・・・・・・・・・・・ xxx
 国庫納付金の支払額−xxx
業務活動によるキャッシュ・フロー    xxx
   
II 投資活動によるキャッシュ・フロー
 有価証券の取得による支出−xxx
 有価証券の売却による収入 xxx
 有形固定資産の取得による支出−xxx
 有形固定資産の売却による収入 xxx
 施設費による収入 xxx
 施設費の精算による返還金の支出   −xxx
 ・・・・・・・・・・・・・・ xxx
投資活動によるキャッシュ・フロー xxx
   
III 財務活動によるキャッシュ・フロー
 短期借入金の返済による支出−xxx
 短期借入れによる収入 xxx
 金銭出資の受入による収入 xxx
 ・・・・・・・・・・・・ xxx
財務活動によるキャッシュ・フロー   xxx
   
IV 資金に係る換算差額 xxx
V 資金増加額 xxx
VI 資金期首残高 xxx
VII 資金期末残高 xxx


第62 注記事項

 キャッシュ・フロー計算書については、次の事項を注記しなければならない。

(1)資金の期末残高の貸借対照表科目別の内訳
(2)重要な非資金取引(注29)
(3)各表示区分の記載内容を変更した場合には、その内容

 <注29>重要な非資金取引について

     キャッシュ・フロー計算書に注記すべき重要な非資金取引には、例えば、次のようなものがある。

    (1)現物出資の受入による資産の取得
    (2)資産の交換
    (3)ファイナンス・リースによる資産の取得


第8章 利益の処分又は損失の処理に関する書類

第63 表示区分

  1. 利益の処分に関する書類は、当期未処分利益と利益処分額に分けて表示しなければならない。中期目標の期間の最後の事業年度においては、積立金振替額も加えて表示しなければならない。
  2. 損失の処理に関する書類は、当期未処理損失、損失処理額及び次期繰越欠損金に分けて表示しなければならない。

第64 利益の処分に関する書類の科目

  1. 当期未処分利益は、前期繰越欠損金が存在するときは、当期総利益から前期繰越欠損金の額を差し引いて表示しなければならない。
  2. 利益処分額の区分には、積立金及び目的積立金を内容ごとに表示するものとする。

第65 損失の処理に関する書類の科目

  1. 当期未処理損失は、前期繰越欠損金が存在し、当期総損失を生じた場合は当期総損失に前期繰越欠損金を加えて表示し、前期繰越欠損金が存在し、その額よりも小さい当期総利益を生じた場合は、前期繰越欠損金から当期総利益を差し引いて表示しなければならない。
  2. 損失処理額の区分には、当期未処理損失をうめるための各積立金の取崩額を積立金ごとに表示しなければならない。
  3. 各積立金を取り崩しても当期未処理損失がうまらないときは、その額は繰越欠損金として整理しなければならない。

第66 通則法第44条第3項による承認の額

 利益の処分に関する書類において、目的積立金として整理しようとするときは、「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けた額」(承認前にあっては「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けようとする額」)としてその総額を表示しなければならない。(参考)

 <参考>経営努力認定の考え方について

  1. 利益の処分に関する書類における「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けた額」(承認前にあっては「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けようとする額」)は、独立行政法人の当該事業年度における経営努力により生じたとされる額である。
  2. 上記1の額の処分先としては、独立行政法人自体の動機付け確保の観点から決定することとなるが、独立行政法人の公共性等の性質により、その処分内容についてはいかなるものであっても主務大臣の承認さえ得られれば認められるというものではなく、合理的な使途でなければならない。
  3. 「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けた額」が、独立行政法人の経営努力により生じたものであることについては、業務運営の財源を運営費交付金に依存する独立行政法人にあっては、独立行政法人が自らその根拠を示すものとする。
  4. 具体的には、以下の考え方によるものとする。
    (1)運営費交付金に基づく収益以外の収益から生じた利益については、経営努力により生じたものとする。
    (2)中期計画(年度計画)の記載内容に照らして、本来行うべき業務を効率的に行ったために費用が減少した場合には、その結果発生したものについては、原則として経営努力によるものとする。(本来行うべき業務を行わなかったために費用が減少したことと認められる場合には、経営努力によらないものとする。)
    (3)その他独立行政法人において経営努力によることを立証した場合は、経営努力により生じたものとする。

第67 利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の様式

 利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の標準的な様式は、次のとおりとする。


利益の処分に関する書類
(平成○○年○月○日)

I当期未処分利益xxx
 当期総利益xxx
 前期繰越欠損金  xxx
      
II利益処分額
 積立金xxx
 独立行政法人通則法第44条第3項により
 主務大臣の承認を受けた額  
     (何)積立金  xxx
     ・・・・・・・・・・  xxx xxx xxx


損失の処理に関する書類
(平成○○年○月○日)

I当期未処理損失xxx
 当期総損失xxx 
 (当期総利益)(xxx) 
 前期繰越欠損金  xxx
      
II損失処理額
 (何)積立金取崩額  xxx
   ・・・・・・・・・・xxx
 積立金取崩額xxxxxx
      
III次期繰越欠損金              xxx


第9章 行政サービス実施コスト計算書

第68 表示区分

  1. 行政サービス実施コスト計算書は、コストの発生原因ごとに、業務費用、損益外減価償却相当額、引当外退職手当増加見積額、機会費用に区分して表示しなければならない。
  2. 業務費用は、損益計算書における費用相当額を計上し、更にこれより運営費交付金に基づく収益以外の収益を差し引いて業務費用を計上する。
  3. 機会費用は、国有財産の無償使用から生ずるものと、政府出資等から生ずるものとを区別して表示する。

第69 行政サービス実施コスト計算書の様式

 行政サービス実施コスト計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。


行政サービス実施コスト計算書
(平成〇〇年4月1日〜平成〇〇年3月31日)

I業務費用xxx
 損益計算書上の費用  
   (何)業務費xxx
   一般管理費xxxxxx
  (控除)
   (何)手数料収入−xxx
   (何)入場料収入−xxx −xxx
     
II損益外減価償却相当額    xxx
     
III引当外退職手当増加見積額      xxx
     
IV機会費用
 国有財産無償使用の機会費用   xxx
 政府出資等の機会費用 xxx   xxx
     
V行政サービス実施コスト         xxx

第70 注記事項

 行政サービス実施コスト計算書には、次の事項を注記しなければならない。

    (1)国有財産無償使用の機会費用があるときは、その計算方法
    (2)政府出資等の機会費用があるときは、計算に使用した利率(注30)

 <注30>機会費用計算の注記について

     機会費用の計算に当たっては、一定の仮定計算を行うものとする。国有財産を無償使用している場合については、例えば近隣の地代や賃貸料などを参考に機会費用計算を行い、その計算方法を注記する。政府出資等の機会費用は、資本剰余金相当額も含めた政府出資等の純額に一定の利率を乗じて計算する。一定利率については、国債の利回り等を参考にしつつ、簡明な数値を用いることとし、行政サービス実施コスト計算書に注記する。

第10章 附属明細書及び注記

第71 附属明細書

 独立行政法人は、貸借対照表及び損益計算書等の内容を補足するため、次の事項を明らかにした附属明細書を作成しなければならない。

    (1)固定資産の取得及び処分並びに減価償却費(「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」による損益外減価償却相当額も含む。)の明細
    (2)たな卸資産の明細
    (3)有価証券の明細
    (4)資本金及び資本剰余金の明細及び増減
    (5)目的積立金の取崩しの明細
    (6)運営費交付金債務及び運営費交付金収益の明細
    (7)役員及び職員の給与費の明細
    (8)開示すべきセグメント情報
    (9)上記以外の主な資産、負債、費用及び収益の明細

第72 注記

  1. 独立行政法人の財務諸表には、重要な会計方針、重要な債務負担行為、その作成日までに発生した重要な後発事象、固有の表示科目の内容その他独立行政法人の状況を適切に開示するために必要な会計情報を注記しなければならない。
  2. 重要な会計方針に係る注記事項は、まとめて記載するものとする。その他の注記事項についても、重要な会計方針の注記の次に記載することができる。(注31)(注32)(注33)

 <注31>附属明細書及び注記における開示について

     独立行政法人の財務諸表は、広く国民にとってわかりやすい形で会計情報を開示するものでなければならないが、一方で、各種専門家にとって高度な分析に耐えられるような詳細な情報が含まれていなければならない。このため、貸借対照表や損益計算書等はいたずらに複雑なものとならないように留意しつつ、詳細な情報を附属明細書及び注記によって、開示していくものとする。

 <注32>重要な会計方針の開示について

  1. 会計方針とは、独立行政法人が財務諸表の作成に当たって、その会計情報を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。
  2. 会計方針の例としては次のようなものがある。
    (1)運営費交付金収益の計上基準
    (2)減価償却の会計処理方法
    (3)退職手当に係る引当金及び見積額の計上基準
    (4)たな卸資産の評価基準及び評価方法
    (5)行政サービス実施コスト計算書における機会費用の計上方法
  3. なお、重要な会計方針を変更した場合には、次の各号に掲げる事項を前項による記載の次に記載しなければならない。
    (1)会計処理の原則又は手続を変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容
    (2)表示方法を変更した場合には、その内容

 <注33>重要な後発事象の開示について

  1. 財務諸表には、その作成日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。後発事象とは、貸借対照表日以降に発生した事象で、次期以降の財政状態及び運営状況に影響を及ぼすものをいう。重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該独立行政法人の将来の財政状態や運営状況を理解するための補足情報として有用である。
  2. 重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。
    (1)独立行政法人の主要な業務の改廃
    (2)中期計画の変更
    (3)国からの予算措置の重大な変更
    (4)火災、出水等による重大な損害の発生

第11章 独立行政法人固有の会計処理

第73 運営費交付金の会計処理

  1. 独立行政法人が運営費交付金を受領したときは、相当額を運営費交付金債務として整理するものとする。運営費交付金債務は、流動負債に属するものとする。
  2. 運営費交付金債務は中期目標の期間中は業務の進行に応じて収益化を行うものとする。
  3. 運営費交付金債務は、次の中期目標の期間に繰り越すことはできず、中期目標の期間の最後の事業年度の期末処理において、これを全額収益に振り替えなければならない。
  4. 独立行政法人が固定資産を取得した際、その取得額のうち運営費交付金に対応する額については、次のように処理するものとする。
    (1)取得固定資産が運営費交付金により支出されたと合理的に特定できる場合においては、
    ア 当該資産が非償却資産であって、その取得が中期計画の想定の範囲内であるときに限り、その金額を運営費交付金債務から資本剰余金に振り替える。
    イ 当該資産が非償却資産であって上記アに該当しないとき及び当該資産が償却資産であるときは、その金額を運営費交付金債務から別の負債項目である資産見返運営費交付金に振り替える。償却資産の場合は毎事業年度、減価償却相当額を取り崩して、資産見返運営費交付金戻入として収益に振り替える。
    (2)取得固定資産が運営費交付金により支出されたと合理的に特定できない場合においては、相当とする金額を運営費交付金債務から収益に振り替える。(注34)

 <注34>運営費交付金の会計処理について

  1. 運営費交付金は独立行政法人に対して国から負託された業務の財源であり、交付金の交付をもって直ちに収益と認識することは適当ではない。したがって、交付された運営費交付金は相当額を運営費交付金債務として負債に計上し、業務の進行に応じて収益化を行うものとする。
  2. 運営費交付金の収益化については、具体的には以下のような考え方によることとする。
    (1)中期計画及びこれを具体化する年度計画等において、一定の業務等と運営費交付金との対応関係が明らかにされている場合には、当該業務等の達成度に応じて、財源として予定されていた運営費交付金債務の収益化を進行させることができる。例えば、一定のプロジェクトの実施や退職手当の支払について、交付金財源との対応関係が明らかにされている場合等がこれに該当する。
    (2)上記の場合において、業務の実施と運営費交付金財源とが期間的に対応している場合には、一定の期間の経過を業務の進行とみなし、運営費交付金債務を収益化することができる。例えば、管理部門の活動等がこれに該当する。
    (3)上記(1)、(2)のような業務と交付金との対応関係が示されない場合には、運営費交付金債務は、業務のための支出額を限度として収益化するものとする。
     この場合に別途使途が特定されない運営費交付金に基づく収益以外の収益がある場合には、運営費交付金債務残高と当該収益とで財源を按分して支出されたものとみなす等の適切な処理を行い、運営費交付金の収益化を行うものとする。
    (4)運営費交付金が既に実施された業務の財源を補てんするために交付されたことが明らかといえる場合においては、交付時において収益計上することとする。
  3. 中期目標の期間の終了時点においては、期間中に交付された運営費交付金を精算するものとする。このため、中期目標の期間の最後の事業年度においては、当該事業年度の業務の進行に応じて交付金を収益化し、なお、運営費交付金債務が残る場合には、当該残額は、別途、精算のための収益化を行うものとする。
  4. 運営費交付金の収益化に関する会計方針については、適切な開示を行わなければならない。
  5. 資産見返運営費交付金を計上している固定資産を売却、交換又は除去した場合には、これを全額収益に振り替えることとする。

第74 施設費の会計処理

  1. 独立行政法人が施設費を受領したときは、相当額を預り施設費として整理するものとする。預り施設費は、流動負債に属するものとする。
  2. 施設費によって固定資産を取得した場合は、当該資産が非償却資産であるとき又は当該資産の減価償却について「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」に定める処理が行われることとされたときは、当該固定資産の取得費に相当する額を、預り施設費から資本剰余金に振り替えなければならない。(注35)

 <注35>施設費を財源に固定資産を取得した場合の会計処理について

  1. 独立行政法人における施設費は、国から拠出された対象資産の購入を行うまでは、その使途が特定された財源として、預り施設費として負債に整理する。
  2. 施設費を財源とする償却資産については、通常、「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」にしたがって減価償却の処理を行うことが想定される。そのような場合には、当該資産の購入時において、預り施設費を資本剰余金に振り替えることとし、独立行政法人の財産的基礎を構成するものとする。資本剰余金は、「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」の規定により、減価償却の進行に応じて実質的に減価していくこととなる。

第75 寄附金の会計処理

  1. 独立行政法人が受領した寄附金については、寄附者がその使途を特定した場合又は寄附者が使途を特定していなくとも独立行政法人が使用に先立ってあらかじめ計画的に使途を特定した場合において、寄附金を受領した時点では預り寄附金として負債に計上し、当該使途に充てるための費用が発生した時点で当該費用に相当する額を預り寄附金から収益に振り替えなければならない。(注36)
  2. 当該寄附金によって固定資産を取得した場合は、次のように処理するものとする。
    (1)当該資産が非償却資産であって、その取得が中期計画の想定の範囲内であるときに限り、その金額を預り寄附金から資本剰余金に振り替える。
    (2)当該資産が非償却資産であって、上記(1)に該当しないとき及び当該資産が償却資産であるときは、その金額を預り寄附金から別の負債項目である資産見返寄附金に振り替える。償却資産の場合は毎事業年度、減価償却相当額を取り崩して、資産見返寄附金戻入として収益に振り替える。(注37)
  3. 寄附者若しくは独立行政法人のいずれかにおいてもあらかじめ使途を特定したと認められない場合には、当該寄附金に相当する額を受領した期の収益として計上する。

 <注36>寄附金の負債計上について

     独立行政法人においては、その性格上、様々な趣旨の寄附金を受けることが想定される。寄附金は、寄附者が独立行政法人の業務の実施を財産的に支援する目的で出えんするものであるが、寄附者があらかじめその使途を特定したり、あるいは独立行政法人の側で使途を示して計画的に管理支出することが想定され、独立行政法人が通常はこれを何らかの特定の事業のための支出に計画的に充てなければならないという責務を負っているものと考えられる。このため、受領した寄附金の会計的な性格として、あらかじめ使途が特定されて管理されている寄附金に関しては、その未使用額と同額の負債の存在を認め、受領した期の終了後も引き続き独立行政法人に留保することとしている。これは、中期計画期間の終了時においても同様であり、運営費交付金とは異なり、精算のための収益化は不要である。

 <注37>寄附金を財源として固定資産を取得した場合の会計処理について

  1. 独立行政法人が使途を特定した寄附金によって非償却資産を取得した場合においては、これが中期計画の想定の範囲内である場合には、独立行政法人の財産的基礎を構成するものと考えられることから、資本剰余金に振り替えるものとする。
  2. 資産見返寄附金を計上している固定資産を売却、交換又は除去した場合は、これを全額収益に振り替えることとする。

第76 サービスの提供等による収益の会計処理

 独立行政法人がそのサービスの提供等により得た収入については、これを実現主義の原則に従い、各期の収益として計上する。(注38)

 <注38>国からの委託費の扱いについて

     独立行政法人に対して国から支出された委託費については、独立行政法人のサービスの提供等の対価に該当するものであるので、他の主体からの受託収入と同様の会計処理を行う。ただし、国からの受託による収益と他の主体からの受託による収益とは区別して表示しなければならない。

第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理

 独立行政法人が保有する償却資産のうち、その減価に対応すべき収益の獲得が予定されないものとして特定された資産については、当該資産の減価償却相当額は、損益計算上の費用には計上せず、資本剰余金を減額することとする。(注39)

 <注39>減価償却の会計処理について

  1. 独立行政法人が固定資産を取得するに当たっては、国は、国有財産の現物出資あるいは施設費の交付等を行うことができるものとされている。ところで、多くの独立行政法人は業務運営の財源を運営費交付金に依存することになるが、このような資産の減価部分については通常は運営費交付金の算定対象とはならず、また、運営費交付金に基づく収益以外の収益によって充当することも必ずしも予定されていない。更に資産の更新に当たっては、出資者たる国により改めて必要な措置が講じられることになるものと想定される。このような場合においては、減価償却に相当する額は、むしろ実質的には資本の価値の減少と考えるべきであることから、損益計算上の費用には計上せず、独立行政法人の資本剰余金を直接に減額することによって処理するものとする。この取扱いは、取得時までに別途特定された資産に限り行うものとする。
  2. このような資産に係る減価償却相当額は、各期間に対応させるべき収益が存在するものではなく、また、独立行政法人の運営責任という観点からも、その範囲外にあると考えることができる。これを損益計算上の費用としてとらえることは、独立行政法人の運営状況の測定を誤らせることとなり、通則法44条を適用する上での計算方法として適当ではない。
  3. 貸借対照表の資本剰余金の区分においては、「第77 特定の償却資産の減価に係る会計処理」の規定に基づく損益外減価償却相当額の累計額を表示しなければならない。この累計額は、独立行政法人の実質的な財産的基礎の減少の程度を表示し、当該資産の更新に係る情報提供の機能を果たすこととなる。

第78 退職手当に係る会計処理

  1. 退職手当相当額のうち、運営費交付金に基づく収益以外の収益によってその支払財源が手当されることが予定されている部分については、退職手当に係る引当金を計上する。
  2. 退職手当に充てるべき財源措置が行われることが、例えば中期計画等で明らかにされている場合には、それに相当する部分の退職手当に係る引当金は計上しない。なお、その場合は運営費交付金から充当されるべき退職手当の見積額を貸借対照表の注記において表示し、その毎事業年度の増加額は行政サービス実施コスト計算書に表示する。
  3. 独立行政法人が中期計画等で想定した運営を行わなかったことにより将来の追加的な退職金債務が発生した場合には、当期において負担すべき追加的費用を追加退職手当引当金に繰り入れ、貸借対照表の固定負債の部に表示するものとする。なお、その場合に当該年度中に追加的な退職手当が支給されている場合には、当該追加分を当期の損益に反映させるものとする。
  4. 上記1、3の引当金及び2の見積額の計算に当たっては、期末の退職手当の要支給額を用いた計算によることができる。

第79 退職共済年金に係る共済組合への負担金の会計処理

 退職共済年金に係る共済組合への負担金は、拠出時に費用として認識するものとし、特別の引当金は計上しない。

第80 毎事業年度の利益処分

  1. 当期未処分利益は、毎事業年度、積立金として整理するもののほか、中期目標の期間の最後の事業年度を除く毎事業年度、目的積立金として整理するものとする。
  2. 当期未処理損失は、毎事業年度、積立金(目的積立金が残っている場合は当該目的積立金を含む。)を減額して整理し、なお不足がある場合は繰越欠損金として整理するものとする。

第81 中期目標の期間の最後の事業年度の利益処分

 独立行政法人の中期目標の期間の最後の事業年度においては、当期未処分利益は、積立金として整理しなければならない。目的積立金及び個別法の規定に基づく前中期目標期間繰越積立金が残っている場合は、積立金に振り替えなければならない。(注40)

 <注40>中期目標の期間の最後の事業年度の利益処分について

  1. 独立行政法人制度においては、中期目標による運営・評価のシステムが導入されており、運営費交付金のルール設定等財務関係においても一の中期目標及びそれに基づく中期計画の期間を一つの区切りとしているところである。実際に多くの個別法においても、この中期目標の期間を一つの区切りとして積立金の次の中期目標の期間への繰越についての規定が設けられているのもその表れである。そのような独立行政法人においては、運営費交付金等をこの中期目標の期間の終了時に精算するという考え方にたっていることから、最終年度に損益計算上の利益が生じた場合であっても通則法第44条第3項の処理は行わないほか、目的積立金や前中期目標期間繰越積立金が使用されずに残っていた場合は、中期目標の期間の最後の事業年度の利益処分時において、積立金に振り替えることを要するものである。
  2. 個別法において積立金を次の中期目標の期間に繰り越す旨の規定が設けられている独立行政法人においては、利益の処分又は損失の処理に関する書類のほか、国庫納付金の計算書の作成を要する。当該計算書においては、中期目標の期間の最後の事業年度に係る利益処分を行った後の積立金の総額並びにその処分先である国庫納付金の額及び前中期目標期間繰越積立金として次の中期目標の期間に繰り越される金額を記載するものとする。

第82 目的積立金を取り崩す場合の会計処理

 目的積立金について、中期計画であらかじめ定めた「剰余金の使途」に沿った費用が発生したときは、その同額を取り崩して目的積立金取崩額に振り替えなければならない。また、「剰余金の使途」に沿って固定資産を取得した場合には、その取得に要した額を取り崩して資本剰余金に振り替えなければならない。


第12回議事録

報告書