首相官邸  
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日・印共同記者会見


平成20年10月22日

記者会見を行う麻生総理

【麻生総理冒頭発言】
 シン氏をお迎えして、日本とインドの間の幅広い分野について、有意義な意見交換を行いました。まず、基本的な価値と利益を共有する日・印両国の協力関係が、着実に進展してきていることを確認しております。
 また、両国の戦略的なグローバル・パートナーシップを前進させるために、さまざまな取り組みを進めることに合意し、ただいま共同声明に署名をしたところです。
具体的成果は次のとおりです。
 1.両国の安全保障協力の促進のため、安全保障協力に関する共同宣言に署名をしました。
 2.経済面では、両国の民間部門において、経済交流の更なる拡大への期待が極めて高いとの認識を共有したところです。これは、本日、両国のビジネス・リーダーが提出した報告書にも表れていると存じます。この関係で、経済連携協定交渉の実質的な進展を歓迎し、早期締結に向けて取り組んでいくことを確認したところです。
 3.重要な段階にありますインドのインフラストラクチャー、社会基盤の整備を支援すべく、両国の協力の新たなシンボルとして、日本の政府はデリーとムンバイを結びます貨物鉄道計画への円借款開始を決定しております。同時に、インドに対する約1,000億円の円借款供与について、交換公文が署名されております。また、デリーとムンバイの間の産業大動脈構想に関する協力についても確認をしたところです。
 4.幅広い分野での人的交流や学術交流の促進です。私が外務大臣時代に構想しましたプログラムによりまして、これまで技術者や留学生、青少年が約3,700人来日をしております。この計画を継続します。また、インド工科大学ハイデラバード校設立に向け、日・印両国の産学官の協力を確認しました。
 地域や国際社会の課題については、東アジアの地域協力、国連安全保障理事会の改革、エネルギー、気候変動、その他緊密な協力を確認したところです。
 世界経済情勢につきましても、地域の主要経済国である、日本・インド両国の連携の重要性について一致したところでもあります。
 また、シン首相から、来年のインド訪問の御招待をいただき、今後調整することとしました。
 本日の会談を通じて、日・印両国の協力には、大きな潜在性があることを改めて確認したところでもあります。今後もシン首相と両国間の協力を力強く進めていきたいと考えております。

【シン首相冒頭発言】
 麻生総理大臣、御列席の皆様、ただいま大変生産的で、実り多い会談を麻生首相と終了いたしました。麻生総理は、インドにとって大変尊敬される昔からの友人であり、麻生総理大臣、また日本の皆様に対し、改めてお礼を申し上げたいと思います。今回の訪日に当たって、私及び政府代表団を受け入れていただきまして、ありがとうございました。
 これが、私の2年前に就任した首相としての2回目の日・印首脳会談となります。これはまさにインドが日・印関係をいかに重要視しているかの証であります。できるだけ頻回に首脳が会談をするということは、やはりインドにとって日本が非常に重要な相手国であり、関係を緊密化したいという思いの表れでございます。この4年の間に、私どもの二国間の関係は大幅に強化されてまいりました。麻生総理と私が署名をした共同声明は、まさに両国が戦略的グローバル・パートナーシップを日・印間で2006年12月に締結して以来の大きな取り組みの前進を示しております。インドにとって日本は重要な経済のパートナーであり、日本から提供していただいた経済協力を大変感謝しております。
 インドは、現在、日本のODAの最大の受入国であります。麻生総理と私は、両国の経済的な交流というものを更に拡大し、それを深めていく必要があるとお話をさせていただきました。
 総理に申し上げました日本のインドに対しての投資の限度というのは、空しかない。事実上限度はないということであり、日本の業界がインドに投資をしていただくことを大いに歓迎したいと思います。継続的に日本がインドに投資をしていただく環境を整備していく所存でございます。できるだけ早期に、質の高い、そして両国に恩恵をもたらす包括的経済連携協定の締結を目指していきたいと思います。両国の協調は、産業大動脈構想という形で近々進むわけですけれども、これがまさに私どもの経済的なパートナーシップの成果を示しております。
 また、安全保障協力に関しても、私どもは更に協力を緊密化することにいたしました。これは平和、繁栄、そして安定に貢献するものであり、アジア全域及び世界の平和、安定、繁栄に貢献するものと考えております。
 また、両国が協力をし、デリー・ムンバイ産業大動脈構想に関する協力も確認いたしました。覚書を交わし、この非常に野心的な、積極的なプロジェクトに関しての取決めを交わしております。
 また、地域・国際社会の課題については、やはり現在の世界の金融市場の混乱を受け、両国が協力・協調をすることによって、この非常に重要な課題に対応していく必要があると合意いたしました。
 日本、インド両国は、新しい成長の中心として、世界の経済的な景気後退の問題に対応していくことができると考えています。両国が共通の関心分野として、エネルギー、安全保障、気候変動、東アジアサミット、国連安保理の改革など、共同に対応していくことができます。また、多国間の問題として、WTO交渉も両国間で協調していく余地があります。首相との間で意見交換をさせていただき、更に人の交流を促進していく必要があると合意いたしました。麻生プログラムという総理のプログラム、青年の交流を更に拡大していくことを私も大いに支援したいと思います。こういった人的交流のために、総理が導入していただいたプログラムを、私自身も後押ししていきたいと思います。
 また、インド工科大学ハイデラバード校の設立、また、ジャイプールにおける情報技術大学の推進に関しても、是非御協力をいただきたいと考えておりますし、来年、是非総理にインドを御訪問していただき、更に対話を深めていきたいと考えています。大変すばらしい会談を持たせていだくことができ、改めて麻生総理に感謝を申し上げます。
 この首脳会談を成功裏に導いていただきまして、麻生総理大臣、大変どうもありがとうございました。

【質疑応答】
(問)
 麻生総理にお伺いいたします。
 両国はEPAを合意したいという意思はお持ちのようですけれども、今回の首脳会談では、大筋合意のところまでも至りませんでした。年内合意を目指している両国として、今、何が問題になっているのか、また問題を打開するためには、どのような方策を取っていくべきなのか、総理のお考えをお聞かせください。

【麻生総理】
 それぞれアジアの中において、第1位と第3位の経済規模を有する日本とインド。そういう両国の経済関係を更に深めるということは、自然の流れだと思います。その中でも、日・印のEPAは、両国の経済関係を更に緊密にし、新たな段階に築き上げていくためにも必要と思っております。
 協定は、今、引き続き交渉中でありまして、その具体的内容につきましては、今、まさに交渉中でありますので、内容につきましては、発言を差し控えさせていただきます。
 しかし、日本としては、これまでの交渉で実質的な進展がいろいろ得られたことに関し、我々も歓迎をします。今日の会談でも、拡大傾向にあります日・印の経済関係というものを更に後押ししていくためにも、このEPAの早期妥結、締結を引き続き目指すということで一致をいたしております。

(問)
 核供給グループNSGがインドに対する核物質の売却の禁止を撤廃しました。日本政府としては、日本企業に対して原子炉部品等をインドに売ることを奨励することになるんでしょうか。それとも、他にいろいろと法律上の制限あるいはその他の困難があるんでしょうか。
 安全保障共同宣言ですけれども、ちなみに、総理が外相の時代、熱心に三国間安全保障協力対話、日・米・印の対話ということに非常に積極的でいらっしゃいました。
 今日の共同宣言というのは、終局的に、日・米とインドの三国間、あるいは中国が特別の対象として、その方向に向かっての一歩なのでしょうか。

【麻生総理】
 御質問ですけれども、今回の原子力の協定につきましては、日・印の原子力協定に関する議論を行っているわけではありません。ただ、将来の日本との原子力協力というものを進めたいという御発言は、シン首相の方からありました。
 これに対して、私はインドが核実験のモラトリアム、継続を含めて約束と行動をしっかりと実施してほしい。日・印の将来の原子力協定については、さまざまな要素がありますので、考慮する必要があるということを申し上げました。
 もう一つの安全保障の協力に関しては、日・印間の協力というのは、日本の安全、ひいては東アジア、南西アジアを含めまして、非常に幅広い地域の平和と安定を確保するためにも大変重要であるとの観点から、インドとの安全保障協力を進めたいと考えております。
 したがって、これがしかるべき第三国、今、チャイナという名前が挙がっていましたけれども、チャイナというものを目標とかターゲットにするというようなことではありません。

(問)
 シン首相にお伺いいたします。今の質問にも関連するんですけれども、アメリカとインドの原子力協定に関連して、今、麻生総理からもあったように、インドは進めたいということで日本との協定に前向きですけれども、日本政府は時期尚早という立場だと伺っております。インド側は日本に対して何を期待しているのか、お聞かせ願いますでしょうか。

【シン首相】
 皆さん、私どもは日本国政府に対して、民生原子力協力の分野では、国際原子力機関の場で支持をしてくださっていること、また、原子力供給グループを通して支持を下さっていることに対して心から感謝しています。
 さて、日本との協力を、この民生原子力の分野で進めたいという希望を持っているわけですが、この問題が日本においては非常にセンシティブな問題だろうということも認識しています。ですから、麻生総理に対して申し上げたのは、私どもとしては、日本政府並びに国民が安心できるペースで進めていきたいと申し上げました。

(問)
 麻生総理に伺いますが、ビジネスのリーダーシップ、あるいは麻生総理は戦略的なインドとの経済パートナーシップ、経済連携の必要性を訴えていらっしゃいますが、日本の企業はインドとの貿易、あるいはインドの投資に対して、なぜ、躊躇の姿勢を示しているんでしょうか。また、日本の政府は、インドの企業が日本の市場にアクセスすることをどうも規制しているように思います。
 そして、シン首相は、中国に行き、アジア、ヨーロッパのASEMのミーティングに出席をする予定でおりますが、日本とインドの間の経済的なパートナーシップが結ばれれば、中国、また、その他のアジアの地域において、こういった経済的な秩序が確立できたと言えるんでしょうか。

【麻生総理】
 質問ですけれども、是非、この数字だけを頭に入れておいていただきたいと思います。この5年間で、日本からインドに対する投資は過去の10倍。それから、会社の数、進出企業の数からいけば、2倍になっています。また、ニューデリーにおいて進出した企業の数で言えば、50年間で100社と思いますが、200社になるのにこの3年です。だから、数字は急激に変わっていますので、是非、その数字は知っておいていただければと思っています。猛烈な勢いで変わりつつあるというのが、このところの日本からインドに関するビジネスマンの意識だと思っています。
 したがって、今のEPAの話につきましても、現実はいろいろなところの難しさを乗り越えて、前に進みつつあると理解をしていただければと思います。

【シン首相】
 御参会の皆様、プレスの皆様、経済連携協定、また、安全保障協定を日印両国間で締結をすることは、第三国を犠牲にしてはいけません。これは中国を含めて申し上げております。インド、中国、また、海外において、私は再三申し上げておりますが、私は心から、インドと中国が決して競争をしているわけではない。世界は、中国、インド、両国が開発の目標を達成することを十分可能にする余地を持っています。
 したがって、日本と経済連携協定を締結することが、決して第三国、特に中国の犠牲の上で立脚してはいけないと考えています。