首相官邸  
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APEC首脳会議内外記者会見


平成20年11月23日

内外記者会見を行う麻生総理


【麻生総理冒頭発言】
 麻生太郎です。先週末のワシントンでの金融サミットに続いて、今週はここリマ、ペルーでのAPEC、アジア太平洋経済協力会議に出席をしました。いささか強行軍ではあったと思いますが、それに応えるだけの成果が挙がったと存じます。
 第一に、APECでは、金融危機への対応について、ワシントンにおける金融サミットの結果をアジア・太平洋諸国の間でも共有できたと存じます。第二に、米国、ロシア、中国など、多くの首脳と個別に会談し、有意義な意見交換が出来たというように存じます。第三番目には、ペルーを公式訪問させて頂き、ガルシア大統領との間で、両国関係の強化に合意が出来たと存じます。
 APECの首脳会議の成果から申し上げます。私から、金融危機の後に来ると予想される不況、いわゆる景気回復のために、各国でマクロ経済政策が必要であること、また、アジア・太平洋地域間における金融協力の強化が必要であることを説明しております。これらの主張はほぼ全て、今回の首脳声明に反映されたと存じます。
 具体的な施策として、次の点を表明しました。日本からのIMFに対する最大1,000億ドルの融資に対して、他の国にも、外貨準備に余裕のあるところは是非参加をしてもらいたい、との呼びかけを行っております。二番目に、アジアや中南米など、途上国・新興国の地場の銀行に資本増強を行う必要がありますので、そのために日本は世界銀行と共同で基金を設立する、総額約30億ドルくらいになると予想されますけれど、そういった点を合意したこと。三番目に、地域協力の一環として、各国に貿易を行うんですが、その貿易には保険がかかっております。その保険に対する信用等がなくなると、貿易がなかなか難しくなる、従って貿易保険の再保険というものを、ネットワークを構築することを提案して、強調しております。
 また貿易面では、保護主義が世界に拡がることを防いで、世界全体の貿易自由化を進めること、それが1929年のいわゆる大恐慌と言われたあの恐慌から我々が学習した教訓でなければならないと存じます。そのため世界貿易機関のドーハ・ラウンドの交渉を年内に大枠合意することを目指すという強いメッセージを出すことを主張し、各国の賛同を頂いております。
 日本としては、表明したイニシアチブを全面的に実行し、経済を成長軌道に戻して、国際社会への責任を果たして行かねばならぬと考えております。
 二国間協議につきましては、各国首脳との会談の成果を、手短に申し上げます。日米韓の3カ国の首脳会談では、北朝鮮問題に連携して対処していくことを再確認しております。日米首脳会談では、ブッシュ政権8年間における日米同盟の深化を確認し、今後とも両国の関係を更に強化していくことの重要性について一致をしております。ロシアのメドヴェージェフ大統領とは、アジア太平洋地域で共に伸びていけるような日露関係の構築という文脈で、領土問題を含めて、極めて率直な議論を行うことができました。中国の胡錦濤国家主席とは、経済・金融危機への対応について意見を交換し、共に努力していくことで一致をしております。
 次にペルーの公式訪問につきましては、ペルーのガルシア大統領との間で、日本・ペルー間の投資協定に署名をしております。また、来年、日本人ペルー移住110周年を迎えるにあたり、二国間関係を一層発展させていくことで一致をいたしました。日系人の方々が、ペルー社会で活躍しておられることに感銘を受けると共に、その御苦労と御努力に対し深い敬意を表する次第です。今回、ペルー政府およびペルーの国民の皆様から、温かい歓迎とおもてなしを頂いたことに対し、心より感謝を申し上げたいと存じます。
 終わりに、この機会に日本国内のことについて一つだけ。元厚生次官を狙ったという男が捕まっております。意見の違いを殺人で解決しようという行為は断じて許すことができない行為だと存じます。真相の究明を急がせると共に、暴力には断固屈しないことを改めて表明して、会見とさせて頂きます。有り難うございました。

【質疑応答】
(問)
 世界経済の回復のために、総理は常々、内需の拡大に取り組むことが重要だと言っておられます。その認識は、今回のAPECでも各国で共有されたと思います。ただ、そうであるならば、日本も景気対策を急ぐべきであって、第二次補正予算案については今国会で処理をすべきだとの声が強まる可能性もあります。しかし、総理は、補正審議には協力するという小沢民主党代表の言葉を信用できないとおっしゃり、今度は小沢代表の方が、それはチンピラの言いがかりのようなものだと、非常に激しい言葉で反発しておられます。非常に経済状況が厳しい中で、二大政党のリーダーが非難合戦しているという状況は好ましいとは思えないのですが、この際、二次補正の今国会提出と迅速な処理について、民主党と真剣に話し合ってみるという選択肢はないのでしょうか。

(麻生総理)
 内需拡大の必要性については、ワシントンでの首脳宣言の中にも含まれています。各国とも理解というものが深まって、これまで外需だけで経済成長をやってきた国々は、内需拡大をやらないと経済成長がなかなか難しい、と言う話を色々個別に話をさせて頂いた結果なんだと思っております。
 二次補正の提出時期につきましては、帰国後、政府・与党の関係者にお集まり頂いた上で、判断をしたいと思っております。
 また、三番目のお話でしたけれど、ちょっとその経緯を知らないんで。(小沢代表が)どう言われたかというあなたの質問だけが、本当かどうかも分かりませんしね。だから、それを素直に信用するほど、ちょっと正確な情報じゃありませんので、答えるのは如何かなぁと思って。あなたの質問に乗ってこっちがまた言うと、それをまた挑発のネタにされて。そっちは飯のタネになるかもしりませんけど、こっちはそういうことにはなりませんから。そういった意味では、国会での党首討論というものを、私何度もこれまで提案しているのは、あなたもよくご存じの通りです。残念ながら応じて頂いたことがありません。従って、国会で堂々と議論するということは、私は全くやぶさかではありません。

(問)
 今回のAPEC首脳会議では、多くの議題について話し合われました。共通の目標として、現下の金融危機の克服について無論話し合われましたが、それに加えて、日本とペルーの二国間関係についても話し合われました。ペルーの移民の扱い、ペルーの日本への移民に対する政策、そしてまた、環境の保全に関する日本からの協力について、是非総理に伺いたいと思います。

(麻生総理)
 現在、日本には、ペルーから日本へ約6万人の方々が来て働いておられます。これらの方々は日本経済に大変貢献されつつ、日本とペルーとの間のものすごく大きな架け橋の役割を果たしておられると、我々はそう思っております。より多くのペルーの方々が日本に来られて、高度な技能というものを持っておられる方も大勢おられます、日本で働いて頂くということは、これは採用する企業にとりましても、また、日本政府としても、大いに歓迎するし、期待をするものでもあります。
 そのため、今、色々な積極的な受け入れというものを推進しているんですが、日本からペルーに来ている方も随分いろいろいらっしゃって、今、ガルシア大統領は水、「万人への水」というタイトルで、上水道、下水道の計画を非常に熱心に進めておられて、日本はこの度172億円の円借款の供与に署名をしたところであります。この水というものは、その国の近代化に、水、上質な水が作られる、保全されるというのは、ものすごく大事です。そういった意味で、日本に来られておられる方々が、この水の技術、水質保全の技術等々を日本で習われる、勉強されるというのは、私はペルーの将来にとってもいいことだと思っております。同時に今、ペルーの東部の方で熱帯雨林などの自然環境を守るために、森林保全とか、また、今、休廃しております鉱山等の汚染対策等というものをいろいろやっているところですけれども、こういったものは最終的に良質な水につながると思いますので、これは、日本とペルーとの間の大きな意思の疎通というものになって、水というものはすごく大きいなぁと、私自身はそう思っておりますので、是非今後ともペルーからの方々に、水のクオリティ、水質についての関心を持って頂くと、将来の発展につながると確信します。

(問)
 WTOのドーハラウンド交渉で年内の大枠合意を目指すということで、総理から主張されて今回の首脳宣言にも盛り込まれたという説明がありました。ただこれは、農業問題などで各国も大変ですが、日本もかなり国内調整が大変だろうと思います。昨日、我々記者団に総理はコメントをされました。「やってみなければ分からない」、「まとまるよう努力する」。これからドーハラウンド交渉の年内の大枠合意を目指して、日本として指導していかなければならない時に、その言葉では今一つ決意が伝わってこないと思います。改めて、年内の大枠合意に向けて、総理としてリーダーシップを発揮されるという決意を示して頂きたいと思います。

(麻生総理)
 これ記者さん、よく分かった上で言っておられるのだろうと思いますが、日本だけが決意してもまとまるわけではありませんから。日本が一生懸命決意しても、(交渉は)7年行っているんですから、7年間ね。ドーハラウンドというのは、度々、色々やっても、まとまらずにここまできた経緯があります。
 ただ今回は、日本という国から見て、金融危機という問題が起きて、これによって世界が保護貿易に走るという確率と、もう一つは、地球環境へ金を突っ込むよりは各国の景気対策にと今世界で考えている2つの問題から、両方ともマイナスの要素に働きかねない、そういう事態が今起きている。これが金融危機から波及するところですよ。保護貿易と環境保全、この2つに影響を与えかねない。
 そこで、各国として今回は、きちんと経済対策、金融対策をやると同時に、この今なんとなく、12月にはまとまりそうもないというドーハラウンドの方は、もうなんとなく投げたような感じがあるのは如何なものかと。もう一回努力してみる必要がないかやってみないと、少なくとも緊急対策にとられて、こちらの方が保護貿易に走ってみたりする。ドルに対して各国皆、(平価を)切り下げているの対し、日本はきちんと(平価を)切り上げて応えている。日本はちゃんとそれに対応して努力している、一方的に平価を切り下げてなどという1920年代にやったようなことはしていない。そういう意味では、我々としては間違いなく、こういうドーハラウンドをまとめる努力はすべきなのではないだろうか、という話で、アメリカもその話に乗っております。
 しかし、これは今言われたように、各国農業というのは、皆、お家の事情があるから、まとまらない訳ですから。そういった意味で、今回は、この種の話をその上でどう調整するかということだと思いますが、日本としては、当然攻めるべきところは攻めなければならないところでしょうけれど、きちんと日本として守らなければならないところもありますので、守るべきは守る、その2点をきちんと腹に据えて、まとめる方向で努力をすべきだと、私はそう思います

(問)
 最も重要な課題の一つは北朝鮮の核問題でありまして、ブッシュ大統領や李明博大統領とも話された問題ですが、北朝鮮の非核化を進めるために、日本はどのような措置をとる考えですか。

(麻生総理)
 北朝鮮の非核化という話は、地域によって随分意識が違うのですが、ヨーロッパにおいてはイランの核、アジアにおいては北朝鮮の核、地域によって差があります。その中にあって、これ、朝鮮半島という所に、やっぱり核が存在するということになると、これは明らかにこの地域、北東アジア地域の安全保障に大きな影響を与えるということになる。従って、この問題は極めて、その地域におります中国、ロシア、日本など、アメリカも含めて、非常に大きな問題なんで、これをずっと我々は六者協議というところで、これまでも交渉し続けてきました。
 昨日は、日本のテレビ番組でブッシュ大統領が個別インタビューに応じてこの問題を話すほど、アメリカ自身もこの問題に対する意識があります。今回は、ブッシュ大統領と韓国の李明博大統領と、全面的に、この問題は、3国間で、引き続き最も大きなこの地域の問題だということで再確認しておりますが、目先で一番大事なのは、議長国の中国に協力してもらって、今そこに核等々の物がないことを検証する、きちんと調査する、検証するという枠組みを作らないと、ちゃんとやりますと言って、この間、テロ支援国家、そういった枠から外れてますけれども、現実問題として実地検証をさせてくれるかと、させるという約束で(テロ支援国家の指定を)外したけれども、今のところ(実地検証を)させてくれそうな気配にはありません。従って、そこはきちんと(実地検証を)するというのを文書で残してもらうという作業を、是非、今年中にとりかかりたいということで、3者、中国を入れて4者で合意をしておりまして、今その方向で事を進めようと思っております。