首相官邸  
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日中韓首脳会議共同記者会見


平成20年12月13日

日中韓首脳会議共同記者会見


【麻生総理冒頭発言】
 本日、ここ福岡に、韓国の李明博大統領、そして中国の温家宝総理をお迎えし、三カ国の首脳会議を開催させていただきました。

 この会議はこれまで他の国際会議の機会を利用して短時間開催したことはありましたが、今回は独立して、三カ国の首脳会議を開催しました。これは歴史上、今回が初めてのことです。私は、この会合を 「第1回 日中韓サミット」 と呼びたいと思います。本日の会合では、今後、この「日中韓サミット」を、持ち回りで、年1回開催することに合意をいたしております。この三カ国は、北東アジアの隣国同士でもあるとともに、ともに世界の主要国でもあります。ご存知かと思いますが、この三国のGDPを足せば世界の16.7%、貿易も同じく16.6%か16.7%と存じます。そうした三カ国の首脳が、定期的に集い、協力を強化していくということは、アジア、さらには世界の安定と繁栄に、大きく資する、画期的な進展でもある、と考えております。

 我々は、先ほど、共同声明に署名をいたしました。声明では、三カ国協力の原則として、開放性、透明性、相互信頼、共益、多様な文化の尊重をうたい、未来志向で、協力を進める決意を、表明しました。

 次に、今回のサミットの主要な成果をご紹介します。

 第一に、世界が今最も問題にしております国際金融・経済問題です。
 この三カ国は、去る11月のワシントンでの、金融緊急サミットに参加しております。そのときの合意内容を、着実に実現していくこと、また、金融市場の安定化のため、国際金融市場安定のため地域協力を強化することでも、一致しました。
 特に、我々、三首脳は、金融市場の安定化に向けて、お互い助けあうため、日本と韓国、中国と韓国の間でそれぞれ、外貨をスワップ、融通の増額が、今般決定されたことを歓迎いたしております。
また、東アジア地域におけます、通貨のセーフティネットである「チェンマイ・イニシアティブ」の強化や、アジア開発銀行の資本増強が必要、との点でも一致しました。
 さらに、アジア各国が、成長力の強化と内需拡大に必要な措置をとり、保護主義と闘うこと、世界貿易機関(WTO)の交渉の進展に、一層努力することが必要、との点で一致いたしております。

 成果の第二は、防災協力です。
 地震、台風、洪水などへの防災体制の強化のため、三カ国の閣僚級会合を来年から始めます。その第1回を、日本が主催することになりました。

 第三の成果として、三首脳で、北朝鮮を含む地域情勢と、環境、軍縮・不拡散などの、地球規模の課題についても、議論をしました。特に、環境問題につきましては、大気や海洋の汚染など、この地域共通の問題について、協力を推進することで、一致しました。

 終わりになりますが、本日の会議で、大変実りある議論ができたことに、温総理と李大統領に、心から感謝いたします。

 次回の「日中韓サミット」は、来年、中国で開催されることになります。
 私は、次回会合の成功に向けて、中韓両国の首脳と、緊密に協力をしてまいりたいと考えております。

【温家宝総理】
 ご列席の皆様、こんばんは。私はここ福岡に来ることができてとても嬉しく思います。麻生首相と李明博大統領とともに、日中韓首脳会議に参加できたことをとても嬉しく思います。今回の会議は非常に効果が上がり、多くの結果を得ることができました。麻生総理と、日本の今回の会議の準備にあたってくださった方々に感謝をしたいと思います。
 中日韓の協力について4つの考えを述べたいと思います。
 中日韓というのは近隣諸国であります。東アジアで重要な影響をもっている国であります。平和的、協力的な発展は三ヶ国が希望しているものであり、そしてこのアジア地域の安定と繁栄に必要不可欠のものです。今回、この首脳会議で発表される三カ国のパートナーシップに関する共同声明は、三カ国のパートナーシップが確立したということを表し、そして三ヶ国の首脳が単独で首脳会談を開催するということは重要なことであり、中日韓の協力が新しい段階に入ったということができるでしょう。来年は中国で第2回目の日中韓の首脳会議が行われます。三ヶ国の首脳会議を調整する国として三カ国の協力が更に進展しますよう心より祈っています。
 現在、世界的な金融危機が蔓延しております。世界の経済に対する影響がより明らかになっております。中日韓はアジア、そして世界の中の重要な経済国として、現在の100年に1度として起こらないような状況に対応しマクロ経済に関する調整と対話を進め、東アジアの金融の協力をしていかなければなりません。貿易と投資の相互交流の便利化を図り、保護主義を避けなければなりません。経済発展をし、この地域、そして世界の危機に対応する力を強めるために積極的な役割を担わなければなりません。日中韓の協力は、東アジアの協力の中の重要な一部です。開放的な協力関係を結び、共に利益を上げる上でも非常に重要なメカニズムとなっています。お互い良いところを採り入れて、共に発展していくことは非常に重要です。発展のチャンスを共有しお互いの発展に更に大きな空間を提供することができると思います。
 今回の首脳会議では防災協力に関する文書も採択されました。この2、3年間の防災に関する協力に対して良い方針、良い方法を示しています。また、東アジアにおける協力にも新たな活力を注いでくれました。その意味では、中日韓の協力は、三カ国の利益に合致するだけでなく、東アジアの協力、各国の友情を発展する上でも非常に大きな意味を持っています。
 第四に、今日は、私は麻生首相と李明博大統領との間で二国間の首脳会談を行いました。二国間で共に関心をもつ問題について、率直に、そして踏み込んだ意見交換を行いました。お互いに理解を深め、多くの問題に関してより多くの共通認識を得ました。中国は、日本と、そして韓国との友好協力関係を長い目で発展させることを重要視しています。それから、韓国国民、日本の国民との友情を非常に大切に思っています。平等に付き合い、同じところを認め、また、異なるところを理解することで仲良く付き合っていけば、我々は必ず友好関係を更に高いレベルに発展させて、地域の発展にも貢献できると思います。

【李明博大統領】
 まず、三カ国の首脳会合を終えて、福岡で開かれたことを非常に意義深いものを感じております。首脳会談を準備してくださった麻生総理大臣に感謝申し上げ、また、日本の国民の皆様にも感謝申し上げます。
  福岡は、大韓民国の釜山と姉妹関係をもっており、広域経済圏として協力関係を有しています。特に三カ国の首脳がこのような域内で三人が会談を行うことは歴史上初めてだと思います。他の国際会議ではお目にかかっていましたが、目的をもって定期的に開くことになったことは初めてであり、三カ国の首脳が話し合ったことでお互いに共通のビジョンをもっているということ、これまで困難であった様々な問題について話し合ってみたところ、共通点も多く合意できることも多かったと感じました。北東アジアの平和だけではなく、金融危機の克服の問題にまで我々が心を合わせて努力していくことによって、三カ国だけでなく、世界の全体の発展に与える影響も非常に大きいという点で大変に歴史的に意義のある会談であったと思っています。
 私は今回の会談で特に金融危機について、実体経済まで難しくなっている現在、三カ国で協力できるよい機会ができたと考えております。平素は協力のきっかけをつくることは難しいのですが、今回はそれをどう克服していくか、また実体経済についてどう捉えていくかについて、全ての国の国際協力が必要であると考えています。しかし、その前に域内の各国が協力することはより重要であると考えております。今回、三カ国が金融危機への協力で合意する、その韓日間、また、韓中間のスワップの金額を高めました。それは非常に意味のあることであり、三カ国における協力を行動に移したということで大変に重要であり、この協力が拡大され、域内の全ての問題において金融、通商様々な問題について協力していけるよう、今回提案されたのは閣僚達が必要なときに随時会い、また、中央銀行の総裁達も定期会合を行うという具体的な事案において進展したと思います。
 今日の会談において、青少年交流のみならず、アフリカの問題といった国際問題を含めて、三カ国が一致した見解を示すことができました。特に、六カ国協議を通じた北朝鮮の核問題に関する協力が必要であるとの点でも合意しました。また、ワシントンでのG20首脳会議やAPECで採択された、各国が財政支出を通じて実体経済を支えていこうという合意のみならず、金融関係においても協力案を模索することができました。本日の首脳会議では、金融危機を克服する上で、保護主義を避ける必要があるといった合意を含め、G20首脳会議やAPECでの合意事項に積極的に同意し、裏付ける手順を踏むことができました。また、先ほど、日中首脳から話しのあったとおり様々な合意がありましたし、共同合意文を発出することができたことも意義深いことであると考えています。
 今日、地域間の協議のみならず、ASEAN+3、アジア全体の協調として実体経済の危機に備えるべく、三カ国の協力が非常に大切です。また、本日の首脳会議は多くの国々が大きな関心を持って見ています。そうした意味で、今回、三国の協力関係を築くことができたことは歴史的であると考えますし、そしてそれを行動計画として、行動を実施することで合意できたことも意義深いことであると考えます。改めて、麻生総理に成功裏に会議を準備していただいたことに対し、また温家宝総理に対しても、感謝申し上げたいと思います。

【質疑応答】
(問)
 麻生総理に伺います。今回、日中韓首脳会談が、初めての単独開催となりました。この会談を行う意義についてどのように考えるか、それから、今回の会談の中で、北朝鮮の核問題や拉致問題で総理と各首脳との間でどのようなやりとりがあったのか、伺います。

【麻生総理】
 今回の意義は、歴史の必然と言えるのかと思っています。基本的には、三カ国は政治的にも経済的にも非常に大きな存在となっています。この三カ国を合わせた経済力の大きさからいきましても。そういった意味で、これまで隣同士の三カ国首脳が会うことがなかったことがむしろ不思議なことでありまして、今、李明博大統領のお話にもありましたように、今回の金融危機がこの三カ国の会談というものを促進させた面はあると思いますが、いずれにしても三カ国が手をつないでやっていくということは非常に大きな意義があると思っていますし、未来志向の枠組みで対話をスタートさせることは画期的な意義があると思っています。
 それから、拉致の話を含めまして、北朝鮮の話については、三カ国を含め、韓半島の非核化の問題は非常に大きな問題なのであって、六者会合の枠組の中で緊密に連携していくことが大事であると一致しています。やはり、三カ国がバラバラではなく、まとまって対応していく、北朝鮮と話をしていくというのが大事なのであろうと思っております。また、私の方からは、核の問題以外に、我々には拉致という問題がありますので、是非こういった日朝関係の前進につき力添えを、というお願いをし、日本の努力というものに理解をいただき、また支持をしていただけるということであります。
私の方からは以上です。

(問)
 温家宝総理に伺います。今回の破壊性が高い金融危機、中国政府としてこの地域の経済と金融安定のためにどのような努力を行ったのでしょうか。

【温家宝総理】
 この問題に関して、3つお話したいと思います。
 第一に、中国は現在、様々な措置を講じて、内需の拡大に努めています。そして、経済が安定的に発展していくよう努力しています。この地域の経済と金融の安定にとって非常に積極的で重要な意義があると思います。マクロ経済政策を調整し、比較的緩やかな通貨政策を講じています。10の措置を講じ、2年間で4万人民元を投資します。そして農村のプロジェクト、医薬、衛生、教育、文化等の社会事業を進めていきたいと思っています。さらに、水利事業、鉄道、高速道路、飛行場などのインフラ整備を進め、省エネ、汚染排出の削減を進めています。また、我々は内需拡大と経済成長の促進のための9つのプロジェクトを実施しています。流動性の確保、中小企業に対する信用貸し付けの保証、紡績業、エネルギー、冶金、機械、石油化学、建材などの9つの領域の計画をさらに推進し、特に企業に対して技術改革、構造調整を行っていきます。家電を農村に普及させ、農民により多くの家電や農業機器の購入を進めていきます。企業と住民の税負担を減らしていきます。そうすることによって、住民の医療負担の削減、農民の収入や教師の待遇のレベルの向上を図り、都市と農村の医療・保健のレベルを上げていきます。中国は東アジアの中で最も大きな輸出市場です。毎年5000億ドル規模の商品を輸入しています。中国経済が安定的に発展し、多くの需要が確保されれば、この地域のほかの国に多くの発展の機会を提供することができます。また、貿易相手国に対しても、より多くの就職機会を提供することができます。つまり、中国経済の安定的発展は金融安定の維持につながり、地域経済の発展にも重要な意義を有しています。われわれは常にこのことを強調してきています。
 第二に、中国は他の東アジア諸国と協力して金融危機に対応していきたいと思っています。今回の会議では、我々は地域の経済協力の強化について様々な議論を行いました。我々は、アジア債券市場、チェンマイ・イニシアティブの実行などについても議論しました。中国は、各国との通貨交換協定の締結などを通じ、金融市場の安定を図ろうとしています。これらの措置を通じて、地域の国々が金融危機を克服して経済発展を維持していくことができると思っています。また、国際社会もこの地域に対する信頼を高めることができると思います。
 第三に、我々は、東アジア、中日韓の協力を利用して、各地域の国々の協力の推進にも力を入れています。例えば、地域の協力、農業の発展、二国間の自由貿易協定の交渉等、様々な協力を行っています。各国は経済発展の力を強化することで、金融危機を克服し、実体経済を守ることができると思います。今回の金融危機は本当に深刻です。中国政府は責任を持って、東アジアの国々とともに、様々なリスクに立ち向かい、協力の中で共に利益を上げてこの危機を乗り越えていこうと考えています。

(問)
 李明博大統領に伺います。 我が国は、ブラジル、イギリスとともに、次回金融首脳会議の開催国となっています。多様な途上国、先進国が参加し、様々な意見があると思いますが、今後、どのような構想をもって調整を行っていくのでしょうか。また、今週、北京で六カ国協議が開催されましたが、その成果について三カ国首脳はこの六カ国協議を今後も守っていこうという形で合意されたと聞いているが、今後、どのような方向に導いていくのでしょうか。

【李明博大統領】
 2つの質問がありました。
 まず、4月2日ロンドンで第2回金融首脳会合の開催が決まっています。この会合では、金融監督機能、国際金融機関の改編問題等について、4つの分科に分かれてG20の全ての国が参加し、韓国、英国、ブラジルが共同調整機能を担当することになっています。
 このような国際機関の強化の必要性については、ワシントンでの金融首脳会合で原則的に合意しています。先進国と開発途上国が歴史上初めて合意しましたので、今後は、先進国と開発途上国との意見を調整し、特に、先進国と途上国の間では先進国が強くなる可能性があり、非常に難しい問題ですが、本日の首脳会議でも議論されたとおり、アジアでは韓中日が事前に調整をしていきたいと思っています。この機会に改めて地球上二度とこのような金融危機が発生しないよう、世界の全ての国が努力すべきであり、それが可能であると考えています。
 六カ国協議については、多くの国が失望しました。しかし、究極的には、北朝鮮の核を放棄させ、変化させ、北朝鮮の住民の幸福を追求していかなければならない、この目標は必ず達成する必要があると考えています。もちろん、大変困難な問題ですが、時間がかかっても解決しなければならず、解決可能な問題です。北京の六カ国協議において初めて北朝鮮を除く5カ国が根本的な問題に関し合意を見出しました。しかし、北朝鮮の協力を得られず、根本的な解決には至りませんでしたが、議長国の中国が大変な役割を果たしていただけました。北朝鮮の核問題は、過去10年間失望的ではありましたが、少しずつ前進しているのも事実です。後退したことはありません。今後も、ゆっくりであり時間がかかっても、六カ国協議参加国が忍耐をもって協力していかなければならないと思います。特に米国のオバマ政権発足後は、本格的にこの問題に協力していくことになると思います。 今日、三カ国の首脳がこの問題においても意見が一致しました。そして、米国、ロシアの協力を得て、この問題を共同の認識をもって解決していくことで、効果的に対応していくことが可能であるとの意見を交わしました。希望を持って、長く忍耐をもって必ず解決していくべき問題であるとの認識が必要であると考えています。