首相官邸  
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麻生内閣総理大臣記者会見
― 21年度予算編成等 ―


平成20年12月24日

記者会見を行う麻生総理

  政府インターネットテレビ

 ● 参考資料

【麻生総理冒頭発言】
(はじめに)

 今般、平成21年度当初予算、及び20年度第2次補正予算をまとめさせていただきました。
 そこで、国民の皆様に今回の予算に込めた私の意図を是非説明したいと存じます。
 生活防衛のための大胆な実効予算、私は新年度の予算をこう呼びたいと存じます。

(景気対策・生活対策)
 今回の予算はまずもって国民の生活を守るための予算であります。世界が100年に1度と言われるような不況に入りつつあります。異常な経済には異例な対応が必要です。
 日本もまたこの世界不況の津波から逃れることはできません。しかし、大胆な対策を打つことで、世界で最初にこの不況から脱出することを目指します。
 こちらのパネルをごらんください。
 10月に第1次補正予算を成立させました。続いて先日第2次の補正予算を具体化をさせております。そして、今日、平成21年度の予算を編成しました。これら3つを切れ目なく、言わば3段ロケットとして進めてまいります。
 これら3つを合わせますと、事業規模で約75兆円となります。予算と減税額で12兆円、国内総生産、いわゆるGDPでも約2%になります。諸外国の中でも最大規模の対策であります。

(具体的内容)
 これらの対策により皆さんの生活がどうなるか。もう少し具体的にお話しをさせていただきたいと存じます。
 2枚目のパネルをごらんください。
(1) まず、雇用です。
 雇い止めになった派遣労働者のために住居を確保します。特に雇用促進住宅での受け入れは、既に実施し始めておりまして、1,000戸程度の入居者が既に決定をいたしております。
 派遣労働者、内定を取り消された学生、年長フリーターを正規雇用した事業主に対して50万円から100万円助成をいたします。雇用保険料も引き下げます。標準的な世帯で年間約2万円に当たります。
 また4,000億円の基金をつくり、新たな雇用を生み出します。例えば高齢者の介護補助、配食サービスなどを未来に向けた事業につなげていきたいと思います。
(2) 定額給付金1人当たり12,000円をお渡しいたします。子供や高齢者のところには20,000円、子供2人の4人家族で64,000円になります。是非使ってください。そして、少しでも家計にゆとりが出ればと思っております。
(3) 少子化対策も重要です。妊婦検診を14回分すべて無料にします。
 出産育児一時金も4万円引き上げて42万円にします。子供を産むのに現金は不要としたいと考えております。
(4) そして減税です。
 住宅ローン減税を過去最大の600万円に引き上げます。ローンでなく、自己資金で省エネ改修やバリアフリー改修しても減税します。
 また、環境にやさしい自動車というものを購入すれば、自動車重量税、取得税を減税します。
 例えば価格200万円のハイブリッドの新車の場合には、普通の車で言えば14万6,700円の税金がかかるのに対し0円になります。
 中小企業が従業員の雇用を守りつつ、後継者に引き継がれた場合には、相続税と贈与税を猶予します。これで地域社会、コミュニティーというものが維持されやすくなります。

(重要課題推進枠)
 次に3枚目のパネルをごらんください。
 21年度予算では、3,300億円の重要課題推進枠を活用し、生活を防衛し、企業の底力を発揮させたいと考えております。
(1) 医師不足や、また、救急医療対策に力を入れます。ドクターヘリを増やしたり、救急病院への支援を強化します。難病対策の範囲も広げ、新型インフルエンザの対策も行いたいと考えております。
(2) また、消費行政というものを強化していくためには、消費者庁を創設します。国民の消費に対する安心向上につなげたいと考えております。
(3) 食料自給率の向上も重要な課題です。水田での麦などの作付拡大、耕作放棄農地の解消を支援します。
 そのほか、話題のiPS細胞、再生細胞などの先端技術の研究にも重点的に予算を配分したいと考えております。

(道路特定財源の一般財源化)
 なお、21年度から道路特定財源はすべて一般財源化します。
 すなわちガソリン税を道路整備に使うという従来の縛りをやめて、道路以外のものにも使えるようにします。社会保障費にも回します。

(財源・中期プログラム・行革)
 次に、これらの対策の財源について説明します。

1.税収について
 まず、税収です。急激な経済の落ち込みによりまして、国税と地方税を合わせて21年度は、前年度に比べて11兆円という大幅な減収が見込まれております。この減収分は赤字国債や、赤字地方債の発行で補わざるを得ません。

2.緊急対策の財源
 他方、今回の対策のうち、第2次補正予算分については、一切赤字国債に頼ることなく財源を捻出をいたしております。また、対策のうち21年度予算に係る分については、その大半を特別会計の積立金、剰余金を活用して、赤字国債の発行は極力抑えることとしました。
  これに加えて基礎年金の国庫負担分の割合を2分の1に引き上げます。年金財政を安定的なものにするためのお約束でもありました。その財源も赤字国債ではなく、財政投融資特別会計に積み立ててあります準備金を活用することとしました。
 しかし、これらはいずれも臨時の財源でありまして、安定財源とは言えません。特に社会保障制度を安心なものにするためには、安定的な財源をいかに確保するかが最大の課題になります。

3.中期プログラム
 そこで社会保障と税財政に関します「中期プログラム」を閣議決定しました。消費税を含む税制抜本改革を2011年度より実施できるよう、必要な法制上の措置をあらかじめ講じることを決めたところです。
 この増税は社会保障、年金、医療、介護を安心なものにするためのものです。子や孫にツケを回さないためのものであります。
 私は短期は大胆、中期は責任と申し上げてあります。その具体化の第一歩を踏み出すことができたと存じます。

4.行政改革
 勿論、無駄な支出は徹底的に省く必要があります。そのために次のような行政改革を行うことにしました。

(1) 公益法人向けの支出の切込みを18年度の9,400億円から、約4割削減します。
(2) 独立行政法人雇用能力開発機構廃止、移管します。私のしごと館の業務も廃止します。

(おわりに)
 これらの予算を1月5日に招集する予定の通常国会に提出します。そして、できるだけ早く成立させたいと思っております。
 早期に成立させ実行することこそが最大の景気対策になると確信するからです。これが日本の経済を、そして、日本の将来を決めます。
 来る国会はこれまでの国会とは違ったものになるでしょう。国会の意思決定能力が問われます。国民が国会に問うもの、それは経済危機から国民生活を守ることができるか否かだと思います。国会の意思と覚悟が問われていると思います。
 政府与党としては最善と思われるものを提出しております。野党にもよい案があるなら大いに議論をしたいと思います。ただし、いたずらに結論を先送りする余裕はありません。
 一部には、選挙だ、連立だ、政界再編だといった議論があるのはよく承知しております。しかし、今は100年に1度と言われる経済危機の真っただ中にあります。そんなことを言っている場合ではありませんし、またあり得ないと存じます。
 私は国民生活の防衛のためならば何でもやる。やり抜く覚悟であります。どんな批判も恐れず先頭に立ってこの危機に立ち向かいたいと決意を新たにしております。是非国民の皆さんの御鞭撻、御叱正、御理解をお願いを申し上げます。
 私の方からは以上です。


【質疑応答】
(問)

 まず、先ほども御説明がありましたが、先ほど閣議決定された中期プログラム(案)のことについてお伺いしたいんですけれども、社会保障の国民に安心を与えるために消費税率を含む税制の抜本改革を10年度からやるとしたプログラム(案)を決定されたと、具体的に消費税率をどのような幅で上げることをお考えになっているんでしょうか。
 与謝野大臣は、先日もテレビで15年までには8.5〜10%ぐらいにしたいと発言されていますけれども、総理は具体的にどのような幅で消費税率の引き上げを考えてらっしゃるか。
 あと与党内、特に公明党は消費税率引き上げに難色を示していますけれども、その説得、調整は、どのようにかかっていくおつもりなのか、その2つについてお伺いしたいと思います。

(総理)
 まず最初に、消費税増税につきましては、その増税された分を社会保障関連に集中させて使う、いわゆる国民福祉目的税とか、いろんな表現がありましたけれども、そういう目的に集中させて使う。これが、我々としては今の中福祉を維持していく上で、中負担をお願いする背景であります。
 そして、その幅につきましては、今、御質問がありましたけれども、今後政府・与党で検討していく話であって、今この段階で何%というのを決めているわけではありません。
 公明党のお話は、今、御質問がありましたけれども、過日の中期プログラムの決定に当たりましても、公明党の御理解をいただいた上でこの話を決めさせていただいておりますので、この話でごちゃごちゃもめるようなことにはならないと思っております。

(問)
 通常国会への姿勢についてお伺いしたいんですけれども。

(総理)
 何についてですか。

(問)
 通常国会に臨む姿勢についてなんですけれども、給付金について、民主党は法案から分離するように求めていて、そうじゃなければ代表質問に応じないという姿勢も既に示しています。そういった民主党との話し合いに応じる考えがあるのかどうか。
 それと、応じなかった場合、非常に対決姿勢が強まって、国会が紛糾することが予想されるんですけれども、衆参で予算を同時審議するとか、つまり先ほど総理は決意を示されましたけれども、その辺はどこまで強気の運営をしていく考えをお持ちなのか、そこで例えば本当に立ち行かなくなった場合、解散に打って出るような覚悟まであるのかどうか。そうした姿勢や決意についてお聞かせください。

(総理)
 今、定額給付金の分離の考えはありません。これは、我々はベストなんだと思ってつくり上げておりますし、それだけ外してという話で話し合いをするつもりはありません。
 国会がどうなるかというのは、ちょっとその場にならないと何とも申し上げようがありませんので、国会対策委員会、議院運営委員会などの現場の話になると存じます。
 また、それによって、これは国民生活にとって極めて重大な問題であって、減税を含めます多くの法案というものが、対決のままでいくというのは私の想像を超えているんですけれども、いずれにいたしましても、こういったものは我々がベストと思ってつくり上げておりますし、また、今回の生活防衛という観点からいきましたら、世界に先駆けて大きな不況の波から脱出する目的のためには、1日も早く成立させることこそが、最大の景気対策になると私は確信をしております。

(問)
 今回、100年に1度の経済危機ということで、大胆な財政出動を強調されておりますが、今回の予算編成に当たって、例えば2,200億円の社会保障費の抑制枠、これは200億円ちょっとにとどまったり、また、シーリングの閣議決定のやり直しという異例の経緯をたどっております。
 その中で、本来ならば、まず、財政再建路線というものを一体どうされるおつもりか説明をいただいた上でするのが1つの手ではないかと。
 あと、2011年度のプライマリーバランスを黒字化するという目標は、事実上不可能だと思うんですが、その点についてはどうお考えでしょうか。

(総理)
 景気対策というものは、最初に申し上げましたように、短期は大胆、中期は責任ということを申し上げておりますので、今回の予算というものに関しましては、短期、とにかく来年の話ですから、そういった意味では国民生活と日本経済を守るため大胆な予算ということになります。
 併せて中期的なことというのであれば、今、申し上げましたように、2011年というものを考えながら、税制の抜本改革を実施する、いわゆる責任というものをきちんとしているんだと思います。
 そういった意味で、今、御質問の言われる意味はわかりますけれども、我々としてはきちんとした、この異常な事態には異例な対応をもって当たる。それ以外に、今の景気から脱出するというのは極めて難しいと、私はそう思っておりましたので、是非、この点につきましては、我々としては、とにかく来年の景気というものは、世界中急激に落ち込む、我々の過去のデータを見ましても、景気の落ち方の角度が戦後60年間一番激しく落ちていくような予想を、各調査機関、研究機関などなど出されておりますので、御存じのとおりです。
 したがって、それに対する対応も我々は思い切ったことをやらねばならぬと思って、今回の予算編成をさせていただきました。

(問)
 財政再建路線をどうするかというのにお答えになっていないと思うんですが。

(総理)
 2011年度に目指すということは、財政再建を目指すということと同じことだと思います。それを何もやらないというのであれば問題です。

(問)
 今の質問とも関連するんですが、ということは、総理は「骨太方針2006」というのは基本的には維持していくということなのか、そこがはっきりしないために、やや今年の予算もメッセージ性に欠けるという批判もあるんですけれども「骨太方針2006」は、麻生総理としては、とりあえず見直す考えはもうないということでよろしいんでしょうか。

(総理)
 今、今年度の予算を編成するときには、いわゆる2006年度の骨太方針というものの基本というものを我々は十分に配慮した上でいろいろやらせていただいております。したがって削るべきところは削る、増やすべきところは増やすということでいろいろ努力をしたところであって、2006年のいわゆる骨太方針を丸々放棄してやめたということを申し上げているわけではありません。

(問)
 「中期プログラム」の関係なんですけれども、来年は衆院選があります。衆院選のマニフェスト、与党のマニフェスト、自民党のマニフェストと2つありますが、どのように「中期プログラム」の消費税に関わる部分を書き込むのか、特に自民党のマニフェストにはより総理の意向を反映させたもの書き込もうというおつもりなのか。その辺をお聞かせください。

(総理)
 今回書かれました「中期プログラム」というのが出されておりますけれども、我々としては、2011年、将来我々は年金を崩壊させることなく、年金を安心したものとして、今後とも使えるものとしていくためには、我々としては是非ということで、このプログラムを出させていただきました。
 増税の時期につきましては、3年以内の経済状況を踏まえつつということは、前提として書かせていただいておりますので、責任ある政治というもので国民にお願いするということだと思っております。

(問)
 今、消費税の引き上げに関して、経済状況を踏まえてということをおっしゃいましたが、これは経済回復が前提になると考えてよろしいんでしょうか。

(総理)
 これは、経済のものすごく難しい数字の話になると、とてもじゃないけれども経済部の話になるのかもしれませんが、基本的には経済というものが回復しきった次には景気は後退しますので、どこをもって景気回復かといわれるのは、これは経済学でいろいろ意見の分かれるのは御存じのとおりです。
 したがって、前回5%に引き上げたときは、いわゆる景気がピークだったといわれるときに引き上げておりますので、どんと落ちたのはもう御存じのとおりです。見積りに間違いが大幅に出たというのが過去の歴史ですから、ああいうことから学習しなければならないと、基本的にそう思っております。

(問)
 先ほど、総理の方で国会運営の覚悟を示されましたが、改めて伺いますが、なかなか民主党の協力を得るのは容易ではない状況なんですけれども、補正予算、そして来年度の当初予算を成立させるためには、現実問題、衆議院の再可決という手法を念頭に置きながら国会運営に当たらざるを得ないと。しかし、そういうことを乱発すると、政権に対する国民の見方が厳しくなっていくということもあると思うんですが、その辺り、どのような覚悟で国会運営に臨んでいきますか。

(総理)
 減税法案というものを我々はいろいろな形でお示ししたとおりですけれども、その減税法案というものを我々は通すために、3分の2の我々の手法を使わせていただくということに関して、国民からそんな反発が出るでしょうか。私は、基本的にこれが通らなければ減税にならないという状況に置かれるということになるにもかかわらずに、それを通さないとか、引き延ばすということの方が国民からの理解を得にくいのではないかと、基本的に今の景気と厳しさというものをわかっている国民にとりましては、この減税というのは、極めて大きいと思っておりますので、その意味でこの種の関連法案が通らないということは、私どもとしてはなかなか考えにくいと基本的にはそう思っております。