首相官邸  
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麻生内閣総理大臣記者会見


平成21年3月31日

記者会見を行う麻生総理

  政府インターネットテレビ


【麻生総理冒頭発言】

1(新しい経済対策)


 去る3月27日に、平成21年度予算と関連法案が成立いたしました。私は、予算の早期成立が最大の経済対策であると申し上げてまいりました。これで、景気対策の3段ロケットが完成したことになります。

(これまでの成果)

 既に実施いたしております、平成20年度の第1次、第2次補正予算は、大きな成果を上げていると存じます。
 例えば
 (1) 中小企業の金融支援につきましては、緊急保証と特別融資とで、これまで約50万件、10兆円が実行に移されております。現実問題、これは約300万人を超える従業員の雇用の安心につながったということになろうと存じます。
 (2) 雇用調整助成金は、従業員を解雇しない企業を支援するお金のことです。本年2月だけで、187万人の雇用の下支えをしたことになります。
 (3) 地方の高速道路につきましては、28日から休日はどこまで行っても1,000円が始まりました。多くの方々に利用していただいております。

(新年度予算)

 その上に新年度予算が加わることになります。

 (1) 国民生活を守るために、雇用対策や医師確保や緊急医療対策、そして出産支援などに力を入れていけると存じます。
 (2) また、地方交付税を1兆円増額したほか、地方や企業を支援する施策を盛り込んでおります。

 これらの効果を早期に発揮させるためには、その執行の前倒しが必要だと存じます。
 地方公共団体に対しても、その協力を求めてまいります。

(新しい対策)

 しかし、なお日本は経済危機ともいえる状況にあろうと存じます。そのため、新しい経済対策を策定いたしたいと存じます。
 今やらなければならないことは、基本的に3つです。
 1つ、景気の底割れを防ぐこと。
 2つ、雇用を確保し、国民の痛みを和らげること。
 3つ、未来の成長力の強化につなげることです。

 景気対策のために、需要を拡大するとともに、安心に力を入れることが必要です。
 生活者の安心を確固たるものにする。すなわち雇用や社会保障、子育て支援などの充実が求められていると存じます。
 また、未来への成長につながるような、新しい分野への投資が重要であります。

 まさに政府の役割、財政の出動が求められていると思います。
 これまでの経緯にとらわれることなく、大胆な発想で、最大限の努力を行いたいと存じます。
 政府・与党で早急にとりまとめ、国民の皆様にお示しをいたしたいものだと考えております。

2(成長戦略)

 次に成長戦略についてお話いたします。短期的な経済対策の先には、中長期の経済成長が必要です。
 どのような経済社会を目指すのか、将来像や目標を具体的に明示し、その実現に向けたシナリオを描いております。
 そして、官と民とがともに行動することで、新たな市場や雇用を創出いたします。
 早急にまとめたいと存じます。

 第1の分野は、低炭素革命です。
 環境エネルギー分野は、日本が世界で最も強い分野です。例えば太陽光発電や環境にやさしい自動車、日本の技術で低炭素革命を先導いたしたいと存じます。
 第2の成長戦略は、健康・長寿社会の実現です。
 日本は、世界最速で高齢化が進んでいますのは御存知のとおりです。だからこそ日本で活力ある、明るい高齢化社会というものを実現したいものだと考えます。
 例えば介護の職場で、希望が持てるようにしなければならないと考えます。
 第3の分野は、日本の底力の発揮です。
 日本には安全また文化といった国際競争力のある観光資源があると存じます。
 また、アニメーション、ファッション、Jポップいろいろありますが、日本のソフトパワーは世界に冠たるものがあります。
 残念ながら、今、それは国際的なビジネスにはつながっていないと存じます。
 日本の魅力や底力を産業につなげることで、地域に活力を与え若者の雇用を増やしたいものだと考えております。

(アジアの成長支援)

 更に、中長期の成長戦略は国内だけを見ていても描けないと存じます。国境を越えてアジア全体で成長するという視点が大事だろうと存じます。
 このため、日本はアジアでの広域インフラの整備などを通じた域内の需要拡大をODAや民間資金を活用して支援をしたいと存じます。
 4月にタイで開かれる予定の東アジア首脳会談の場で、私はこうした取組みの推進役の先頭に立ちたいものだと考えております。

3(ロンドン緊急サミットに向けて)

 さて、私は今夜ロンドンに向けて出発します。緊急経済・金融サミットが開かれ、世界の20か国以上の首脳が集まる予定であります。

 昨年11月、第1回のサミットがワシントンで開かれたのは御存知のとおりです。
 その際、私が主張した不良債権の迅速な処理や、金融市場に関する規制と監督に関する国際協調などは、既に共同声明に盛り込まれ、各国において進められております。

 例えば不良債権の処理です。
 日本は1990年代の経験から、その際には金融機関に資本注入をする場合、厳格で公正な資産評価と経営健全化へのインセンティブの付与が必要不可欠だと申し上げてきました。
 最近アメリカで発表された金融安定化策は、こうした方針に沿ったものです。これを歓迎するとともに、一刻も早い実行を望みます。

 また、世界の金融市場が逼迫していることについては、私はIMFに対して1,000億ドルの融資を行う意図を表明し、先般、取り極めを締結をしております。

 その後、EUも日本にならってほぼ同額の融資に同意をしております。日本としてはこの際、さらなる提案を行うことにより、世界経済にとって必要な資金が円滑に供給されるよう主導的な役割を果たしていきたいと考えます。

 更に、世界的には、輸出入のために資金手当というものが難しくなってきております。信用が収縮しているからです。これを放置すると、輸出入取引自体が縮小していくことになります。このため、日本は貿易に対する保険や融資を活用して支援を行っていきたいと考えております。

 今回のロンドンサミットにおいては、こうした基本的な方針に沿って議論を深め、さらなる具体的な成果を得るべくリーダーシップを発揮していきたいものだと考えております。

4(おわりに)

 最後になりましたが、平成21年度予算が成立しました。しかし、なお重要な法案がたくさん残っております。
 ソマリアなど海賊対処法案、消費者庁の法案、年金の財源を安定的にする法案等々です。
 それぞれ国民生活や国際貢献にとって不可欠なものだと思います。私はこれらの早期成立に全力を挙げたいと存じます。


 明日4月1日は新学期や新年度が始まります。
 新しく学校に入られる学生さんや、新しい職場に就かれるフレッシュマンも多いと思います。
 大きな希望とともに、少しの不安もお持ちだと存じます。 皆さんの未来というものは、明るいものにしなければならないと考えます。

 私が総理大臣の重責を担うことになりましたのは、ひとえに、この日本を元気にするため、そして、安心できる社会をつくることであると、そう心得ております。
 そのために全身全霊をささげる覚悟です。

 国民の皆さん、希望を持って、ともに進んでいこうではありませんか。
 ありがとうございました。


【質疑応答】
(問)

 総理、本日、新経済対策を指示されましたが、その新経済対策の裏付けとなる09年度補正予算案について、与党内では早期に国会に提出してほしいという要望が高まっております。総理としては、今国会に提出される御意向なのかどうかということをまず1つお聞きしたいと思います。
 それから、提出された場合、今国会での成立まで図っていくのか。併せまして、提出の時期、それから補正の規模等々についてもお願いいたします。

(麻生総理)
 本日、政府・与党に対して、公明党の太田代表とともに、現下の経済状況を考えて、4月中旬までのできる限り早い時期に経済対策をまとめてほしいと指示をしたところです。その中には、補正予算というものも、その提出が含まれるということであります。
 提出の時期、規模につきましては、これは対策の内容次第によって決まってくると思いますので、今、この段階で総額幾らということが決まっているわけではありません。そして、出した以上はできるだけ速やかに成立させるように、我々としては最大限努力をしていきたいと考えております。

(問)
 北朝鮮が人工衛星として弾道ミサイルの発射を強行した場合の日本政府の対応についてお伺いしたいと思います。 国連安全保障理事会の常任理事国の中でも、北朝鮮のミサイル発射に対する考え方は温度差が見られますけれども、日本政府として、国連の場でどのような主張をしていくおつもりでしょうか。また、併せて、国連の安保理の場で何らかの決議を求めていくお考えはおありでしょうか。お伺いします。

(麻生総理)
 北朝鮮によるロケット、あるいはミサイルの発射は、当然のこととして、北東アジアの平和と安定というものを損なうものであります。また、当然のこととして、これまでの国連の安保理事会の決議にも反する。
 北朝鮮は、まず発射を自制すべき。当然です。この点につきましては、アメリカ、韓国、中国、ロシアを含め、一致をしております。また、北朝鮮に対しても日本の立場は既に伝達をしております。ロンドンのサミットの場においても、当然のこととして、各国首脳と緊密な連携を確認しなければならないところです。それでも、北朝鮮が発射を強行した場合には、まず国連の安全保障理事会において、しっかりと議論をする必要があるだろうと思っております。 日本としては、具体的な発射がどのような形で行われるのかを踏まえない段階で、安易なことを申し上げるわけにはいきませんが、安保理事会においてのいわゆる決議の可能性も念頭に置きつつ議論をしていく。当然のことだと存じます。国際社会が一致して行動するということが、この際、最も肝要、最も大事なところだと思っています。

(問)
 財政再建について伺います。
 総理は、先ほど財政出動については、過去の経緯にとらわれることなくと言われましたけれども、所信表明演説で目標達成に努力すると言われた2011年度までの基礎的財政収支の黒字化という目標は、これはもう断念されるということでしょうか。
 それと、もしそういうことであれば、今後は財政再建をどういった道筋で作っていくのかという点についてお伺いいたします。

(麻生総理)
 2011年のいわゆる財政均衡を目指すということにつきましては、基本的には我々としては、こういったものは最も大事な旗の1つですから、これは掲げ続けていかなければならぬものだと思っております。
 ただ現実問題として、今、置かれております状況を見たときには、その状況は極めて厳しい状況になってきておるというのは、否めない事実だと存じます。我々としては、この財政再建というものに関しては、最初から申し上げましたように、目先3年間は景気対策。そして、中期的には財政再建と申し上げてきたところでもありますので、私としては、まず景気対策が最優先するというように御理解いただければと存じます。

(問)
 総理に2点お伺いします。
 総理は、生前贈与を促して消費を刺激するという狙いで、贈与税軽減について検討に値するということを御発言されていると思います。税制改正というのは、年度途中で行うのはかなり難しいと言われているので、なかなか難しいとは思うんですが、追加経済対策あるいは補正を考える意味では、年度途中の税制改正も排除せずに検討されていきたいというつもりで税調側と調整していくということでよろしいのかどうかが1つ。
 財政再建でもう一つ。消費税について、総理は去年10月に、早く経済が好転すれば、3年後の消費税引き上げということをおっしゃられていましたが、早ければ来年、税率は明示しないものの、具体的な引き上げというか、引き上げ時の仕組みを仕組んだ法案を出そうという議論もありますけれども、状況的には難しいのではないかなと思うんですが、その点について、総理は今どのようなお考えにあるのかお教えください。

(麻生総理)
 贈与税の方から。御存知のように、今、個人金融資産は正式にわかっているだけで1,430兆円ぐらいあると言われております。その多くの額が高齢者によって保有されているというのも、よく言われているところです。この金融資産をどのように活用し、いわゆる需要の創出につなげていくかということを検討することは、極めて重要なことだと思っております。このため、どのようなことが可能なのかということを党税調含め、関係者で検討してほしいと考えております。
 消費税につきましては、これは税制抜本改革については、昨年末、社会保障と税財政に関する中期プログラムというのを閣議決定し、今後の道筋を盛り込んだ法律が成立したところであります。その中では、今年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により、経済状況を好転させるということを前提として、遅滞なく、かつ段階的に、消費税を含む税制の抜本改革を行うために、平成23年度まで必要な法制上の措置を講じるというようにしております。
 実際の税制改革につきましては、これは具体の内容、例えば税率の話など、これは別に法律で定める必要がある。当然のことです。その際に国会で税制の具体的な姿を審議していただくことになるんだと思います。
 ただ、道筋に変わりがあるわけではありません。大胆な財政出動というものを行うからには、財政に対する中期的な責任というものをきちんと示すことが責任ある政府・与党としての原点であり、矜持であろうと思っております。

(問)
 総理、先ほど補正について、成立に最大限努力するとおっしゃられましたが、これは成立までは衆議院の解散の総選挙は行わないという意味にとらえていいのか、それとも補正の審議中であっても、来るべき時期が来たら決断されることがあるということなのか、その点についてお伺いしたいと思います。

(麻生総理)
 これは前から申し上げているとおりで、今回こういったことになったから、別の答が出るだろうと期待されておるのかもしれませんけれども、政局よりは政策、同じことを申し上げましたし、まずは景気対策として、その方向でこの半年間やらせてきていただいたと思っております。
 解散につきましては、しかるべき時期に判断をする、私が判断をすると申し上げてきておりますので、どういう状況になるか、今の段階で申し上げるところではありません。

(問)
 今の解散総選挙の時期の確認なんですけれども、総理は3月初めにも、テレビなどのインタビューに答えまして、追加景気対策と解散の時期に関連しまして、口先で言っているだけではだめだと、実行しなければだめなんだということをおっしゃっていたんですけれども、もう一度確認ですけれども、先ほど2009年度補正予算を提出して成立させたいと、ということは、成立させるまでは衆議院を解散する状況にはないという認識でよろしいんでしょうか。

(麻生総理)
 今、言われた質問とほぼ同じ質問を別の言い方をされたんだというだけの違いなので、答が全く同じになると具合が悪い、別の言い方をするんだと思いますけれども、いろんな言い方をされましたので、こちらの答え方もいろんな言い方で答えた方がいいのかもしれませんけれども、内容は同じです。判断は私がします。そして、その時期につきましては、補正予算というものの成立にどういう対応でなされてくるのか、補正予算がいいということで補正予算に同調されるのか、反対されるのか、減税を含めて賛成か反対か、それらの状況というものをいろいろ判断させていただかなければならないところだと思っております。どうしても反対というのであれば、その状況で60日間を要してでもやるのか、それを打ち切ってでも、この際、これが我々の案ということで選挙をするべきなのか、それはそのときの状況において判断をさせていただきます。