首相官邸  
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日・EU首脳共同記者会見


平成21年5月4日

共同記者会見に臨む3首脳の写真

  政府インターネットテレビ


【クラウス・チェコ(EU議長国)大統領冒頭発言】
 チェコ政府を代表し、「トロイカ首脳協議」を日本と開催できたことを嬉しく思う。EU議長国を代表し、麻生総理の来訪を歓迎。
 日・EUの定期首脳協議は、今回18回目となる。昨年4月の前回協議を基盤とし、また4月のロンドン・サミットの議論の上に立って、議論した。
 我々は、現在、世界史の中の重要な時にある。政治的、経済的な変化がある。日本との間で双方についての重要な議論ができた。
 日本は、EUにとり、最重要のパートナーの一つ。今回の協議を通じ、これを示すことができたのをうれしく思う。
 麻生総理が述べられたとおり日・EUのGDPの計は、世界の4割を占める。いかに我々首脳間の協力が重要か、が分かる。
 日・EUは、政策対話を推進。EUの外交活動、開発援助、貿易自由化交渉等の幅広い分野で、日本との協力は存在。
 双方は、互いの立場を理解し、様々な課題で同じような立場をとっており、さらに未来に向けて協力を進めていくことに双方が関心を示している。


【麻生総理冒頭発言】
 本日、クラウス大統領、バローゾ委員長との間で、大変有意義な協議を行った。本日の、大変広い範囲に及んだ協議の成果について申し上げる。
 まず、新型インフルエンザ発生に対しては、国際社会の一致した取り組みが必要。EUとしてもその取組を懸命に進めているとのことであり、日・EU間で連絡を緊密にとっていくことで、一致した。
 経済・金融危機への対応については、先般のロンドン・サミットでの合意を迅速かつ着実に実施すべきということで国際社会が協調して対応する必要性を改めて確認した。
 私からは、1,500億ドルの財政出動を含む日本の新たな経済対策を説明した。その上で、引き続き日本とEUが、緊密に協力していくことを、確認した。
 気候変動については、COP15において、米国、中国などのすべての主要排出国、経済国の責任ある形での参加を確保することが重要。公平、かつ実効的な「次期枠組み」合意を形成するべく、日本とEUの間で、引き続き協力していくことを議論した。
 また、北朝鮮を含むアジア情勢、アフガニスタン・パキスタン、中東和平、イラン、海賊対策、といった主要な地域情勢についても、意見交換を行った。
 北朝鮮情勢については、ミサイル発射を非難し、今後とも、核、ミサイル、拉致問題を含む人権問題、といった諸懸案の解決に向け、双方が協力していくことで一致した。
 アフガニスタン・パキスタン問題については、私より、先般日本で開催した「パキスタン・フレンズ会合」及び「支援国会合」の成果を説明した。その上で、日・EUが、地域を一体として捉え、アフガニスタンとパキスタンを積極的に支援していくことで一致した。
 これらの成果は、今回発表する「共同プレス声明」に盛り込まれており、EUとともに、このような成果を発表できることをうれしく思う。
 日本とEUは、ご承知のように基本的価値観を共有し、幅広い分野でいろいろ協力を進めていくことができる戦略的パートナーであると考える。
 今回の協議の成果を踏まえ、日本としては、EUと、国際社会が直面する主要課題の解決に向け、緊密に連携し、その問題の解決に貢献していきたいと考える。


【バローゾ欧州委員長冒頭発言】
 本日の協議が成功裡に行われたことについて、麻生総理、クラウス大統領に感謝。質が高く、オープンな形で議論を行うことができた。日本は、EUにとり、戦略的パートナーの一つであり、重要な価値、原則を共有している。
 日本とは、グローバルな関与を行い、共に、世界においてリーダーシップを果たす役割を持ち、そうする責任を有している。国際社会における二つのキープレイヤーとして、金融危機、成長回復、世界の経済成長等、引き続き取り組んでいきたい。
 日本とは、G20プロセスでも協力してきた。またG8サミットに向けても協力している。気候変動については、日本は、京都議定書以降、責任ある役割を果たしてきた。我々は、現在の(危機)状況が、取組を緩める言い訳としてはならず、次期枠組みの構築に向けて引き続き取り組んでいく必要がある。EUと日本は、MDGsの達成、WTO、特に開発に優先度を与えること、でも共に役割を負っている。
 EU・日本のバイラテラルの関係では、市民に大きな影響を与える進展があった。研究開発、航空、金融、司法等での具体的成果である。また双方の緊密な経済関係の深化には潜在力があり、すでに整備されている対話の枠組みを活用していきたい。
 国際的な問題も議論ができた。北朝鮮に関しては、最近の挑戦的な行為、決定を再考し、また国連安保理議長声明に従って、行動を再考すべきである。パキスタンについては、東京で行われたパキスタン支援会合等は重要であり、この地域での取組を引き続き進める必要がある、インフルエンザの問題については、リスクを過小評価しているわけでなく、事態は深刻ではあるが、我々は十分な準備ができており、懸念を持ちつつもパニックになってはならない。パートナーとの協力は当然必要である。
 日本は、グローバルな関与を進める友好国であり、引き続き関係を強めていく。


【質疑応答】
(問)

 経済危機の克服に向けた取組で、日本とEUは、財政出動などへの対応をめぐって、意見の食い違いが指摘された場面もあったが、こうした違いは埋められているか。

(麻生総理)
 日本とEUは、共にロンドン・サミットにおいて、成長を回復するため、必要な規模の継続した財政努力をとっていくことで合意し、本日の協議でも、ロンドンでの合意を互いに迅速に履行することで一致した。日・EU共に、十分な景気刺激と不良債権の処理が、共に重要であるとの点で一致している。従って、双方の間に食い違いがあったとの指摘は当たらない。

(バローゾ委員長)
 麻生総理の発言に完全に同意する。現状についての見方、分析、評価すべてで一致があった。むしろロンドン・サミットに向けては、日本のイニシアティブ、特にIMFへの融資があり、EUも重要な貢献をし、良い協力があった。グローバルな需要を支えることは重要である一方、欧州の各国がおかれた状況も様々である。中長期的には持続可能性ということにも関心を持っており、当面は未曾有の危機であり、需要を支える一方、経済の健全性のため、適切な取組が重要である。


(問)
 クラウス大統領は、気候変動に独特の見方を有しているが、協議でのやり取りいかん。

(クラウス大統領)
 10を超える多くのテーマを取り上げたため、気候変動の議論は一般的なレベルのものであった。この範囲で、自分としては受け入れ可能な議論であった。

(麻生総理)
 日本と欧州は、低炭素社会の構築の重要性を早くから認め、リードしてきた。次期枠組みについては、日本としては、米国、中国、ロシア、インドなどの主要排出国、経済国が参加することが必要と考えている。その上で、日・EUが実効的なものを作っていくことが重要である。COP15では野心的、公平、実効的な枠組みを構築すべく、協調していく必要がある。

(バローゾ委員長)
EUの立場に変わりなく、また、明快である。プレス声明にも記されており、この内容を我々としては歓迎し、満足している。

(クラウス大統領)
 個人的には人為的な気候変動は存在していないとの立場である。他方で、エネルギー効率を高めていくことを支持している。この面で日本がなし得ることは多く、協議の議論は、受け入れ可能なものであった。


(問)
 約1か月前、このプラハの地で米国のオバマ大統領が核兵器のない世界を目指す演説を行った。日本、そしてEUは、どう受け止め、核軍縮に向けて具体的にどのような行動を取っていくのか。

(麻生総理)
 日本は、核兵器がもたらしうる惨禍を、客観的事実をもって伝えていく役割を果たせる唯一の国。15年にわたり、国連で核廃絶決議を主導するなど、核軍縮外交を積極的に推進。もっとも、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国による核軍備の近代化など、日本を取り巻く北東アジアの安全保障環境は、厳しさを増している。こうした状況だからこそ、核軍縮の促進、不拡散体制の強化が重要。来年のNPT運用検討会議を成功させることが必要。そのため、日本は、すべての核保有国による核軍縮措置、国際社会全体による軍縮不拡散についての措置、原子力の平和利用のための措置、について、具体的な提案を行ったところ。国際社会の一致した取組を生み出すことが必要であり、来年の早い時期に、「2010年核軍縮会議」を日本にて開催する。世界の安定を維持しつつ、「核兵器のない世界」というゴールに向けて、国際社会の具体的取組を粘り強く後押ししていきたい。

(クラウス大統領)
 オバマ大統領は、ここから100mの距離で当該演説を行った。我々としては、米国のイニシアティブを意味ある形で支えたいと考えている。本日の協議では、北朝鮮、イランの問題に関連してこの問題を扱った。北朝鮮については、日・EUの立場は類似の立場をとっており、現状評価及び今後の方向性についても同様である。イランについても詳細に議論を行った。


(問)
 エネルギー効率の向上のために日・EU間で、日本の技術の活用など、具体的な協力はあるのか。

(バローゾ委員長)
 本日の協議の結論の一つに、日・EC科学技術協力協定の進展がある。これは双方にとって重要なプロジェクトであり、引き続き進めていきたい。麻生総理からは、気候変動、エネルギーに関する議論の中で、日本の技術について説明があった。具体的な協力について、日本の技術の活用の可能性については、基本的には商業ベースの事柄であるが、公的レベルでは、情報交換等を進めていくこととなろう。科学技術協力の分野において、エネルギー関連は、最重要分野のひとつである。

(麻生総理)
 例えば、日本はチェコから4千万トンの排出権を購入し、これと共に、環境協力を行うこととしている。日本の技術が活用され、火力発電所の改修等を通じ、結果として、日本の技術がエネルギー効率の向上に貢献することが期待される。