首相官邸  
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第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳
共同議長記者会見


平成21年5月23日

共同記者会見に臨む両首脳


【麻生総理冒頭発言】

  この2日間、ここ北海道トマムにおいて、「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の16の加盟国・地域の首脳及び閣僚をお招きし、「第5回太平洋・島サミット」を開催した。サミットでは、自分とPIF議長であるタランギ・ニウエ首相が共同議長を務めた。
  今回の島サミットでは、「We are islanders- エコで豊かな太平洋」のキャッチフレーズの下、環境・気候変動問題をはじめとする、島嶼国の主要課題について議論した。そして、さきほど、首脳宣言「北海道アイランダーズ宣言」を採択し、閉会した。
  以下、今回のサミットの主要な成果を説明する。第一に、環境・気候変動問題分野では、各国が直面する深刻な状況について、直接、各首脳からお話を伺った。自分は、日本が、太平洋島嶼国と対等なパートナーとして、この分野で取り組んでいくため、「太平洋環境共同体」を提唱し、これを共に育んでいくことで一致した。
  また、本年は、12月にデンマークで開かれる国際会議COP15に向けて、気候変動の「枠組み交渉」が本格化する、重要な年である。日本は、主要経済国が、責任ある形で参加する、公平で実効的な、「次期枠組み」合意を目指して、太平洋の島嶼国とより一層、緊密に協力していくことを表明した。
  また、私は、日本の誇る技術で、太平洋島嶼国による、環境面での取組を支援するため、PIFを通じた「太陽光パネル供与」など、68億円規模の協力を行うことをお伝えした。加えて、日本は、この分野で、今後3年間で、1500人の環境専門家などの育成を、太平洋諸国に対し、行って参ります。
  第二に、「人間の安全保障」の視点から、日本は、教育、水供給、保健といった分野で、太平洋の島嶼国が、問題を克服していく上での支援を行っていく。具体的には、日本は、これらの課題の解決に向け、今後3年間で、2000人の専門家などの育成を行っていくことをお伝えした。
  第三に、日本は、太平洋島嶼国との間の、「人と人との関係」を強化するための「キズナ・プラン」を行うことを表明した。右は、1000人を超える青少年交流の実施や、研究留学生の倍増などの人的交流の強化を目指すものです。
  以上をまとめて、日本は、太平洋島嶼国に対し、今後3年間で500億円規模の支援を行っていく考え。これらの協力は、日本が太平洋島嶼国を重視し、その国造り、人づくりに貢献したいとの、強い気持ちを示すもの。協力がさらに進展し、日本と太平洋の島嶼国・地域との関係が、一層強化されていくことを期待する。
  最後になるが、今回、太平洋・島サミット参加者を暖かく迎えて下さった北海道の関係者の方々に、この場を借りて、改めて厚く御礼を申し上げたい。

【タランギ・ニウエ首相冒頭発言】

  2日間に亘る第5回太平洋・島サミットでの議論は、麻生総理のご発言の総括のとおりである。太平洋島嶼国の首脳は、日本が引き続き首脳レベルで関与していることを歓迎しており、今次島サミットでは、太平洋の島嶼国は、特に気候変動に対する懸念をお伝えしたところ。
  麻生総理より500億円規模の支援が表明され、気候変動、人的交流、太平洋島嶼国の経済開発等、今次島サミットで議論した分野に活用されるものと期待している。
  日本政府及び国民の皆様、北海道の皆様に対し、暖かいもてなしに感謝申し上げる。会議の準備に携わった関係者にも感謝申し上げる。


【質疑応答】
(問)

 今回のサミットで日本は太平洋島嶼国に対し、総額500億円の支援を行うことを表明した。他方、中国も経済支援をテコにした太平洋地域への影響力を強めている。こうした動きについて、どう考えているか。また、日本としての支援の独自色をどこに求めるか。

(麻生総理)
 中国は、近年高い経済成長を遂げる中で、太平洋地域を含む、国際社会との関係を拡大していると承知。
  日本は、この地域と長年にわたる深い絆を有し、ODAを中心として、この地域が直面している課題の克服に向けて、島と島を結ぶ連絡船の提供や、橋の建設などのインフラ整備、ごみ問題への取組への支援など、様々な協力を積み上げてきた。
  このような日本と太平洋地域との協力関係の特徴は、第一に、同じ島国としての対等のパートナーシップ構築に努め、第二に、太平洋の島国の人たちの生活に真に役立つような協力を進め、第三に、豊かで美しい太平洋を守っていくためにも、「環境と経済の両立」を目指す協力に 努めていることにある。こうした日本の協力は、太平洋の島国からも高く評価されている。
  3年ごとに開催される太平洋島サミットは、こうした協力の集大成の場ともいうべき場であり、今回のサミットでも、「太平洋環境共同体」を始めとする首脳宣言に、日本の考え方は反映されている。日本としては、今後とも、太平洋の島国との間で、高い環境技術など、日本の特色をいかした協力を引き続き進めていく考えである。


(問)

 現在、景気後退と気候変動という差し迫った2つの課題があるが、どちらが太平洋の島国にとって重要か。

(タランギ・PIF議長)
 どちらの問題も同程度重要である。我々は、景気後退や気候変動に伴い様々な影響が出ることを理解すべきであり、例えば、景気が後退すれば、先進国からのODAの水準は低下するものである。本日、日本から、支援規模を500億円まで増やしていく旨の表明があり、大変喜ばしい。右は、保健や教育のレベルを維持していくために必要であるし、また、インフラ整備にも活用可能である。インフラは景気後退が終わり、回復に向かう際に太平洋島嶼国が経済成長をするために重要となる。


(問)

 PIFは12月のCOP15の成功に向けて日本との連携を強化していくとのことだが、日本は温室効果ガスの削減目標値を示していない。COP15に向けて日本にどのような取り組みを求めるか。
  また、麻生総理に、盧武鉉前大統領が死去されたことについてコメントを頂きたい。

(タランギ・PIF議長)
 日本が太平洋島嶼国のために気候変動問題について積極的な主張を行っていることを歓迎したく、協力して太平洋を守っていきたい。自分は、日本政府はCOP15前にも削減目標を発表する予定であると理解しており、正式な発表を待っているところであるが、日本は、この分野でのリーダーであると確信している。ツバルやキリバスといった島嶼国が海面上昇で危機にさらされている中で、迅速な行動が求められている。気候変動の影響は一旦出始めるとそれ以前の状況に戻るには相当の時間を要するものである。従って、自分は、先進国が気候変動の影響が生じつつあるという事実をより真剣に捉え、迅速に行動し、我々の地球を守っていけることを望んでいる。気候変動は、小さな島嶼国の生き残りの問題にとどまらず、我々が住む地球の生き残りの問題である。

(麻生総理)
  本日、気候変動問題について、太平洋島嶼国の首脳と議論した際に、海面上昇によって国がなくなるという話を聞いた。この問題は、何パーセント削減すべきかという駆け引きではない。実際に沈む国の声は大変説得力があった。日本は世界全体の枠組み作りに貢献していくべきと考える。それは、実行可能であり、米、中、印等主要排出国が参加する公平なものであるべき。現在、削減目標について、パブリックコメントを実施しているが、どの程度のコストを伴うのかについても明らかにしなければならない。その上で、削減目標を決めていく。
  盧武鉉前大統領の件については、会議中にメモが入り、韓国警察当局が発表したとのことで、大変驚いた。自分も外務大臣時代に何度かお会いしているが、心から哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈りしたい。


(問)

 日本は今後3年間で10%以上援助を増加させる方針を打ち出した。また、首脳宣言では支援策の実施に当たって、持続可能性が強調されている。日本の過去3年の支援策の評価如何。また、新しい支援策の実施状況はどのようにモニタリングしていくのか。

(麻生総理)
 3年前の前回の太平洋・島サミットにおいて日本が打ち出した支援策の目標である450億円は予定通り3年で有効に活用されたと考えている。たとえば、島と島を結ぶ交通網の整備や、「青年海外協力隊」の学校や病院への派遣といった、太平洋の島国の人々のニーズに合致し、将来の繁栄に資する協力が実施された。こうした日本の支援について、今回のサミットにおいて、各国首脳より高い評価と感謝の言葉をいただいた。そうした感謝の気持ちに答えるべく、日本として、効果的な支援策の実施に引き続き努めていく。