首相官邸  
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ラクイラ・サミット 内外記者会見



平成21年7月10日

記者会見を行う麻生総理

  政府インターネットテレビ



1.冒頭発言

 この3日間、このイタリアのラクイラの地で、G8サミット、及びその他の国々の参加を得て、G14等々、関連の首脳会議に出席いたしました。その成果について、申し上げます。

(1)第一に、世界経済です。会議では、私から、日本経済の運営について説明しました。すなわち、過去最大規模の景気対策を実施していること、同時に、中長期的な財政健全化への取組についてであります。また、危機を克服した後の世界経済の持続的成長の確保のために、世界的な経済収支の不均衡、いわゆる「グローバル・インバランス」の是正のために、米国の過剰消費の抑制、そして、黒字国、特に中国の内需主導型経済成長への転換などが必要であることを、訴えました。
 G8の各国首脳の間では、次のような認識で一致をしております。即ち、日本を含めた 各国の努力により、世界経済には安定化のきざしが見え始めていること、他方、依然として、経済・金融の安定に対する大きなリスクは存在をしている、との認識で一致しております。
 なお、場外において、ストロス・カーン国際通貨基金、IMFの専務理事より、日本が今回の金融危機に際して、いち早くIMFに対する1,000億ドルの融資を、これはワシントンで表明したのだったと思いますが、融資を表明したことに対して、改めて世界経済を救ってくれたと感謝の意が表明されました。
 世界の貿易・投資に関しては、保護主義を防ぎ、WTOのドーハ・ラウンドの交渉が、2010年に妥結するよう追求することで一致をしています。

(2)次に、気候変動です。私は、2020年までに、日本が「2005年比で15%削減」という中期目標の達成のため、「低炭素革命」を成し遂げていく、との決意を表明をしました。G8では、先進国全体で2050年までに温室効果ガスを80%削減するという野心的な目標に合意をしております。一方、主要な新興国につきましても、中国、インドなども参加した主要経済国フォーラムで、主要新興国も意味のある削減を行うということで合意しました。京都議定書の次の枠組みでは、全ての主要排出国が責任ある形で参加することが必要です。京都(議定書)の場合は全体で30%でしたから。このため、私からは、目に見える形で責任ある行動を取っていくことを約束をする途上国に対しては、日本は積極的に資金や環境技術、省エネ技術の協力を行っていきますとの方針を明らかにしています。本年末の次期枠組みづくりに向けて前進することができた、洞爺湖サミットに比べて明らかな前進ができたということだと思います。

(3)第三に、途上国の開発の問題です。私は、アジアに対して日本の支援というものをこれまでやってきたことを紹介し、アフリカについても、自らが発展をし、成し遂げられることを助けるような支援を行うことが重要であると強調しました。議論の結果、経済危機の中で大きな影響を受けたアフリカの開発というものに取り組むことの重要性が改めて確認されました。
 また、食料の安全保障については、途上国への農業投資などに関して、国際社会が協調して取り組むべきことを提案し、各国間で賛同を得ることができました。

(4)次に、政治問題です。北朝鮮は、国際社会の声を無視し、度重なるミサイル発射を行い、2度の核実験を実施しました。私は、国際社会は断固とした立場をもって臨むべきだと今回のサミットでも主張しました。そして、「安保理決議1874」の実施の重要性を強調し、拉致問題も取り上げました。議論の結果、G8は、北朝鮮を批判し、安保理決議の履行を求める、力強いメッセージを出せた、と考えております。
 今回のサミットで、G8は、イランについても、大統領選挙後の情勢に対する懸念というものを共有しております。核問題の外交的解決に、引き続き取り組んでいくことで一致しました。
 また、「核兵器のない世界」に向けて、国際的な核軍縮、核の不拡散体制を強化していくことを改めて確認しました。

(5)なお、今回のサミットでは、G8と中国、インド、ブラジル等の新興経済国との間で、初めて「共同宣言」というものを出しております。前々から試みて成功していなかったのが今回初めて成功したということです。宣言では、日本が従来から主張していた、いわゆる「グローバル・インバランス」の是正や「責任ある開発」を行うための原則などを盛り込むことができました。G8が指導力を発揮して、重要な経済問題について文書にすることができたということは、問題意識を共有した上でのことで大変大きな成果であったと思います。

(6)二国間会談については、米国のオバマ大統領、ロシアのメドヴェージェフ大統領、ブラジルのルーラ大統領、カナダのハーパー首相、インドのマンモハン・シン首相等々との間で首脳会談を行い、机が近くにあるのでその他の首脳とも個別の会談を頻繁にさせていただきました。この後、ラッド・オーストラリア首相とも懇談も予定しています。
 オバマ大統領とは、北朝鮮、気候変動、核不拡散といった問題に緊密に連絡、連携していくことで一致しました。特に、北朝鮮への対処については、現下の情勢により、拉致、核、ミサイルを含む問題の包括的な解決に向け、一層緊密な協力をしていくことで一致しました。
 ロシアのメドヴェージェフ大統領との間では、領土問題を中心に議論しました。ロシア側としては、引き続き、独創的なアプローチの下であらゆる選択肢を検討していく用意があることを確認しました。その上で、今後、解決策を見いだすよう、引き続き作業を加速・強化させ、首脳レベルでも話し合っていくことで一致しました。

(7)最後に、4月に地震に見舞われたこのラクイラの方々に改めてお見舞いと早期の復興をお祈り申し上げる次第です。サミットを主催されたイタリア政府及び関係者の方々の暖かな歓迎と、きめ細かなおもてなし、心遣いに心よりの感謝の意を申し上げておきたいと思います。



2.質疑応答

(問)
 総理は今、サミットの一連の日程について成果を強調されたが、G8では、例えば温暖化対策では先進国として80%削減という目標を打ち出したが、結局MEFの方では、新興国に対して世界全体で50%の削減という数値を飲ませることができなかった。最近、G8の限界も指摘されるが、G8の役割は引き続き必要と考えているか。また、日ロ首脳会談で、北方領土問題で明確な進展が得られなかったわけだが、一連の日程を終えて、総理は十分な成果を得られたとお考えか。

(麻生総理)
 G8だけで、世界が解決すべき問題にすべて対処できるわけではないのは事実です。昨年の経済・金融危機の時にも、G8では解決できないと、インド、中国等々の参加が是非必要だと、私の方からも申し上げて、G20になったのであったと記憶します。したがって、経済金融危機にはG20サミット、気候変動についてはMEF、即ち「主要経済国フォーラム」が、効果的な役割を果たしていると思っています。
 日本としては、責任を果たす意思と能力そういったものを有する国々と、これらの新たな枠組みを通じて、行動を共にしていきたいと思います。その上で、より多くの国々と問題を対処しなければならない時代にあるからこそ、共通の価値観を有して、そして、世界のために責任ある貢献をしてきたG8の重要性というものは一層増していると、私はそう思っています。G8が中核となって、国際社会の力を結集して、国際協調をさらに進めていくことが現実的な方法であると思います。
 気候変動問題に関しては、このG8として、この問題に責任をもって取り組んでいくことを、G8宣言の形で明確にしております。その上で、新興国を含めた「主要経済フォーラム」に臨み、世界全体の排出削減目標の設定に向けて、本年末のコペンハーゲンで開かれるCOP15までに、 協力して取り組んでいくことで一致できたというのは大きな成果であって、これはまさにG8の変わることない重要性を示すものだと思っています。例えば、G8だけで世界経済の50%、G14で80%位をしめるのでこれは非常に大きな影響力があると思っています。
 日ロの首脳会談については、今回のロシアの説明は、日本の立場というものを満足させる、満たすものではありません。しかし、同時に、メドヴェージェフ大統領との間では、さらに、解決策を見いだすよう作業を加速・強化させるべく指示を出すとの話も向こうででておりますし、首脳レベルでやっていかなければならん、少なくとも事務のレベルだけでこれは進まないことはこの60年間ではっきりしている、従って政治的解決をする以外に方法がないということは、昨年の11月に、今年の2月に、今回も同様のことを言っておりますので、その意味では、引き続きロシア側の対応というものに注目しているところです。


(問)
 イタリアと日本は長い間良好で親密な関係を有し、それを拡大しようとしている一方、イタリアは2000年から北朝鮮とも国交を有している。イランについてはG8の政治宣言の中ではタイムリミットが言及されているが、北朝鮮の問題についてはタイムリミット的なものが言及されていない。北朝鮮に対して、そろそろタイムリミットを設定する必要があるのではないか。G8の議長国であるイタリアに対して、この問題に関し具体的な期待をしているか。北朝鮮の後継の問題が話題になっているが、特別な情報をお持ちであれば教示願いたい。

(麻生総理)
 どこで日本語を勉強されたのでしょうか、うまいですね。日本の新聞社の方々よりもうまいかもしれないぐらいですね。自信を持ってどんどんやられるといい。
 北朝鮮の核保有やミサイルの発射は、これは、日本だけではなく明らかに国際社会の平和、安定、安全に対する重大な脅威であって、断じて容認できません。国際社会が一致して、「北朝鮮の核の保有、ミサイル開発は認めない」というメッセージを発することが重要です。その観点から、今回出されたG8の文書は、拉致・核・ミサイルといった、諸懸案の包括的な解決を目指す日本にとり、評価できる内容だったと、私自身はそう思います。このような声明を取りまとめていただいた、議長国イタリア、ベルルスコーニ首相の役割を評価しています。今後は、国際社会が一致して、「安保理決議1874」をしっかりと実施し、北朝鮮に対し、安保理決議違反の行為は対価が伴うことをはっきり理解させる必要があると思っています。少なくともイランは核実験を行っておりませんが、北朝鮮は2回行っている。しかも、日本が射程に入るノドンの発射実験も何回もやっている。これが脅威じゃなくて何だと申しましょう。
 また、今あなたが言われたように、イタリアは2000年から北朝鮮と外交関係があります。国際社会の指導的な立場にあるイタリアが、北朝鮮に対し、この問題の解決に向けて積極的な働きかけを行ってくれることを我々としても期待しています。
 いずれにしても、北朝鮮が国際社会の懸念、意思をはっきり認識して、六者会合の共同声明の完全実施に向けて具体的行動を取っていくことが必要です。
 後継者の話が出たけれど、後継者については、今、三男が跡取りになるとか色々言われておりますが、関心を持ってはいますが、事柄の性格上、後継者問題についてこの場でコメントすることは適切ではないと思っております。


(問)
 12日に東京都議選の投開票が行われるが、都議選の結果いかんにかかわらず、引き続き政権を担っていく考えに変わりはないか。結果の如何に関わらず、解散は自らやるという考えに変更はないか。

(麻生総理)
 東京都議会議員選挙については、厳しい戦いであるということは最初から承知していますし、目下与党関係者の方々が全力を挙げているところだと思っています。たびたびこの質問をいただきますが、都議選挙はあくまでも地方の選挙です。都議選の争点は、基本的には東京都政における諸課題について、東京都民の方が判断するものであり、国政に直接関連するものではないと従前から申し上げているとおりです。政権を担っていくかという話ですが、私は内閣総理大臣として日本の政治というものに責任を持っています。国民を守り、日本を守る。今後とも、その責任を果たしていくということに関しては、変わりは全くありません。


(問)
 国際的な貿易の不均衡、これが世界経済の不安定の要因だといわれているが、G8という限られたメンバーで、この貿易不均衡という問題に対応することができるとお考えか。

(麻生総理)
 すごくいい質問です。今次金融危機の根底には、資金のフロー、つまり資金の流動性の偏在の問題があります。これを放置すると、国際金融システム、さらには国際通貨システムが不安定化するリスクが継続する、ドル安がずっとつづくとか、そういった状況になりかねない。これを是正するために、少なくとも世界的な経常収支の不均衡、いわゆる「グローバル・インバランス」の問題に取り組まなければならない旨、ワシントンのG20の時から私から繰り返し強調してきたところです。具体的にどうするかといえば、先ほども述べたように、米国の過剰消費の抑制、他方、中国を始めとした、輸出で成長を図っている新興国が、輸出だけに頼らず自国の内需を喚起する政策に転換してもらわなければならない、難しい言葉で言えばマクロ経済構造のバランス調整というものが必要であることを、今次サミットにおいても強調したところです。今回は、「G8首脳宣言」のみならず、「G8プラス5」との間で合意した宣言などにも、そのような認識が明確に示されました。これは、今次の会合の、きわめて重要な成果の一つであると考えています。こうした認識に沿って、今後、関係国が適切な行動をとることを、期待しています。
 ただ、米国が内需を抑制するということは、事実、米国は貯蓄性向が以前はマイナスだったのが、最近は5%になって、更に上がっていくという風に言われています。逆に言えば、米国のバランスはよくなるかもしれないが世界経済には直ちにプラスにはならない、両方を考えなければならないのであって、これらのバランスが一番難しいと考えています。


(問)
 衆議院議員の任期満了まで2ヶ月となった。総理はこれまで解散時期について、「しかるべき時期にしかるべく判断する」と繰り返しているが、この段階に至っては時期を明言すべきではないか。明確な答えを求めたい。

(麻生総理)
 衆議院議員の任期満了まで残り2カ月、9月10日ですから、確かに、解散の時期についての選択肢が広くあるわけではありません。判断の時期が近付いているのは、事実だと思います。現在、国会において、臓器移植法や貨物検査法などが審議中だと思いますが、党の内外で、解散の時期について色々な発言が相次いでいることも、承知しています。これらの諸条件を十分に勘案して、近々判断させていただきたいと思っていたします。