日秘首脳会談後のプレス・ステートメント

平成9年5月11日(現地時間:5月10日)

日秘首脳会談後の総理プレス・ステートメント

1.2月初めの雪のトロントでの会談以来、本日久しぶりにフジモリ大統領にお会いした。東京からリマへは、トロントの道のりの倍近い時間を要するが、事件の重荷が肩にかかっていない分、旅の疲れも少なく、ほっとした思いで大統領との会談に臨むことが出来た。

2.本日の会談では、先ず私から、フジモリ大統領が4カ月余りにわたる長い苦労の末、見事な形で救出作戦を遂行されたことを高く評価すると共に、大統領に深甚なる謝意を表した。
 また、本会談後、亡くなられた3名の方の墓参を行い、ご家族にもお悔やみを申し上げる予定であることを大統領にお伝えした。更に、大統領に対し、日本国民は、救出作戦の犠牲者と負傷者に哀悼と同情と感謝の念を深く感じており、それが国会、内閣、関係企業、更には広く各国民の間でこれらの人々への見舞金の募金の形となって現れていることを説明した。殉職された軍人2名の方に対し、私の滞在中叙勲を行せて頂く予定である。

3.また、この場において、事件の解決に向け多数の方々が払われた努力、特に、保証人委員会が不屈の精神を以て、粘り強く解決の方途を探る努力を払われたことに対し、改めて感謝と尊敬の気持ちを表したいと思います。

4.なお、自分からは、これまで7年連続で訪日されている大統領に対し、是非、今年も早い機会に訪日して頂きたい旨お願いした。また、長期にわたる人質生活の間、邦人の方々との連帯を図られたトゥデラ外相他ペルー政府要人を15名程度、訪日招待したい旨お伝えしたところである。
 さらに、今回国外出張中のためお目にかかってお礼申し上げることのできないシプリアーニ大司教についても、我々が心より感謝しており是非日本にお招きしたいと考えていることを大統領にお伝えした。

5.日ペルー両国関係は、今回の事件を契機に、より固い絆で結ばれ、両国関係は一層進展するものと確信しており、私としては、今後更にペルーとの関係強化に努力して参る所存である。
 また、今回の事件では、解決への努力を進める中で、多くの諸国から、様々な協力と支援が差し延べられ、国際社会から日ペルー両国政府に対し連帯の表明を頂いた。最後にこの場をお借りして、こうした国際社会の支持に対し心からお礼を申し上げると共に、我が国としては、今回の事件を教訓として、テロリズムに絶対屈しないとの信念の下に国際社会と共にテロリズムと闘っていく考えであり、誓うことを改めて表明したい。本当にありがとう。


アルベルトフジモリペルー共和国大統領のプレス・ステートメント

日本国首相、友人でもある橋本龍太郎閣下
皆様

 正確には19日前の4月22日、私は、人生でも最も重大な選択に直面しました。ペルー共和国の大統領として、120日以上続き、その一日一日罪のない72人の命を非常に危険な状態においていたドラマを終結するか、又は状況から見て正当と考えられる解決を後回しにするかの決意を数分以内に行わなければなりませんでした。

 それは、リマの日本大使公邸に突入するか、又はこの72人の人々の命をMRTAと自称する者、即ち挑発的にテロリストの姿勢を堅持し、あらゆる危険性を秘めている者の手にゆだね続けるかという選択でした。

この嘆かわしい事件の間、橋本内閣が寄せられた連帯と全幅の信頼についてご説明申し上げます。友人である日本政府は、我々と共におり、テロリストの脅迫に毅然と対決する姿勢を示しました。常に我々と共にあった勇気、忍耐、士気は、ペルー軍及び法に則り人質を解放する決定を下す際に、私を勇気づけました。

一グループのテロリストが政府を恐喝し、受け入れることのできない要求を行ってきたことにより、ペルー全国民の平和に生きることに対する使命感と意志が試されました。こうした形で、ペルーは、テロリズムと戦うという国際的合意が有効であることを示すこととなりました。

 私の政府に評価できる点があるとすれば、それは常に責任ある行動をとってきたということです。国家の元首として、そして、政府の長として。最小限の犠牲で大使公邸に突入することを保証するため、私は不意を付くような作戦を打ち立てることを決定したのです。

 事の結末は、ご存じの通り、満足行くものでありました。しかし、幸福とは申せません。何故なら残念ながら一人の判事と二人の勇敢なペルーの軍人を失ったからです。同様に、狂信的行動に対し、道理に従った平和的解決が得られたならと思います。また、道をはずしてしまった若者たちが命を失ったことは、無念と申せましょう。

 不安定な事態は、終結しました。状況に制約された中ではありましたが、今回の問題に対して最終的に出した解決策は、法の支配と平和的共存を再確認するものとなりました。

 平和や発展の達成と貧困撲滅に向けられてきた努力に向けられたこのような性格の事件は、我が国に対する攻撃であるばかりか、国際社会に対する攻撃でもあります。テロも麻薬と同様、国境を越える悪であります。世界各国の政府、就中日本とボリビアの政府は、かかる基本的理解に立ち、蛮行に対決して、ペルーを支持してきました。

 橋本総理大臣閣下、我々が喜んでいることを天皇陛下にお伝えください。というのも、今日、人質となっていた日本国民の方々は、再び健康で自分の家族と一緒にいるからであります。このことは、我々の喜びとするところであります。ペルー政府及びペルー国民は、常に日本の友情を確信しており、我々もさらなる友情をもってこれにお答えします。

 この度の御訪問に際して日本からいただいた我が国の軍及び称賛に値する部隊への謝意と敬意の念に対し、ここに我々の感謝の意を表明します。そしてジュスティ判事、バレル大佐、ヒメネス大尉の3人の新たなペルーの英雄に対し敬意を表すものであります。

この度のご訪問とご厚意に感謝いたします。