平成11年2月3日

子どもの未来と世界について考える懇談会


第6回議事録

内閣外政審議室

子どもの未来と世界について考える懇談会第6回議事次第

日  時 平成11年2月3日(水)17:02 〜18:05
場  所 内閣総理大臣官邸 大食堂
1.開  会
2.提言案説明及び採択
3.提言の総理への提出
4.内閣総理大臣あいさつ
5.意見交換
6.閉会

【本間座長】 それでは、ただいまから子どもの未来と世界について考える懇談会の第6回会合を開催いたします。
 各委員におかれましては、御多用中のところを御出席いただきありがとうございます。また、本日は超多忙の中から小渕総理に御出席いただいておりましてありがたく御礼申し上げます。

 本席では、懇談会の提言案を確定した上で、これを総理に御提出いたしたいと存じております。お手元の提言、まだこれは案でございますが、これまでの5回にわたる会合での御議論と、各委員からの御意見を踏まえまして、これは本当に多種多様な御意見でございますが、それをワーキンググループにおいて取りまとめたものでございます。各委員にはあらかじめお届けいたしまして、可能な限りで更にいただいた御意見を取り込むということに努めました。たくさんの方々に読んでいただきたいということで、できるだけコンパクトなものにいたしました。凝縮したものにいたしましたので、非常に詳細にわたる御議論をそのままというわけにはいきませんでしたが、各委員の御意見についてはほぼ可能な限りの範囲ではございますが、盛り込んでいると言えるのではないかと考えております。

 そこで、まずワーキンググループの二瓶委員から提言案の内容につきまして簡単に御説明いただきます。

【二瓶委員】 では、御指名ですので、私の方からこの提言案についての趣旨を簡単に説明させていただきます。

 お手元に提言案とは別に提言の要旨という2枚ほどにまとめたものがございますので、それをご覧いただきたいと思います。できるだけこの線に沿って御説明をしていきたいと思います。

 この懇談会では当初、一般論として一体これから21世紀で活躍できるような人間として育っていくために、現在の子どもはどのような資質を身に付けるべきかというような議論から懇談会がスタートしたというふうに理解しております。それで、この必要な資質といいますのは非常にいろいろな視点から様々なことが取り上げられると思いますが、とりあえずこの懇談会ではここに述べてありますように3つのポイントに絞って子どもの資質を育て、それがやがて国際的に通用する人間に育っていく基礎であるというふうに考えました。

 それで、その3つの資質とはここに挙げてありますように、まず第1番目に豊かな情操に裏づけられた個性と主体性を持った人間になるということ。そして、第2番目には正しい自己認識と自己理解を前提とした他者、あるいはこれは自分以外の周囲の環境や異文化も含めてですが、他の認識と理解。第3番目には、以上1、2を前提とした他の個人、これは日本人同士も当然ですが、日本人以外の人たちともコミュニケーションを行う、進めていく。そして、その中で共通の関心や興味をシェアする。これがまず今日の子どもに求められる資質ではないかというふうに想定をいたしました。

 そして、個々の問題に入りまして、それではどうしたらこのような子どもの資質を育てることができるのかということで、とりあえずここでは子どもを取り巻く環境を3つの側面に分けて、その各々の場での問題点を考え、解決の方法を探るということで議論を進めてまいりました。

 まず、子どもは生まれてきて最初に遭遇する社会というのは当然のことながら家庭であります。したがって、そこで子どもの基本的な人格形成がスタートするということになるわけであります。どのような家庭、すなわちもう少し具体的には親子関係であるとか、兄弟の関係であるとか、そういう子どもと家族の中における他人との関係、これが子どものまず基本的な人格を育てる第1歩ではないかというふうに考えました。

 そして、現在のさまざまな子どもの問題を見ますと、どうも今の日本の家庭では本当の意味でのそういう子どもを将来大きく育てていくための家庭教育、あるいは親子のコミュニケーションというのが不足している場合が多いのではないかということが問題になりました。したがいまして、ここでは具体的な提言としては、例えば親がまず親となるための、そして親になってから親としてどのようにあるべきかということについてもう少し真剣に努力をする、考えるという機会を与えることが必要なのではないか。また、そのためには当然のことながらそういう活動に携る専門的な相談員ですとかカウンセラーというようなものも育てていかなければならないということが第1点。

 そして、第2点としては、そういう子どもと親との関係をより内容の充実したものとして形成していくための様々な活動を展開し、そこにできるだけ多くの親が、あるいは親と子が積極的に参加できるような方策を考えるべきではないかというのが、この家庭の問題としては2つとりあえず具体的にここで挙げられております。

 それから、第2の子どもを取り巻く環境としては学校社会というのがあります。この学校の問題につきましては既に様々なところで現在の日本の学校教育の問題点、そしてそれをどのよう解決していくのかという議論はされているわけですが、とりあえずここでは子どもということが中心ですので、初等中等教育のレベルで現在どういう問題があり、それをどのような方法で解決していかなければならないかという議論がなされました。

 それで、まずここでは第1に学校の教育方法につきましては、できるだけ子どもが関心を持ち、積極的に学校の活動に参加できるために、子どもの関心を高められるような教育の方法というのが考えられなければならない。それでその具体的方策として、例えばたまたま現在はどうしても教師が子どもに一方的に知識を与えるというような教育が主流であるのに対して、もっと子どもが積極的に授業に参加することによって勉強、学問といいますか、勉強への関心を持ち得るような相互発信型の教育というのをもう少し推進すべきではないかということ。

 それからもう一つ、単に物を学ぶというのはクラスルームで本を通じて学ぶだけではなくて、より実際に自分が自ら体験することを通じて周囲の状況、あるいは知識に対する関心を高める。要するに、実体験型の学習というのが必要なのではないかという、方法としては大別して2つの問題が提示されたというふうに思います。

 それから、教育の内容に関しましては、現在の子どもが国際的な感覚を養うための教育として、例えば社会科であるとか、あるいは語学教育の在り方であるとか、そういうことについて具体的な提言が幾つか出されております。特に多くの委員の方が指摘されましたのは、現在の学校教育というのはともすれば学校過多という傾向が見られるのではないか。すなわち、非常に長い時間、学校に子どもを拘束する。それで、今度学校が終わりますと、その次には塾が待っている。したがって、言わばスクーリングが非常に多過ぎる、長過ぎる。これでは子どもが本当に自由に、例えば自分の関心を持つ遊びであるとか、さまざまな文化的な活動を通じて自分の個人、個性を育てるという場にはつながらないだろうし、自分の自由な発想を育てるという機会も十分には持てないのではないかということがここでは指摘されました。

 そして、具体的にはこれは特に子どもの国際的感覚を育てるといいますか、子どもの国際化を更に推進するための具体的方策として、例えばJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)の推進であるとか、あるいは小学校のレベルから外国語教育を取り入れるとか、そのような方策、あるいは最近生徒の数が減っている場合にはその空いたスペースを十分に活用して、例えば国際交流室というようなものを設けるというようなこと。あるいは、他の異文化を持った子どもたちとの交流というものをもっと推進することにより、国際的な感覚を養っていくというようなこと。その他、ほかにも日本の伝統文化というものをもう少し子どもが関心を持って学べるようなプログラムとか方策というものを考えるべきではないかというようなことも提言として取り上げられました。

 最後に社会環境ということでございますけれども、一番ここがこの懇談会としては大きなテーマということになったかと思いますが、このようなことを全体的に推進していくためにはやはり社会が、あるいはこれは政府も民間も含めてですけれども、このような子どものためのプログラムを総合的に立案し、計画し、実行していくための装置というものが必要なのではないかということであります。それで、この中では例えば具体的には子ども参加型の基金の設立でありますとか、子どものための国際交流キャンプを積極的に進めることですとか、様々な具体的な提案がここでは出てくるわけですけれども、やはり基本的には何らか、これは社会全体が子どもの将来を考え、国際化を考えるための社会装置を準備する。そして、そのための体制を整備するということが必要不可欠なのではないかというのがこの懇談会の大きな結論になったというふうに考えております。

 ちょっと要約も時間の関係で大分内容的にははしょりましたので、あとは個々の項目をご覧いただいて、その意味するところをくみ取っていただければ幸いと思います。先日、総理も予算委員会でこの問題に関しては積極的な御発言をいただいたようですので、どうかこの懇談会の概要をおくみ取りいただきまして、より有効なプログラムを立案していただければ幸いと思います。どうもありがとうございました。

【本間座長】 どうもありがとうございました。

 それでは、この提言案を本懇談会の案を取り外して提言といたしまして、そのことにつき皆様の御了承をいただき、ここで直ちに総理に御提出いたしたいと存じます。御異議ございませんか。

 (「異議なし」と声あり)

【本間座長】 ありがとうございます。

 総理、私たち子どもの未来と世界について考える懇談会のメンバーは、一昨年の12月から6回にわたる会合と海外視察調査を行い、この極めて重要な問題について議論を重ねてまいりましたが、ここに私たちの討論の結果を取りまとめた提言を謹んで御提出申し上げます。子どもたちが豊かな心を持った世界に通用する日本人として育っていくよう、今後真剣に取り組んでいただきまして、そしてこの提言が着実に実施されますよう、懇談会を代表いたしまして総理にお願い申し上げます。

【小渕内閣総理大臣】 どうも大変御苦労様でした。謹んでお受けいたします。

(本間座長より小渕内閣総理大臣へ提言の手交)

【本間座長】 それでは、ここで総理からごあいさつをお願い申し上げます。

【小渕内閣総理大臣】 ただいま、提言をいただきまして誠にありがとうございました。

 一昨年の12月に第1回会合を開催いたしまして以来、委員の皆様には子どもの未来と世界に関するさまざまな問題につきまして幅広い観点から熱心に御討議をいただき、提言をおまとめいただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。

 私は今般の施政方針演説におきまして、未来への架け橋を築く必要性に言及をいたしまして、その中で私たち大人が未来の担い手のためになし得ることは21世紀への様々な架け橋を築いていく努力を精一杯行うことであるとともに、未来の担い手が頼もしい人格を持ち、自分に厳しく、相手に優しい自己を持つ人間に育つ環境を作っていくことであると申しました。社会経済のグローバル化や少子高齢化が急速に進展している中で、子どもたちを世界に通用する日本人として育てていくことは、活力ある未来を創造するために極めて重要な課題であります。提言を拝見いたしますと、日本人としての自己を確立し、世界の場で評価され、活躍できる人材を育てることは日本が国際社会の一員として役割を果たすための基本的条件であるとの認識が示されております。更に、このような考え方に則った具体的な重要施策や、それらを推進していくための体制の整備等につきましても、幅広い観点からおまとめいただいております。委員の皆さんの御尽力に改めて感謝いたします。

 政府といたしましてもこの提言の内容を着実に実施すべく、最大限の努力を傾けてまいりたいと考えております。更に、国民各層におきましても提言の問題提起を真剣に受け止め、国民的な広がりを持った取り組みが促進されることを期待するものでございます。

 最後に、委員の皆様には今後も様々な形でお力添えを賜りますようお願い申し上げて私のあいさつを終わりたいと思いますが、先般、予算委員会の審議の過程でもこの問題を取り上げられました。私といたしましてはこの提言をちょうだいいたしまして、是非積極的に取り組ませていただきたいということを国会の場でも申し上げさせていただきましたが、特に今般おまとめいただきましたそれぞれのメンバーを拝見いたしますと、本間先生を中心にいたしましてそれこそ各界各層といいますか、あらゆる分野で御活躍されておられる方が一堂にお集まりいただきまして、いろいろ貴重な御意見を賜っての提言だろうと思っております。率直に申し上げてこのメンバーを拝見させていただきまして政府としてのこうした審議会、その他におきましては最も特色あるものではなかったかと思っております。それだけに将来を担う子どもたちに対していろいろな角度からお考えをまとめていただきまして、21世紀はすばらしい子どもたちが大人になって、日本を本当に品格のある日本として担っていただきたいという気持ちがいたしております。

 私といたしましても3回、国会で演説をさせていただきましたが、富国有徳ということを申し上げさせていただきました。日本はお金持ちでなければならぬということと同時に、世界に日本人として本当に尊敬に値するような国でありたい。その国を作っていくのは子どもたちだと思っております。是非こうした提言をしっかり受け止めさせていただきまして、我々もそうした子どもたちの今後の教育を含めて全力でお手伝いしなきゃならぬかなと思った次第でございます。

 改めて長い間、大変お忙しい方ばかりでありましたが、おまとめいただいて謹んで御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【本間座長】 総理、大変御丁重な、また御理解の深いごあいさつを賜わりまして、ありがとうございました。

 総理はあと数分はお付き合いいただけるということでございますので、せっかくの機会でございますから本当は全委員にと思いますが、時間が足りないかもしれません。どうか皆様一言だけ総理に聞いていただきたいことを30秒から60秒の間でおっしゃっていただければと思います。30秒というのは案外言えるものなんです。

 それでは、松居直委員からざっとまいりましょう。

【松居委員】 提言の一番最後のところに書いてございます、国立国会図書館に2000年から設けられます国際子ども図書館のことを是非積極的に支援して推進していただきたいというふうに、私は関係がありますので特にお願いをしたいと思います。

【本間座長】 ありがとうございました。それでは、松井孝典委員お願いします。

【松井委員】 私は、この提案の要旨というのは「他」と積極的にかかわるという、今まで日本人が一番欠けているところだと思うんですが、これからの子どもは「他」という意味はすべてですけれども、積極的にかかわるような人を作れということだろうと理解しております。是非そういう方向で努力していただきたいと思います。

【小渕内閣総理大臣】 括弧をして「他」というのを余り見たことがなかったんですが、さっきお話がありましたね。

【二瓶委員】 「他」というのは他人というのもありますし、他文化、異文化、ほかの文化というのもありますし、それから自然環境も他なんですね。ですから、そういうものを全部含めて自に対する他ということなわけです。

【本間座長】 松井さんだと他の天体ぐらいまで入ってしまいます。では、城島先生どうぞ。

【城島委員】 大変私もこの会に参加させていただいてありがたかったと思います。最後に、私は青年海外協力隊のOB、OGではございますが今、全国に1万8,000 人の協力隊の体験者がおります。ある意味では一つの教材になり得る途上国の実体験を持っている生きた教材ということで、是非有効に利用していただくというか、御支援いただきながら学校教育だとか社会教育などに是非私たちをもっと取り入れて活用していただきたいというふうに思っております。是非よろしくお願いいたします。

【小渕内閣総理大臣】 外務大臣のときにそれをまとめて、それぞれいろいろ御苦労されているものを体験談も含めて作るように言ったんだけれども、総理大臣になってしまってそのままになってしまって申し訳ないですが、是非これは本当にそれぞれのところで頑張っておられるし、非常にいい例なんですよね。

【本間座長】 私の娘も青年海外協力隊でしたが、本当にそれこそ「他」との経験です。非常に多種多様な経験で、これを是非分かち合うといいと私は思います。
 では、里中委員どうぞ。

【里中委員】 いろいろとすばらしいアイデアが盛り込まれているんですけれども、実行できるかどうかが大切だと思いますので、やはり今の意見と似たものになりますが、人材の活用とその人材を育てるというところに、ソフト面ですね、そちらに力が入れられればすばらしいなと思っております。よろしくお願いします。

【本間座長】 ありがとうございました。三枝委員、どうぞ。

【三枝委員】 私は伝統文化が語れる日本人がないと、アイデンティティーというものは非常に向こうと差がつきにくいと思うんです。日本人というのは非常に変わった民族だと私は思いまして、その変わった部分の伝統、歌舞伎や能という部分が語れる人間がほとんど今はいないですね。ですから、そういうものを学校教育の中で再度取り上げていただけたらと思っております。

【本間座長】 三枝さんは明治以来、日本の音楽というのは西洋音階で学校では教える。日本の邦楽が学校から締め出されてしまった。日本の邦楽というのは日本の第3チャンネルやどこかで細々と聞かされると、そういうことであってはならない。日本人が日本人であるということの意味を音楽から語られたんです。
 では、風間さんお願いします。

【風間委員】 是非真剣にやってもらいたい。日本は特に貧困と違って、私は本当に日本の子どもたちはかわいそうな環境の中に育っていると思うんです。その豊かさの陰で心の交流という部分が特に子どもたちには足りない。その子どもたちは必ず大人になって大人社会を設計させるわけですから、是非これを本当に具体的な即効性のある形でもってやってほしいというふうに思います。

【本間座長】 ありがとうございました。小栗さん、どうぞ。

【小栗委員】 私は2点申し上げたいと思います。

 1つは、国際的な場で子どもがリーダーシップをとれるような場を是非作りたいと思います。今まではお客様で入ってしまうとなかなか力を発揮できないという感じがあるんですが、例えば日本国内でサマーキャンプとかいろいろありますけれども、海外の子どもたちとかも集まってもらって、その中で日本の子どもたちがリーダーシップを取れるような場ができるとどんどん育つんじゃないか。

 もう一つは、私は大学で専門は情報科学なんですけれども、インターネットのことを随分書いていただきました。それで今、文部省と郵政省で学校インターネットのプロジェクトが進んでいますが、やはりハード先行になっている部分がありまして、これもインターネットを使ったソフト的なプロジェクトを是非これに追随してやっていけると、こちらの提言ではそういうことを進めましょうというふうにありますが、それを具体的に進めるとより効果が出ると思います。

【小渕内閣総理大臣】 それはどういうことですか。

【小栗委員】 つまり、今はインターネットにつながるというだけでして、インターネットを使ったネットワーク上でのコミュニケーションというのを、例えば世界規模に子どもサミットみたいなものをオンラインでやる。それを日本が主催するとか、こういうような形で実際の交流も日本から発信してやっていけるといいと思います。

【本間座長】 私たち大人の誰かが用意して子どもだけ登場して子どもの交流をやりましたというのではなくて、子どもが企画力を持つ。子どもの企画力を発揮させてくれというような趣旨も入っているかと思います。
 では、アントン委員お願いします。

【アントン委員】 この会議が始まったときに私の友達や近所の方に言ったら、アントンさんこの会合は絶対意味がないと言われて、こういう会議は幾つもありましたが何も変わらなかったと。やっとこの1年間に提言が出ましたから、是非使ってほしいと思います。

【本間座長】 必ず実行してくれということですね。
 奥寺さん、どうぞ。

【奥寺委員】 私がスポーツをやってきて感じたことは、スポーツだけではないんですけれども、認めてあげるとか、その人に何がいいものなのかとか、そういうのを見つけてあげることが必要じゃないか。それがやはり主張できる一つのチャンスになるんじゃないか。何もないと、自分はできないんだとか、そういう自信もないから何もできないんだとかということがすごく多いので、私自身もそういうふうに育ってきて、私はサッカーというものができて初めていろいろなことに挑戦できる。だから、何かそういう基盤になるものを子どものときに発見できるとか、見つけてあげることが必要なんじゃないかと思います。

【本間座長】 ありがとうございました。ウッド委員、どうぞ。

【ウッド委員】 一つだけ申し上げたいと思っているんですけれども、日本でもう6年目ですが、最初の3年間はJETプログラムでやってまいりまして、今は自治体国際化協会でJETプログラムの経営をやっておりますが、5,700 人の外国人が日本にいらして2,000 ほどの関係団体がいて、もっともっとその関係団体はどういうふうにJET青年を使えばいいのかというか、活発的にもっともっとコミュニティーに国際交流的なプログラムがあればいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【本間座長】 皆様の御協力によって奇跡的に一回り、総理がおられる間に一言ずつしゃべっていただけました。大変感激です。

【小渕内閣総理大臣】 なかなか難しいと思うけれども、世界の中でそういう子どもたちについて行政ばかりではなくて国民全体の意識としてもそうだけれども、こういうものを作って懇談会で意見を聞くという必要もない国というのはどういう国がありますか。

 要するに、そういう子どもたちの将来について非常によくやっていて、国として将来どの国にも悩みはあるだろうとは思いますけれども、なかなか難しいと思いますが。

【本間座長】 これは非常に難しいです。そして、海外視察を私どももいたしましたが、子どものための例えば子ども博物館のようなものがある。それで、これは日本にももちろんありますが、これはアメリカで見てきたんですが、子どもが体を使って体で覚えていくというような工夫については、その点に関してはこの博物館はすばらしいなと思えることがあります。

 それで、皆さんいろいろな経験を語ってくださいまして、ある分野についてはどの国が断然いいとか、日本で今でもできることはいっぱいありますが、日本の子どものための出版物がずっと海外で役に立っていますとか、分野によっていろいろなんですね。

 それからもう一つ、総理も御存じですが、ユネスコはいろいろな活動をして、その中には子どもの交流に関する部分がたくさんあるわけです。ですから、日本はユネスコの最有力メンバーの一つでありますし、今度は事務局長も何とか選出したいというところでありますし、ユネスコのような国際機関というのはあります。ですが、子どもについてということで官と民と、それから個人ですね。市民として、それがどんな形でお互いに力を合わせていくことができるかというようなことをまとめて考えていくことはそんなに多くは私はないと思います。

 それで、この懇談会は先ほど総理もおっしゃいましたけれども、本当にユニークなものでありまして特色があり過ぎちゃって、実はまとめた中にはみ出た部分で面白い話というのはいっぱいあったんです。是非総理にもお聞きいただきたかったなというところはたくさんありますし、それぞれの御経験が非常にいいですから。

【小渕内閣総理大臣】 それは整理というか、あるんですか。

【本間座長】 それはあります。議事録がありますので。

【小渕内閣総理大臣】 正直言ってよく整理整頓されてエッセンスだけ書いてあるんだと思うけれども、はみ出したと言っては悪いけれども、面白い話というのは我々はすぐ飛び着くものだから。

【本間座長】 そうなんです。ですから、それを今度は事務局でいつか整理していただいて、ここは総理の気を引きそうだなというところをちょっと太字か何かにして、それを是非やっていただいて、ではここから手をつけようじゃないかと。

 これは問題は何と言ってもお金が要るというものもあります。それから、知恵があれば差し当たってできますと。その仕組みはあって今やっているんだれけれども、それを強化するというものもあります。それから、政府に頼らないんだけれども、政府に邪魔されたくないというようなものもあり得るんですね。いろいろな縛りがあったり、規制があったりしてなかなか思うようにいかない。ボーイスカウト一つだって、ボーイスカウトが今かつてのボーイスカウトよりもいろいろな点で、それはもっともなんですが、環境がどうとか何とかという規制があると今までできていたことができない。たき火一つやるのでも大変なことであるというようなこともあります。

 ですから、政府のバックアップがあって進んでいくようなプロジェクトもあり得るだろうし、それから民間が先に立ってとか、あるいは個人が先に立ってとか、団体が先に立ってとか、そういうものもあるでしょうし、それが国際的な流れになっていくためには、やはり国の支えというものも必要になってくる場合があると思います。

 ですから、非常にこれだけの人数が代表している分野というもの、背景というものは広がりがものすごいんですね。それだけに国会の御議論でもそうでしたが、どこに収れんするのか、どこにまとまっていくのか、差し当たってどれか。どうしてもやはり政府としては柱を立ててこれとこれというふうにまとめないと手をつけにくいという部分もおありになると思うんです。それはそれで要旨はありますし、柱はありますが、それと同時にこういうユニークな懇談会がありましたということで、それが一つの是非先例になっていただけるといいなと。それを首相がくみ取っていただいてしかるべくふうにお話を広げてくださると、わずか6回の会議でしたけれども、それの中身がいろいろな意味で生きる。

 私はすぐに膨大な予算がこれに付けられるなどということは、残念ながら望めないと思います。国の事情があります。しかし、やはり何らかの将来的に財政的な基盤というものは必要だろうとは思いますので、それを一方で考えてくださると同時に自由な活動が更に広がって、それが子どものためになる。子どものために大人が考えて御仕着せをするんじゃない。皆さんがおっしゃっていることは共通です。子どもの自発的な力をどれだけ広げて伸ばせるか。そのためにいろいろな議論をしてきて、文化というものは三枝さんもおっしゃったけれども、生まれ落ちた文化というもの、我々は日本人に生まれました。その文化をどうやって国際的な環境の中で、あるいは自然環境の中で自分と自分以外の、さっきの括弧付きの他ですが、他とのかかわりを持ちながら、自分も豊かに、他も豊かにということが21世紀でできるか。その挑戦のための議論を私たちはこの何回かでやってきたと、そういうことだろうと思うんです。

【風間委員】 景気対策の次に一番大事なのは子どもの教育だと思っているんです。本当にそのぐらい重要な状態というものが実際にあるというふうに私は思っています。ですから、是非真剣にやっていただきたいと思います。

【本間座長】 景気対策の中に子どもの対策があっていいというくらいだと思います。

【松井委員】 これは学校教育の規制緩和ということだと私は思うんです。他と積極的にかかわるということは規制をなくすということですから、学校教育の規制緩和だろう。そういうことが具体的に実現しないと、経済戦略会議で言っているような日本人というのはなかなかできないんじゃないか。積極的にいろいろな分野に出て行って経済活動をするなどという人間はなかなか今の日本から出てこないんじゃないか。規制緩和だと思って今までの学校教育の規制緩和を進めてもらいたいと思います。

【本間座長】 それは先ほどから何度も申し上げて恐縮ですが、三枝さんばかり挙げるのは何ですが、ちょうど真ん前に座っておられるので、芸術教育がそうなんですね。芸術教育によってはある種の規制があるんです。これは『荒城の月』を歌うか歌わないかとか、そんな話が新聞に載ったりするんですから。

【三枝委員】 チャータースクールというのがアメリカに今500 校ぐらいありますが、あれはすごいと思います。官営の学校、官でお金を出しますけれども私立なんです。これはすごい発想でクリントン時代から始まっているんですけれども、もう500 校あります。エリートだけの教育、それから落ちこぼれだけ、それから大工さんとか職人を育てるだけの教育、芸術家を育てる、科学者を育てる、全部部門別で手を挙げた人間が校長になって理事を決めまして、それが申請しますと国からお金が出てきて私立が経営できるという画期的なもので、それは罷免権が教育委員会にないんです。ですから、非常に自由な教育ができる。これは本当のある意味では新しい規制緩和だと思います。

 チャータースクールを翻訳した本が1冊出ていまして、アメリカのチャータースクールについて調べた500 校のいろいろな記録が載っていますが、これは面白いと思います。

【本間座長】 お答えになりましたが、総理が自分のお言葉で自分を表現されたというのはすばらしいことで、自己表現ということはここで随分強調してあります。やはり子どものときから自己を自分の言葉で表現するという力をそれぞれに持っているわけですから、それをどうやって伸ばすかですね。

【小渕内閣総理大臣】 チャータースクールは何かNHKの番組の中で、教育番組だったか、あるいは衛星だったか、問題になっているチャータースクールの話もありましたね。

【三枝委員】 そうです。黒人の、これがちょっと問題になったんです。アメリカ史はやらないで黒人史をやっているんですね。その問題はアメリカで言うと憲法違反なんですね。そういうことはあります。

【小渕内閣総理大臣】 少なくとも21世紀というのは私は教育だろうと思っていまして、富国はどちらかというと国としてそういうものを実施するためのベースになる資金がなければできないわけです。しかし、お金があっても今、言ったようにいろいろな意味での規制緩和その他をやりまして、有徳と私は言って少し古い言葉みたいにとられたかもしれないけれども、やはりその根底は教育の問題です。

 実は韓国で私は先生方の交流をやったりしているんですが、本当に韓国のことを理解するためには韓国の小中学生ぐらいから日本に相当呼んでやるというので、私はこの間、金大中大統領と10年間で1万人、ともかく中学生からやらせることにしたんです。

 ただ、今の話とは違うけれども、この間、廃棄物のものでNHKの番組を見たかどうか知りませんがドイツと日本の比較をやっていまして、4倍も5倍も出ているわけです。それで、どうして出ないかというと分別でやっているんだけれども、自分の家庭で外に出すときに子どもたちがみんな分別しているんです。あれはどうしてかと言ったら、学校でもう教えているんですね。だから、今ダイオキシンが問題になっているけれども、出るのが数分の1になっているわけです。それはなぜそうしているかというと、学校の中で子どもたちに分別の仕方を教えている。ですから、そういう意味で小さいころから何を教えたらいいかというような問題、今、先生方はJETで来ていろいろいい補習もしているしやっていますけれども、子どもたちもそういった形で他の国に出て行くというようなことも必要じゃないかなと思っています。

【本間座長】 総理、もう次のお約束の方が待っておられるようですので、残念ですが、これだけ総理が気を入れてお話くださるのは大変感激であります。もっと続けたいんですけれども、どうも待ちわびておられるお方がいらっしゃるようですので。

【小渕内閣総理大臣】 これはこれで御答申いただいたので、これで一応完結かもしれませんが、またメンバーの皆さんとフリーディスカッションする機会を。

【本間座長】 是非是非、私どもももう少し、それからこれを御縁にということでネットワークにしたいと思っております。

【小渕内閣総理大臣】 本当にありがとうございました。

【本間座長】 本日はありがとうございました。

(小渕内閣総理大臣退室)

【本間座長】 総理は5時30分にはどうしても出なければいけないという御予定だったそうですが、時間を延長して、次が控えていなければもっともっと話し込んでおられるような感じでありましたね。非常に深い興味を示してくださって、大変心強いと思いますので、是非是非またそのお気持ちを先ほどのお二方がおっしゃったように何しろ実施してくださいよと、これはとにかく私たちが議論をしてまとめたんですからと。それで、再びアントンさんを、やはりできないのねとがっかりさせないようにと願っております。

 私どもは大体6時をもちまして終わりというつもりでおります。御都合のつく限りということでございますけれども、一言ずつということで大変乱暴に切って申し訳ありませんでした。何とかして一言ずつ総理に直接話し掛ける機会があればということでございましたので、この機会に、総理はもう御退室されましたが、副長官は常に聞いてくださいますので、付け足して何かおっしゃりたいことがありましたらどなたからでも結構です。何かありましたらどうぞ。

【松井委員】 このおまとめが非常に見事に、本当に私は一番重要なところは他との関係性だと思うんですが、それが見事なぐらいによく出ていて見事なまとめ方だと思います。どうもありがとうございました。

【本間座長】 ありがとうございました。ワーキンググループで作業をいたしまして、実際には二瓶先生が9割近く、実際の執筆に関してはということだと思いますが、里中委員、それから今日はお見えになっていませんが河合先生ともいろいろ御相談をし、事務局ともいろいろ相談をしながらということでございまして、ありがとうございました。ほかにどうぞ。

【小栗委員】 インターネットのこととか、それからNPOのことと絡んでちょっと申し上げたいんですが、先ほど松井先生も他との関係をうまくまとめてということがあると思うんですが、その中でいろいろな他とのコミュニケーションといいますか、つまり自分と他に対して、他はたくさんありますよね。そういうたくさんあるものとの連携、例えば学校とNPOと家庭とか、こういう連携というようなものが今後重要になってきて、ボーイスカウトを例にすると、ボーイスカウトで海外を見て来るとネットワークを使って電子メールで子どもたちがやりとりをしたりして、先ほど総理がおっしゃったドイツのごみの問題とかというのを学校で、日本で学ぶ前に子どもたち同士でそういうのを、うちの学校ではこうしているよということを知るようになるような状況にあるわけです。

 何を申し上げたいかというと、そういった例えば学校とNPO、NGOというグループとの関係とか、それから例えばインターネットであれば今、各省庁で、先ほど私は郵政、文部の話をいたしましたが、いろいろなプロジェクトが進んでいるんですが、かなりよくなってきたんですけれども、ともするとそれぞれが個別に行われているところがあって、その連携というものがいわゆる二の矢、三の矢を打っていくところを省庁間で競い合うのではなくて、ある省庁のプロジェクトを更に有効に使っていくような形で次のプロジェクトというような形で連携がうまくとれていくと、常に新しいことをやりましょうとここでうたっているので、これもまたこれ独自で今回提言させていただいたことをやろうということではなくて、これも踏まえた上で今までにも幾つかいいものがあるわけですから、そういうものとの連携を十分にとっていけるような形で進めていけるととてもいいと思いますので、是非その点は各省庁の方もおいでのようですので、そういう連携を持った形での二の矢、三の矢ということを考えていただきたいと思います。

【本間座長】 ほかによろしゅうございますか。どうぞ。

【城島委員】 今回、11月に文部省から出されました、今度は2002年から本格的に始まります総合的学習の時間というのができまして、かなり大きな改革なのではないかというふうに私も思いました。私は現場をかなり踏んでいるので思うんですけれども、やはり現場の先生方にはなかなかその辺が浸透していないのと、非常に差があるなと。常に取り組んでやりたくてやりたくてしようがないんだけれども、例えば外部から講師を呼ぶためのお金がないとか、それにものすごく時間が割かれてなかなかうまく進まないというような御意見もございますし、かといって総合的学習の時間って何なのという先生がいらっしゃるのも現実です。

 ですから、その辺が大きな改革の一つだと思うので、机上の空論にならないような形で私は是非進めていただきたいし、そういう意味での先生方への余裕の時間だとか、金額的なものというのが出てくると思うんですけれども、是非その辺は御検討いただいていいものにしていただければというふうにつくづく思います。

【本間座長】 総合学習というのはたしかまだ教科書がないんですね。

【城島委員】 教科書がない方が先生方がいろいろな発想をして地域の方々にも……。

【本間座長】 それを目指しておられるんです。しかし、先生の中には今おっしゃったように、教科書がなくてティーチングマテリアルがなくて、本来教師用などが付いていないとちょっと教えるのに心細いと。今日は何ページから何ページまでで問題は幾つあって、応用問題は幾つあってというような、そういうことをやってくれるのが学校の学習だ。それをきっちり教えましょうということで一生懸命やっている先生の方が、かえって総合学習はどうしたらいいかということで戸惑われるということはあり得ると思うんです。そこをどうやっていくか。だから、先生にとっても非常に大きなチャレンジだと思います。それを成功させれば、おっしゃったように子どもにとっても非常に大きな可能性が開ける。

 ただ、総合ということが非常に難しい。大体、先生というのは教科別にたしか教師免除というものがあって、社会科の先生、英語の先生というふうになっていて、特に中高はそうですね。初等科はどうなっているのか。そういう方々が今度いきなり総合学習はどうやりましょうかと、たくさんの可能性があるようで実は戸惑うということもあり得ると思います。

【里中委員】 それについて考えるんですけれども、そういうときに待ってましたとばかりに、ではこういうことを子どもに教えたい、子どもとこういうことをしたいと思う先生を育てるのがこの子どもの未来だと思うんです。今おっしゃっているようなマニュアルがないと何もできない、何を教えたらいいのか分からないという人間をよしとして採用してきた日本のシステムに問題があると思いますので、やはり大人も自発性を持ってほしい。

 こういう未来を作るというのは時間の掛かる取り組みだと思うんです。だから、現場の先生たちがまず困って、困りっ放しじゃなくて、困ったときにさあ何をしようかと、そういうときにいろいろな発想が出る人たちに未来の人、今の子どもたちはなってほしいなという願いが込められていると私は思うんです。ですから、現場の先生たちには今こそ自分の発想を生かすチャンスだと思って各学校で取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお伝えください。

【本間座長】 ほかにございますか。

【松井委員】 しかし、実際には一番難しいことじゃないかと思います。日本は歴史の中ですべて規制されてきて、そういう自由に自分で考えて行動するというのが多分奈良時代以降ぐらいからどんどんなかったように思うんです。すべて決められていたのを急に教育で全部が変わっていくとは私はとても思えないんです。

 だから、本当のところは学校の問題も多分いろいろな問題がありますけれども、先生が本当にどんな質問に対してもきちんと答えられたら、子どもたちというのは授業でも結構興味を持つらしいんです。ところが、子どもたちの質問というのは割と本質的なところを突いているために、なかなかすぐには普通の人では答えられないというような質問が多いらしくて、そうするとやはり子どもたちが先生を軽蔑するというようなことが多いというのを私はいろいろなところで聞くんです。

 そうすると、そういう本当のベーシックな質問に答えるだけの能力のある先生をつくるというのは私は不可能だろうと思うんです。やはり大学などで一流の先生がいて、その授業が面白いのは非常に本質的な問題に対してもちゃんと答えてくれる。そこが授業などでもみんなが興味を持ったりする理由らしいので、そういうところにまで問題が広がっているとすると、なかなか学校の先生を全部同じレベルで人間とは何ぞやとか、極端なことを言えばそれこそ物理学で言ったら力とは何ぞやとか、そんなところまで質問が出たときに答えられる先生みたいなものを一朝一夕で教育でつくるというのも私はできないと思うので、具体的な方策というのは実は本当は難しいんじゃないか。言っていることはすごく正しいんだけれども、そういう先生をつくっていくのには実際にどういうことをすればいいのかというのは……。

【本間座長】 今おっしゃったことに私は全部賛成なんですが、そこで賛成した上であえて言えばだからどうしたらいいかというときに、人間とは何ぞやと答えられる人は誰かいるか。そうすると、ソクラテスがそれは分からないんだと。分からないということから出発しようと。だから、分からないところから先生も生徒も一緒になって出発して一緒に考えてみよう。ものによっては一緒に調べてみようじゃないかというような、先生がちょっと一歩先にいて、先生だって最後の答えは知っているわけではないけれども一緒に調べてみようと。少なくとも例えばこれは間違っている。ある子が何とかと言ったときに、それは違うよということは言える。

 しかし、何が正しいかということについてはそう簡単に言えない。政治学者に政治とは何ですかというと、政治学者は案外困るんですね。専門家はそんな質問は絶対しないんですから、一番基本のコンセプトというのが一番答えにくい。物理学者にパワー、力とはとおっしゃったけれども、力だかフォースだか知りませんが、そういうところが答えにくい。例えば、物質とは何かなどというのは大変に難しくて、物理学者に物質とは何かなどと言ったらそれだけでも大変なことになります。

 専門家とは何かというと、ワーキングのコンセプトで始末しているわけですよね。ワーキングコンセプトで始末して、とりあえずこんなものだというふうな考えでやっていって、どうしてもうまくいかなくなったら理論を組み直すというのが学問のやり方なんだけれども、生徒と一緒に先生はそれができますかと、その辺が非常に難しいところで、先生が全部生きた百科事典になることはできないんだから、では一緒に考えてみようということでやれる。しかも、生徒から、何だあの先生は何もできないじゃないかと言われないのはどういう先生かというのをひとつ一緒に考えてみる必要があるだろうと思います。

 今、一部の先生にまだ残っているような、やはり国際と言っただけでちょっと構えてしまって、あなたお願いします、私はちょっと忙しいからと逃げてしまうような先生がいないとは言えない。なるべく国際交流の方は何とか先生にお任せしてとか、そうじゃなくてみんな国際交流についてもっと自然に振る舞える。それは学校の先生全部が語学の二つや三つはたちまちできますと、そんなことはあり得ないので、どういう段階でありながらどういうことができるかというようなことをお互いに考えていくということが非常に大事なんだろうと思うんです。そのためにも、代表されているようないろいろな御経験というようなものが非常に貴重なんじゃないかという気がします。

【風間委員】 私もやはり教育の方法やシステムやクオリティーというのは、あくまでも一番最初に家庭という部分が書いてあるとおり心だと思うんです。基本的に家庭内における親の教育というのがまずコアであって、その部分というのは地域の問題よりも我が子の問題というのは一番切実に感じるわけですから、その家庭の部分の親に向かってこの部分をこうだというふうに言うと、私は奈良時代の奥深いものがあるかも分からぬけれども、やはり現在の親の気持ちとすれば一番大きなものだと思うんです。

 だから、そこに喚起するようなメッセージをぱんと打ってほしい。そうすると、家庭の革命から変わってくるんじゃないか。そうすると教育の革命であり、社会という部分もそこでされていくというふうに考えていいんじゃないかと思います。

【松居委員】 奈良時代だって山上憶良などがいたんですから、山上憶良の歌は自分の子どものことを一生懸命考えているでしょう。ああいうものを忘れてしまっているのかもしれない。

【ウッド委員】 この問題なんですけれども、いいところもたくさんあると思うんですが、もともと日本の平和という教え方なんですけれども、英語ではピースと言いますが、多分その意味は大分違うと思うんです。英語で言う平和という意味の単語がないと思うんです。 そういうことは、例えば親子の関係でお父さんがしゃべると息子が黙るというようにはっきり分かれているんです。それで、さっきマニュアルがないと教えられないという先生の例が出てきたんですけれども、私も教室でいろいろやってみたんですが、生徒の方もそういう聞く立場ですから、何か自由にやろうと思ったら生徒の方も困るんです。なかなか自由にはできないんですね。だから、それをいろいろ考えたので、もともとのうちでの育ち方というか、平和というのは非常にいいことだと思うんですけれども、その中からこういう問題が出てくると思うんです。その何かとはちょっと分からないんですけれども。

【本間座長】 ありがとうございました。

 また時間がきてしまいました。残念ながら予定した時間がまいりましたので、これをもちまして子どもの未来と世界について考える懇談会、これは先ほど申しましたように一昨年の12月からですから時間的には非常に長かったんですが、回数としては大変少ない回数でございましたし、皆様も御都合がいろいろおありになって全員がすべていつでもそろうというわけにはいきませんでしたが、これをもって終了ということにさせていただきます。

 私は座長をお引き受けいたしまして司会役を務めさせていただき、本日提言を提出し、大変総理からも御丁重なごあいさつをいただきましたし、松井先生から提言はよくできているという評価もいただきまして、これはすべて委員の皆様の決まり文句みたいになって失礼ですが、決まり文句という意味では決してございません。絶大なお力によるものであります。私はいろいろな審議会、委員会というようなことに関係してまいりましたが、正直申してこんな面白い委員会というのはめったにないんです。

 ただし、途中ではこれはどうやったらまとまるんだろうと。まとまらなければまとまらなくていいと登室長に申し上げようと思っていたくらいでありまして、まとまったことも本当に感激でありますが、途中の御議論、皆様のお力で非常にユニークな、エキサイティングなお話をたくさんお互いに交わすことができたということにつきまして感謝しております。

 懇談会が終了いたしましたら、提言につきましてプレスの方々は御興味がおありにあるということであれば、私と二瓶先生とで対応したいと思っております。

 終始御出席くださいました古川官房副長官からも一言お願いします。

【古川官房副長官】 一言御礼を申し上げたいと思います。

 本間座長先生を始めとして、委員の皆様には大変お忙しい中を1年にわたりましてこういった御尽力を賜りまして、心から御礼を申し上げたいと思います。本当にすばらしい提言をちょうだいいたしましたし、また本日のこの場で貴重な御意見を賜りまして本当にありがたく思っております。

 アントン委員を始めとして多くの方々から、要はこの実行をどうするかというふうなお話がございました。私どもはこの提言を真摯に受け止めるだけではなくて、関係省庁の連携を強化する。そして、提言の実施といいますか、実行に真剣に取り組んでいきたいと、かように思います。

 また、総理も申し上げましたが、この問題が国民的な広がりを持った取り組みになるように、関係都道府県とか、あるいは市町村、あるいは関係の団体にもこういった趣旨といいますか、提言の内容を周知させますとともに、国民的な広がりということでインターネットを通じてもこれを公開してまいりたいというふうに考えております。各委員におかれましても、今後ともそれぞれのお立場からお力添えを賜りますようによろしくお願い申し上げたいと思います。

 なお、私は総理は非常に残念だったと思うんです。といいますのは、総理の頭の中には私どもも今、一緒に考えておるんですが、いわゆる富国有徳というか、それの味付け、肉付けというのか、そういったことでの国家戦略というものを考えておりまして、どうするのかと。つまり、21世紀のあるべき国の姿、あるいは志の高い人間というものをどういうふうに育成していくのかというふうなことで非常に今、頭がいっぱいでございます。

 したがって、私からも今日は実は提言を申し上げたいのでございますが、一応この懇談会は本日で終わりますけれども、総理とよく相談をしまして、国会の情勢その他を見て、しかるべき時期に是非食事でもしながらもっとたくさんの時間を取って総理を囲んで皆さん方とこういった懇談の場ができればありがたいなと。この委員会というか、この懇談会は懇談会として、総理も申し上げたようにこういうすばらしいメンバーでございますから、そういう場を是非設けたいなと思っておりますので、その切はお忙しいところでございましょうけれども、是非ひとつ御出席賜って、もっとたっぷりした時間で総理と御懇談いただければ小渕総理は大変喜ばれるんじゃないか。

 今日残念だと申し上げたのは、もっともっとこういう話を皆さんとしたかったんだろう。それができなかったということでございますので、是非ひとつそういう場を私が責任を持って総理とのいわゆるフリーに意見交換できる場をつくりたいと思いますので、その節はよろしくお願いしたいと思います。

 本当にありがとうございました。心から御礼申し上げまして最後といいましょうか、あいさつに代えさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

【本間座長】 どうもありがとうございました。大変温かいお言葉をちょうだいしまして、懇談会メンバーを代表して御礼を申し上げます。今おっしゃったような機会がもし生まれるのでありましたら、その節は是非多くの委員に参加していただけるようお願いいたします。お話がたっぷりできると、30秒から60秒以内などということではなしにお話をしたいと思います。それに希望をつなぎ、それからいろいろ今日皆様のおっしゃってくださったことを是非総理がまた心にとどめてくださり、また室長からも折に触れてお話くださるということを期待いたしたいと思います。

 それではこれで閉じさせていただきますが、またここで知り合ったネットワークをお互いに大切にしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。