独立行政法人通則法要綱


 
第一 総則
一 目的等
1 この法律は、独立行政法人の運営の基本その他の制度の基本となる共通の事項を定め、各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下「個別法」という。)と相まって、独立行政法人制度の確立並びに独立行政法人が公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とすること。
2 各独立行政法人の組織、運営及び管理については、個別法に定めるもののほか、この法律の定めるところによること。
二 定義
1 この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいうこと。
2 この法律において「特定独立行政法人」とは、独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるものをいうこと。
三 業務の公共性、透明性及び自主性
 独立行政法人は、その行う事務及び事業が国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることにかんがみ、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないものとし、この法律の定めるところによりその業務の内容を公表すること等を通じて、その組織及び運営の状況を国民に明らかにするよう努めなければならないものとするとともに、この法律及び個別法の運用に当たっては、独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならないものとすること。
四 名称等
 各独立行政法人の名称及び目的は、個別法で定めるものとすること。
五 財産的基礎
 独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならないものとし、政府は、その業務を確実に実施させるために必要があると認めるときは、個別法で定めるところにより、各独立行政法人に出資することができるものとすること。
六 独立行政法人評価委員会
1 独立行政法人の主務省(当該独立行政法人を所管する内閣府又は各省をいう。以下同じ。)に、その所管に係る独立行政法人に関する事務を処理させるため、独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)を置くものとすること。
2 評価委員会は、独立行政法人の業務の実績に関する評価に関すること等の事務をつかさどるものとすること。
七 設立
1 主務大臣は、独立行政法人の長(以下「法人の長」という。)となるべき者及び監事となるべき者を指名するものとすること。
2 主務大臣は、設立委員を命じて、独立行政法人の設立に関する事務を処理させるものとすること。
3 独立行政法人は、設立の登記をすることによって成立するものとすること。
第二 役員及び職員
一 役員の任命等
1 各独立行政法人に、個別法で定めるところにより、役員として、法人の長一人及び監事を置くこととするとともに、個別法で定めるところにより、他の役員を置くことができるものとすること。
2 各独立行政法人の法人の長の名称、他の役員の名称及び定数並びに監事の定数は、個別法で定めるものとすること。
3 法人の長は、当該独立行政法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者その他当該独立行政法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者のうちから、主務大臣が任命するものとすること。
4 監事は、主務大臣が任命するものとすること。
5 法人の長は、3に掲げる者のうちから、監事以外の役員を任命し、遅滞なく、主務大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならないものとすること。
二 役員の解任
 主務大臣又は法人の長は、それぞれその任命に係る役員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき、職務上の義務違反があるとき又はその任命に係る役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため当該独立行政法人の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができるものとすること。
三 職員の任命
 独立行政法人の職員は、法人の長が任命するものとすること。
第三 業務運営
一 業務の範囲
 各独立行政法人の業務の範囲は、個別法で定めるものとすること。
二 業務方法書
 独立行政法人は、業務開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならないものとし、当該認可を受けたときは、遅滞なく、その業務方法書を公表しなければならないものとすること。
三 中期目標
1 主務大臣は、三年以上五年以下の期間において独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定め、これを当該独立行政法人に指示するとともに、公表しなければならないものとすること。
2 中期目標においては、次に掲げる事項について定めるものとすること。
イ 中期目標の期間(1の期間の範囲内で主務大臣が定める期間をいう。以下同じ。)
ロ 業務運営の効率化に関する事項
ハ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
ニ 財務内容の改善に関する事項
ホ その他業務運営に関する重要事項
四 中期計画
1 独立行政法人は、三の1の指示を受けたときは、中期目標に基づき、当該中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)を作成し、主務大臣の認可を受けなければならないものとすること。
2 中期計画においては、次に掲げる事項を定めるとともに、公表しなければならないものとすること。
イ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
ロ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
ハ 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
ニ 短期借入金の限度額
ホ 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画
ヘ 剰余金の使途
ト その他主務省令で定める業務運営に関する事項
五 年度計画
 独立行政法人は、毎事業年度の開始前に、四の1の認可を受けた中期計画に基づき、その事業年度の業務運営に関する計画を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならないものとすること。
六 各事業年度に係る業務の実績に関する評価
1 独立行政法人は、各事業年度における業務の実績について、評価委員会の評価を受けなければならないものとするとともに、その評価は、当該事業年度における中期計画の実施状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該事業年度における業務の実績の全体について総合的な評定をして、行わなければならないものとすること。
2 評価委員会は、1の評価を行ったときは、遅滞なく、当該独立行政法人及び政令で定める審議会(以下「審議会」という。)に対して、その評価の結果を通知しなければならないものとし、この場合において、必要があると認めるときは、当該独立行政法人に対し、業務運営の改善その他の勧告をすることができるものとするとともに、当該通知を行ったときは、遅滞なく、その通知に係る事項等を公表しなければならないものとすること。
3 審議会は、通知された評価の結果について、必要があると認めるときは、評価委員会に対し、意見を述べることができるものとすること。
七 中期目標に係る業務の実績に関する評価
 独立行政法人は、中期目標の期間における業務の実績について、評価委員会の評価を受けなければならないものとし、その評価は、当該中期目標の期間における中期目標の達成状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該中期目標の期間における業務の実績の全体について総合的な評定をして、行わなければならないものとすること。 
八 中期目標の期間の終了時の検討
 主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとすること。
第四 財務及び会計
一 事業年度
 独立行政法人の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとすること。
二 企業会計原則
 独立行政法人の会計は、主務省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとすること。
三 財務諸表等
 独立行政法人による財務諸表等の作成、その主務大臣への提出等について、所要の規定を設けるものとすること。
四 会計監査人の監査
1 独立行政法人(その資本の額その他の経営の規模が政令で定める基準に達しない独立行政法人を除く。)は、財務諸表等について、会計監査人の監査を受けなければならないものとすること。
2 その他会計監査人の監査等について、所要の規定を設けるものとすること。
五 利益及び損失の処理
1 独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならないものとすること。ただし、3の使途に充てる場合は、この限りでないこと。
2 独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、1の積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならないものとすること。
3 独立行政法人は、1の残余があるときは、主務大臣の承認を受けて、その残余の額の全部又は一部を中期計画で定めた剰余金の使途に充てることができるものとすること。
4 1の積立金の処分については、個別法で定めるものとすること。
六 借入金等
1 独立行政法人は、中期計画で定めた短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができるものとすること。ただし、やむを得ない事由があるものとして主務大臣の認可を受けた場合は当該限度額を超えて短期借入金をすることができるものとすること。
2 独立行政法人は、個別法に別段の定めがある場合を除くほか、長期借入金及び債券発行をすることができないものとすること。
七 財源措置
 政府は、予算の範囲内において、独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができるものとすること。
八 財産の処分等の制限
 独立行政法人は、主務省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならないこと。ただし、中期計画で定めた計画に従って当該重要な財産を譲渡し、又は担保に供するときは、この限りでないものとすること。
第五 人事管理
一 特定独立行政法人
1 役員の報酬等
 特定独立行政法人の役員に対する報酬及び退職手当(以下「報酬等」という。)は、その役員の業績が考慮されるものでなければならないものとし、特定独立行政法人は、その役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならないものとし、当該報酬等の支給の基準は、国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬等、当該特定独立行政法人の業務の実績及び中期計画で定めた人件費の見積りその他の事情を考慮して定められなければならないものとすること。
2 評価委員会の意見の申出
 主務大臣は、1の届出があったときは、その届出に係る報酬等の支給の基準を評価委員会に通知するものとし、評価委員会は、当該通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、主務大臣に対し、意見を申し出ることができるものとすること。
3 役員の服務
 特定独立行政法人の役員は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならないものとするとともに、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた特定独立行政法人又は人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならないものとすること。
4 職員の給与
 特定独立行政法人の職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならないものとし、特定独立行政法人は、その職員の給与の支給の基準を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならないものとし、当該給与の支給の基準は、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与、民間企業の従業員の給与、当該特定独立行政法人の業務の実績及び中期計画で定めた人件費の見積りその他の事情を考慮して定められなければならないものとすること。
5 職員の勤務時間等
 特定独立行政法人は、その職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならないものとし、当該規程は、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の適用を受ける国家公務員の勤務条件その他の事情を考慮したものでなければならないものとすること。
6 国会への報告等
 特定独立行政法人は、政令で定めるところにより、毎事業年度、常勤職員の数を主務大臣に報告しなければならないものとするとともに、政府は、毎年、国会に対し、特定独立行政法人の常勤職員の数を報告しなければならないものとすること。
7 その他
 その他特定独立行政法人の役員及び職員の人事管理に関する事項について、所要の規定の整備等を行うものとすること。
二 特定独立行政法人以外の独立行政法人
1 役員の兼職禁止
 特定独立行政法人以外の独立行政法人の役員(非常勤の者を除く。)は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならないものとすること。
2 職員の給与等
特定独立行政法人以外の独立行政法人の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならないこととし、特定独立行政法人以外の独立行政法人は、その職員の給与及び退職手当の支給の基準を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならないこととし、当該給与及び退職手当の支給の基準は、当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならないものとすること。
第六 雑則
一 報告及び検査
 主務大臣は、必要があると認めるときは、独立行政法人に対して報告をさせ、又は立入検査をすることができるものとすること。
二 違法行為等の是正
 主務大臣は、独立行政法人又はその役員若しくは職員の行為がこの法律等に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該独立行政法人に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができるものとするとともに、独立行政法人は、主務大臣の求めがあったときは、速やかに当該行為の是正その他の必要と認める措置を講じ、その内容を主務大臣に報告しなければならないものとすること。
三 解散
 独立行政法人の解散については、別に法律で定めるものとすること。
四 主務大臣等
 この法律における主務大臣、主務省及び主務省令は、個別法で定めるものとすること。
第七 罰則
 所要の罰則規定を設けるものとすること。
第八 附則
一 施行期日
 この法律は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日から施行するものとすること。
二 その他
 その他本法の施行に伴う所要の経過措置を整備するものとすること。