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小泉内閣メールマガジン「特別寄稿」

サマーワより

第1次イラク復興支援群 3等陸佐 栫(かこい)和彦


 第1次イラク復興支援群の中で、派遣隊員の衣食住や通信・整備・輸送業
務を担当する部隊の指揮官として、ここサマーワに来て既に3か月近くが過
ぎ、2次隊への申し送りも開始されているところですが、「九十九里をもっ
て半ば」としなければいけないのがここイラクだと思います。

 我々1次隊は駅伝で言えば「花の1区」です。2区以降にトップで「良い
施設」「良い環境」をタスキとして繋ぐことが1次隊の特性でもあります。
駅伝でも、1区の良否がその後のレース展開に及ぼす影響が大きいのは周知
のとおりです。サマーワ到着以来、宿営用天幕を建て、食堂を建て、浴場や
指揮所などを建てて、宿営地として2次隊に繋ぐ物はある程度揃いましたし、
医療、公共施設の復旧整備、給水の三本柱も機能しています。しかし、我々
が2次隊に対し最も引き継ぎたい大切なもの、それはイラクの人々、特にサ
マーワの人々との関係です。

 3月には「SU(選挙運動のウグイス嬢のように笑顔で手を振る:「S」
はスーパー、「U」はウグイス嬢のローマ字の頭文字)運動」を展開し、す
れ違う車や人に積極的に笑顔を振りまき、日本人の違和感を除く努力をしま
した。

 4月には、良き隣人としてのお付き合いとして、宿営地近傍の小学校訪問
を行い、5人編成のオーケストラ?の演奏、手品や日本の遊びを通じ、少し
でも「日本の心」を伝えるよう努力してきました。学校訪問の際、子供らに
は「シュックラン(アラビア語で「ありがとう」の意味)」でなく、日本語
で「ありがとう」と語りかけています。また、ユーフラテス川に「こいのぼ
り」をかけ、イラクの子供たちの健やかな成長を願い、日本人の心を伝える
ようにしました。『花は1年、木は10年、人は100年』と言いますが、
何年か先にこの子らが「ヤーバニーありがとう」と言ってくれたら、どんな
に嬉しいでしょう。

 本邦の新聞紙上で、「地元の雇用」、「目に見える支援」、「企業誘致・
進出を」といった見出しが紙面を飾ることもあると聞いていますが、お金や
物は、使えば減り、時が経てば老朽化しますが、「日本人の心」すなわち「
誠実」「真面目」「謙遜する心」は使えば使うほど増えると思い、復興支援
活動中の人との関わりや、SU運動、学校訪問の中で、そんな『もう一つの
支援』を大切にしたいと思います。

 もちろん、様々な事態に対する守りも怠ってはいません。その際に武器や
防弾チョッキは身を守るものとして心強いものです。しかしながら我々にと
っては地球の反対側から聞こえてくる「日本国民の声援」が何にも増して心
強く、そして励みになるものです。我々は日本の代表として立派に任務を達
成し、全員無事に帰国します。

 歴史や記録に残らなくても、いつの日か「遠く、8,000キロの彼方か
ら来たヤーバニーが我々のためにやってくれた」とイラクの、サマーワの人
々の記憶に残る仕事がしたくて、明日もまたサマーワの大地に立ちたいと思
います。
                       (平成16年5月執筆)

※ 第1次イラク復興支援群の隊員については、5月31日までに全員無事
 に帰国しました。

※ 陸上自衛隊ホームページ(イラク復興支援関連)

※ 小泉内閣メールマガジン第143号への寄稿を転載いたしました。