規制改革についての見解

第2章 各  論



1 情報通信

【分野別総論】

○問題意識

 情報通信分野においては、様々な規制改革が実施され、大きな経済効果を生み出してきたが、情報通信技術(IT)の革新のスピードは速いことから、環境変化に対応した迅速かつ不断の対応が重要である。
 特に、通信と放送の融合が進展するとともに、IT革命による社会変革に対する期待が高まっている中では、電気通信分野と放送分野を包含する情報通信分野の健全な発達を図るという観点から、規制改革を推進することも重要である。
 本年10月13日に開催した「IT革命推進のための規制改革」と題した公開討論においても、インターネットの爆発的な普及、通信と放送の融合等の環境変化に対応した規制の見直しの重要性について指摘がされており、当委員会としては、これらの議論も踏まえ検討を進めてきた。
 具体的には、電気通信分野においては、IT革命推進の基盤となる情報通信ネットワークの円滑な整備及び多様な主体による競争的なサービス提供を実現するため、地域通信分野におけるNTTの独占状態の解消、線路敷設問題の解決等の競争環境整備を推進することが重要である。
 放送分野においては、公正有効競争の確保に重点が置かれてきた電気通信分野と異なり、ともすればそのような観点は見落とされがちであった。しかし、通信と放送の融合が進展しつつある中では、これまで放送が果たしてきた社会的役割を踏まえつつ、公正有効競争の確保の観点からも環境整備を推進することが重要である。
 このほか、通信と放送両分野に関係する問題として、あらゆる人々が、自由かつ安全に、多様な情報を、多様な形態で、容易に受信又は発信できる環境を整備する観点から、過去に制作された良質なコンテンツの流通を確保することが重要である。

○検討状況

 電気通信分野においては、移動通信端末売切り制の導入、料金の事前届出制の導入、ケーブルテレビ事業者による電気通信事業への参入の促進等が実施されてきたところであり、ここ数年のうちに、移動通信の加入者数の爆発的増加、長距離・国際通信分野及び移動通信分野における料金低廉化、ケーブルテレビネットワークを利用したインターネット接続サービス提供事業者の急増等大きな経済効果が見られる。
 また、放送分野においても、ケーブルテレビに関する地元事業者要件の撤廃、CSデジタル放送に関する料金規制の緩和及びマスメディア集中排除原則の緩和等が実施されてきたところであり、ここ数年のうちに、多メディア化、多チャンネル化の進展により視聴者の選択の幅が急速に拡大するとともに、ケーブルテレビ加入者及びCSデジタル放送加入者の急増等一定の経済効果が見られる。
 このように、ここ数年、日本経済の低成長が続く中で、情報通信分野における規制改革は、大きな経済波及効果を与えるとともに、雇用機会の創出の面でも多大な貢献をしてきたといわれている。
 行政改革委員会及び当委員会においても、低迷が続く日本経済の中で、数少ない成長分野である情報通信分野の活性化が重要であるという認識の下、積極的に提言を行ってきた。
 電気通信分野については、地域通信分野を含めた全分野において公正有効競争を実現するという観点から、料金規制の緩和、NTTの在り方、接続料金への長期増分費用方式の導入等について検討を進めてきた。
 また、放送分野についても、視聴者がデジタル技術をいかした多彩なサービスを享受できるようにする等の観点から、BS放送のスクランブル化、地上デジタル放送に係るマスメディア集中排除原則の運用の在り方等について検討を進めてきた。
 こうしたこれまでの成果を踏まえ、今年度においては、NTT及びNHKという電気通信分野と放送分野において特別な地位を占めている事業者について特に重点を置き、通信と放送の融合が進展していく中で、情報通信分野の健全な発達を図るという観点から、どのような在り方が望ましいかについて提言を行っている。
 また、IT戦略会議が本年11月27日に取りまとめた「IT基本戦略」において、全ての国民が情報技術を積極的に活用し、かつその恩恵を最大限に享受できる知識創発型社会を実現するという観点から、超高速インターネット網の整備とインターネット常時接続の早期実現、電子政府の実現等について提言されているが、当委員会としても、このようなIT戦略会議・IT戦略本部合同会議における検討等も踏まえながら、規制改革を推進する立場から検討を進めてきた。

【各論】

(1)通信と放送の融合への対応

 伝送路の融合、中間領域的サービスの出現、事業体の融合、端末の融合といった通信と放送の融合が進展してきており、利用者は通信又は放送という配信の形態を意識することなく、大容量のデジタル情報を受信することが可能となりつつある。
 最近のデジタル技術を始めとした情報通信技術の革新により、ケーブルテレビ及びCSデジタル放送が急速に普及し、本年12月からBSデジタル放送が開始されたほか、2001年秋以降東経110度CSデジタル放送が、2003年から地上デジタル放送が開始される予定であるなど、放送をめぐる環境は大きく変化しつつある。また、このような放送分野における多メディア化、多チャンネル化が進展する一方で、ストリーミング技術を活用したいわゆるインターネット放送の登場、動画の配信も可能なIMT-2000の来春からのサービス開始等、通信系のコンテンツ配信手段も多様化しつつある。
 このような通信と放送の融合の進展や、多メディア化、多チャンネル化の進展といった、通信、放送を取り巻く環境の大きな変化に対応した制度の見直しを行うことが重要である。
 また、通信と放送の融合が進展していく中で、我が国における主要な電気通信事業者であるNTTと主要な放送事業者であるNHKが果たす役割は重要であり、情報通信市場の今後の発展に大きな影響を与えると考えられることから、その在り方については十分な検討が必要である。

(1−1)放送分野における通信と放送の融合への的確な対応

ア 通信と放送の融合に対応した放送制度の見直し
 放送法については、技術革新による衛星を利用した放送やデジタル放送の実現等に対応して、逐次、見直しが行われてきているが、通信と放送の融合等、通信、放送を取り巻く環境の大きな変化に対応した制度の見直しを進めるべきである。
 具体的には、通信衛星を利用した放送に必要な認定手続や、第一種電気通信事業者の通信回線を利用したケーブルテレビ事業に必要な許可手続の簡素化等、通信と放送の融合の進展に対応した制度整備を推進すべきである。

イ NHKの在り方
 これまでともすれば電気通信分野における公正有効競争の確保について議論が集中してきた傾向があるが、通信と放送の融合が進展していく中では、放送分野についても公正有効競争の確保について真剣に検討を行うべきである。もちろん、放送が文化及び社会の発展に関して果たしてきた役割を否定するものではないが、競争の促進という視点から、その在り方について検討することが重要と考える。
 放送分野については、受信料収入を基本的財源とするNHKと広告収入を基本的財源とする民間放送事業者といういわゆる二元体制がとられており、これまで社会及び文化の発展に貢献してきた。
 NHKによる他分野への参入表明が、社会的に大きな関心を持って受け止められたが、通信と放送の融合の進展等放送をめぐる環境が大きく変化しつつある中で、放送を行うことを目的に設立されたNHKの在り方について、以下のような点から十分な検討を行うことが必要である。

  1. NHKの保有メディアの在り方
     NHKは、放送法及び放送普及基本計画により、2系統の地上テレビジョン放送、3系統の地上音声放送、2系統のBSアナログ放送、3系統のBSデジタル放送(うち2系統はBSアナログ放送のサイマル放送)等を実施することとされており、いわゆるマスメディア集中排除原則により保有するメディアの数について制限を受ける民間放送事業者とは異なり、特別な地位にある。
     郵政省は、平成11年3月の報道資料において、「放送の普及状況及びBSデジタル放送事業者の動向等を勘案し、・・・、BS放送のスクランブル化について、NHKのBS放送の位置付け、NHKのメディア保有の在り方等も含めて検討を行う。」としている。
     NHKは、BSデジタルテレビジョン放送として、HDTV1系統とアナログ放送のサイマル放送としてSDTV2系統を実施しているが、他の民間放送事業者との公正有効競争の確保の観点からもその保有メディアの数について検討すべきである。
  2. NHKによる業務範囲の拡大
     放送を行うことを目的として設立されたNHKが、その蓄積した優良なコンテンツを有効活用して業務範囲を拡大することについては、NHKの経営という観点から資源の有効活用には一定の合理性が認められる。しかし、当該コンテンツは特殊な負担金たる受信料を財源として蓄積されたものであることから、その果実は負担者たる国民視聴者に広く還元されなければならないことを認識する必要がある。
     NHKの業務範囲の拡大に当たっては、当該業務が公共放送を行うというNHKの目的にかんがみ適切なものであるか検討すべきである。この検討にあたっては、受信料の負担者である国民がNHKに期待する役割、放送分野における公正有効競争の確保等も踏まえて行うことが必要である。
  3. NHKの受信料制について
     そもそも放送法では、NHKは、あまねく全国で受信できるように豊かで良い番組を放送することを中心に、視聴者全体のための公共性の高い役割を担うことを目的としており、受信料は、そうした事業を維持するための国民的負担金であるとされている。しかし、例えば現にNHKが行うBSアナログ放送に関して、その当初の目的である難視聴地域の解消及びBS放送の普及・発展の先導は達成されてきているとの見方もあり、後者については、地上放送と同様な受信料制度で維持する必要が薄まっているとの有力な指摘がある。
     多メディア化、多チャンネル化や、通信と放送の融合の進展等、環境が変化していく中で、高度な自主性、中立性を備えた公共放送を維持するため、視聴するか否かといった意思に関係なく、受信することが可能な受信機を設置した者に契約締結を義務付ける受信料制度について、消費者意思の尊重と消費者負担の軽減の観点から、公共放送の在り方も含め検討を行う必要がある。
     特に、例えば、東経110度CSデジタル放送が開始され、受信機がBS、CS共通のものが主流になると、CSのみを視聴したい者に対してもBS受信料支払いを求めることになる。その結果、CS放送事業者とNHKの間で、公正な競争条件がなりたたなくなるという可能性もあり、受信料を財源にサービスを提供するNHKは、NHKと類似のサービスを提供しようとする事業者を圧迫することとなりかねない。
     さらにまた、受信料については地上波放送において18%、BS放送においては24%の未契約世帯があるという(NHK説明)。受信料制度をとっている場合には、負担者間の公平性、NHK経営実態の透明性確保の観点から、その実態を公にするとともに、未契約世帯解消に向けての有効な措置を講ずるべきである。
     規制緩和推進3か年計画(再改定)において、「NHKのBS放送のスクランブル化については、デジタル化、多チャンネル化が急速に進展する衛星放送の動向を踏まえ、NHKに期待される役割やデコーダ設置の負担等視聴者に及ぼす影響を勘案しつつ実施について検討する」とされているが、デジタル化、多チャンネル化はいまや現実の問題となっており、各家庭における新たなデコーダ等の設置が困難であるBSアナログ放送と異なり、BSデジタル放送については技術的にはスクランブル化に関する障害はない。
     したがって、BSデジタル放送のスクランブル化については、既往の規制緩和推進3か年計画(再改定)の趣旨にそって、サイマル放送期間を考慮しつつ、その実施について検討すべきである。

(1−2)通信と放送の融合を踏まえたコンテンツ問題への的確な対処
 デジタル技術を始めとする情報通信技術の革新は、ストリーミング技術を用いたインターネット放送等を実現し、利用者は、通信又は放送という配信の形態を意識することなく、大量の情報を受信又は発信することが可能となっている。
 このような技術革新の成果を十分に享受できるようにするには、あらゆる人々が、自由かつ安全に、多様な情報を、多様な形態で、容易に受信又は発信できるよう、情報通信の利用環境を整備することが重要である。
 放送のデジタル化、インターネットの高度化等によりコンテンツに対する需要が高まる一方で、良質なコンテンツの新規制作には人的資源等の一定の制約があることから、過去に制作された良質なコンテンツの再流通を可能とすることが重要である。
 映像系コンテンツ市場に占める放送コンテンツの割合は非常に大きいことから、NHKを始めとする放送事業者等が蓄積している多様かつ豊富な放送コンテンツが、多種多様なメディアを通じて活発に流通することが重要である。
 具体的には、円滑かつ確実な権利処理のためのコンテンツ利用に関するデータベースの構築等により、コンテンツのマルチユースを促進する環境整備を積極的に進めるべきである。

(2)電気通信事業者のネットワークにおける競争条件の整備

 電気通信事業は、ネットワーク構築に多大な投資が必要な装置型産業である。したがって、電気通信事業の全分野において競争を促進し、そのメリットを利用者が最大限に享受できるようにするには、ネットワーク構築段階における競争を推進するとともに、他者の構築した既存ネットワークの柔軟な利用(接続、再販、業務委託、IRU等)を可能とすることにより、サービス提供段階での競争を促進することが重要である。
 当委員会においては、このような認識の下、これまで、電気通信分野において主要な地位を占めるNTTの在り方、相互接続に関する制度整備、第一種電気通信事業者によるネットワーク構築の柔軟性の確保等について、検討を進めてきた。地域通信分野に実質的な競争を導入するためには、さらに、以下のような措置を講じることが必要と考える。

(2−1)電気通信事業者によるネットワーク構築の柔軟性の確保
 サービス提供段階の活発な競争による通信サービスの料金低下を実現するためには、他者の設置したネットワークの柔軟な利用等効率的なネットワーク構築を可能とすることが重要である。
 平成10年5月の電気通信事業法改正により、同年11月から、基本的に他の電気通信事業者から電気通信役務の提供を受けてネットワークを構築することとされてきた第二種電気通信事業について、回線設備の設置が部分的に可能となった。
 また、平成11年12月に、基本的に自らネットワークを設置して行うこととされてきた第一種電気通信事業について認められている、破棄し得ない使用権(IRU)、業務委託、相互接続による他事業者の伝送路設備を活用したネットワーク構築方法等に関する事業者の一層の理解増進を図るために、マニュアルが公表された。
 さらに、第一種電気通信事業と第二種電気通信事業をそれぞれ独立した事業として行う場合において別会社によることを求めていた、いわゆる別会社規制が本年9月より撤廃されるとともに、第一種電気通信事業者が他の電気通信事業者から調達した電気通信回線設備を利用して全体を一体的に第一種電気通信事業として運用するいわゆる回線再販売が本年11月から可能とされた等、ネットワーク構築の多様化・自由化が進展している。
 今後は、電気通信事業者によるネットワーク構築における一層の柔軟性を確保するため、業務委託等に関する要件の緩和等について検討を進めるとともに、再販事業者を含めたサービス提供レベルにおける競争を促進するため、第二種電気通信事業者向け割引料金制度を導入・拡充すべきである。
 また、柔軟なネットワークの構築を一層促進するため、電力事業者、鉄道事業者等が自ら所有する光ファイバ等の既存通信ネットワークを電気通信役務提供のために広く電気通信事業者に開放できるようにすべきである。なお、この開放にあたっては、サービスの安定的かつ継続的な供給及び公平な条件による利用が確保されることが重要である。

(2−2)線路敷設問題
 電気通信事業者と利用者とを結ぶ地域アクセス回線は、電気通信サービスを提供する上で不可欠な設備であるが、地域アクセス回線については、NTT東西地域会社による事実上の独占状態である。
 これまで、他の電気通信事業者によるNTTの地域アクセス回線の円滑な利用を確保する等の観点から接続制度が整備されてきたが、地域通信市場に実質的な競争を導入するためには、新規参入の電気通信事業者が円滑にネットワークを構築することができるよう、いわゆる線路敷設問題を解決することが不可欠である。
 平成12年11月6日のIT戦略会議・IT戦略本部合同会議に報告された「線路敷設の円滑化について」によれば、「「日本型IT社会」の最も基本的な社会的基盤である超高速インターネットの整備に不可欠な光ファイバ網の整備を推進するため」、公益事業者の所有する電柱・管路等の利用に関するガイドラインの策定、その利用に関し紛争が生じた場合の実効性のある法的担保措置の整備、路上工事の試行的な規制緩和や手続の迅速化を始めとした道路等公的空間への敷設円滑化等の措置を講じることとされている。
 この問題については、行政機関を含む関係当事者や、関係する制度が多数に上ることから、IT戦略会議・IT戦略本部で取りまとめられた内容が着実に実施されるよう、関係省庁が連携して上記「線路敷設の円滑化について」において明記された措置を講ずるべきである。
 なお、IT戦略会議・IT戦略本部の取りまとめ自体は、情報通信分野において今後重要な役割を果たしていくことが期待されるケーブルテレビ事業者を特に含むものではないが、ケーブルテレビ事業者についても、電気通信事業者と同様円滑な線路敷設が実現するよう、関係省庁が連携して必要な措置を講ずるべきである。

(2−3)NTTの在り方
 当委員会においては、地域通信分野を含めた全分野において、公正有効競争を実現する観点から、これまで、NTTの在り方について検討を進めてきた。
 平成7年12月の行政改革委員会第1次意見においては、「公的規制の緩和」と「実態として独占体であるNTTにかかわる問題」両者の一体的解決が必要との考えに基づき、@独占企業体のNTTを、真の競争原理が働くような形態にすること、A競争を阻害している、そのおそれがある規制を撤廃、緩和すること、B行政の裁量を排除し、競争を促進するための明確なルールを策定すること等について、提言している。そのほか、NTTに対する非対称規制の存続を是認する一方で、競争の進展状況に応じた、順次緩和、最終的な廃止についても提言している。この提言は、公正有効競争を促進することを目的として規制緩和を実施するが、地域網を独占するNTTの存在を抜きに規制緩和を考えることはできないという考えに基づいたものである。
 平成8年12月の同委員会第2次意見において、純粋持株会社方式によるNTTの再編成方針について、公正有効競争の確保に強い懸念を表明し、平成9年3月の規制緩和推進計画の再改定に対する見解において、再編成案は委員会が当初想定していたものであるとは言えないと指摘している。平成9年12月の最終意見においても、電気通信分野の規制緩和の成果を評価する一方で、持株会社方式でのNTTの再編成に関しては、不完全な結果に終わったと言わざるを得ない部分があると指摘している。
 また、平成10年12月の当委員会第1次見解において、持株会社の下に東西の地域会社に分離分割するNTT再編に関し、依然としてNTTによる独占状態が続いている地域通信分野において、特殊会社である再編後の東西の両地域会社が持株会社の下で一体的に経営される懸念について、指摘している。
 このように、行政改革委員会及び当委員会は、公正有効競争を確保する観点から、電気通信分野について一貫して監視を継続するとともに、持株会社方式でのNTT再編成について懸念を表明してきた。
 当委員会としては、NTT関係各社が相互に競争することにより、地域通信分野を含めた全分野において公正有効競争を実現することが重要と認識しており、そのような競争の実現と進展に応じて、NTT法における業務範囲規制等、現在特殊会社であるNTTのみを対象としている非対称規制を撤廃し、NTTに自由な経営を保障することが、日本の情報通信分野の更なる発展につながると考えている。
 このような観点から、以下のような措置を講じる必要があると考える。

ア NTTの経営形態について
 地域通信分野を含めた全分野において公正有効競争を実現するという観点から、NTT関係の各事業会社が独立した経営体として相互に競争を行うことが必要である。
 本来、NTTがそのような競争を自ら活性化して、それにより非対称規制から脱することが、日本の情報通信全体を活力あるものとするという観点に立って、持株会社の廃止について、検討すべきである。
 なお、当面の問題として、NTTコミュニケーションズ及びNTTドコモに対するNTT持株会社の出資比率を、NTT関係各社間で公正有効競争が確保される程度にまで更に引き下げるとともに、グループ企業間のファイアウォール規制を更に徹底すべきである。

イ NTT法における規制の緩和
 IT革命推進の基盤となる情報通信ネットワークの整備において重要な役割を果たすことが期待されているNTTによるグローバルな事業展開や機動的・弾力的な資金調達等を可能とするため、国の安全確保やユニバーサルサービスの確保等の問題に配慮しつつ、公正有効競争の確保に影響を及ぼさない範囲で、NTT法における外資規制、政府保有株式数規制等を緩和する方向で検討を進めるべきである。

ウ ドミナント規制の導入について
 電気通信分野については、現在、地域通信分野は依然としてNTTの事実上の独占状態であるが、地域通信分野以外の各分野は相当程度競争が進展している。このような各分野における競争の進展状況を踏まえ、事業者の市場支配力に着目したいわゆるドミナント規制を導入し、支配的事業者によるその市場支配力の濫用を防止するとともに、非支配的事業者に対する規制は利用者保護の観点から必要最小限のものとし、自由な事業展開が可能となるよう規制緩和を積極的に進めるべきである。
 ドミナント規制は、競争が有効に機能していない場合に、競争を機能させるために支配的事業者に対して適用されるものであり、本来そのような規制が必要でない状態が望ましい。
 ただ、電気通信事業は、ネットワークの円滑な接続の確保が基本的な要請であることから、競争の有無にかかわらず、公平かつ公正な接続を保障する接続規制等の一定のルールは必要である。

(3)周波数割当ルールの制定

 周波数の割当における透明性の向上を図るとともに、免許申請者の利便の向上及び電波の有効利用を促進するため、当委員会の第2次見解に沿って電波法が改正され、周波数割当計画の策定・公示が制度化されるとともに、特定の電気通信業務用無線局及び放送局等に関する競願処理を比較審査で行うための手続が整備された。この電波法改正により、免許手続の公平性及び透明性が改善し、有限希少な電波の有効利用が一層促進されると期待されるが、当委員会としては、比較審査方式による周波数割当ての実施状況について引き続き注視していく。
 今後とも、オークション制度に関する海外の最新動向を調査・フォローするとともに、公正、透明な割当方法について、オークション制度の導入の是非を含め引き続き検討を進めるべきである。

(4)行政の情報化の推進(各種申請の電子化、オンライン化)
 インターネットの急速な普及、電子商取引の実用化の動きなど、行政の情報化をめぐる動きは急速であり、また、これに伴い、ITを活用した行政サービスの向上への要請は一層強くなっている。特に、申請・届出等手続の電子化・ペーパーレス化については、手続に要する国民負担の軽減、事務処理の迅速化等規制改革を進める観点から、その積極的な推進が求められている。
 政府においては、「行政情報化推進基本計画の改定について」(平成9年12月20日閣議決定)に基づき、国民の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上を図る観点から、総合的・計画的に行政の情報化が推進されている。特に、申請・届出等手続のオンライン化については、「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」(平成11年12月19日内閣総理大臣決定)において、平成15年度(2003年度)までに、民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用しペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築することとされた。これを踏まえ、「申請・届出等手続の電子化推進のための基本的枠組み」(平成12年3月31日行政情報システム各省庁連絡会議了承、5月19日高度情報通信社会推進本部報告)が策定され、各省庁は、所管法令等に係る申請・届出等手続のオンライン化を計画的かつ着実に推進するため、平成15年度までのアクション・プラン(年次計画)を策定するものとされた。アクション・プランの取りまとめ作業の結果、平成15年度までのオンライン化実施がほぼ達成される見込みとなった。オンライン化推進に当たっての技術的な課題等については、その解決に向けた具体的スケジュール及び方策について、平成12年度内に結論を得ることとされており、この結論を踏まえ、各省庁は、平成13年春から夏にかけて、実施時期の前倒し、手続そのものの簡素化等の観点から現行アクション・プランを見直し、新たなアクション・プランを策定することとされている。
 また、ワンストップサービスについては、その整備方針として「ワンストップサービスの推進について」(平成11年3月31日行政情報システム各省庁連絡会議了承、平成12年3月31日改定)が策定され、各種の行政手続について、ネットワーク上における総合的な窓口として総合行政サービスシステムを整備し、平成13年度からインターネットを活用した行政手続の案内・教示、申請等様式の一元的な提供を進めるとともに、輸出入及び港湾諸手続、自動車保有関係手続などの特定分野のワンストップサービスを推進することとされている。
 こうした動きの中、政府においては、平成12年7月7日、IT革命の恩恵を全ての国民が享受でき、国際的に競争力ある「IT立国」の形成を目指した施策を総合的に推進するため、内閣に内閣総理大臣を本部長とする「情報通信技術(IT)戦略本部」を設置するとともに、民間有識者等からなる「IT戦略会議」を設け、同会議において、「IT基本戦略」が策定されたところである。また、先の臨時国会において、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が成立し(平成12年1月6日施行)、行政の情報化に関する基本方針が明らかにされるとともに、行政の情報化に関し政府が迅速かつ重点的に講ずるべき施策に係る重点計画を策定することとされている。さらに、平成12年12月1日、行政改革大綱が閣議決定され、電子政府の実現について、情報通信技術の活用と既存の制度・慣行の見直しにより、国民の利便性の向上及び国民に開かれた行政の実現を図るとともに、行政運営の総合性・機動性を高め、その簡素・効率化を進める観点から、@国民、企業と行政との間の情報化、A行政の事務・事業の情報化、B情報セキュリティ対策その他の環境整備、C地方公共団体における行政情報化の推進を柱とする各種の施策を講ずることとされている。
 今後、行政の情報化を推進していくに当たっては、行政手続に要する国民負担の軽減、事務処理の効率化の観点から、特に、既存の業務を単にオンライン化するだけでなく、添付書類の簡素化をはじめとする手続そのものの見直し、国民にとって安心かつ使いやすいシステムの整備などに積極的に取り組む必要があるとともに、国民等の要請に応え、電子政府の早期実現を目指すべきである。