11 福祉
【分野別総論】
○問題意識
少子・高齢化の急速な進展の中で、主として家族の保護を受けられない少数者を対象としていた、従来の高齢者介護や児童保育制度の大幅な改革が必要とされている。
これまで福祉の分野は、行政がその必要性を認定した者へ公的な枠組みでの給付を与える措置制度が主体であった。しかし、高齢の要介護者が傾向的に増加する一方、女性の社会進出が本格化する中で、高齢者介護や児童の保育を専ら家族だけの責任とすることは非現実的な状況となっており、社会全体でその負担を分散する仕組みが必要とされてきた。こうしたことも背景として、社会福祉事業法が50年ぶりに改正された。
また、高齢者介護分野においては平成12年度年度から介護保険制度が施行されたことに伴い、高齢者介護サービスは、従来の措置制度から介護保険制度の対象に移り、民間企業の参入が大きく促進された。
さらに、保育分野でも、平成9年の児童福祉法改正以降、保育サービスの充実や顕在化しつつある児童虐待等の問題に対応した制度の見直しが図られつつある。
しかし、これらの福祉分野の改革は、消費者本位の介護・保育サービスを実現するための第一歩であり、さらに量的な拡大と質的な向上を目指し、民間活力を生かした効率的なサービス提供が保証されるよう、改革を必要とする分野は数多く残されている。具体的にその視点を挙げれば、@社会福祉法人以外の民間組織への支援の促進、A制度の充実のために新設、補強すべきシステム(監視・評価システム、情報システム、資格制度など)の確立、B利用者の選択を容易にするための制度の設計、などである。以下の各論で取り上げたテーマは、この様な問題意識に基づいたものであり、社会のニーズに沿った積極的な改革が求められているものである。なお、介護分野においては、介護保険制度全般の見直しを法律施行後5年を目途に検討することとされているが、直ちに是正し得る問題については、早急な取組が必要である。
福祉分野については、社会環境や意識の変化に伴い新たな課題が絶え間なく発生している。これらの課題は、家庭、地域社会、企業、教育制度などとも幅広い関連を持っている。従来の枠組を越えた、問題別のダイナミックな取組が期待される。
○検討状況
福祉分野においては、これまで主に民間企業による対等な競争と市場参入の問題やそのための情報開示等の環境整備について取り上げてきた。介護分野では、今年度から施行されている介護保険の中にはその趣旨が生かされ、在宅介護サービスへの民間企業の参入が促進されることとなった。また、保育分野でも、認可保育所に関して、一定の条件のもとに民間企業の参入が許容されることとなった。
こうした成果を踏まえ、今年度は、介護分野では、介護保険給付業務のIT化の推進、介護サービスの標準化の促進、介護支援専門員の在り方等を重点項目として取り上げた。また保育分野では、保育サービスの形態の多様化や質の向上、保育サービスの利用者への直接補助方式の導入について等を検討項目として取り上げた。
【各論】
(1)介護に係る規制改革
(1−1)介護保険給付業務におけるIT化の推進について
介護事業者の国保連への介護報酬の請求については、伝送(コンピュータからの通信回線を用いた請求)や磁気媒体(磁気テープ、フロッピーディスク、光磁気ディスク)の提出によることが原則とされている。また、介護保険制度に関する情報のほか、ケアプランの作成や利用者が事業者を選択する際に必要となる「指定事業者情報」等がWAM−NET(福祉保健医療情報ネットワーク)で提供されているほか、都道府県や市町村からの厚生省に対する疑義照会も、事業者等の利用機関にも閲覧が可能となっている。さらには、既存の指定事業者情報の充実を目指す他、事業参入等にあたり参考になるよう、市町村別・要介護度別の要介護認定者数の情報を追加する事が計画されており、ネットワークによる情報提供の拡充が図られつつある。
今後の取組としては、ケアプラン作成の際のサービス事業者の空き情報等の情報化など、介護保険給付業務に係るIT化を更に進めるべきである。
また、利用者がWAM−NET等を通して事業者情報等に直接アクセスし、サービス選択の判断に資するようなシステム構築も図るべきである。
さらには、介護に関する技術の発展等に資するために、例えば提供サービスと対象者の心身の状況の変化の関係を検証するなど、個人情報保護のための方策を明確にした上で要介護者に関する情報の収集や分析等に努めるべきである。
(1−2)介護サービスの標準化の促進について
介護保険が開始して間もない現在においても、以下に述べるような、幾つかの制度上の改善点が指摘されている。法律施行後5年を目途に制度全般の見直しを検討することとされていることもあり、一般的に制度の根幹に係る部分での改善は現段階では困難であるとは想定される。
しかし、手直しや運用の改善により国民にとってより良いサービスを提供することが可能となるものや、放置すると制度上の弊害としてその影響が甚大となり得るものについては、早急な改善に取組むべきである。
イ 介護職の業務範囲等について
医行為については、医師法(昭和23年法律第201号)第17条に、「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定されている。また保健婦助産婦看護婦法(昭和23年法律第203号)第31条第1項で「看護婦でなければ、第5条に規定する業をしてはならない。但し、医師法又は歯科医師法の規定に基づいてなす場合はこの限りでない。」、第2項で「保健婦及び助産婦は、前項の規定にかかわらず、第5条に規定する業をなすことができる。」と規定されている。この様に、介護福祉士やホームヘルパーなどの医療職以外の介護に係るものの医行為は禁止されている。そこで、医行為が発生する可能性がある要介護者で、かつ在宅で療養することを希望する者は、看護婦等の訪問を受け必要な処置を受けるか、または必要とされる医行為に係る処置を医療職の指導を受けて、自らやその家族が実施することとなっている。
しかし、訪問介護において、家族が現に実施しているような医行為を、介護福祉士、ホームヘルパーが行わざるを得ないケースがあることも指摘されている。
ついては、特に在宅で療養する要介護者等に対する介護サービスの充実を図る観点から、訪問介護について、その業務範囲をできる限り明示し、その周知徹底を図るとともに、訪問看護との連携など現場における具体的な対応事例を提示するべきである。
また、今後は、訪問看護の一層の充実を図ることにより、在宅で療養する要介護者等に必要な訪問看護が提供されるよう努めるべきである。
さらに、要介護者の様々なケースに対応可能とするために、介護職の養成研修を一層充実させ、介護福祉士について登録の更新制度を導入するなど、介護福祉士、ホームヘルパー等の介護職の資質の向上を図る措置を講じ、要介護者のニーズに的確に応えることの可能な介護職の育成を図るべきである。
ウ 介護給付の対象の在り方について
施設介護サービスに位置付けられる特別養護老人ホーム等は、居住・食事費等(いわゆるホテルコスト)も介護報酬の対象としており、また施設整備に対する補助制度も整備されている。これに対して民間有料老人ホームやケアハウスにおいて提供される介護サービスは、「高齢者が自ら選択した住居」を基盤とした在宅サービスとして位置付けられており、その入居者のホテルコストは介護給付の対象とされていない。
しかし、契約という利用者の選択に委ねられる介護保険制度では、特別養護老人ホーム等と民間有料老人ホーム、ケアハウス等のうち、どのようなサービスを受けるかは利用者自らが選択することとなっており、また、特別養護老人ホーム等についても、入所者の居住性に配慮した個室化を推進していくことが求められていることから、将来的には、特別養護老人ホーム等と有料老人ホームの間の違いは、小さくなっていく。
ついては、施設と在宅の負担の均衡を図り、競争の促進により介護サービスの質を向上させるためにも、低所得者には配慮しつつ、現在の特別養護老人ホーム等への介護報酬に含まれているホテルコストについて見直しを検討すべきである。
具体的には、特別養護老人ホームにおけるホテルコストを原則として利用者負担として徴収するとともに、そうした負担に耐えられない低所得者層については、一定の配慮を検討すべきである。これは、利用者にとって施設介護と在宅介護との間の自由な選択を確保するためにも望ましいと考える。
エ 訪問介護の介護報酬における3類型の在り方等について
訪問介護の介護報酬における身体介護中心型、家事援助中心型、複合型の当てはめについては、その適正化の観点から不適正な事例等を示すことにより、介護支援専門員や訪問介護事業者に対し、適切に当てはめをするよう指導が行われている。
しかし、訪問介護は、必要とされるサービスの内容が、住居及び要介護者の心身や家族の状況により異なり、いずれの類型を当てはめるべきか、判断に迷う例もある。
ついては、介護保険制度の見直しの際には、この3類型の区分の在り方そのものについても検討を行うべきである。
また、利用者との契約内容を明確化するとともにヘルパーのサービス水準を確保するため、標準的なサービス行為の内容や手順のパッケージを示したガイドライン(平成12年3月17日厚生省通知老計第10号)の周知や、必要に応じて充実を図るとともに、利用者ごとにサービス事業者が作成する訪問介護計画について、例えば、こうしたサービス行為のパッケージの記載の奨励など、その内容の一層の明確化を検討すべきである。
オ 訪問・通所介護における事故発生に関する補償の具体的手段等について
訪問・通所介護における事故発生に関する補償の具体的手段については、訪問・通所介護事業者の運営基準において、事業者の速やかな損害賠償の義務を規定し、保険加入又は賠償資力を有することが望ましいとするとともに、事故発生時の対応について利用申込者に交付する重要事項説明書に記載することとされている。そして、どのような損害賠償の方法を採る事業者を選択するかは、基本的に利用者の選択に委ねられている事項であり、選択される側である事業者の責任において本来的には自主的に情報開示すべきものであると考えられている。
しかし、介護保険制度を適切に定着させるためにも、サービス提供事業者と要介護者間での契約事項に係る紛争を未然に防止する方策を十分に講じておく必要がある。
ついては、訪問・通所介護における事故発生に関する補償の具体的手段も含め、契約に係る重要事項の説明等を、事業者から利用者に対して十分に行うことを、今後更に徹底すべきである。
(1−3)介護サービスの監視体制等の構築について
介護保険制度は指定事業者への事業者参入の透明性を確保し、国民に対してサービスの多様化、質の向上を図っている点で評価されるべき制度である。この制度の健全な運用を図るためにも、利用者保護のための監視システムの構築、サービスの質の向上のための体制整備が重要になる。
ついては、これらの体制の構築については、各自治体における自治事務ではあるが、介護保険制度を運用する際の基本的なシステムとして、その定着に向けて国として方針を明確にするとともに、各自治体に対する助言等の支援を積極的に行うべきである。
イ 都道府県の介護事務の市町村への権限委譲について
都道府県の指定事務等を市町村に委託することは、指定事業者情報の管理や指定番号の付与等の事務処理の効率性を損なう可能性があり、また、指導・調査事務のみを委託したとしても、指定権限に基づく効果的な指導が行えないという問題点が生じ得るとされている。
しかし、制度上は、地方自治法第252条の14の規定により、都道府県は、その事務の一部を市町村等に委託することができるものとされている。
ついては、上述の監視事務や指定事務が自治事務であることから基本的には各自治体において検討すべきものではあるが、都道府県が調査権限や事業者の指定権限を市町村に委譲するに際しては、国も必要に応じ技術的助言等を行うべきである。
ウ サービスの質の向上のための機関の設置について
介護保険制度においては、国民健康保険団体連合会が苦情処理を行う第三者機関として位置付けられており、利用者から申し出があれば、調査員が調査を行った上で、指導又は助言を行うこととされている。また、市町村にもこうした苦情の解決に向けた対応を行うとともに、事例や情報を蓄積し、介護サービスの質の向上に向けた施策に反映するように助言が行われている。なお、こうした苦情処理とは別に、サービスの内容の改善や円滑なサービス利用を促進するために、介護相談員を派遣し、第三者的な立場から、施設などに赴きサービス利用者の日常的な話を聞いたり、簡単な相談に応じたりするといった介護相談員派遣事業に取組むこととされている。
しかし、各市町村がサービス向上のための施策を制定するためにも、各市町村において、サービスの提供状況の把握や実際の利用者の声を集積することは必要不可欠であり、また利用者に対して介護支援専門員やサービス事業者の介護職以外の意見を聞く機会を保障することも、制度のサブシステムを機能させるという意味で重要になる。
ついては、市町村に対し、苦情解決やサービスの質の向上のための取組につき、一層の助言を行うとともに、現在、取り組むこととされている介護相談員派遣事業を支援し、介護相談員を有効に機能させるべきである。
(1−4)介護支援専門員の在り方について
介護支援専門員の基本的な業務は、要介護者の状況を的確に把握し、要介護者にとって最適なサービスの組み合わせを選択することであり、要介護者と介護保険制度を結びつける重要な役割を果たしている。要介護者に必要とされるサービスが適切に選択され、適正に提供されていることが、介護保険制度の円滑な運営には必要不可欠であり、そのためにも介護支援専門員の質の向上が重要になる。
介護支援専門員は平成11年度末で159,350人が試験に合格している。しかし、要介護者毎に異なる生活環境や状態に即したケアプランの作成や医療・介護職間の調整能力の面で、介護支援専門員間の能力に見逃せない格差が生じている。また報酬等の要因もあり、実際に機能している介護支援専門員の数も限られたものとなっている。
このような状況を踏まえ、厚生省では介護支援専門員の質を向上させるために、都道府県において介護支援専門員現任研修や、市町村においてケアプラン作成技術向上のための支援等を行う「ケアプラン指導研修事業」を実施することとしている。
一方、介護支援専門員の置かれている現状や要介護者に対する職責の重さにかんがみれば、介護支援専門員の資質の向上や支援体制の整備も重要になる。
ついては、今後においても現任研修事業等を推進するとともに、その内容についても不断の見直しを行う等の取組が必要である。また、個々の介護支援専門員の資質の向上への取組のほか、介護支援専門員がケアマネジメントの業務に極力専念できるよう、介護支援専門員を支援するための体制の整備を図るべきである。
また、介護保険制度の見直しに向けて、例えば、実務経験や現任研修等を反映するようなキャリアパスの導入など、ケアプランの作成、利用者や事業者との調整業務等に更に専門性を持てるようにするための、介護支援専門員の能力向上の在り方や、公正中立な活動を確保しうるための支援策についても検討すべきである。
さらには、国民の介護支援専門員の選択に幅を持たせるための数の確保といった観点から、実務要件や資格要件も含めた介護支援専門員試験の在り方についても検討すべきである。
(1−5)特定施設入所者生活介護等の推進について
介護保険制度では、在宅介護分野では、民間企業を含む多様な事業主体の参入が広く認められた結果、事業者間の競争も促進され、消費者にとってサービスの選択肢が拡がっている。これに対して、施設介護分野では、特別養護老人ホーム等の介護施設について、民間企業の参入は認められていない。
他方、介護保険制度では、日常生活の支援機能を有する施設において特別養護老人ホーム等と同等のサービスを提供するもの(特定施設入所者生活介護)については、在宅サービスとして、介護保険給付の対象となる途が開かれている。
今後、民間活力の活用を進め、利用者のサービスの選択肢をさらに拡げていく観点から、特定施設入所者生活介護に関し、特別養護老人ホームと同様の要介護者に対応できるようなケアハウスについて、十分な経済的基盤と人的資源を有する民間法人等が、都道府県の許可を受けて運営できるよう規制緩和を行い、ケアハウスという形で特定施設入所者生活介護への参入が可能となるよう検討すべきである。
さらに、こうしたケアハウスや高齢者生活福祉センター(生活支援ハウス)、有料老人ホームなど日常生活の支援機能を有する生活拠点について、将来展望を踏まえ整合性のとれた規制改革の在り方を検討していくべきである。
また、痴呆性高齢者グループホームのような小規模な介護サービスについては、社会福祉法人のみならず、地域に密着したNPO法人等多様な経営主体による運営が期待されているところである。こうしたものについては、施設整備の資金調達を容易にする方向で検討を行うべきである。
(2)保育に係る規制改革
(2−1)公立保育所の民間委託について
地方公共団体が公の施設として保育所を整備することについては、そもそも、保育所に限らず、地方自治法第244条の2の規定がPFI契約により民間事業者に対し運営などを委ねることを制限しているものではないことについて、「地方公共団体におけるPFI事業について」(平成12年3月29日付け自治画第67号)において既に地方公共団体あて通知されている。この通知では、地方自治法第244条の2第3項に規定する公の施設の管理受託者の要件を満たさない民間事業者(株式会社も含む。)の場合でも、メンテナンス等各種の事実上の業務、定型的行為、運営に係るソフト面の企画等の諸業務を行わせることは可能であり、かつ、一の民間事業者に対してこれらの業務を包括的に行わせることも可能であるとされている。なお、この場合の公の施設の使用料については、当該地方公共団体が使用料を徴収して歳入予算に計上し、民間事業者に対する委託費に使用料相当額を含めて支払う取扱いが可能であり、以上から、PFI契約により公立保育所の運営等を事実上の行為として民間事業者に委託することは可能である。
ついては、公立保育所に係る事実上の行為としての民間委託が可能ということを周知徹底し、民間委託の活用を促進するべきである。
(2−2)今後の保育士の在り方について
現在、保育士を対象にした、子育てに関する相談指導等を行う上での必要な知識及び技術に関する研修が、地域子育て支援センター担当者研修会、保育所主任保育士研修会等において実施されている。また、平成9年の児童福祉法改正や平成11年の保育所保育指針の改訂等を踏まえ、地域の子育て支援など時代の要請に沿った資質を持つ保育士を養成することができるよう、保育士養成所(短大、大学、養成施設)における養成課程等について見直しが検討されている。保育士の質の向上や業務内容の多様化に即したこのような施策は評価に値する。
しかし、養成課程の見直しと併せて、保育士の卒後研修についても、保育士の質を維持・向上するといった視点から、研修内容をインターネットで提供すること等で、現場の保育士が学びやすい仕組みを検討すべきである。
また、保育士の国家資格化についても検討すべきである。そしてこれらのために必要とされる体制の整備や保育士に対する教育訓練を今後更に充実すべきである。
なお、保育所に配置すべき保育士定数について、平成10年から一定範囲で短時間勤務の保育士を充てることが認められたところであるが、その後も、延長保育、休日保育、年度途中入所など、保育需要が多様化かつ増加しており、これらに保育所が柔軟に対応できるようにする必要がある。また、このようにすることは、いったん離職した保育士が再び保育現場で活躍できる環境を作ることにも資するものである。そこで、更に短時間勤務の保育士の配置が柔軟に行えるよう、短時間勤務保育士は2割以内などとしている規制を緩和すべきである。
(2−3)保育サービスの利用者に対する直接補助方式の導入について
児童福祉法(昭和22年法律第164号)の改正により、平成10年4月から、保護者が保育所を選択して利用できる仕組みに改められた。また、保育所も保護者の依頼を受けて、申込書の提出を代行できることとされたが、市町村が審査事務を行い最終調整の上、保育所への入所決定を行う仕組みは改正前の制度から変わっていない。
しかし、保育所にふさわしい第三者評価基準の検討が開始され、またインターネット等を利用した保育サービスについての情報公開が準備され、さらには保育ママ等の家庭的保育サービスについても体制が整備されつつあるなど、保育サービスの選択権について実質的に確保される環境が整いつつある。
このような状況の中で、児童福祉法の改正による新しい入所方式の実施状況等を踏まえ、長期的には、保護者が直接保育を希望する保育所に申し込み、当該保育所が保育の可否の審査・決定を行うことができる仕組みの導入ができないか、その可否について検討すべきである。
また、利用者と施設との直接契約を検討する際には、保育の質の確保に留意しつつ、保育に係る公的負担の平準化を図り、多様な事業者間の対等な競争を促進し、保育所の利用者の選択肢を広げる観点から、保育所に対する補助ではなく、利用者への直接補助方式の導入ができないか、その可否について検討すべきである。