規制改革についての見解

13 教育

【分野別総論】

○問題意識

 社会の少子高齢化、IT化、とりわけグローバル化が進む中で我が国の国際競争力を維持・向上させていくことや、そうした社会の変化の中で、教育ニーズの変容や生涯学習社会への移行などにより、産業構造への敏速な対応や個人の要求という需要サイドの視点に立って、旧来の教育システムを改革していくことが喫緊の課題である。そのためには、時代の流れを的確に捉えて、社会システムの基盤である教育分野において積極的な規制改革を推進する必要がある。

○検討状況

 教育分野においては、これまで主に高等教育分野における規制改革について取組を進めてきたところであるが、これまでの経緯を踏まえ、今年度においては、引き続き高等教育分野における規制改革を取り上げるとともに、初等中等教育分野について特に重点を置き、学校以外の場における学習の機会の整備や習熟度別学習の導入等についての提言を行っている。
 なお、次のような点については、新たな規制改革推進3か年計画の課題として検討がなされるよう強く期待するものである。

(小・中・高等学校教育の規制改革)
 義務教育制度は、全国的に一定の水準を確保した教育を国民の誰もが等しく享受し得るよう制度的に保障するものでなければならない。
 しかしながら、現在、様々な理由から学校に登校しない児童生徒が存在していることも無視し得ない事実であり、これらの児童生徒は、学校に通学しないために実質的には教育を受ける機会を制約されたり失ったりしている状態にある。これら児童生徒に対しても教育を受ける機会を提供する方策について検討することが必要ではないか。
 様々な理由から学校に通学しない児童生徒の学習支援・援助を行っている公的な施設としては適応指導教室があるが、そうした児童生徒で適応指導教室に通っている者の数は少なく、多くの児童生徒は家庭や民間の教育施設などで様々な形態の学習を行っているのが実態である。適応指導教室の整備・充実は当然の課題であるとしても、そうした実態を踏まえるならば、家庭や民間の教育施設などでさまざまに試みられている学習を公の学校を補完するものとして、それら児童生徒の学習への支援・援助を整えながら、学校教育との緩やかな連携の下で家庭や多様な教育施設がさまざまに教育を児童生徒に行っていけるような仕組みを検討すべきである。
 また、児童生徒がその能力や適性に応じた教育を受けられることが重要であるが、我が国においては、形式的に平等な教育機会の保障を重視するあまり、実質的に能力や適性に応じた教育機会の提供が必ずしも十分ではないと思われる。現在の学校教育では、一つの教室の中に様々な習熟度の児童生徒が混在し、授業内容が簡単と感じる児童生徒がいる一方で、全く理解できない児童生徒もいるという状態が起きている。
 各学校が校長のリーダーシップやマネジメントの下で優れた教育を提供し、いい意味での競争が行われ、真に児童生徒の個性を伸ばす教育、能力や適性に応じた教育の機会を提供していくことが必要であり、そのためには、各学校の多様化を進めるとともに、児童生徒の学習習熟度に応じた教育を進めていくことが重要ではないか。
 この観点から、同一学年相互における習熟度別学習を可能にすることが急務である。また、カリキュラム、教員配置、教室確保など予想される様々な問題に十分に留意しつつ、学年を超えた習熟度別学習の実現可能性についても検討を行うべきである。その際、児童生徒の習熟度をはかる基準の明確化が不可欠である。これにより、子供の個性や特性を自由かつ効果的に伸ばしていけるような柔軟な教育を施すとともに、一方では、理解の遅い児童生徒に対して基礎・基本の確実な定着を図ることが可能になる。
 ところで、前述したような様々な理由から学校に通学しない児童生徒の学習支援・援助を行っている学校外の教育施設については、教育効果や学習水準の面で不十分であるとの指摘もあるが、習熟度をはかる基準が明確になることにより、教育機会の多様化が進展することが期待される。したがって、小学校や中学校の卒業段階などにおいて必要とされる学習到達度を明確化するとともにそれを関係者に周知し、学校以外の教育施設で教育を受ける場合にも、一定の水準が確保されるようにすることを検討すべきである。

(大学・大学院分野の規制改革)
 高等教育においては、大学が自らの判断と責任により運営を行う自主性自律性を向上させることにより、その活性化を図ることが必要であり、それにより優れた高等教育及び学術研究が推進される。
 この観点から、大学の提供する高等教育サービスに関する組織の編制に当たっては、大学の主体的な判断でなされることが望ましい。また、我が国の高等教育の質的水準・国際的な通用性を確保するためには、後述のように、事前規制型行政から事後チェック型行政へと比重を移していくことが必要であり、認可制度等手続きの在り方について根本的な改革が必要である。
 もちろん、高等教育の質的水準の確保は必要不可欠である。そのためには、「官による監督」とともに、社会や学生から選択され、評価を受けていくことが重要である。このような社会からの選択、評価を受けるためには、大学において、社会や教育サービスの需要者である学生及びその保護者等に対して、教育内容や経営の状況について正確な情報提供が行われなければならない。
 しかしながら、大学が行う情報公開については、これまで情報公開するかどうかも含めて、大学の自主的な判断によるべきものとされてきた。大学と学生等との間に情報の非対称性(情報の質と量に重大な格差がある状態)がある中で、社会や学生等が大学に対する適切な判断を行うためには、大学は十分に説明責任を果たし、教育研究活動等についての情報提供がなされなければならない。
 加えて、設置の際にのみ重点的な審査を行うという事前規制型行政から、定期的な事後検査によって質的水準を確保していくという事後チェック型行政へ比重を移していく必要がある。事後検査により行政が大学の運営について不適正であると判断する場合には、それらの大学で学ぶ学生や保護者のために、早期に運営を適正化するための措置がとられるとともに、大学が法令の規定に故意に違反したときは、速やかに大学の閉鎖命令がなされなければならない。さらに、このような事後チェック型の行政へと比重を移していくためには、学生の教育機会を保障するためのセーフティネットの確立が必要である。
 以上のように、大学の提供する高等教育サービスに関する組織の編制が大学の主体的な判断と責任において行えること、広範な情報公開制度の充実、事後チェック体制の整備と学生に対するセーフティネットの確立を全体として推進することにより、我が国全体の高等教育及び学術研究の向上が図られることとなるものと考える。この観点から、現在認可制となっている学部の設置や学生定員の変更について、大学の主体的な判断と責任において機動的に行えることとなるよう早急に検討を行うべきである。

(産学官連携の推進)
 日本の有する人的資源を最大限に活用し、科学技術の分野におけるビッグサイエンスやゲノム研究に代表されるような世界レベルでの研究開発競争ともいうべき状況に積極的に対応していくためには、産学官が積極的に連携して、高度先端的な研究開発の推進を進めることが必要である。
 このためには、国家が推進する高度先端的な科学技術研究プロジェクトにおいて、様々な能力や専門性を有する多様な研究者が一つの目的の下に集まり、高度で先進的な研究を行うことができる体制を組むなど、国が中心となって産学官の連携を推進していく体制について検討することも必要になってくるものと考えられる。
 これらの研究プロジェクトにおいては、広く公私立の大学や研究所、企業等から外国人も含めて研究者を受け入れるとともに、国立大学や国立試験研究機関、独立行政法人研究機関などの研究者が従前の職務を離れて勤務するなど、様々な能力や専門性を有する多様な研究者が一つの研究目的に向かって協同して研究を推進するという仕組みなどが考えられるところであり、このような研究プロジェクトの下に集まった多様な研究者に対して、その能力や業績に応じた処遇を行うことによって、有能な人材を広く求めることができるものと考える。また、資金についても国など公の支援のみならず、広く海外も含めて企業からの資金を受け入れていくことが考えられる。
 以上のような、産学官連携を推進するための新たな仕組みなども検討しつつ、従来から行われてきている研究者の流動性を向上させる取組等を進め、柔軟かつ十分にアカウンタビリティを果たす産学官連携の推進を図っていくことが必要であり、まさに我が国の科学技術立国としての基盤を強固なものにすることが求められていると考えるものである。

【各論】

(1)学校の個性化と学校選択の拡大

ア 学校外の教育施設における児童生徒の学習支援
 現在、様々な理由から学校に登校しない児童生徒が存在する。これらの児童生徒は、実質的には教育を受ける機会を制約されたり失ったりしている状態にあり、これら児童生徒に対しても教育を受ける機会を提供する方策について検討することが必要である。
 例えば、米国のいくつかの州においては、公立学校において学校外で学習するための教育プログラムを用意し、それらの教育プログラムに参加する児童生徒に対し学校との緩やかな連携の下に学習指導等を行うようなシステムが設けられている。我が国においても不登校などやむを得ない事情で通学できない児童生徒の学習ニーズに積極的に応える観点から、小学校や中学校以外の多様な場において児童生徒が教育を受ける可能性について考えるべき時期がきているのではないか。
 現在、学校に通学しない児童生徒の学習支援・援助を行っている公的な施設としては適応指導教室があるが、そうした児童生徒で適応指導教室に通っている者の数は少なく、多くの児童生徒は家庭や民間の教育施設などで様々な形態の学習を行っているのが実態である。適応指導教室の整備・充実は当然の課題であるとしても、そうした実態を踏まえるならば、家庭や民間の教育施設などでさまざまに試みられている学習を公の学校を補完するものとして、公の学校教育との緩やかな連携の下で教育を行っていけるような仕組みを検討することが必要である。
 さらに、これら学校外の教育施設については児童や保護者が適切な選択を行うための情報提供が不可欠である。その際、倒産による中断や授業料に見合う十分な教育サービスが提供されないという事態を防ぐためには、経営状況に関する情報についても提供が必要である。
 したがって、義務教育段階において、一定の要件を満たす民間事業者により設置運営される教育施設において行われる教育活動については、市町村教育委員会や学校長の判断により、学校との緩やかな連携の下で学校教育を補完するものとして扱うなど弾力的な運用を行うことについて早急に検討を行うべきである。また、それらの教育施設における教育内容や経営状況などの情報が適切に提供されるよう努める必要がある。
 なお、高等学校レベルにおいては、学校以外の場における教育への取組の一つに、通信制高等学校のサポート校という形態で行われているものがある。サポート校は、通信制高等学校に通う生徒を対象に、その単位取得をサポートするための教育施設として株式会社等により設置されているものであり、不登校や中途退学を経験した生徒を受け入れて教育をするものも含まれる。しかし、教育内容については、しっかりとした学習指導、生徒指導を行うところがある一方で、通信制高等学校のレポート課題の解答を教えるようなところもあるなど、玉石混交の状態であるとみられる。今後、サポート校団体による教育サービスの水準向上の取組が進むことなどにより、適正な教育サービスの提供がはかられていくことが期待される。

イ 公立小・中・高等学校における通学区域の弾力化
 公立小・中学校における多様で個性的な教育を推進するためには、それぞれの学校が主体的に個性化・多様化を図っていくとともに、保護者の意向に十分配慮しつつ、児童生徒やその保護者が入学する学校を選択できるようになることが大切である。学校選択の機会が拡大することによって、校長を始めとする教職員の意欲を引き出せるという効果も期待できる。
 制度的には、小・中学校の通学区域についての制約はなく、通学区域をどのように設定するかは設置者(公立小・中学校にあっては市町村)の権限とされている。したがって、通学区域の弾力化をどのように行うかは設置者の判断であるが、実際には保護者等の希望に応じた学校選択を認めている市町村は少ない。また、いじめ対応や地理的、身体的等の理由によって、通学区域内の学校とは別の学校へ通いたいという場合には、保護者の申立てにより、市町村教育委員会が通うべき学校の指定の変更をできることとされているが、このような取組がまだ十分でないとの指摘もある。
 また、公立高等学校の通学区域は、進学希望者が就学すべき高等学校を指定して、教育委員会が定めることとしている。公立高等学校の通学区域の弾力化も、小・中学校の場合と同様、教育の個性化・多様化を進める上で極めて重要である。
 したがって、いじめの問題による就学校の指定変更等の対応を促したり、通学区域の運用に関する全国の事例集を新たに作成するなど公立小・中学校の通学区域の弾力化を促進するための実効ある方策を講ずるとともに、その趣旨を関係者に一層徹底すべきである。また、公立高等学校の通学区域の弾力化を進めるため、通学区域を設定することを規定した地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)を見直し、通学区域の設定等を設置者である都道府県等の自主的な判断に委ねるべきである。

ウ 学級編制と教職員配置の弾力化
 各学校が個性化・多様化を進めていくためには、個別指導やグループ別指導など、各学校が主体的に行う取組を支援していくことが必要である。
 また、都道府県教育委員会等は、同一校勤務年数等に配慮した人事異動基準による計画的な人事異動を行っているところであるが、同一校における長期の勤務者について市町村教育委員会や学校長の意見をより一層反映させ、各地域や各学校の実情に応じた人事がなされるようにすることも考えられる。
 したがって、各学校がその個性化や多様化を推進するための少人数教育の実施や小学校における専科指導の充実など学習指導のための基本計画を立案するとともに、それを保護者等に対して明確にすることなどを通じて、各学校における学級編制や教職員配置を、教育委員会の判断により一層弾力的に行うことができるようにすべきである。

エ 障害児の就学決定
 障害のある児童生徒の就学すべき学校の具体的な決定に当たっては、学校教育法(昭和22年法律第26号)等により、医師、教育職員、児童福祉施設職員等各方面の専門家からなる就学指導委員会の検討の結果を受けて、教育委員会の責任において行うことになっている。しかし、地域によっては、就学相談の専門家を確保できないことや、審議案件に比し就学指導委員会の開催回数が十分でないこと等から、教育委員会から保護者に対して障害の状況や入学後の教育内容について十分な情報提供がなされなかったり、保護者との面接が十分でなく保護者が不安を感じ、教育委員会に対し不信感を抱く場合もあると指摘されている。また、近年、視覚補助具、補聴器等補助具の性能の向上など医学・科学技術の進歩や学校施設の整備などの充実が図られてきたこともあり、盲・聾・養護学校に就学すべき障害の程度であっても、場合によっては、小・中学校等において対応することが可能な例も見られるようになっている。
 したがって、障害のある児童生徒の就学について、早期からの教育相談の充実や教育委員会の就学指導体制の整備充実を図るための方策について検討すべきである。また、医学・科学技術の進歩を踏まえ、盲・聾・養護学校に就学すべき基準について見直すとともに、例えば、個々の障害の状態に応じた高性能の補助具や補助手段の活用、施設・設備などにより学校生活に支障がなく、就学先で受ける教育がその児童生徒に適切であると判断される場合には、教育委員会の判断により普通学校への就学を認めることができるようにすべきである。

オ 小・中学校の設置基準の明確化
 平成7年から平成11年までの5年間で新設された私立小学校は全国でわずかに5校、私立中学校は49校にとどまっている。高等学校や幼稚園については、それぞれ「高等学校設置基準」や「幼稚園設置基準」のように、学校種ごとに学校を設置する際の基準が明確に示されているが、小学校及び中学校については、学校教育法や同法の施行規則中の規定が設置基準であるとされており、各々の設置基準が定められていない。しかし、児童生徒やその保護者の学校選択の選択肢を増やす観点から、今後、多彩な教育理念に基づく私立の小・中学校の設置が促進されることが重要である。
 したがって、小・中学校の設置基準を例えば「小学校設置基準」「中学校設置基準」のような形で明確に示すことについて検討すべきである。また、私立学校における情報公開が積極的に行われるよう、各学校法人に対して十分に指導することが必要である旨、各都道府県に対して周知を行うべきである。

(2)個性・習熟度に応じた教育

ア 習熟度別学習の導入
 社会のグローバル化が進展する中にあって、我が国の国際競争力を維持向上させていくためには、優れた専門的能力や柔軟な創造力を有する人材を育成していくことが極めて重要な課題である。
 このため、学校教育においても、学習内容の理解や習熟の程度に応じ、個に応じた指導の工夫改善を一層進め、子供の個性や特性を自由かつ効果的に伸ばす柔軟な教育を施すとともに、理解の遅い児童生徒に対しては、繰り返し指導を行うことなどにより、確実な理解を促すことが必要である。
 すなわち、現在行われている年齢区分により学年全員が原則として同一の内容を学ぶというものから、同一学年相互における習熟度別学習へと転換を図っていくことが急務である。
 また、カリキュラム、教員配置、教室確保など予想される様々な問題に十分に留意しつつ、児童生徒の習熟度を測る基準の明確化を行うことにより、学年を超えた習熟度別学習の実現可能性についても検討が必要である。さらに、現在は物理と数学に限定されている高校2年生修了後に大学に入学することのできる飛び入学について、その認められる範囲の拡大が検討される時期ではないか。
 したがって、各学校段階において学習の習熟度に差がつきやすい教科(算数(数学)や理科、英語など)については、児童生徒の学習内容の理解や習熟の程度に応じティームティーチングの活用等によりグループ別学習を行うといったことを積極的に進めるべきである。また、学年を超えた習熟度別学習の実現可能性についても検討するとともに、現在、物理と数学に限定されている高校2年生修了後に大学に入学することのできる飛び入学の認められる範囲の拡大についても検討すべきである。

イ 学習指導要領の性格
 学習指導要領の内容は、すべての学校で取り扱わなければならないものであり、学習指導要領は最低基準としての性格を有する。また、学習指導要領に示していない内容も加えて指導することができるとするなど、各学校における弾力的な取扱いを可能としている。このことが、教育現場において十分に理解されていないため、学習指導要領に示されていない内容を加えて指導することが禁止されているとの認識が見られる。
 したがって、学習指導要領の本来の性格について、教育現場や広く社会一般に対して十分な理解を得る方策を検討すべきである。

ウ 高校卒業段階における学力評価
 現在、さまざまな理由から高等学校を卒業しないまま社会に出た人々が存在する。高校進学率が97%に達する中で、実社会において高卒ではないことが就職等の場で大きな不利益となる。
 通信制や定時制などの高校教育の場は用意されているが、社会人として十分な学力を形成している場合にも、長い時間をかけなければ高卒の資格を得られない状況にある。実社会において高卒であることの重要性にかんがみ、一定の学力を有するものについて高等学校の卒業と同等の学力を有することの認定を行う制度が必要ではないか。
 現在行われている大学入学資格検定は、あくまで大学に入学する資格を付与するものであるが、現実には、各種の資格試験等において、高等学校卒業認定と同等の資格として取り扱われ、社会的な認知が進みつつある。しかし、依然として一部において高等学校卒業程度と同様に扱われていない状況にある。
 したがって、各種の資格試験等において、大学入学資格検定を高等学校卒業と同等に扱われるよう推進することとあわせて、実社会において高卒であることの重要性にかんがみ、高等学校卒業段階における習熟度を客観的に評価するための学力評価基準や評価方法等の具体的な方策について検討を進め、高等学校の卒業と同等の学力を有することを認定する試験の在り方について検討すべきである。

(3)教員養成、採用、評価等の改革

ア 公立学校教員の養成・採用
 児童生徒の学力低下の一因として、教員の専門的能力の不足、あるいは指導力の不足を指摘する意見が出されている。現在の教員養成は、教員養成課程認定を受けた大学において「教職に関する科目」を履修することを通じて行われており、大学卒業後、民間企業等に勤務することなく、教員として採用されることが一般的である。
 一方では、民間企業等における勤務経験を有する者のうちには、長期外国勤務経験者については外国語能力を、コンピュータ関連業務に従事してきた場合には情報関係科目について高い知識を有しているなど、学校教育の現場において活用されることが期待される能力を持つ者がいると考えられる。
 公立学校教員においては、個性豊かで多様な教員採用を図るため、採用選考を多面化し、例えば新規学卒者、教職経験を有する者、民間企業等での勤務経験を有する者等について、それぞれに応じた採用選考の方法及び評価基準の設定を促進することが必要である。
 加えて、教育に関して専門的な知識や能力を有する人材養成の観点から、より高度で実践的な教員養成システム、例えば教育に係る高度専門職業人養成のための大学院など、教員養成の在り方についても検討を進めることも必要である。
 したがって、個性豊かで多様な教員採用を進めている都道府県の取組の事例等について各都道府県に周知を図るべきである。また、特別免許状制度や特別非常勤講師制度については、その積極的な活用が図られるよう、各都道府県に対し制度の趣旨を周知するとともに、産業界からの協力について経済団体との情報交換を図るべきである。

イ 公立学校教員のキャリアディベロップメントの充実
 教員養成においては、教員として採用されて以降の研修を通じたキャリアディベロップメントが一層重要である。
 それぞれの教員が能力を伸ばし優れた教育を行うためには、各種の研修のみならず、通常勤務する学校現場における日々の教育活動を通して資質向上を図っていくことが必要であり、一人一人の教員について的確に評価し、その結果に基づいて資質向上のための研修・指導を行っていくことは、キャリアディベロップメントにおいても中核をなすものであると考えられる。
 したがって、公立学校において、それぞれの教員のキャリアディベロップメントを促進する観点からも、教員に対する評価やその結果の活用の方法を進めるよう検討すべきである。また、民間企業、行政機関、社会教育施設、社会福祉施設等学校以外の施設等へ教員を派遣して行う長期社会体験研修の機会充実のための方策について検討を行うとともに、円滑な民間企業への派遣を進められるよう、各地域における経済団体等との情報交換の積極的な実施についてもその必要性を周知すべきである。

ウ 公立学校教員の評価と処遇等
 初等中等教育の教員については、現在のところ教科指導について評価を行う仕組みが不十分である。公立学校の教員が、自らの専門能力や教科指導能力の向上に対するインセンティブを高めるためにも、勤務評定を適切に行うことが必要ではないか。
 また、一部の学校教育現場においては、非違行為を繰り返したり、指導力を著しく欠くなど、教員として必ずしも適格とは言えない者が教員の職にとどまっている状況も見られる。地方公務員法(昭和25年法律第261号)により、適格性を欠く職員について、その意に反して降任、免職させることは可能であり、実際にも適格性の欠如や心身の故障等の理由で降任、免職の分限処分は行われているが、平成10年度にこのような処分を受けた教育職員の数は17人にとどまっている。
 したがって、各都道府県教育委員会等において行われている勤務評定の適切な実施を進め、教員の教科指導能力についての評価方法の工夫を一層進めるとともに、児童生徒に対する指導力を著しく欠く教員については、必要に応じ免職を含めた分限処分を的確に行うよう各都道府県教育委員会を指導するとともに、教員以外の職へ円滑に異動させるための仕組みを取り入れるべきである。また、勤務評定の結果を処遇面に反映させ、教科指導力に優れ勤務成績が優秀な者については、特別昇給や勤勉手当等の処遇面においても適切な措置がなされるよう、都道府県教育委員会等を指導すべきである。

エ 校長のリーダーシップの強化とその評価
 公立学校の校長の同一校平均在職年数は、小学校で2.8年、中学校で2.9年、高等学校で2.6年となっており、校長が一定年数で順送りに学校を替わっていく「サラリーマン校長」になっているのではないかと指摘する声がある。
 校長が自らの教育者としての教育理念に基づいて、特色ある教育活動を推進できるようにするためには、校長が学校運営に強いリーダーシップを持つことが必要であるが、平均的な在職期間が短いために、十分にリーダーシップを発揮することができなくなっているのではないかと考えられる。また、その一方では勤務実績がよくない校長については降任を、学校運営に当たって一定の成果が得られない校長については配置転換を行うなど、校長に対しても評価を適切に行い、処遇に反映させる必要がある。
 したがって、校長が学校運営のリーダーシップを発揮していくため、校長の裁量権の拡大の観点から、教育委員会と学校との関係について定めた学校管理規則の見直しや学校予算の在り方の見直しを進めるよう各都道府県教育委員会に指導助言すべきである。また、校長の在職期間の長期化や適切な評価に基づく降任や配置転換も含めた処遇など校長の人事異動の在り方の見直しについても、各都道府県教育委員会に対し指導助言等を行うべきである。

オ 条件附採用制度の運用改善
 平成10年度に採用された公立学校の教員約1万4千人のうちの37人が、1年間の条件附採用期間中に離職し、あるいは条件附採用期間を経て不採用となっている。
 条件附採用期間については、新たに採用された者が初任者研修等を通じて、教科指導や生徒指導等の実践能力を身につけるとともに、条件附採用期間が満了する前に、教員としての能力や適性等を判断することが必要である。現在、条件附採用期間中の評定を行い、その結果に基づいて必要な場合には分限処分を行うことになっているが、この制度について適切に運用が図られていないと考えられる。
 したがって、条件附採用期間中の評定結果に基づいて、教員としての能力や適性等を判断の上、必要な場合には分限処分を行うことなど条件附採用制度の一層の運用の改善を図るよう各都道府県教育委員会等を指導すべきである。

(4)教育の情報化の促進

ア インターネット等を用いた学校情報の発信
 平成12年度から開始されたミレニアムプロジェクト「教育の情報化」において、平成13年度までにすべての公立小・中・高等学校等(約39,700校)がインターネットに接続できるようにすることとされているが、各学校がインターネットを通じて情報を受け取るだけでなく、ホームページを利用することにより学校情報の発信が行われることが必要である。
 したがって、インターネットに接続されているコンピュータが整備された学校に対し、個人情報や、著作権の保護に十分配慮し、学校や学校の教育活動の紹介などホームページを利用した学校情報の発信が主体的に行われるよう、必要な助言や情報提供を行うべきである。

イ 学校等における情報化の促進
 学校において情報機器の整備は現在急速に進められつつあるが、コンピュータに関する情報教育はある程度行われているにしても、実際に教科指導に当たってコンピュータが活用されているケースは必ずしも多くはない。
 したがって、コンピュータ等を活用した教科指導を促進する観点から、教員向けの情報教育の手引等やガイドブック作成などを促進するとともに、情報教育関係団体と連携協力を行うことなどにより、広く情報収集を行うとともに、具体的な指導方法の事例集やガイドブックの作成などにより、コンピュータ等を活用した教科指導について、地方公共団体や各学校に対して一層積極的に情報提供していくべきである。

ウ インターネット等を用いた高等教育等の促進
 現在の大学設置基準及び大学通信設置基準においては、授業の方法のカテゴリーが定められており、通学制の場合は遠隔授業(メディアを利用して行う授業)により修得できる単位数は60単位が上限であるとともに、通信制の場合は原則として30単位(うち10単位までは遠隔授業又は放送授業で代替可)以上を面接授業で修得しなければならないとされている。情報通信技術を活用した多様かつ効果的な教育形態が拡大する中で、通学制において遠隔授業により修得可能な単位数の上限については平成11年3月に30単位から60単位に拡大したところであるが、今後とも引き続き、これらの単位数上限等について見直しを検討する必要がある。
 また、大学においてインターネットを活用した授業を遠隔授業として位置付けようとする場合、現行制度上、同時かつ双方向に行われることが要求されており、時間的な拘束を要求しないというインターネットの大きなメリットが失われてしまうこととなる。
 したがって、インターネットを活用した授業が、効果的な学習指導を行い得る体制が整えられている場合には、直接の対面授業におけるような同時性・双方向性がなくとも、これを遠隔授業として位置づけ、単位修得を可能とするべきである。また、高等学校段階の教育においても、通信教育の充実を図る観点からインターネットを活用した教育の可能性について検討に着手すべきである。

エ 大学院における通信制博士課程の設置
 現在、大学学部及び大学院修士課程については、通信制課程を設置することが制度上可能となっているが、今後、社会人等の多様なニーズに応えていくため、大学院博士課程においても通信制課程を設置することについて検討すべきである。

(5)大学及び大学院運営等の効率化

ア 外国からの留学生に対する学位授与
 我が国の大学院における博士課程の学位授与数については、徐々に改善されつつあるが、特に文科系においては他分野と比して依然として少ない状況にある。諸外国では博士号を持っているかどうかが仕事上極めて重要な意味をもってくることが多いことから、このような我が国における大学院の学位の授与状況が、優秀な外国人留学生の日本への留学を阻害している要因の一つとなっているのではないかと考えられる。
 もちろん、学位の授与は日本人にも外国人にも等しい取扱いが行わなければならず、その授与はそれぞれの大学の判断に委ねられているが、大学において十分な教育や研究指導を行うことにより、外国からの留学生が授与数の少ない文科系大学院においても学位が取得できるようなシステムとなることが望ましい。
 したがって、大学が行うこととされている自己点検評価や、大学評価・学位授与機構による大学評価の中で、学位授与への取組状況を評価項目の一つとして位置付けることにより、大学院の博士課程における学位授与を積極的に推進していくべきである。

イ 大学の情報公開の促進
 大学における規制改革は、大学が自らの判断により運営を行うことの自律性を向上させることにより、その活性化を図ろうというものである。そのためには、大学が社会や教育サービスの需要者である学生やその保護者等に対して、教育内容や経営の状況について正確な情報提供を行い、自らの責任で運営していくことが不可欠である。
 大学が行う情報公開については、これまで情報公開するかどうかも含めて、大学の自主的な判断によるべきものとされてきたところであるが、情報の非対称性(情報の質と量に重大な格差がある状態)がある中で、教育研究活動や経営状況について情報公開を行うことは大学の責務である。
 したがって、各大学は、国民の適切な理解を得るために、教育研究活動や経営状況、また、教育研究活動の成果や改革充実に向けた取組について広く社会に積極的に公表していくことが必要である。特に、私立大学については、その公共性にかんがみ、大学の責務としての財務状況の公開のために、その具体的な内容や方法等について平成13年度から検討を行うとともに、公開を徹底させる方策について可能なものから順次実施すべきである。

ウ 大学運営の自主性自律性の向上
 優れた高等教育及び学術研究のためには、大学が自らの判断と責任により運営を行い、その活性化を図ることが必要である。この観点から、大学の提供する高等教育サービスに関する組織の編制、すなわち学部や学科の設置や学生定員の変更については大学の主体的な判断で機動的に行われることが望ましい。
 しかしながら、現在は大学において新たに学部や学科を設置する際や、学生の定員を変更する場合には、文部大臣の認可を受けなければならないこととされており、設置しようとする学部や学科についての施設設備の整備状況や担当する教員等について、膨大な資料を作成した上で、文部省の大学設置・学校法人審議会の審査を経なければならないこととなっている。このことが社会のニーズに応じた組織の編制を行う意欲を妨げると同時に、大学のモラルハザードを生んでいるとの意見がある。
 もちろん、高等教育の質的水準の確保は必要不可欠であり、そのためには、その運営に係る様々な情報を社会等に対し厳格に情報公開するとともに、それらによる外部からの評価を受けていくことが欠かせない。また、設置の際にのみ重点的に審査を行うという事前規制型行政から、情報公開や評価などが全体として機能することにより、質的水準を確保していくという事後チェック型行政へと比重を移していくことが必要である。
 したがって、大学の学部の収容定員の範囲内における学科の新設・改廃及び学科定員の変更について、教育研究の質を確保しつつ大学の主体的な判断で機動的に行えるよう、届出制の導入を含め、現在の認可制を改めるべきである。このことについては、平成15年までに結論を得るものとされている国立大学の独立行政法人化の検討と並行して検討し、結論を得るべきである。なお、これらについて検討する際には、情報公開や評価などの事後チェックが全体として実効的に機能するようにする方途についてもあわせて検討すべきである。

(6)産学官連携の促進と人材の社会的流動性の増大

ア 国立試験研究機関等の研究者の流動性向上
 我が国の国際競争力を高めていくためにも、国立試験研究機関や独立行政法人研究機関の研究者における任期付任用制度の充実・改善を進め、研究者の流動性を高める必要があると考えられる。一般に、研究活動については、一律に研究の進展を予想することが困難であるから、研究活動の進展に応じ研究期間を弾力的に設定できるようにすることが望まれるところである。
 現在、「先導的役割を担う研究者となるために必要な能力の涵養」のため任用する若手育成型任期制研究員は、ポスドク経験者等、独立して研究する能力があり、研究者として高い資質を有すると認められる者を対象にしており、その任期については原則は3年であるとされている。この3年という期間は、研究者にとっては短すぎて本格的な研究を行うことができないし、十分な成果を挙げることが困難な場合もある。さらに、再任が不可能とされているため、研究活動の進展状況にかかわらず、任期が終了してしまうことにより、研究の完成が不可能となるという懸念も研究者の間で広がりつつある。
 また、処遇の面では扶養手当や住居手当等の支給がなされておらず、例えば5年任期の場合には給与総額で任期の定めのない採用者よりも低くなる場合があるところである。任期付研究員については、任期を付けるという不利益な勤務環境下におかれるわけであり、任期制の普及を図るためには任期付研究員になろうとする処遇面でのインセンティブを付与することが必要であると考えられる。
 したがって、国立試験研究機関や独立行政法人研究機関においては、若手研究者が原則5年間は任期付研究員として活躍できるようにするとともに一定の条件の下に再任もできるようにするなど、必要な措置を講ずるべきである。また、その際には、業績、能力に応じた処遇を図れるよう改善を行うべきである。

イ 国立大学の教官の流動性向上
 競争的な研究環境を醸成し、優れた研究成果を挙げた研究者を確保することで大学等の研究活動を活性化するためには、人材の流動性向上の必要があり、その方策の一つとして、各大学における任期付任用がさらに進展することが必要であると考える。
 平成9年8月、大学の教員等の任期に関する法律(平成9年法律第82号)が施行され、国公私立大学等における任期付任用制度が導入された。この任期付任用制度を導入している国立大学数は44大学516人となっているところである(平成12年10月現在)。
 現在、任期付で任用される教員の給与等について任期のない教員と比較した場合のインセンティブがないところであるが、我が国全体として研究に携わる産官学の人材の流動性を高くしていくことが経済社会の活性化につながるものであり、任期制の普及により、その中心的存在である大学教員の流動性が高まることが、全体の人材の流動性が高まるためには必要であると考える。
 したがって、任期付きで任用される教員について、実績、能力等を十分に反映した処遇の改善方策を講ずることなどにより、任期制の進展のための条件整備を進めることを検討すべきである。

ウ 研究者の資質向上のための機会の拡大
 産学官連携の促進や、研究者の資質向上のためには、研究者が所属する研究機関の外において、研究や技術移転活動、研修等を行う機会を拡大することが重要である。現在、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第79条及び人事院規則11-4では国との共同研究等に係る研究活動についての休職及び研究成果活用型企業の役員を兼業する際の休職を認めているが、これ以外の場合にも、研究者がその勤務を離れて資質向上を図ることができるようにする必要がある。
 したがって、国立大学の教員、国立試験研究機関や独立行政法人研究機関の研究員について、自己啓発等の一定の活動を行う場合に一定期間公務を離れることを認める休業制度について、対象活動の範囲や既存制度との整合性などの課題を検討すべきである。

エ 国立大学教官の発明に対するインセンティブの向上
 国立大学教官の発明に係る特許を受ける権利の帰属については、発明が応用開発を目的とする特定の研究課題の下に、特別に国が措置した研究経費(民間等との共同研究及び受託研究等経費、科学研究費補助金を含む)や特殊な大型研究設備(原子炉、加速器等)を用いた研究成果については、国に帰属するものとされている。これらについては、公的な研究資金から得られた研究成果の有効活用を図る観点から、特許を受ける権利の帰属の在り方も含め、特許等の取扱いについて必要な改善策の検討が必要であると考えられる。
 また、教官個人に権利が帰属しない場合に支払われる発明補償金については、「国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領」(平成10年8月10日特許庁長官通知)により定められているが、これは一人につき通算して年額600万円の制限があるところである。
 したがって、国立大学教官の発明に対するインセンティブを高めるとともに、公的な研究資金から得られた研究成果の有効活用を図る観点から、特許を受ける権利の帰属の在り方も含め、特許等の取扱いについて必要な改善策を検討するとともに、教官個人に対して支払われる発明補償金の支払限度額の見直しについても検討すべきである。

オ 国有特許のTLO等への円滑な譲渡
 国有特許をより有効に活用するためには、当該特許が活用される市場や企業ニーズに精通し、発明者である研究者の研究内容を熟知したTLOが取り扱うことが重要である。また、特許は単独で製品化されることもあるが、複数の特許を用いて一つの製品へ結びつける場合も多く、その場合譲渡を受けた異なる企業間で調整を行うよりも、TLOが中心となってコーディネートすることが望ましいとともに、TLOは国有特許の活用に関して最適な事業者を選びだす機能を持っているなど、TLOを国有特許の活用のために積極的に利用することが必要である。
 また、国と民間企業との共同研究、民間企業から国への受託研究の成果に係る国有分の特許権については、共同研究等の相手方の民間企業に対し、随意契約による専用実施権の設定、特許権の譲渡を行うことにより、民間企業による研究成果の活用を促進することも必要であると考えられる。
 したがって、国有特許の活用を促進するためには、TLOを積極的に活用すべきであり、TLOが当該国有特許の効果的な移転を図り得る唯一の機関であると考えられる場合には、TLOへ随意契約により譲渡することについて検討すべきである。また、国と民間企業との共同研究、民間企業から国への受託研究の成果に係る国有分の特許権については、共同研究等の相手方の民間企業に対し、随意契約によって専用実施権の設定や特許権の譲渡を行うことについて検討すべきである。

カ 委託開発事業に係る内閣総理大臣の認可等の廃止
 大学等の研究成果の民間企業による活用を促進するため、科学技術振興事業団は企業化が困難な新技術の開発を企業等に委託して実用化を図る「委託開発事業」を実施しているが、本事業について、個別課題ごとに内閣総理大臣の承認及び関係大臣に対する協議が必要とされており、受託企業の研究開発の実施に支障を及ぼしている例が多い。
 また、委託開発事業については、事業の実施の際だけでなく研究開発成果の実施化(特許等の実施)に際しても認可が求められているが、これらについても研究開発成果の迅速な実用化のための弊害となっていると考えられる。
 したがって、科学技術振興事業団が行う委託開発事業において個別課題ごとに必要とされている内閣総理大臣の承認及び関係大臣に対する協議や、研究開発成果の実施化(特許等の実施)に際しての認可について廃止すべきである。