規制改革についての見解

14 基準認証・保安

14-1 検査検定制度の見直し

【分野別総論】 ○問題意識及び検討状況

1 これまでの問題意識及び検討状況

 当委員会は、基準・規格及び検査・検定(以下「基準認証等」という。)に係る規制改革に取り組むに当たり、当初、次のように問題意識を設定した。
 すなわち、「基準認証等は、それぞれの制度が本来目的としている様々な政策目的を達成するための手段として重要な役割を果たすものであるが、経済活動のグローバル化が進んだ現在においては、同時に、企業活動や消費活動に対しても大きな影響を与えることとなっており、そのような諸活動への影響が可能な限り小さくなるよう見直すことが必要である。」という問題意識である。(第1次見解24ページ参照。)
 また、上記の問題意識に基づき、個別の検査検定制度の見直し作業を行うに当たっては、具体的な見直しの手法として、「それぞれの基準認証等が保護しようとしている法目的(保護法益)が侵害された場合に生じる危険の度合い」と、「基準認証等への違反が生じた際の危害発生の蓋然性」の2点を基準とし、

  1.  保護法益侵害の際の危険度が比較的小さく、かつ、違反による危害発生の蓋然性も小さいものについては自己確認・自主保安化すべき、
  2.  危険度や危害発生の蓋然性がある程度認められるものについては事業者だけではなく第三者も関与した仕組みを設ける必要があるが、その場合であってもあくまで事業者による自己確認・自主保安を基本としつつこれを補完する意味で第三者検査を義務付ける形とすべき、
  3.  政府又は指定代行機関による検査を行うのは、危険度が到底看過し得ない程重大であるなどその危険の大きさ、発生の蓋然性等を踏まえ、国民意識の上からも行政処分権限を持つ官庁が自ら対応すべきと思われるものに限定すべきである、

 という横断的な考え方を示したところである。(第2次見解151〜154ページ参照。)
 上記のほか、検査検定の基となる基準についても、現在は、個別法に基づき各省庁が独自に構造・形状・材質等の細部にわたる独自の基準を仕様規定として設けていることが多く、結果として、WTOのTBT(貿易に関する技術的障害)協定等において要請されている技術的基準に係る国際的整合性が欠如したものとなりがちであるほか、省庁ごとに思想の異なる複数の基準が適用されることにより事業者に余分なコストを強いたり、消費者に混乱をもたらすなどの弊害も指摘されているほか、仕様規定については、技術の進歩の著しい分野において、技術進歩に迅速・的確に対応した基準の見直しが困難となりがちであり、技術進歩を阻害する面があると指摘されていることから、現在、仕様規定となっている基準については原則としてこれをすべて性能規定化するとの視点に立ち、見直しを求めてきたところである。

2 見直し作業の取りまとめと今後における見直し作業の継続

 基準認証等の見直し作業については、「平成12年度末までに各所管省庁において見直し作業を完了する」との目標が既に閣議決定されているところであり、今年度末までにはこれに基づいて一定の結果が示されるものと見込まれる。
 現時点では上記見直し作業の結果は未だ判明していないが、当委員会がこれまで各省庁から行ってきたヒアリングの結果を踏まえれば、いくつかの制度については当委員会の基本的な考え方を踏まえた見直し結果が出されるものと期待できる一方、いくつかの制度については見直しが必ずしも迅速でなかったり、その内容自体が必ずしも十分に上記の考え方を踏まえていないものとなるおそれがある。
 このため、当委員会としては、基準認証等の見直し作業について、今年度末という作業完了目標の期限が到来した後において、見直し作業の結果を評価し、その内容を踏まえて必要な場合には更なる見直し作業を促していくことが引き続き必要となるものと考えており、各省庁においては、こうした評価を踏まえた更なる見直し作業の継続を行っていくべきである。
 また、当委員会は、これまでの見直し作業についての各省庁からのヒアリングを通じて、見直し作業に当たっては特に以下に述べる考え方が重要と考えている。このため、今後、見直し作業を更に継続していくに当たっては、政府においてもこうした考え方を十分に理解し共有した上で作業を進めていくことが極めて重要である。

(1)自己責任の考え方の意義
 当委員会は、当初、上述のとおり、「基準認証等が諸活動に与える影響を可能な限り小さくしていくべき」との視点に立って基準認証等の再検討作業を行った。しかしながら、このような視点については、基準認証等制度を所管する省庁の中には、「基準認証等の目的(国民の安全や財産の確保等を目的としているものが多い。)を十分に確保することこそが我々の使命であり、そのために多少の不便が生じてもやむを得ない。」との立場から見直しに消極的な考えを示すものも見受けられた。こうした考え方の背景には、あたかも当委員会が国民の安全や財産の確保等の制度目的を犠牲にしてでも企業等の利便向上を図ろうとしているのではないかという誤解があるように見受けられる。
 当委員会は、当然のことであるが、基準認証等の見直し作業に当たって、決して国民の安全や財産の確保等本来の制度目的をおろそかにしてもかまわないと考えているわけではない。むしろ、これら本来の制度目的を十分に達成するためには、自己責任原則に立脚していない基準認証制度について、それがゆえにもたらされる硬直性や実効性の欠如を排し、必要に応じて自己責任原則の考え方を取り入れた新しい基準認証等の仕組みを構築することが重要であり、こうした見直しによって初めて本来の制度目的を十分に達成することが可能となるというのが当委員会の考え方である。

  1.  従来型の基準認証等の問題点
     これまでの基準認証等は、自己責任原則ではなく、政府等が事前に製品等の検査を行うことによって製品の不具合の発生を防止しようとする「事前検査型」のものであることが多い。こうした事前検査型の基準認証等は、一定の役割を果たしてきているとはいえ、一方で、制度自体が「不具合のある製品等はすべて事前検査の段階でチェックされる」という前提に立ち、かつ、「検査を行う機関(主として政府又は公益法人等の指定代行機関)が完全なチェックを行うことができる」という前提に立っているために、現実問題として不具合のある製品等が事前検査の目を免れ、被害が発生してしまった場合における事後措置が十分に講じられていない傾向がある。
     また、こうした事前検査型の仕組みの場合、上述のとおり、政府等の検査機関があらかじめ不具合のある製品等を完全にチェックする役割を果たすとされていることから、本来製品等の品質に責任を持つべき製造事業者等において製品の品質向上等に向けた責任感の希薄化を招いたり、更なる品質向上に向けた改善等へのインセンティブ機能が十分に働かないとの指摘がある。また、政府等による検査についても、検査機関の側に市場原理・競争原理が十分に働いていない場合には、新しい検査技術の開発・導入が遅れる等の弊害が生じている場合もあり、結果として検査による事前チェック機能が十分に機能していない場合や、不必要に時間やコストがかかる仕組みとなってしまっている場合がある等の問題点を指摘することができる。

  2.  自己責任に重点を置いた基準認証等の利点
     一般に、企業における製品作りにおいては、品質は工程で作られるものであり検査で作られるものではないとして、製品の検査は必要最小限にとどめようとする動きがあると言われている。これは、製品の検査は、本来、製品の作り手自らが責任を持って公的規格・設計仕様等の基準に適合した品質を工程で作り込む(「作り込み」を行う)ことによってこそ果たされるものであり、作り手以外の第三者による検査という段階を入れることは、工程管理と検査が遊離して検査の情報を迅速かつタイミングよく工程管理にフィードバックして工程改善に活用することを困難とし、基準に適合する製品の製造条件を明確にして維持管理していかなければならないという作り手自身の品質作り込みに対する責任感をかえって希薄化させてしまうことにより、品質基準に適合しない製品の発生率を高くしてしまうという考え方に基づいた意見である。
     政府による基準認証等の場合は、単なる品質クレームではなく、拡大損害を発生させる欠陥(不具合)のある製品等を許容した場合には第三者にも被害が及ぶ等、特殊な事情があるため、必ずしもこのような企業での考え方のみで対応できるわけではないが、製品等の作り手自体に責任を負わせることが最も確実・効果的に製品等の不具合の発生を抑止するという企業現場での経験はそうした考慮を払った上でもなお重視すべきである。
     政府においても、こうした自己責任の考え方に立った検査制度の持つメリットを十分に認識し、当委員会が既に示した横断的な考え方(基準認証等の見直しに当たっては、保護法益が侵害された場合の危険度や危険発生の蓋然性を基準として、危険度や危険発生の蓋然性が低いものは原則として自己責任・自主保安化し、ある程度こうした危険度や危険発生の蓋然性が見込まれるものであっても自己責任・自主保安を基本とした第三者検査制度を導入するという考え方)に基づいた見直し作業を更に推進していくことが必要である。

(2)自己責任の考え方を適用していくに当たっての留意点
 自己責任の考え方に基づいた基準認証等の見直し作業を更に進めていくに当たっては、これまで当委員会が第1次見解及び第2次見解において明らかにしてきた上記の考え方を十分に踏まえた上で、更に、以下の点に留意することが必要である。

  1.  事後措置の十分な検討
     自己責任の考え方に基づいた基準認証等の仕組みを構築していくに当たっては、自己責任を十分に果たさない企業等のプレーヤーが出てきた場合において、これに対して適切なサンクション・メカニズムを整備し、かつ、それが実効的に発動される体制を構築することが前提となる。
     この点については、民事責任の面においては、製造物を対象として既に製造物責任法が存在しており、不具合のある製品によりもたらされた被害の民事的回復に当たって必要な挙証責任の在り方等について一定の仕組みが講じられているところであるが、行政措置の分野においても、基準に適合しない製品等が製造され流通した場合等に、これに適切に対応できるような基準不適合製品等の回収命令、修理命令、製品等の提供禁止措置等の事後措置を十分に講じることが必要である。
     この点については、基準認証等を所管する省庁の中には、「事後措置を充実させた場合、かえって行政側の業務を著しく増大させ、行政コストの上昇をもたらす」として検討すら行わないところも見受けられる現状にある。
     確かに事後措置を講じることによって行政コストが上昇することは事実であるが、自己責任の考え方に基づいた基準認証等の仕組みとした場合、現在行っている事前の検査制度を簡素化することによりこの部分の行政コストは減少することが見込まれるわけであり、政府においては、いたずらに「行政コストが増加するから検討しない」という姿勢を取るのではなく、行政コストの増加部分と減少部分とを的確に把握した上でどちらの仕組みが望ましいのかについて公正な立場から検討を加え判断していくよう留意すべきである。

  2.  優良事業所等に対するインセンティブ措置の検討
     自己責任の考え方に基づいた基準認証等の仕組みを構築していくに当たっては、事業者の側がその責任を十分に自覚した上で、基準適合義務を確実に果たしていくことが求められる。
     この際、既に一部の基準認証等で取り入れられている、優良な基準適合実績と体制を有する事業所等に対しては自己確認・自主保安化を認め、検査受検による様々な負担を軽減する仕組み(優良事業所等に対するインセンティブ制度)は、事業者側に製品等の提供に伴う責任意識を向上させる効果が期待でき、また、行政側にも基準認証等の実施に伴う行政資源を体制の十分でない事業者に集中的に投入することにより不必要な行政コストの上昇を避けることができるとのメリットがあることから、政府においては、こうした仕組みを積極的に導入するよう留意すべきである。

(3)その他の課題
 以上のように、今後、基準認証等の見直しを継続していくに当たっては、自己責任の考え方を十分に踏まえた上で作業を行っていくことが必要であるが、その他にも下記のような課題があるところ、当委員会としては、これらに十分留意した上で作業が進められるよう強く期待したい。

  1.  総合的アプローチの視点
     現在の基準認証等を見ると、その目的の多くは上述のとおり国民の安全や財産の確保とされている。しかしながら、当然のこととして、国民の安全や財産の確保等の制度目的は、基準認証等によってのみ確保されるわけではない。実際には、例えば工場における労働者の安全確保という目的を考えた場合、その目的実現のためには、人材の育成・教育はもとより、設備の設計における配慮、保守・運転方法のマニュアル整備、安全関連資格者の配置等、多面的な取組があってはじめて労働者の安全という当初の制度目的が確保されることになるものである。
     当委員会は、横断的観点として、基準認証等に焦点を当てた検討を行ってきたものであるが、ややもすれば基準認証等だけを念頭に置いた結果、他の制度との連携性という視点が欠ける傾向にあったことは否定できない。基準認証等の制度目的が、こうした他の多面的な取組と併せて初めて達成できる性格のものである以上、例えば安全確保では、安全を確保するプロセスの考え方に基づき、製品や施設などの基準認証等についての役割を明確にし、それで不足する部分については必要な活動に携わる人の資格基準を適正化することでシステムとして制度目的を達成するといった総合的なアプローチをより重視していくことも留意することが求められる。

  2.  法律に基づかない基準認証等、地方独自の基準認証等の扱い
     当委員会は、その性格上、国が行う基準認証等を検討対象とし、かつ、資源の制約上、法律に基づくもののみを対象とした検討作業を行ってきた。しかしながら、基準認証等の中には法律に基づいていないもの(政省令レベルや通達・運用レベルでのもの)も数多く存在するほか、いわゆる任意規格としてなされるもの(業界団体による独自基準や、予算措置等の優遇措置の適用を受けるためのもの等)も含めれば、数多くの制度が存在するところであり、こうしたものについても将来は検討対象としていくことが求められる。
     また、同様に、地方公共団体等が条例等の規定に基づき独自に行っている基準認証等についても、その適用を受ける事業者等の立場からすれば、国が行っているものと同様に見直し作業が進められることが望ましいものであり、こうしたものについても今後の課題として留意しておく必要がある。

  3.  電子化、ワンストップサービス化の視点
     現在、政府においては、IT革命を迅速に進めるとの観点から、各種の許認可申請手続等について電子化を進めるための見直し作業が行われているところであるが、事業者側の負担軽減という視点に立てば、基準認証等についても同様の視点からその申請手続や添付書類等の電子化を進めていくことが望ましい。また、申請を受けて検査等の業務を行う機関についても、公益法人要件の見直し等によって徐々にその相互乗り入れが進みつつあるところ、こうした動きを更に促進させるとともに、これらの検査機関における申請手続や検査項目について、それぞれの検査ごとの重複を省く等の見直しを行うことにより、受検者側の利便性を向上させ、ワンストップサービス化を実現させることを、今後の課題として十分留意しておく必要がある。

【各論】

(1)基準認証制度の見直し状況の公表・とりまとめ(※)
 政府においては、現行の規制緩和推進3か年計画(再改訂)において、「現行の規制緩和推進3か年計画の最終年度である平成12年度(2000年度)末までにすべての基準認証等についての見直しを完了することを目標として、見直しを推進する。」こととしているところである。
 このため、基準認証等を所管する各省庁においては、上記の期限が到来した後速やかに、その所管する基準認証等についての見直しの状況について取りまとめ、平成13年度当初を目途にこれを公表することとすべきである。
 また、上記見直し作業結果の公表に当たっては、以下の点を明らかにすべきである。

  1.  それぞれの基準認証等ごとに、当委員会が第2次見解において指摘した横断的な考え方(基準認証等の見直しに当たっては、保護法益が侵害された場合の危険度や危険発生の蓋然性を基準として、危険度や危険発生の蓋然性が低いものは原則として自己責任・自主保安化し、ある程度こうした危険度や危険発生の蓋然性が見込まれるものであっても自己責任・自主保安を基本とした第三者検査制度を導入するという考え方。第2次見解151〜154ページ参照。)を踏まえた説明を行うこと。
  2.  見直し作業の結果、自己責任の考え方に基づいた仕組み(自己確認・自主保安化や、優良事業所等のインセンティブ制度を指すものとする。)とすることができないと判断したものについては、その根拠を明らかにすること。(その際、仮に自己責任の考え方に基づいた仕組みとした場合にどのような問題が生じることとなるかを明らかにするとともに、どのような事後措置を講じることにより問題の発生に対処できるかについても併せて説明を行うこと。)
  3.  見直し作業の結果、第三者検査化又は指定代行機関(指定検査機関)制度としたもの(既になっているものを含む。)については、第三者検査の実施機関又は指定代行機関(指定検査機関)の指定の条件について、ISO/IECガイド65(「製品認証機関に対する一般要求事項」。JIS Q 0065に同じ。)等において示されている製品認証機関への要求条件と比較しつつ説明を行うこと。(第2次見解150ページ参照。)

(2)個別の基準認証等についての意見(※)
 当委員会においては、本年の論点公開において示した横断的な視点から、今年度も各省庁における基準認証等の見直し作業の監視を行ったところであるが、その結果、以下の各制度について、それぞれ該当部分のとおり改善措置を講ずることが必要であるとの結論を得たところである。
 これらについては、政府において確実に実施することが必要である。

  1.  特定機械等の検査等(労働安全衛生法・労働省)
     ボイラー等、特に危険な作業を必要とする特定機械等については、これを製造し、輸入した者は、製造・輸入等した場合(製造時等検査)及び製造時等検査により交付される検査証の有効期間を更新する場合(性能検査)において、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定に基づき、国又は国の指定した機関による検査を受けなければならないこととされている。また、特定機械等以外で危険な作業等を必要とする機械についても、同法により、小型ボイラー等については個別検定を、また、動力プレス等については型式検定を、国又は国の指定した機関により受けなくてはならないこととされている。
     これらの検査・検定は、労働安全の確保上重要な機械等について安全性を確保し、もって労働災害の発生を抑止するために行われるものであるが、検査業務を行うことができる機関(検査代行機関)は、これまで、特定機械等の性能検査を除き、製造時等検査代行機関等に関する規則の各規定により、民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)であることが要件となっていた。
     この点については、当委員会が昨年の第2次見解において、「公正・中立性が確保され、かつ、検査能力を有する主体の判断条件を可能な限り早く明確化した上で、関係法令等の改正手続に着手すべき」としたところであるが、労働省においては本年3月に関係各規則の改正を実施し、6月にそれを施行したところであり、現在は一定の要件を満たす法人であれば公益法人・営利法人の別なく検査代行機関となることができることとされている。
     しかしながら、制度改正後現時点に至るまでの実績を見ると、実際には営利法人が検査代行機関に指定された実績はない。この理由としては、検査の対象が限定されていることも一因であるが、その他にも例えば「事務所を原則として複数の都道府県に設けること」等、検査代行機関となるための指定条件が厳しい点を指摘する声がある。当委員会としては、今回の制度改正によって、例えば他の法律に基づく検査業務を実施している検査機関が労働安全衛生法の検査代行機関としても指定されることによって、他の法律に基づく検査も受検する事業者にとって「ワンストップサービス」(複数の法令に基づく検査を一つの検査機関において受検することが可能となることを指す。)化が可能となることが望ましいと考えているところ、労働省においては、ワンストップサービス化の実現に向けて検査代行機関の指定条件の見直し作業を行うべきである。
     また、労働安全衛生法においては優良な安全管理実績を有する事業場に対する自己確認の導入は進められていない状況にある。ボイラーの検査に関しては、電気事業法(昭和39年法律第170号)の電気工作物であるボイラーについては自己確認制度が導入されている。このようなことを踏まえ、労働安全衛生法におけるボイラー等の検査においても、優良な安全管理体制を確立し、かつ、優良な安全管理実績を有する事業場を対象とした自己確認等のインセンティブ制度について検討すべきである。
     このほか、労働安全衛生法のボイラー及び第一種圧力容器の検査に当たって適用される基準については、現在、仕様規定となっているところ、「現在、仕様規定となっている基準については原則としてこれをすべて性能規定化するよう検討を行う」旨の既定方針に基づき、平成13年度中に検討を行い、平成14年度中に性能規定化を完了するよう措置すべきである。

  2.  高圧ガス製造施設等の検査(高圧ガス保安法・通商産業省)
     高圧ガス製造施設等の検査は、高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガス保安法(昭和26年法律第206号)の規定に基づき、高圧ガスの製造(容器への充てんを含む。)、貯蔵の許可を受けた者が高圧ガスの製造施設又は貯蔵所の設置工事を完成したとき(同法第20条(完成検査))、高圧ガスの製造許可を受けた者(第一種製造者)の製造施設であって高圧ガスの爆発その他災害が発生するおそれがある製造のための施設(特定施設)については施設の稼働後定期に(同法第35条(保安検査))、また、高圧ガスを充てんするための容器については容器の製造時又は輸入時に、都道府県知事等が行う検査を受けなければならないとするものである。
     これらの検査については、既に、完成検査及び保安検査については優良な保安体制及び保安実績を有する事業所については自ら検査を行うことができることとされているほか、指定代行機関についても、民法第34条の規定に基づき設立された公益法人だけでなく、一般の営利法人であっても公正・中立に業務を実施できるものについては指定代行機関となることが可能となるよう措置されている。
     一方、指定代行機関や優良事業者の制度を適切に運用するためには、技術の進歩等に応じて、その指定基準や認定基準等について随時必要な見直しを行うべきである。通商産業省においては、現在、規制緩和推進3か年計画に従い認定基準の見直しを検討しているところであるが、こうした対応により制度の運用に万全を期すべきである。
     また、高圧ガス保安法の高圧ガス製造施設等の検査等に当たって適用される基準については、現在、仕様規定から性能規定に徐々に変更されつつあるところであるが、「現在、仕様規定となっている基準については原則としてこれをすべて性能規定化するよう検討を行う」旨の既定方針に基づき、平成12年度中に、性能既定化への変更を完了するよう措置すべきである。

  3.  危険物施設の検査(消防法・自治省)
     危険物施設の検査は、危険物施設において事故が発生した場合には、当該施設のある事業所のみならず、周辺住民の生命、財産等にも重大な脅威を与えることとなるおそれがあること等にかんがみ、消防法(昭和23年法律第186号)の規定により、指定数量以上の危険物(石油等)を取り扱う製造所・貯蔵所・取扱所について、その設置の前(同法第11条、第11条の2)及び一部大規模施設(全危険物施設数の約0.5%に当たる1万キロリットル以上の貯蔵タンク等)について設置後定期的に(同法第14条の3)、市町村長等が行う検査の受検を義務付けるものである。
     危険物施設の検査については、工事管理を含む保安のための優れた体制を有することが実績からも明らかであると認められる事業所に対して、保安の質を維持させるインセンティブを与え、より適正な危険物の保安が確保されるよう誘導していく仕組みとして、昨年3月から、優良事業所については一定の要件を満たす施設の変更工事に係る完成検査等について、事業所の自主検査結果の活用を図る制度が既に導入されている。しかしながら、同様に危険性を有する物質を貯蔵する施設である火薬庫や高圧ガス貯蔵施設については、既に保安検査についても優良事業所については自主検査を認める仕組みとなっていることから、当委員会は、昨年の第2次見解において、「危険物施設についても、こうした同種類似の制度を参考にしつつ、既に実施に移された変更工事に伴う完成検査に係る優良事業所の自主検査制度の運用状況を踏まえ、保安の確保という要請と検査受検事業所の負担軽減という要請の双方を満たすことが重要であることに配慮しつつ、優良事業所に対して危険物施設の適切な管理を維持するインセンティブを与えることができるような保安検査の在り方について検討すべき」としたところである。
     この点について、自治省(消防庁)においては、危険物施設の検査受験者のニーズが、当面、検査周期の延長にあることを踏まえ、優良事業所については検査周期を延長することができるような制度を導入することについて検討することととしているところである。このため、自治省(消防庁)においては、必要な検討を行った上で、平成13年度中に、危険物施設の保安検査について、優良事業所については検査周期を延長するインセンティブ制度を導入することについて結論を得るべきである。また、優良事業所については、自主検査を含め危険物施設の適切な管理を維持するさらなるインセンティブを与えることができるような保安検査の在り方についても今後検討を行うべきである。
     なお、消防法の危険物施設の保安検査に当たって適用される基準を含む危険物規制に係る基準については、「現在、仕様規定となっている基準については原則としてこれをすべて性能規定化するよう検討を行う」旨の既定方針に基づき、平成13年度より検討を開始し、可能なものについては平成15年度中に性能規定化を完了するよう措置すべきである。
     このほか、消防法の危険物施設の保安検査については、同法第14条の3の規定に基づき、市町村長等は、保安検査の実施を危険物保安技術協会に委託することができるとされている。
     本規定について、消防庁は、「委託先を危険物保安技術協会に限定する趣旨ではない」と説明しているが、現時点に至るまでの実績を見ると市町村長が同協会以外の機関に委託した実績はなく、その理由として、どのような機関であれば委託を受けることが可能なのかという点が必ずしも明確になっていないことが考えられる。
     当委員会としては、高圧ガス保安法、労働安全衛生法及び消防法に基づく検査業務を実施している検査機関等が相互乗り入れを行うことが可能となるよう、高圧ガス保安法及び労働安全衛生法に基づく検査機関が消防法の保安検査についても市町村長から委託を受けることを可能とし、他の法律に基づく検査も受検する事業者にとって複数の法令に基づく検査等を一つの検査機関等において受検することを可能とする(ワンストップサービスを実現する)ことが望ましいと考えているところ、自治省(消防庁)においては、平成12年度中に、委託先が危険物保安技術協会に限定されないことを改めて明確にした上で、危険物の保安の確保上問題がない範囲内で、委託先となるための基準を明らかにする等、検査機関等の相互乗り入れに向けた取組を行うべきである。

  4.  防災資機材の基準(石油コンビナート等災害防止法・自治省)
     石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号)は、石油コンビナート等特別防災区域に所在する特定事業所(一定量以上の危険物等を貯蔵又は取扱う事業所)について、自衛防災組織を設置すべきことを規定しており(同法第16条)、当該自衛防災組織にはその業務を行うために必要な防災資機材(化学消防自動車、消火用薬剤、油回収船その他の機械器具、資材又は設備)を備え付けなければならないものとされている。
     これらの防災資機材は、特定事業所における災害の発生又は拡大を防止するために必要なものであり、その具体的な仕様が政令(石油コンビナート等災害防止法施行令)において記載されているため、当初政令において予期していなかった高性能な防災資機材が開発された場合に、それを政令に記載された資機材に替わるものとして採用することが円滑に行いにくくなっているとの指摘がある。
     このため、自治省(消防庁)においては、こうした指摘を踏まえ、防災資機材の基準について随時必要に応じた見直しを行う等により、必要な防災能力を確保しつつ可能な限り事業者負担の軽減を図るよう的確に措置すべきである。

  5.  端末機器、特定無線設備の認証(電気通信事業法、電波法・郵政省)
     電話機やモデム等の端末機器については、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第50条の規定により、あらかじめ技術基準に適合していることの認定を受けることにより第一種電気通信事業者による接続検査を受けることが不要となる、端末機器の技術基準適合認定制度が設けられている。
     また、携帯電話やPHS等については、電波法(昭和25年法律第131号)第38条の2の規定により、あらかじめ電波法の技術基準に適合していることの証明を受けることにより無線局落成後の検査等が不要になる、特定無線設備の技術基準適合証明制度が設けられている。
     これらの制度は、技術基準に適合しない端末機器や特定無線設備が、電気通信ネットワークに損傷を与えたり、電波利用秩序に悪影響を与えたりするおそれがないよう設けられたものであるが、両制度とも、実際の認定・証明業務は、郵政大臣が指定した機関が行うこととなっており、この機関は端末機器については電気通信事業法第69条の規定により、また、特定無線設備については電波法第38条の3の規定により、それぞれ民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)でなければならないこととされている。
     これらのうち端末機器の技術基準適合認定制度について、当委員会は、昨年の第2次見解において、「公正・中立性が確保され、かつ、能力を有する機関であれば営利法人であっても認定業務を行うことができるよう検討する必要がある」としたところである。
     郵政省は、これを受けて、「電気通信機器の基準認証制度に関する研究会」を開催し、同研究会報告において、公正・中立性が確保されることなど一定の条件を満たした法人については営利法人であっても認定・証明業務を行うことができるよう措置するべきとされたことから、現在、関係法令の改正準備作業を進めているところである。この改正が実現すると、営利法人の認定・証明業務への参入の途が拓かれるだけでなく、現在、電気通信事業法上の認定業務と電波法上の証明業務とが別々の機関において行われているところ、これら機関による互いの業務への乗り入れも活発化する等、認定・証明業務の実施者の間で競争原理が働くとともに、認定・証明業務を受ける者の立場からはワンストップサービス(一つの機関において電気通信事業法の認定も電波法の証明も受けられること)が実現することとなり、その利便性が大いに向上するものと期待される。
     一方、これらに関する諸外国の動向を見ると、例えば欧州においては、欧州指令により、本年4月から公衆電気通信回線に接続される端末機器については供給者による適合宣言が可能とされ、また、無線周波数を利用する無線機器については、政府が指定する第三者機関(いわゆるNotified Body)による試験等を受けることを前提とした適合宣言が可能とされたことから、同指令に基づき加盟各国の国内法令の整備が進められつつあるほか、米国においても、これまで連邦通信委員会(FCC)が直接認証業務を行ってきたのを一部改め、本年3月にはFCCによる直接の認証のほかに、FCCが指定する民間認証機関も認証業務を行うことができることとしたほか、11月には、電話やファックス、モデム等の公衆電気通信回線に接続する機器については、FCCによる直接の認証を廃し、FCCが指定する民間認証機関による認証を受けるか又は自己適合宣言を行うことも可能とする制度改正を行う等、本分野については、成長の著しいIT関連分野であることから、各国とも規制改革を進めつつあるところである。我が国においても、IT関連と位置付けられるこれら電気通信設備(端末機器)及び無線局(特定無線設備)の導入スピードを上げ、国際競争力を維持・強化していくためには、制度改正に伴う公益法人以外の者の参入状況や相互承認協定(MRA)の実施状況等を踏まえつつ、事後措置の拡充強化を前提とした上で自己適合宣言制度の導入について引き続き対象分野の特性を踏まえて検討を行うべきである。

  6.  自動車検査用機械器具の検査(道路運送車両法・運輸省)
     自動車分解整備事業場に備える自動車検査用機械器具については、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)により、それが一定の技術上の基準に適合することについて、運輸大臣の指定する者の行う検査に合格したものでなければならないこととされている。
     この検査の目的は、これらの機械器具が自動車の点検整備又は自動車検査に用いられ、安全・環境に与える影響が大きいことから、機械器具について一定水準以上の精度を確保するためのものであるが、それを行う者の指定基準が具体的に定められておらず、また、実際に検査を行う者も全国を通じて一の公益法人が指定されているにすぎない。
     このため、当委員会は、昨年の第2次見解において、自動車検査用機械器具の検査については、公正中立に業務を実施できることが担保されることを前提に、公益法人要件の見直しを含めて、指定基準の明確化について検討すべきとしたところである。
     これを受けて、運輸省においては、現在、これまでの自動車検査用機械器具の技術の進展、検査実績等を踏まえ、検査項目、検査手法等について検討を行っているところであり、実施主体を含めた自動車検査用機械器具の検査の実施方法等について今年度中に結論を得るとしている。このため、運輸省においては、上記検討の結論を踏まえ、必要に応じ関連法令の改正等の措置を的確に講じるべきである。

  7.  消防用機械器具等の検定(消防法・自治省)
     消防用機械器具等の検定は、消防法第21条の2の規定に基づき、消防の用に供する機械器具等について、その製造者等に検定の受検を義務付ける制度である。
     この検定は、火災発生時の初期消火に重要な役割を果たすことが期待されるスプリンクラーや消火器等の消防用機械器具等が、確実かつ安全に機能を発揮することを確保することにより、国民の生命、身体及び財産を火災から保護しようとするものであるが、検定業務の実施は、型式承認及び個別検定のいずれについても指定代行機関たる日本消防検定協会又は自治大臣の指定する者(同法第21条の46の規定により公益法人に限定されているが、現在指定されている者はいない)に限定されている。
     この点について、当委員会は、昨年の第2次見解において、検査の申請者が主体的に検査機関を選択することができるよう、検査能力を有しかつ公正中立な主体であれば営利法人であっても検定主体となれるよう、消防用機械器具の安全性に対する国民の信頼の確保を図ることを前提に、現行の指定検定機関に係る公益法人要件の見直しについて検討すべきとしたところである。
     これを受けて、自治省(消防庁)においては、本年11月より庁内に指定検定機関のあり方検討委員会を設置し、指定検定機関の公益法人要件の要否、公益法人要件を撤廃した場合の問題点等及び指定検定機関の指定要件について審議を開始し、本年度内に結論を得ることとしているところである。このため、自治省(消防庁)においては、同委員会の結論を踏まえ、必要に応じ関連法令の改正等の措置を的確に講じるべきである。

  8.  簡易専用水道の検査(水道法・厚生省)
     簡易専用水道(会社やマンション等で、受水槽を設け、各戸に水を供給するもの)については、水道法(昭和32年法律第177号)第34条の2の規定により、その設置者に対し、地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者による受水槽及び水質の検査を定期に受検することが義務付けられている。
     この検査は、簡易専用水道の水質を確保するためのものであるが、法律上受検が義務付けられているのは有効容量が10立方メートルを超える受水槽に限られており、有効容量が10立方メートル以下の小規模な受水槽については法律上受検の義務は課されていない。また、実際の受検率を見ると、有効容量10立方メートルを超える受水槽についてもその受検率は約85%にとどまっており、有効容量が10立方メートル以下の受水槽については受検義務がないこともあって必ずしも現状においては水質の確保が十分になされているとは言い切れない状況にある。
     簡易専用水道の利用者も、一般の水道利用者と同様、その利用する水道の水質を十分に確保することが必要であり、このためには、現在法的な受検義務の課されていない小規模な受水槽の利用者をも視野に置いた上で、受検率の一層の向上を図ることが必要である。このため、当委員会は、昨年の第2次見解において、「現在、簡易専用水道の設置者からの依頼に基づき地方公共団体の機関又は厚生大臣指定検査機関が行っている検査の在り方について再検討することが必要であり、簡易専用水道の管理に関する規制体系全体を見渡した上で、より実効的な水質確保がなされるよう、所要の見直しを行うべき」との指摘を行ったところである。
     厚生省は、こうした指摘を踏まえつつ、昨年11月より、生活環境審議会水道部会において、簡易専用水道の検査を含む管理の在り方について検討を行っているところである。本年7月に公表された同部会の中間とりまとめにおいては、「現在、規制を受けていない容量10立方メートル以下の受水槽においては、管理の不徹底による問題も多く、利用者の多くが水質面での不安を感じている」とした上で、「一般家屋の給水装置も受水槽水道も、水道利用者の立場を考えれば、安心して利用できる仕組みを検討する必要がある」、「水道事業者が適切に関与することにより、設置者による管理の徹底を促すような、実効ある仕組みが可能になる」、「水道事業者の関与により受水槽の規模によらず管理状況の検査が実施され、管理の徹底が促されることが望ましいが、具体的な関与の程度、必要な権限等については、給水装置に対する関与の現状と、簡易専用水道の現行の指定検査機関の検査体制及び衛生行政の関与の現状を踏まえて、関係者と十分調整する必要がある」との改革の方向性を打ち出したところである。
     同部会は、本年度内に結論を得ることとしているところであり、厚生省においては、同部会の結論を踏まえ、実効的な対応策を早急に講じるべきである。

  9.  浄化槽の検査(浄化槽法・厚生省)
     浄化槽については、浄化槽法(昭和58年法律第43号)第7条及び第11条の規定により、新たに浄化槽を設置した場合には使用開始後6月を経過した後2月間に、その後は毎年1回定期的に、浄化槽の外観・内側の目視検査、水質検査等を行うことが義務付けられている。
     この検査は、浄化槽の放流水が公共用水域を汚染することがないよう行われるものであるが、浄化槽の不具合による水質悪化の影響は、浄化槽設置者ではなく下流域の者が被るという特殊性と、検査手数料負担の問題等から、その受検率は、設置後の検査において約63%、定期検査にあっては約13%にとどまっており、地域によってばらつきはあるものの、特に定期検査については、多くの場合、極めて低率にとどまっていることから、受検率の向上が重要な課題となっている。
     浄化槽の検査を実施できるのは、厚生省関係浄化槽法施行規則第33条の規定により、民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)に限定されているが、当委員会は、昨年の第2次見解の中で、能力を有しかつ公正中立に業務を実施することが可能な営利法人にも広く浄化槽検査業務を開放することにより、営利法人の営業努力によって受検率を引き上げ、あわせて検査サービスの質の向上と検査料金の低下を図ることも検討すべきとの視点を示した上で、厚生省に対し、「浄化槽検査については、こうした手法の可否を含め、受検率向上のため、現在の検査体制について抜本的な見直しに取り組むべきである」としたところである。
     厚生省は、これを受けて、浄化槽維持管理基準等検討委員会の中に法定検査の効率化等ワーキンググループを設け、現在、浄化槽検査業務を行っている機関等の代表者を含めた具体策の検討作業に着手し、受検率向上のための基礎となるデータの収集・整理等を行っている。今後は、同委員会において受検率向上策を取りまとめた上で、社団法人全国浄化槽団体連合会における検討結果も踏まえ、本年度中に結論を得ることとしているところ、厚生省においては、同部会の結論を踏まえ、実効的な対応策を早急に講じるべきである。

  10.  気象測器の検定(気象業務法・運輸省)
     気象庁以外の政府機関又は地方公共団体が気象観測を行う場合や、成果を発表する目的で民間機関が気象観測を行う場合には、気象業務法(昭和27年法律第165号)の規定により、国の行う検定(同法第27条)に合格した気象測器を使用しなければならないこととされている。
     この検定は、気象観測が災害の防止等に重要な役割を果たすものであり、観測値の誤りや観測精度の不統一があると社会的な混乱を招くおそれがあることから、その精度を担保するために行われているものである。
     この検定について、当委員会は、昨年の第2次見解において、「必ずしも国が自ら検定のための検査を行う必要はなく、基準に合致していることについて民間の行う検査を活用することが可能と考えられる」とした上で、「現在の国による検定制度について、一定の能力を有する民間(営利法人を含む。)の検査を受けたものについては、国の検査を省略できる新制度の導入を図るべき」としたところである。
     運輸省(気象庁)は、これを受けて、気象審議会に本件を諮問し、本年7月に答申がなされたところである。この答申の中では、現在、国が自ら検定を行っている気象測器について、「国の事務の簡素化を図る観点から、気象測器の検定について、民間の技術力を活用し、効率的な制度としていくべき」との視点を示した上で、指定代行機関制度の導入(指定の要件は、公正・中立性が確保される場合には、公益法人に限定しない)と、型式証明を受けた型式の気象測器の器差検査については、一定の要件の下、民間事業者の社内データを活用するとの方向性が示されたところである。
     運輸省(気象庁)においては、本答申を踏まえ、本年度中に最終的な結論を出した上で、早急に関連法制度の改正を行うべきである。

14-2 基準認証等に係る意見・要望

【分野別総論】

○問題意識

 基準・規格及び検査・検定(以下「基準認証等」という。)は、製品や製品の製造に係る設備・施設の構造・設置に関する基準を設け、その基準に適合することを確認する方法や手続を法令等に規定する国の制度である。これらの制度は、これまで国内市場において、製品の生産・流通・消費の合理化・効率化、品質の向上、安全性の確保、環境保全等について大きな貢献を果たしてきた。
 しかしながら、近年、経済のボーダレス化や技術革新等が進む中においては、我が国の基準認証等が、企業の円滑な事業活動や消費者の自由な選択などの妨げとなっていると指摘する意見・要望が多く出てきている。その理由としては、我が国の製品・設備等の構造・形状・品質の基準を定め、また基準への適合性を担保する規制が、諸外国の制度と比べ複雑かつ難解であることや、複数の官庁にまたがって所管されていることなどがあげられる。
 したがって、基準の見直しから輸出入手続や検査等の申請手続の簡素化に至るまでの広範な項目を検討の視野に入れ、個別の基準認証等に係る意見・要望について、できる限り幅広く迅速に対応していくことが、真の意味での企業や消費者の利便性の向上等につながり、また、その1つずつの効果の積み上げが、新しいビジネスメソッド等の創出を通じてさらに大きな経済効果をもたらすことになる。

○検討状況

 規制改革委員会では、昨年度から、規制緩和に関する内外からの意見・要望のうち基準認証等に関するものを中心に、精査の上一分野を立てて取り組んできた。具体的には、基準認証等に関する内外からの意見・要望について、関係省庁及び要望元へのヒアリングなどを行った結果、早急に規制の見直しが必要である旨の見解を公表してきた。
 今年度についても、基準認証等に関する内外からの意見・要望のうち、所管省庁が措置困難としたもの、または緩和内容が不十分と思慮されるものについて、調査・検討を行い、とりわけ、早急に規制の見直しが必要な18項目(【各論】参照)についての提言を行った。
 しかしながら、以下にあげるような項目については、近時に部分的な見直しが既に行われているものや、規制改革による影響を踏まえた慎重な議論が必要などの理由から早急な見直しについては時期尚早としているものの、技術革新の急速な進展や産業構造の激変への対応といった観点から今後の中長期的な課題として検討がなされるよう強く期待する。 <中長期的課題>

  1. 石油コンビナート地域に対する配置規制の合理化
     石油コンビナート内の各施設に対しては、石油コンビナート等特別防災区域に所在する第1種事業所では新設、または施設地区の変更等において、石油コンビナート等災害防止法(石災法)に基づき、施設地区の区分、道路、セットバックなどのレイアウト面での規制を受けていると同時に、高圧ガス保安法、消防法による配置規制の対象になっている。
     石油精製および石油化学業界においては、激化する国際競争、業界再編という状況の中で、企業の合併等によるコンビナートの整理統合や設備の大型化、高付加価値製品化への移行などが急務になっている。
     そうした環境下において、石災法に基づくレイアウト規制と同時に個別法による配置規制が課せられていることは、事業者にとってより効率的な設備を迅速に形成していく上で大きな障害になっているとの指摘がある。
     石災法のレイアウト規制については、既に平成11年8月17日付け通知により企業合併の際の適用の一部明確化がされたほか、高圧ガス保安法による配置規制についても平成11年10月に省令を改正し分社化の際の適用を合理化した。また保安四法にかかる検査についての整合化についても検討がなされているところである。
     今後とも、特別防災区域における規制について、現行制度の趣旨を尊重しつつ、これまでの技術革新等も踏まえて、総合的な保安の確保などを前提に、引き続きその合理化について検討を進めていくべきである。

  2. 端末機器に対する技術基準・技術的条件の見直し
     電気通信事業法に定める端末機器については、端末設備等規則に定められた技術基準又は第一種電気通信事業者が郵政大臣の認可を受けて定める技術的条件への適合性に関し、指定認定機関の認定を受けるか又は当該第一種電気通信事業者の検査を受ける必要がある。
     端末機器については、世界規模でのIT化の進展や急速な技術革新という環境の中で、世界標準に基づいた機器の迅速な市場への投入が事業者に求められているところである。しかしながら、現行基準については欧米の基準と比較して不必要な項目が含まれているとか、基準値が厳しすぎるといった指摘がある。一方、技術的条件については、急速な技術革新の中でITU−T勧告等の世界標準に基づく新技術を通信事業者が技術的条件として採用する際に、これが省令等に定められていなければ各事業者が個別に技術的条件に関する認可を受ける必要があるといった問題も指摘されている。
     端末機器については、ネットワーク全体への悪影響を防止する観点から技術基準を慎重に検討する必要があるが、一方で世界規模での急速なIT化、技術革新の進展という状況も踏まえ、今後よりフレキシブルに国際標準への対応が可能となるよう基準等の見直しを進めるべきである。

【各論】

(1)基準認証等の緩和・簡素化
 国民の生命・身体・財産の保護等に支障が生じないことを前提に、政府の規制は必要最小限に止めるという観点から、基準認証制度や輸出入手続等の緩和・簡素化を図る。

(1−1)移動タンク貯蔵所の基準緩和(タンクローリー車のハッチ割、防波板の廃止)
 移動タンク貯蔵所(以下「タンクローリー車」)は、事故時の漏えい量を少なくし、移送中における危険物の揺動を抑えるため、消防法令において4キロリットル以下ごとに完全な間仕切り板を設け、間仕切り板により仕切られた部分(容量2キロリットル以上のものに限る)には、防波板を設けることとされている。
 タンクローリー車の間仕切り板、防波板の義務付けは、多品種を同時に積載する石油類の輸送には適しているが、一品種を積載する化学品等の輸送には適していない。
 さらには、欧州では、取扱いの基準として、間仕切り板、防波板が設置されていない場合には、タンクの板厚について我が国より厳しい基準のもとで、積載物の容量を80%以上あるいは20%未満にすることとされている。
 したがって、タンクローリー車の積載物の種類や容量の制限、タンクの構造強化等安全性を損なわないことを条件に、欧米の輸送実態の検証も行い、ハッチ割の基準緩和や間仕切り板、及び防波板の設置義務の緩和・撤廃の可否について検討すべきである。

(1−2)民生用DSRCシステム導入に関する制約の緩和
 車載器と路測器との間で情報を双方向でやりとりするDSRC(Dedicated Short Range Communication 狭域通信)システムは、ITS(Intelligent Transport Systems 高度道路交通システム)の基盤ともいえる情報通信インフラである。このDSRCシステムは、現在、電波法により、5.8GHz帯において、ETC(Electronic Toll Collection 有料道路自動料金収受システム)の陸上移動局またはその基地局の無線設備の用途に限られている。
 近年、利用者の利便性を向上させる観点から、DSRCシステムを活用した多様なITSサービス(トラック・バス・タクシー等の運行管理システムや駐車場・ドライブスルーショッピング、ガソリンスタンド、カーフェリー等の料金決済システムなど)の実用化に対する期待が高まっている。
 したがって、本年10月のDSRCシステムに関する電気通信技術審議会の答申に基づき、DSRCシステムがETC以外の多様な用途に活用できるように、周波数割当、技術基準等の整備を早急に行うよう期待する。

(1−3)道路交通情報提供に関する制約の緩和
 既存の道路交通情報データの民間事業者への全面的な提供、当該データと民間事業者が独自に収集した道路交通情報データとの組み合わせなど、道路交通情報の自由な編集・加工に関しては、警察庁が、交通の安全と円滑を図るための担保措置として都道府県警察が保有する道路交通情報データの管理に関して制限を設けているため、原則、禁止されている。一方、近年、エレクトロニクスや情報通信技術を活用したITS(Intelligent Transport Systems 高度道路交通システム)の早期実用化に向け、産業界から、利用者に対する高品質な情報提供や利便性の向上等の観点から道路交通情報提供に関する制約緩和は必要不可欠であるという意見が出されている。
 したがって、交通情報提供事業への民間事業者の参入を促進し、また、新たな技術開発を図る観点から、交通の安全と円滑に関する必要最小限の法的な担保措置を設けた上で、現状の規制を撤廃することを早急に検討すべきである。なお、交通渋滞予測等の先進的な技術については、産官学の多面的な視点で可及的速やかに検証が行われ、民間事業分野におけるその実用化が推進されるべきである。

(1−4)高圧ガス保安法における保安検査周期の延長
 高圧ガス設備は高圧ガス保安法において年1回の保安検査を義務付けられているが、設備の保安管理体制等が優秀であると大臣の認定を受けた者は設備を稼働した状態で保安検査を自ら行うことが可能である。しかし、この認定制度については一部の産業を除き、制度を十分活用するにいたっていないのが現状である。したがって、本制度の趣旨、手続き、審査基準等について産業界全体に今一度周知を図り、一層の制度活用を促すべきである。

(1−5)ボイラー及び第一種圧力容器の性能検査周期の延長
 ボイラー及び第一種圧力容器については1年以内ごとに性能検査を受けなければならないが、設備の保安管理体制等が優秀であると労働基準監督署長の認定を受けた者は設備を停止して行う開放検査の周期を2年とすることが可能である。しかし、この認定制度については一部の産業を除き、制度を十分活用するにいたっていないのが現状である。したがって、本制度の趣旨、手続き、審査基準等について今一度広く周知を図り、一層の制度活用を促すべきである。

(1−6)LNG発電のばい煙測定頻度の緩和等
 大気汚染防止法において、「ガス専焼ボイラー」「ガスタービン」「ガス機関」はLNGを燃料とする場合であっても、年1回以上のばい煙濃度の測定が義務づけられている。しかし、LNG発電は、LNGを燃料とするため、ばいじん、硫黄酸化物の排出がほとんど無いものである。したがって、LNG発電については早急に排出実態調査等を実施し、その結果に基づいて、ばいじん、硫黄酸化物に関し測定方法の簡素化や測定義務の緩和等を検討すべきである。

(1−7)燃料電池のばい煙測定頻度の緩和等
 燃料電池用改質器のばい煙測定頻度の緩和等については規制緩和推進3か年計画(再改定)において「排出実態調査結果を踏まえ、ばいじん等の測定方法を簡素化または測定頻度を軽減する方向で検討する」とされている。現在普及してきているリン酸型燃料電池においては、構造や燃料特性上、改質器より発生するばいじん、硫黄酸化物の排出レベルが極めて低い環境に対する負荷が低いエネルギー源である。したがって、ばい煙測定頻度の緩和等については排出実態調査を踏まえ、その緩和等の検討を実施すべきである。

(1−8)電気用品安全法の運用改善について(電気用品の表示方法見直し、電気用品の技術基準適合検査方式・記録保存の緩和)(※)
 平成11年1月に出された産業構造審議会基準認証部会の報告書「今後の基準・認証制度の在り方について」を受けて、平成11年の第145回国会において、通商産業省関係の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法律が成立した。この法改正により、電気用品安全法(旧電気用品取締法)に係る電気製品に関しても政府認証が廃止され、原則自己認証へ移行することとなった。これに伴い、電気用品の甲種(政府認証)、乙種(自己確認)の区分は廃止されることとなったが、特定電気用品に分類されるものは第3者機関による基準適合性確認が義務づけられることとなった。現在、具体的な認証方法、表示制度等についての詳細を定める政・省令改正作業が進められている。
 乙種電気用品(333品目)は、旧制度下においては、事業者に対する義務規定としては、事業届出、技術基準適合及び表示に関するもののみとなっており、文字通り事業者の責任による自己認証となっている。乙種電気製品はポジティブリスト下における販売規制において規制対象品目を示すとともに、基準適合義務を履行したものとして示す、丸〒マーク、製造者名、定格電圧等省令に定める表示規制があったが、規制緩和の流れの中で平成7年7月に、この丸〒マークについては表示事項から削除された。
 今回の法改正では、自己認証への移行に伴い、事業者の自己責任を明確に位置づけると共に、事後規制が強化されることとなった。このため、甲種電気製品に対する政府認証が廃止され、乙種電気用品については、事業者の製造又は輸入に係る電気用品を明確にさせるため新たに型式区分を事業届出において義務づけるとともに、これまで事業者において自主的に行われてきた検査記録について作成保存が義務づけられることとなった。また、事後規制については迅速な対応等の観点から、事業者において自主的に行ってきた回収等の事後対応については強制命令として発動できるよう規定し、さらに罰則の強化が図られている。また、同時に今回消費者行政の効率的運用等の観点から製品安全4法(消費生活用製品安全法、ガス事業法(ガス用品規制関係)、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液化石油ガス器具規制関係)及び電気用品取締法)については同様な規制構造とする改正がとられたところであり、表示に関してはこれらの観点から販売規制の合理化等のため、これまで各法において個別に規定されていたマークに代わりアルファベットのPSを基本とする統一表示が行われることとなった。規制品目がポジティブかネガティブかの違いはあるが、この意味においては欧州のEU加盟国においてとられているCEマーキング制度に同じものになっている。
 このように今回の改正は、制度の目的を変えることなくいわば政府の役割の一部について民間に移し替えたとも言うべきものであり、自己認証化により政府関与を全体として減少したことから、より事業者責任の履行を明確化するため、検査記録の3年間保存や平成7年以前の型式区分の適用等について義務規定が置かれたものである。したがって、結果的には乙種電気用品については事業者の義務が強化された形になっていることは否めない。
 一方、欧州における電気製品の規制制度は、全ての電気製品を対象とするネガティブリスト方式となっており、規制当局は遵守すべき基準を決定するにとどまり、EN規格等に従う限り第3者による技術基準適合確認を受ける必要はない。販売に当たっては基準適合を示すCEマーク及びEN規格に基づく表示事項が表示される。今回の法改正で欧州方式をとらず、ポジティブリスト下での販売規制を採用したのは、製品安全性の見地から、制度変更に当たり安全性については影響を与えないと言う前提があったこと、規制対象については現行のポジティブリスト方式を採用した方が規制対象が限定され、事業者の活動に対する影響が少ないということから、規制対象のネガティブリスト化や全てを事業者の自己認証に任せるという判断に至らなかったためと思われる。
 我が国は、消費者の製品安全に対する意識が未だ低いこと、民事訴訟等の対抗手段をとることが普及していない等、消費者の自己責任に安全確保をすべて委ねるだけの社会的受入れ態勢、基盤整備等が遅れている現状ではあるが、産業構造審議会基準認証部会の報告にあるように、「基準・認証制度における安全の確保等の政策目的は本来民間の自主的な活動の中で達成されるものであり、(中略)国の関与を必要最小限の範囲及び内容としていく必要がある。」という精神を貫くとすれば、規制体系においては国際的な基準認証制度に近づけていくことが重要であり、かつ、主体である事業者、消費者がともに自己責任をもって社会活動を営むこととするのが理想的であることから、そのためには、安全も社会コストから製品コストとの認識に立った製品選択ができるよう消費者意識の改革を図る等社会的環境の醸成が必要である。
 今回の制度改正では、政府認証を廃止し、事後規制を強化するとともに、事業者の義務履行に係る自己責任の明確化を図ったことにより、一部の義務を従前より強化する等、事業者の負担が増加する結果となった。産業構造審議会基準認証部会報告では、今回の見直しは、「安全レベル等の低下を引き起こすことなく」また「規制の合理化を行うものであり、法改正にあたっては、それに伴う事業者の負担の増加を極力最小限に抑えるとともに、十分な経過措置をとる等の配慮が必要。」とされているが、今回電気用品安全法の制度変更については、ポジティブリストの型式区分や表示方式について、事業者側への事前の十分な説明と、できる限り負担を軽減するような配慮が不足していた感は否めない。
 したがって、型式区分については、技術革新等に対応し今後も適宜事業者の意見を取り入れ、合理的に変更していくとともに、優良事業者には、検査方法や記録保存の形態等について負担を軽減する等の措置を検討すべきである。

(1−9)工業専用地域内における届出を要する特定施設の見直し
 本規制の目的は、敷地の境界における騒音規制値・振動規制値を担保することにあるが、騒音・振動は、その性質上集積の程度も少なく、特定施設の種類ごとの数の変更が直接的に外部に対する振動・騒音の大きさを増加させるものとは限らないため、特定施設の増加により直ちに敷地線上の騒音・振動が著しく上がり、規制値を超えるとは限らない。
 現在の規制方法は、特定施設の増加があった場合には、変更の内容が特定施設の種類ごとの数を減少する場合、または直近に届け出た数の二倍以内に増加する場合を除き、届出が必要であるとしている。しかしながら、この届出は規制目的の達成のためには、果たして十分な手続であるかは不明である。つまり、特定施設の種類ごとの数の変更が直接的に外部に対する振動・騒音の大きさを増加させるものとは限らないという特性により、特定施設がたとえ直近に届け出た数の二倍以内であっても、敷地境界線上での騒音・振動が増加し、規制値を超えることもあるし、二倍以上であっても必ずしも規制値を超えるとは限らないからである。したがって、本来の規制目的である敷地の境界線における騒音・振動を規制値以下に抑えるために、特定施設の届出方法の運用が適切であるか否かを検討すべきである。

(1−10)廃棄物焼却炉の維持管理基準の見直し
 廃棄物処理法施行令及び施行規則の改正により、平成9年12月より焼却炉の維持管理基準が強化され、既設の焼却炉については、平成14年12月より焼却炉の排ガス中のCO濃度を100ppm以下に維持するように燃焼することとされ、この基準を満たさない焼却炉は施設の改善等を行なうことになる。特殊な燃焼方法をとっている液中燃焼炉の中には、排ガス中のCO濃度が維持管理基準の規制上限である100ppmを超えるものがあるが、同炉について、規制緩和推進3か年計画(再改定)の記載に基づき、排ガス中のCO濃度に係る規制を見直す合理性が認められるか否かについて、実証試験を含め検討し、年度内に結論を得て必要な措置をすべきである。

(2) 基準認証等の国際整合化
 事業者の円滑なグローバル展開の促進、技術の進展への対応、設備・施設の整備・管理の効率的な実施等の観点から、基準認証の国際整合化を図る。また、基準認証の国際整合化を進めるとともに、海外の検査機関及びデータの受入れ、国際的な相互承認を推進する。

(2−1)非常信号用具取付位置要件の緩和
 自動車の非常信号用具については、踏切事故の防止や高速道路上での安全確保等の観点から、道路運送車両法の保安基準により、取付義務、取付位置(自動車には使用に便利な確認できる場所に非常信号用具を備え付けなければならない)等が規定されている。
 自動車用の非常信号用具は、国内外問わず、踏切における立ち往生や高速道路上での故障時の安全確保にあたって有効な装置であると認識されているが、取付位置等の規定については、我が国の規制が国際的にみて例外的なものとなっている。
 したがって、非常信号用具の取付位置要件については、国際整合性及び安全確保の観点から、その妥当性について検討を行うべきである。

(2−2)回転式助手席及び脱着式シート取扱要件の緩和
 自動車には、道路運送車両法保安基準により、衝突等による衝撃を受けた場合において、乗車人員が座席の前方に移動することを防止し、又は上半身を過度に前傾することを防止するための座席ベルト、及び当該座席ベルトの取付装置を備えなければならない。
 近年、回転式又は脱着式シートの規制緩和により、柔軟な座席配列が可能な自動車の製造が認められるようになった。しかしながら、我が国においては、事故時の乗員保護の観点から、シートを後方に向けた場合にシートベルトが装着できない回転式又は脱着式シートを認めていないため、回転式又は脱着式シートを後方に向けた場合にシートベルトが装着できない状態となる場合であっても、シートを前方に向けた状態において基準を満たせば認めているEEC基準に適合したシートを装着した自動車の我が国での販売が不可能となっている。
 したがって、回転式助手席及び脱着式シートの取扱いについては、国際整合性及び安全確保の観点から、その妥当性について検討を行うべきである。

(2−3)フォークリフトの速度制限の緩和
 フォークリフト等の特殊自動車は、自動車の大きさが、長さ:4.7m以下、幅:1.7m以下、高さ:2.8m以下であり、かつ、最高速度15km/h以下であるものを小型特殊自動車として区分し、これらの基準を超えるものを大型特殊自動車として区分している。なお、大型特殊自動車については、最高速度に係る制限はないものの、小型特殊自動車より厳しい保安基準が適用されることとなっている。
 一方、諸外国におけるフォークリフトの車種区分をみると、日本を含め欧米各国においても統一がなされていない。
 したがって、今後、国際整合性及び安全確保の観点から、国際的に車種区分が統一されるよう、関係者間で議論を進めていくべきである。

(2−4)医薬部外品の一部の化粧品への移行(※)
 化粧品の製造・輸入規制については、現行の種別ごとの事前承認制を廃止し、配合禁止・配合制限成分リスト(ネガティブリスト)及び特定成分群(防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素)の配合可能成分リスト(ポジティブリスト)による規制に移行するとともに、欧米と同様の全成分表示制度を導入することとされている。この見直しに併せて、化粧品の効能の範囲についても明確化及び拡大が図られ、その結果、これまで医薬部外品とされてきたもののうち、化粧品の定義及び成分規制に合致し、人体に対する作用が比較的弱いものについては、化粧品とされることになる。具体的には、現在医薬部外品である「ひげそり用剤」等が制度改正にあわせて化粧品に移行することとなり、平成12年度末までに通知が行われる予定である。しかしながら、「除毛剤」、「染毛剤(脱色剤、脱染剤)」、「パーマネント・ウェーブ用剤」は医薬部外品の中では人体に対する作用が強いものと判断され、引き続き医薬部外品として個別品目毎の承認・許可に係ることとされる予定である。
 今回の措置により、従来不明確であった化粧品と医薬部外品の境界の明確化が進んだことは評価する。しかしながら、今回行われた化粧品の制度の変更についても、各国ごとにそれぞれ規制方法が異なっていることから、例えばポジティブリストの整合化が難しいなど、完全な国際整合化の達成には課題を残している。したがって、今後もできる限りの整合化を目指し、科学的根拠が示された場合には、ポジティブリストの見直しを図る努力を続けるべきである。

(2−5)栄養補助食品に係る規制の緩和
 いわゆる栄養補助食品について、規制緩和推進3か年計画(再改定)における記載に基づき、予定通り制度改正が進捗していることは評価する。今後はパブリックコメント等を通じ、内外の意見も聞きながら、できる限り国際的な制度との整合化を図るべきである。

(3) 輸出入手続の緩和・簡素化

 事業者の円滑なグローバル展開の促進、消費者の選択肢の拡大という観点から、可能な限り、輸出入手続に係る検査の簡素化、窓口の一本化、及び海外データの容認等を進め、輸出入手続の緩和・簡素化を図る。

(3−1)輸出入及び港湾諸手続の電子化、ワンストップサービス化
 輸出入・港湾諸手続については、平成11年10月より大蔵省の通関手続を電子的に行う「Sea−NACCS」及び運輸省の港湾管理者等に対する出入港手続を電子的に行う「港湾EDIシステム」がそれぞれ稼働している。また、今後、平成13年度を目処にNACCSと港湾EDIとの接続、平成14年度を目処にNACCSと通産省の外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入許可・承認手続を電子的に行う「JETRAS」との接続が予定されている。これとともに、既にNACCSシステムとの接続が終了した食品検疫、植物検疫等に係る手続システムも含め、輸出入・港湾諸手続のワンストップサービス化が進められている。
 しかしながら、依然、これらの諸手続きの種類は多く煩雑で、膨大な書類・資料の提出が義務付けられており、事業者のコストや手間がかかっている。今後、輸出入手続等のさらなる簡素化とワンストップサービスを実現することになれば、事業者の事務効率の改善や引取時間の短縮化が図られ、港湾における混雑解消につながる。また、こうした輸出入・港湾諸手続の見直しは、我が国港湾の国際競争力の回復を図る上で必要不可欠である。
 したがって、まず、現行の輸出入・港湾諸手続に関する提出書類を徹底的に見直し、簡素化すべきである。特に、提出先が複数省庁等となっている同内容の書類等については、可能な限り、一元化すべきである。そうした上で、各省庁に跨がるシステムの接続を図り、ワンストップサービスを実現すべきである。

(4) 基準の性能規定化

 基準の国際整合化、技術の進展への対応、設備・施設の整備・管理の効率的な実施等の観点から、現行制度上、仕様規定となっているものについては、原則としてこれを全て性能規定化を図る。

(4−1)鉄道軌道上の特別高圧送電線の施設規制の緩和
 鉄道軌道上を交差する特別高圧送電線については普通鉄道構造規則において軌道の外側から3メートルの範囲内にある部分の長さが100メートル以下となるよう施設しなければならないとされている。しかし、電気設備技術基準による特別高圧保安工事を行うことで100メートルを超える場合であっても安全に設備を施設することが可能である。本規定の性能規定化について検討を早急に進めるべきである。

(5)基準の整合化

 基準の国際整合化、技術の進展への対応、設備・施設の整備・管理の効率的な実施等の観点から、現行制度上、各種法令等に基づいて設けられている基準について、可能な限り、整合化を図る。

(5−1)電気事業法と労働安全衛生法におけるボイラーの基準等の統一
 一般のボイラーについては労働安全衛生法、発電用ボイラーについては電気事業法により検査、届出、技術基準等の制度が設けられている。両者についてはその規模・圧力や使用目的、管理状況が異なるため、それぞれ基準が定められている。しかし同一の事業場内で双方の設備を所有する事業者にとっては、同じボイラー設備であるにも関わらず規格・基準、検査方法が異なるため設備管理の効率化、標準化ができないなどの声がある。
 したがって、ボイラーの構造基準のうち例えば安全弁の容量の算定方法などでボイラーの種類、規模、圧力等からみて規定の整合化の観点から共通的に適用が可能と考えられる部分がないか、検討すべきである。

14-3 保安

【分野別総論】

○問題意識及び検討状況

 いわゆる危険物規制については、安全性の確保を第一に考慮しつつ、どのように科学技術の進展や社会経済情勢の変化等を踏まえ、効率的に安全の確保を実現するかという観点から、行政改革委員会当時から検討が行われてきた。これを踏まえ、行政改革委員会最終報告では、危険物の項で「消費者、労働者等の安全・健康の確保、災害の防止、環境の保全等を目的とし、自由な経済活動等に伴い発生するおそれがある外部不経済を回避する観点から行われる『社会的規制』については、科学技術の進展や社会経済情勢の変化等に対応しつつ適宜見直しを行い、国民に過大な負担や制約をもたらすことのないよう必要最小限にする必要がある」とこの分野の基本的な問題意識を明示している。
 当委員会もこうした基本的な問題意識を維持し、特に経済界から要望の強い、いわゆる保安四法(消防法、労働安全衛生法、高圧ガス保安法、石油コンビナート等災害防止法)に注目し、四法が適用される施設である石油コンビナートを取り上げて、その検査周期、検査主体などの問題を検討した。

【各論】

(1)保安四法関係の規制の見直し(※)

 消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法及び石油コンビナート等災害防止法のいわゆる保安四法については、当委員会の第1次見解を踏まえ、規制緩和推進3か年計画(改定)(平成11年3月30日閣議決定)において、「石油コンビナートに係る部分について、近年の技術の進歩等を踏まえ、安全性を損なわないことを前提として、検査周期の延長、検査主体の相互乗り入れの促進、検査方法の改良等保安四法の更なる合理化、整合化を図る余地がないかを検討し、検査等に伴う負担の軽減を図ることが必要である。具体的には、関係各省の実務者が、有識者、関係業界団体の代表等とともに委員会を設置し、2年間を目途に検討を行う」こととされている。
 これを受けて、通商産業省、労働省及び自治省消防庁は、昨年5月に学識経験者、業界団体、労働団体、地方公共団体及び関係省庁からなる石油コンビナートに係る保安四法の合理化・整合化促進に関する実務者検討委員会を発足させ、現在、鋭意検討を進めてきたところであり、当委員会は、これを注視してきた。
 この検討委員会は、本年3月に中間報告を取りまとめるとともに、本年11月に最終的な検討結果をとりまとめた。
 この中では、以下のようなポイントが取りまとめられている。

  1. 検査周期の延長に関しては、余寿命予測に基づく検査周期の設定につき、既に高圧ガス保安法及び労働安全衛生法においては導入済みであり、消防法に基づく特定屋外タンク貯蔵所の保安検査等の検査周期設定に同手法を導入することの可否について、既に今年度から検討を開始しているところであるが、来年度中に結論を得る。
  2. 検査主体の相互乗り入れに関しては、高圧ガス保安法における完成検査及び保安検査については既に民間も含め第三者機関に開放されており、また、労働安全衛生法の検査代行機関についても、本年6月、営利法人等も指定できるよう措置されたところである。消防法については、現行制度でも市町村長が消防法に基づく危険物施設の検査に係る技術的な審査を危険物保安技術協会以外の機関に委託することは可能であるが、危険物の保安の確保上問題がない範囲内で、高圧ガス保安法又は労働安全衛生法の検査機関のうち消防庁の基準を満たすものを、市町村長等から委託を受けて消防法に基づく危険物施設の検査に係る技術的な審査を行う機関として明示する。
  3. 検査方法の改良に関しては、業界などから新検査技術について提案があれば、可及的速やかに検討を行い、適切なものについては採用する。
  4. 以上のほか、手続の整合化に関しては、各法において必要とされる申請・届出書類について、共通化等の合理化を図る。
  5. 技術的基準の共通項目の整合化に関しては、日本工業規格の圧力容器基盤規格について高圧ガス保安法、労働安全衛生法等の技術基準との整合性を主眼とした新規格が本年3月に策定されたことから、両法においてこの成果を可能な限り取り入れることとする。高圧ガス保安法については来年度上半期内に、労働安全衛生法については来年度内に必要な措置を講ずる。

6)各法の認定制度における審査結果の共通部分に係る審査免除に関しては、審査結果の相互活用により、認定審査の簡略化を図る。また、他の制度の活用による認定制度の審査の簡略化に関しては、文書や記録の管理についての他制度の活用により、認定審査の簡略化を図る。

 当委員会は、これを評価する。
 通商産業省、労働省及び自治省消防庁は、この実務者検討委員会の報告を踏まえて、早急に所要の措置を講ずるべきである。