規制改革についての見解

(参考)

規制改革の経済効果分析 概要

(総務庁による委託調査)

平成12年12月

T はじめに

 本分析では、分析対象を10分野、36項目と、従前の分析よりも対象を広く取って、その効果が定量的に計測できるものについては定量的に把握し、それが困難なものについては定性的な分析を行った。したがって本分析は、規制改革の効果の総額を示すという性格のものではないが、次の点が明らかになった。
  1.  定量的に把握できる部分に関しては、成長分野である電気通信分野、大規模店舗立地や電力、石油といった市場規模の大きな分野を中心に既に大きな効果が試算された。
  2.  規制改革(緩和)が1990年代半ば以降に進展したため、現時点ではいまだにその恩恵を受ける実例が乏しく、計数的には大きな効果が現れていない分野に関しても、遠からずその効果の増大が予想されるものが多いこと。
  3.  資料の制約から定量的効果の算出はできないが、消費者の利便、選択肢の拡大やコスト削減に確実に効果を上げているものも多い。
 なお本試算では、定量的な効果を把握できる項目に関しては、最終的に産業連関表の価格モデルと均衡産出高モデルを用いて、波及を含めた効果全体を捉えることとしており、ここでの結果はその意味で途中経過である。また、1995年産業連関表を適用して分析を行う予定であるため、市場拡大効果に関しては原則として1995年度価格で表記している。


U 各分野での規制改革の経済効果

1 情報通信分野

(1) 電気通信(移動通信を除く)
 電気通信は1985年の日本電信電話公社の民営化以来、1986年の専用線、1987年の長距離系、1988年の地域系とNCCの参入が続き、1989年ころから競争が本格化した。
 需要創出効果の推計は通話回数の1985〜1988年度までのトレンドを上回った部分とした。需要拡大効果は、1999年度で3,580億円、1989年から1999年までの11年間の合計で6兆2,018億円となった。ただし、移動通信への需要シフトが発生したため、1996年度をピークに需要拡大効果は漸減傾向となっている。

(2)移動通信
 携帯電話は、1994年の端末売切り制導入をきっかけとして急速に普及した。そこで、1988年度から端末売切り制導入前の1993年度までの携帯電話およびPHS加入台数のトレンドを上回る部分に、一加入当たりの単価を乗じて効果とした。需要拡大効果は、1999年度で6兆3088億円、1994年度〜1999年度の6年間で22兆5,037億円となった。一方95年価格の実質でみた場合1999年度で10兆6,561億円、1994年度〜1999年度の6年間で33兆4,486億円となった。なお、95年価格でみた場合、1998年度〜1999年度の効果は、それぞれの年度の携帯電話+PHSの売上高を上回っているが、これは1995年度の価格(95年度から99年度で約41%の価格低下)で効果を評価しているためである。

(3) CATV
 ケーブルテレビ事業では、1993年に地元事業者要件の廃止、サービス区域制限の緩和が行われ、これにより事業を広域的、効率的に行うことが可能になり、加入者が一層広がった。
 そこで、1987年度から1992年度の加入者数トレンドを上回った分を数量面での需要創出効果とした。この加入者数の増分に1995年度時点の一加入当たり単価を乗じて金額面の効果とした。この結果、99年度の需要創出効果は1,732億円、1993年度から99年度の合計で5,331億円となった。

(4) 衛星放送
 衛星放送に関しては、CSデジタル放送に関する需要をCSデジタル放送の制度化という広い意味での規制改革の効果とし、需要拡大効果をCSデジタル放送の売上高でとらえた。効果は1999年度で973億円、1995〜1999年度の5年間で2,030億円である。

2 流通分野

(1) 大規模小売店舗法
 大規模小売店舗法の改正の効果について、ここでは、1990年以降の大規模小売店舗の届出件数が、1982〜1989年のトレンドを上回った分に一店あたりの売上高を乗じて推計した。推計の結果、1997年時点での大規模小売店舗による販売額増分がプラス8兆5,428億円となった。
 なお、この推計は、あくまで1982〜89年の届出のトレンドを元に、そのトレンドでは説明できない届出件数の増分から算出しているものであり、これを規制緩和の効果として評価するに当たっては、以下の点に留意することが必要である。
  1. 小売店舗の出店は各企業の経営判断であり、その増減はその時期の経済情勢を反映したものであること。特に、店舗建設の計画には数年の期間を要することから、分析対象期間前の好景気等を背景に届出が増加した可能性が高い。(1996年度以降も規制緩和傾向が維持されたのにも関わらず、届出件数が減少し続けたという事実にも留意が必要である。)
  2. 1989年以降の改正内容は、店舗区分の変更、閉店時刻、休業日数の届出不要基準を広げたこと、運用の適正化等であり、これらのうち店舗の新設届出そのものに影響を与える部分は少ないこと。
  3. 規制緩和の効果は、長期的な観点で判断すべきであり、ある一時点に生じた現象のみからは判断が難しいこと。特に、近年、店舗閉鎖の動きが見られることからも当該時期における届出件数の増加を評価することが難しいことがわかる。

(2) 酒類小売販売免許基準
 酒類小売業免許については、需給調整規制が平成10年度以降段階的に緩和されている。そこで、酒類小売販売免許場数の1990〜1998年のタイムトレンドを上回る酒類小売免許場数に、酒小売業の1商店当たりの年間販売額(1997年)を乗じて、規制緩和による酒類販売額の増加額とした。
 この結果、1997年の酒類小売販売免許基準の緩和による酒類の販売額の増加は1,625億円と推計された。

(3) 医薬品販売の規制緩和
 規制緩和により1999年3月末より、コンビニエンスストア等の非薬系販売店でドリンク剤の販売が可能になった。薬局新聞社の推計によると、ドリンク剤の2000年度の販売見込みは対前年比8.3%増であるが、このなかで新規ルート分は1999年度の473億円から2000年度の621億円へと31.4%の増加が見込まれている(新規ルートは一部薬系ルートを含む。)。

(4) ビール製造免許最低数量基準
 酒税法が改正され,1994年4月からビールの法定製造数量が、2,000klから60klへと引き下げられた結果、ビール製造事業へ参入する企業が増加した。
 地ビール製造免許場数は、1994年度末の6場から1999年度末には260場へと大幅に増加し、消費者の選択の幅が広がった。

(5) 指定生乳生産者団体制度
 指定生乳生産者団体制度については、1998年に広域指定生乳生産者団体に移行することとされ、2001年度から北海道及び沖縄県を除く都府県において8つの広域指定生乳生産者団体のすべてが業務を開始する予定となっている。そこで、2001年度以降の制度改正によるコスト削減を推計すると、年間27.9億円の効果が見込まれる。

3 住宅・土地分野

(1) 定期借地権
 1992年に施行された借地借家法によって定期借地権制度が創設され、定期借地権付き住宅の建設が広がった。定期借地権付きの住宅(戸建て、マンション)の新規需要額全体を規制緩和の効果としてとらえると、1999年で1,268億円、1993年から1999年の7年間の合計で5,982億円となった。

(2) 市街化区域内農地の転用による宅地供給
 1992年度から市街化区域内農地の課税の適正化及び生産緑地法改正等が図られた結果、市街化区域内農地の宅地への転用率が高まった。そこで1991年との比較で増加した転用率を市街化区域内農地面積に乗じて、規制改革によって新たに生み出された宅地面積とした。さらに敷地増分×床面積比×建築単価によって建設需要を推計した。課税の適正化等の効果は1992年には1兆3,784億円の巨額に達したがその後年々減少し、1998年は1,298億円となっている。

(3) 都市計画関係規制
 土地利用規制関係の規制改革の経済効果を論じる際には、実際に地方公共団体が住民の判断を踏まえ、規制改革の効果を活用するか否かを判断するため、一般的にはその効果が漸時実現すること、また、経済効果として、都市の快適さ、便利さ等本来都市計画制度が目的とする効果や必要なインフラ整備のコストは算入されていない点に注意すべきである。
 1997年6月の都市計画法の改正で、地域地区に「高層住居誘導地区」が創設された。また、1997年11月の「21世紀を切りひらく緊急経済対策」で建て替え促進による高度利用を目的として「機能更新型高度利用地区」が創設された。
 両制度の創設に伴う建築投資の需要を東雲一丁目地区(高層住居誘導地区)、銀座地区(機能更新型高度利用地区)の容積率の緩和分と適用敷地面積(ヒアリングに基づく)のデータおよび平均建築単価から、新規の建設需要を求めた。
 その結果、高層住居誘導地区では343億円、機能更新型高度利用地区では42億円の建設需要が創出されたことが明らかになった。

(4) 入札制度
 公共工事のコスト縮減については、平成12年9月1日公共工事コスト縮減関係閣僚会議において、「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」に基づく平成9年度から11年度までの3年間の取り組みの実施状況が取りまとめられ、さらに平成12年度以降の政府の新たな「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」が策定された。
 実施状況のとりまとめによると行動指針の最終年度である平成11年度のコスト縮減実績は政府全体で9.6%(直接的施策7.6%、間接的施策2.0%)となっており、今後施策の効果の拡大が期待されることから、3年間の施策の効果により公共工事コストを少なくとも10%以上縮減することを目指すという目標は、概ね達成されたと考えられる。
 ここで、入札制度によるコスト縮減実績は、諸手続の電子化とあわせて0.1%である。今後、民間の技術提案を受け付ける入札・契約方式等の採用を一層推進していくことにより、施策の効果の拡大が期待される。

(5) 高速道路サービス施設
 1998年9月に施行された「高速自動車国道法等の一部を改正する法律」により、高速道路との連結による新事業およびIC内の敷地活用による新事業が可能となった。高速道路との連結による新事業については秋田自動車道西仙北サービスエリアと西仙北インフォメーションセンター(仮称)、東海北陸自動車道城端サービスエリアと桜ヶ池農村公園が、IC内の敷地活用による新事業では東名高速道路袋井インターチェンジ内と関越自動車道沼田インターチェンジ内に商業施設が立地している。

(6) 工業(場)等制限法
 1999年3月の工業(場)等制限法の規制緩和により、@京浜臨海部の工業用埋め立て地の工場等制限区域からの除外、A中小製造業集積地域における工場の基準面積の引き上げ、B大学院の規制対象施設からの除外が行われた。この結果、2000年11月までに工場42件、大学院2件の新規立地が実現した。

4 運輸分野

(1) 国内航空運送事業
 国内航空運送事業は、1986年以降新航空政策の下で、ダブル・トリプルトラック化や割引運賃の拡大・弾力化、新規航空会社の参入など、様々な規制緩和策が採られてきた。そうした中で、1993年度以降実勢ベースの航空運賃が低下し始め、規制緩和の効果が現れてきた。そこで大手三社合計の費用関数を計測し、1993年以降どれだけコストが削減されたのかを、規制緩和による経済効果として把握した。
 その結果、1998年度で1,105億円のコスト削減、1993年度〜1998年度の合計で6,225億円のコスト削減となった。これは平均で総コストの5.37%削減に相当する。

(2) 車検制度
 車検制度に関しては、1995年7月に、@6か月点検の義務付け廃止、A定期点検項目の簡素化、B車検前整備の義務付け廃止、C車齢10年超の車検期間を2年に延長という規制緩和が行われた。そこで95年度以降の車検費用の総額の低下を24か月点検に限定して推計した。その結果、車検費用の総額は1998年度で1,473億円低下、1995年度〜1998年度の合計で2,629億円の低下となった。98年度では23.3%の低下となる。

(3) タクシー事業
 需給調整廃止や上限価格制への移行が2001年度に行われる予定であり、現在はまだ規制緩和の効果が発生していないが、今後の効果が期待される。

(4) トラック事業
 トラック事業では、事業が許可制になった90年以降、年平均で約2000者の新規参入、約500者の退出が見られ、競争は促進されていると考えられるが、賃金水準への影響は不明である。

(5) 運転免許証
 自動車運転免許証の更新については、平成6年にいわゆるメリット制度が導入され、それまでの一律3年ごとの更新が、優良運転者が5年、その他は3年とされた。
 運転免許証の更新にどれだけの負担がかかっているのかについて、@講習の手数料と更新手数料という実際の経済的負担、A更新にかかわる時間的コストの双方について、推計を行った結果、優良運転者の免許証更新を3年から5年に延長しなかった場合と比べて、更新時の講習手数料と免許更新手数料で国民全体の負担が年間326億円減少し、時間的損失が395億円減少した。合計で規制緩和によるコスト削減は721億円となった。

(6) 軽自動車車輌規格
 1998年10月から衝突安全性能向上のため、軽自動車の車輌規格が全長で100o、全幅で80o拡大された。販売台数で見ると、規格拡大前の1998年7〜9月期の軽自動車の構成比が24.3%だったのに対して、翌10〜12月期には31.7%に上昇し、その後もこの傾向が続いており、消費者の選択の幅は広がったと考えられる。

5 エネルギー分野

(1) 電気事業
 1995年に電気事業法の改正が行われ、競争入札を通じた卸売電力の自由化、料金算定方式の改訂等によって、電力会社間の競争の促進が進んできた。そこで、1996年以降の電力10社の費用低下効果を費用関数によって計測した。
 推計結果によると、規制緩和後に一年当たり、約3%の実質コストの低下が生じていた。1998年時点では約1兆6,202億円のコスト低減効果があった。これは、規制緩和がないとしたときのコストの9.7%に相当する。

(2) ガス事業
 1994年にガス事業法が改正され、参入規制と価格規制が緩和され事業者間の競争の促進が進んだ。そこで1995年以降のガス事業会社の費用低下効果を費用関数によって計測すると、規制緩和後には一年当たり約0.6%の実質コストの低下が生じている。
 コストに直すと、1998年時点で約443億円のコスト低減効果があり、1998年時点で総コストの2.5%の削減効果が現れている。

(3) 石油製品
 石油製品については、1995年4月に成立した石油関連整備法により特石法の廃止とそれに伴う揮発油販売業法、石油備蓄法の改正が行われた。そこで、ここではガソリンのコスト低下効果を計測した。ガソリン価格低下によるコスト削減は、1998年1兆5,327億円、1995〜1998年平均で1兆400億円となった。

6 金融分野

(1) 株式売買委託手数料
 株式売買委託手数料は1994年4月に約定代金10億円超の手数料が自由化され、1998年4月には5,000万円超の部分、そして1999年10月からは完全な自由化が行われている。自由化の流れの中で、株式売買委託手数料は低下し、最近ではインターネットを利用して大幅に低い手数料で業績を伸ばす証券も登場している。
 株式の平均委託売買手数料率は1993年度の0.55%から1998年度の0.36%まで下落したが、99年度上半期には手数料の高い個人投資家の株式市場への参入増加によって0.42%へとやや高まっている。

(2) 社債発行手数料
 社債に関しては、1990年11月の適債基準における数値基準の撤廃、1993年10月の社債発行限度の撤廃、1996年1月の適債基準、財務制限条項の撤廃など、様々な規制緩和が行われ、企業の資金調達コストの低下に貢献した。しかしデータ面で、発行費用等の統計が公表されなくなったため、今回は計数面での推計を見送った。

(3) コマーシャルペーパー
 コマーシャルペーパーは企業の短期資金の調達手段として1987年11月に国内発行が解禁され、その後も発行主体や条件に関して、多くの規制緩和が行われてきている。コマーシャルペーパーの発行による短期資金の調達は、銀行借入に比べてコストが安くなるが、1998年以降、日本銀行がデータの公表を取りやめたため、今回は定量的な推計を見送った。

(4) 投資信託
 投資信託は1992年4月のMMF登場、1994年12月の運用規制緩和、1997年10月の証券総合口座の導入、1998年12月の銀行による窓口販売の解禁等の規制緩和が行われた。このため、利用者にとって金融資産選択の幅が広がり、資金運用収入が増加したと考えられるが、MMFやMRFの金利データが得られなかったため、定量的評価は見送った。

(5) 損害保険
 損害保険は1997年9月にリスク細分型の自動車保険が解禁、1998年7月に算定会料率の使用義務が廃止された。このため、消費者の選択の幅が広がったという効果はあったと考えられる。一方、こうした料金の自由化は競争の激化を通じて保険会社のコストを減少させると考えられるが、損害保険会社の営業費及び一般管理費が正味収入保険料に占める比率は低下しておらず、今のところコスト面での効果は顕在化していない。

7 雇用・労働分野

(1) 有料職業紹介
 有料職業紹介事業については、1997年の職業安定法改正以降、対象職種がネガティブリスト化され、原則自由化された。新たに自由化された職種の中から事務職と販売職に限って推計すると、168億円の市場規模の拡大効果があった。

(2) 労働者派遣
 1986年の労働者派遣法の施行時には対象業務が13に限定されていたが、1996年には26業務に拡大され、さらに1999年からは一部の限定的な業務を除き対象業務が自由化(ネガティブリスト化)された。
 そこで、1996年以降の適用業務の自由化による労働者派遣事業の事業規模の拡大効果と、それに伴う各産業の生産性向上効果を推計した。その結果、1998年度で、一般労働者派遣事業は341億円、特定労働者派遣事業は34億円、合計375億円の市場規模の拡大効果があった。
 一方、派遣労働者の労働コストが一般従業員と比べて小さいことによるコスト削減効果は445億円となった。

8 競争政策等分野

(1) 化粧品及び一般用医薬品の再販指定の取り消し
 化粧品及び一般用医薬品は、近年、価格競争が本格化しているが、平成9年4月に実施された再販指定取り消しによる効果を定量的に把握するためのデータは今のところ得られていない。ただし、公正取引委員会が平成4年5月以降に再販指定が取り消された一部の化粧品及び一般用医薬品について、関係メーカー、小売業者、消費者等を対象として行った「再販指定商品の範囲の縮小後の状況等に関する実態調査」(平成9年1月公表)からは、再販指定の取り消しによって、対象商品の小売価格の値引きが促進されていることが認められる。

9 教育分野

(1) 大学等設置認可の簡素化
 大学等設置認可の簡素化は、@審査期間の短縮、A教員審査の省略、B審査の取扱いの弾力化について行われた。具体的には@審査期間の短縮では、一定条件を満たす私立大学の学科設置および定員変更の審査期間を8か月から2〜3か月に短縮(1999年)、私立大学の新設・学部増設の審査を2年から1年に短縮(2000年)が行われた。またA教員審査の省略では、兼任教員等の資格審査の省略(1999年)等が行われた。さらにB審査の取扱の弾力化については、留年者を定員超過率から除外(1999年)や、校地の自己所有要件の弾力化(2000年)などが行われた。

(2) TLOの活用
 TLOとは大学等の内部又は外部の組織として設立され、大学等の研究成果の産業界への技術移転を促進する機関であり、大学等技術移転促進法(TLO法、1998年8月1日施行)によって技術移転の仕組みが作られ、また産業活力再生特別措置法、産業技術力強化法等による支援措置も行われている。TLOは2000年12月までに17機関が承認され、承認TLOによる特許出願件数は2000年7月までに480件、実施契約をした特許件数30件となっている。制度が始まったばかりであり、技術開発には時間がかかることから、本格的な経済効果の発現には、まだある程度時間がかかるとみられる。

10 基準認証分野

 基準・認証制度の見直しによる経済効果としては、例えば自己確認・自主保安化の場合、これに伴う製造・運転等の弾力化による製造コストの低減等のほか、政府等の検査による製品開発や設備設置スケジュールの遅延等に基づく機会費用の損失がなくなること、在庫負担の軽減が図られること等の効果が得られる。
 また、その他の経済効果として、民間第三者検査機関の参入を可能とすることにより、検査・検定等の業務において民間能力を活用し、業務の効率化、検査・検定等のサービスの質の向上やコストの低減化を図ることが可能となり、国際的な相互承認等を可能とするような制度の整備を図ることにより、相手国に対する市場アクセスが容易となり貿易手続の簡素化・迅速化を通じたコストの低減が図られることが挙げられる。
 実際の負担軽減効果等については、例えば平成9年の高圧ガス保安法改正により導入された高圧ガス製造施設等の自主検査制度の場合、年間約200億円程度、また、石油コンビナートにおける消防法、労働安全衛生法及び石油コンビナート等災害防止法の基準・認証について自主検査化や性能規定化等による経済効果は年間約368億円との試算がある。(いずれも業界試算)