−速報のため事後修正の可能性あり−
2 場 所:総理府講堂
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、アンソニー・ミリントン委員、
鈴木祥弘委員(コーディネーター)
※.インターネットによるライブ中継を実施
5 議事内容
「IT革命推進のための規制改革」と題し、公開討論を実施。
鈴木祥弘委員の進行により、委員長による開会あいさつ、パネリスト及び委員の自己紹介に引き続き、プレゼンテーション及びディスカッションが行われた。その主な内容は以下のとおり。
日本のIT社会のあるべき姿については、先の沖縄サミットで打ち出された「IT憲章」によく表現されている。規制改革のねらいである、自己責任と市場原理に基づく自由で公正な社会を構築するには、ITをてこに変革を進めていくことがポイントと考えている。また、このような社会をつくっていく際、国はどのような役割をはたすべきかということである。一般的に、国は、大きな方向性を決め、あとは民間に任せ、抜け落ちたところを補うべきという意見もあるが、このような点についても議論いただきたい。
今日は、メディアの面からIT革命について、情報の変化がもたらす社会の変革を中心に述べていきたい。
新たなメディアができることがIT革命と言われており、インターネット放送を免許制にすべきという議論がオーストラリアであるが、これは間違いである。従来型マスコミが配達型メディアであったのに対し、インターネットはユーザーが自ら情報を探す発見型メディアであり、既存のメディアとは全く異なるものである。
従来型のメディアは上意下達であったのに対し、インターネットは面白くなければ利用者は取りに行かないという意味で全く異なる。情報の流れが変化し、それにより中身まで変化している。従来型マスコミとインターネットでは、全国的なものから局地的なものに、一般的なものから専門的なものに、平均的なものから先鋭的なものに変化している。たとえば、ヤフーのサイトでは、リアルタイムでロサンゼルス市警の無線を聴くことができる等、インターネットによればユーザーは地球のどこでも覗きにいくことができる。また、アメリカのトップ記者のサイト「Drudge Report」では、玉石混交であるが、クリントン大統領のスキャンダルなどアメリカを揺れ動かす様な情報が個人のサイトに含まれていることもある。
このように情報の入手方法が変化してくると、情報の価値観が変化してくる。情報の発信・受信が個人単位になってきて、個人や少数意見が持つ力が強くなる等情報の価値観が変化し、個人の能力の差が社会的な格差になってくる。このような社会においては、政治は直接民主主義への流れになり、行政は弱者救済に特化し、経済は市場経済(規模)が縮小し、文化は無国籍化するなど、嫌な社会と聞こえるかもしれない。しかし、IT革命をすると決まっているが、どうするかについて具体的なモデルはない。
米連邦控訴審が96年に「連邦通信倫理法」を違憲と判決した時の判決理由では、政府はインターネットに口を出してはいけない、(いろいろな情報が含まれているが)インターネットの力の源泉は混沌さにあり、規制するとインターネットの力を阻害するとされている。この判決は、裁判官にインターネットを体験させた後で出された。
IT革命について議論する上で、大事なのは、インターネットを使ってみることであり、社会変化の方向性を実感することである。IT革命を強力に推進する一番の原動力は、ハード及びソフトの規制緩和である。
(藤原氏)通信品位法の話が出たが、インターネットの法律問題は、避けて通れない課題である。何でもかんでも自由にすることは、法律家としては困る。インターネットが犯罪の渦になったり、個人情報が垂れ流されたり、治外法権のようになる。
情報に対する考え方を根本から見直すべきということで、単なる情報社会というより、超情報社会を迎えている。従来は知識集約型の人間が求められたが、これからは世界中の情報を瞬時に引き出して使いこなせる人間が求められる時代になる。
(木村氏)イギリスの赤旗令のように、新しいものに対し、従来の考え方を適用すると意味がないことがある。確かにインターネットは危険なものかも知れないが、従来の考え方で規制するのはおかしい。新しい時代には、新しい規制のやり方があると思う。
(鈴木祥委員)インターネット社会では個人の力が強くなるが、規制をすると、個の新しい芽を摘んでしまう。ルールのない中で自由にやってから、後でルールをつくっていく方が適当という考え方もあるようだが、須藤さんはどうお考えか。
(須藤氏)アナーキーは秩序がないということではなく、無政府であっても、秩序は政府主導でデザインするのとは違う形で組織されることを意味する。どう組織をデザインするか、誰がイニシアチブを取るかが重要である。国際的には、地域を中心として秩序を構築していこうという流れだ。サイバースペースはグローバルでボーダレスな世界だ。政府が法律に基づき規制するという重要性は残るが、地域の独自性を消すようなものは残してはいけないだろう。新しいルールは、新たな都市国家連合等ミクロな主体が連結してグローバルに通用する秩序が構築されるという形を推進しても良いのではないか。
(孫氏)今、新しい革命が起きている。知らない間に規制を設けられると、発展を妨げられることとなる。徳川幕府の300年の鎖国令がそうであったように、規制が日本の発展を妨げることになりかねない。昭和28年に設けられた規制のために、事業者が自由に電柱に光ファイバを設置できない。こうした規制が社会の発展を阻害しているという事実に気づくべきである。
(鈴木祥委員)防止という観点から規制を早く作るべきか、自由な経済活動を認めた上で、問題が起こった後から規制を設けるという二つの考え方に分かれるように思うが。
(藤原氏)IT化のインフラとして法制度は不十分であり、法律制定は規制ということではなく、必要なものは整備を行うべきである。電子署名認証法のように必要なものは新規立法し、必要でないものは改廃していくことが大切である。
(鈴木祥委員)日本の社会をどう考えるか、今の日本をベースとしてどのような社会を作り上げていくか議論していきたい。自己責任を基本とした社会というと、欧米型社会を想起するが、木村さんは文化の無国籍化について言及されたが、日本の現在の社会を前提にしたものを考えるべきか。
(木村氏)無国籍化と書いたが、日本的IT革命というものはないと思う。IT化はグローバル化を進めるもの。IT化は日本のためになることではあるが、日本的IT社会はあり得ない。
(鍋倉氏)インターネットにより全世界の情報を瞬時に入手することが可能になってきて、日本の独自性というものはなくなるという方向は否定できないかもしれない。政府としては、総理が日本型のIT立国を実現すると語っているとおり、今度の臨時国会にIT基本法を提出し、日本としての高度情報通信ネットワーク社会の実現を目指すこととしている。法案を議論する中で、日本の独自性がなくなるのか、日本の独自性をどう主張するかという議論はあった。グローバル化の中で、地域社会をどう活性化させていくのか、日本国民をどうやって豊かにしていくのかを踏まえて、日本の高度情報通信ネットワーク社会の形成を目指すべきではないか。
(鈴木祥委員)情報ネットワーク社会において、欧米型と日本型とを仮に分けたとしたらどのようなものになるのか。
(鍋倉氏)それは、これからの議論である。IT基本法の狙いは、基本計画を策定し、政府全体として情報ネットワーク社会を実現していこうというもの。今後、こういう枠組みの中身を盛り込んでいく作業をしていくことになる。
(須藤氏)IT化はグローバル化を促進するが、今後、各国又は各地域は、相互に影響を与えながら、多様性を残しながら発展していくと考えられる。したがって、日本のIT社会もまた、独自なものにならざるを得ないだろう。強い経済力、政治力などを背景にもつ主体がグローバルな秩序を作ろうとする動きはあると思うが、ある制度に収斂することにはならないと思う。
これからの日本のIT化に向けた法整備においては、日本はかなり特異な位置にある。日本の法体系は基本的に欧州の大陸法に準拠しているが、民間企業は英米との付き合いが多く、運用においては慣習法に慣れ親しんでいる。そのことを鑑みれば、欧州とも米国とも異なった、欧州の大陸法と英米の慣習法とをミックスしたような制度になるのではないかと考える。
(鈴木祥委員)結果的には、日本の独自性が残るということになるのか。
(孫氏)日本型ということにこだわる必要はない。インターネットは飛行機や電話などと同じような文明の利器である。利器の出現によって、日本語や文化がなくなるわけではないし、地域性もなくならない。地域性を残すために、電話の発展を阻害しようというのは全く本末転倒。文明の利器により、世界中の人々とコミュニケーションができるというのは歓迎すべきもの。
国際会議で取り上げられた先進的な地域の例は、いくつかある。シリコンバレーではバイオとインターネット、コンピュータサイエンスが融合してビジネスが展開されている。サンディエゴには、海軍の研究施設があって無線波と衛星の拠点になっており、関連ベンチャーが集積している。ワシントンD.C.には、世界最大のインターネット基幹回線のノードがあるため、BtoBを中心にアプリケーションサービスプロバイダーを志す企業が集積している。オースティンは、シリコンバレーをまねて経済発展しており、シリコンヒルズと呼ばれている。これらの都市では産官学民の組織するNPOがIT革命の機動力となっている。ロサンゼルスではコンテンツビジネスが発展している。ヨーロッパではフィンランドの情報化が進んでおり、国策で産官学民連携のNPOを組織して、教育や政治を含めた改革を行っている。アジアではシンガポールが国家主導型で情報化を進めている。これら7つの地域のうちの4つは産官学民の連携からなるNPOを主体として発展しており、法規制とは違う形で柔軟性のあるルール作りを進めながら社会発展、経済発展を遂げている。
今後の経済発展に関する議論では、ベンチマークが必要であるという考えでまとまった。知識集約や労働力の質の高さを維持しないと地域社会は発展しない。そのためには、産官学民連携で生活の質の高さをキープすることが必要だ。企業としては質の高い労働力を確保するためにサラリーと社会保障の水準を高めなければならないが、教育環境、文化環境、自然環境の整備については、政府や地方公共団体といった行政の積極的参加も不可欠である。
電子政府に関しては、今年3月に霞が関WANの物理的回線はつながった。ただし、暗号通信や認証システムについては未整備で現在構築中である。これは総務庁が担当している。また、3200余の自治体すべてをインターネット接続して公文書のデジタル化を推進するプロジェクトが進行している。これは自治省が中心になって進めている。今年17の自治体で試行した後、来年47都道府県と政令指定都市から稼動し、2003年にはすべての自治体の接続(GtoG)が完了する予定である。このバックボーン回線ができて初めて電子申請、電子調達を本格的に行なうことが可能になる。電子申請には、農地転用申請、特許申請、納税における確定申告、婚姻届や離婚届といったものがある。公文書は偽造があったら大問題なので、電子認証システムの整備が必要不可欠であるし、途中で改ざんされないよう、デジタル文書には暗号通信が不可欠になる。現在、政府が急ピッチで整備作業を進めている。
総合行政ネットワークには、MPLS(VPN)や、ASP事業者へのアウトソーシング、PKI(暗号と電子署名の実装)、Intelligent Agent(検索エンジンをもっと高度化、スリム化したもの)、等を用いる予定だ。全国の自治体が持っている行政情報や法令をデータベース化して共有化し、検索や統計処理を可能にすることによって、行政をスリム化できる。ただし個人情報が流れるので、ハッキング対策には周到な準備が必要だ。エージェントロボットを使用して、不正アクセスを追尾するシステムにしなければならないだろう。行政情報が漏れないよう権限を持った人だけがファイルにアクセスできるようICカード化(本人確認にICカードを活用)も必要だ。これまでにないセキュリティの強いネットワークを作ろうとしている。
今のインターネットはセキュリティが脆弱だが、今後は安心して取引ができる環境を作らなければならない。そのためには暗号を使用して改竄を防ぎ、電子認証を使って本人確認を行い、詐欺等で騙されないようにする必要がある。今までの構想では民間のセクターが独自に整備すればいいという考えだったが、デジタル化した印鑑登録のイメージで、登録業務は自治体が行い、入力業務は入札により民間事業者にアウトソーシングすることになりそうだ。それは電子申請だけでなく、一般の電子商取引に使うこともできる。自治省が6月か7月に出した報告書には、インフラ整備の観点から政府と公共団体が積極的に取り組むべきであると書いてある。ただ、議論が分かれるので、まだ慎重な検討が必要だ。
インターネットの普及により直接民主主義のウェートが大きくなるという話があったが、コーディネーターとして公的セクターと民間セクターの中間組織であるNPOを活用すべきではないだろうか。NPOには、消費者保護、個人情報保護に関する苦情処理機関としてTTP(信頼できる第三者機関)としての役割も期待される。米国では、ベタービジネスビューローというNPOが、消費者の苦情処理を行い、企業と消費者の間でADRという裁判外紛争処理機構として活躍し、トラブルを解決している。また、リナックスのように社会のインフラとなるOSがオープンソース化され、その高度化をめぐってさまざまな主体がゆるやかに連結しているあり方も、ある意味でNPOである。社会発展の進化速度を上げる、あるいは新しい価値観、世界観を作る機関として、NPOを重視すべきだろう。現在、三重県の行政の外部評価に関する委員会に委員長として参加しており、企業、行政官、地域代表、NPOの人と評価の基準作りを行っている。議会との関係をどうするかという問題が残っているが、直接民主主義というか、新しい政治の行い方が、各地で試みられつつある。
次に個人情報保護についてである。最近、個人情報保護大綱案が出されたが、これまでは村社会の中、そんなに個人情報についての意識が高くなく、対応が不十分であった。最近はプライバシーの意識も高まっており、個人情報を保護するというのは、近代国家としてのあるべき姿である。欧米においてもそのような方向である。特に、電子商取引において個人情報保護はより重要になってくる。情報化社会では個人情報はニーズがあり、お金になるため流出しやすい。嗜好性とメールアドレスがわかっていれば、非常に有効なマーケティングができる。事業者によって管理されるコンピュータ化された個人情報データは、非常に漏洩しやすい。例えば、電気通信事業者は課金情報等をもっているが、大部分下請けにアウトソーシングされるが、下請けから情報が漏洩することが多い。個人情報保護に関するJIS基準はあるがほとんど守られていない。JIS基準はあまりにも抽象的なので、具体化するには大変な時間と労力がかかる。そのような時間と労力をかける必然性を企業には見出せない。プライバシーマーク制度も行われている。アメリカでは個人情報保護を守る企業としか取引しないという動きがあるが、日本ではプライバシーポリシーを持っている企業が少ない。事業の営業秘密が漏洩しないようにプロテクトするが、顧客の個人情報を守っていくという認識に欠けている。そこで、来年立法化される個人情報保護基本法は重要となる。行政罰が入る予定で、大きな前進である。個別法ができない一般企業分野でも基本法がかかり、義務を負うということを認識してほしい。企業はそれまでにどうやって社内でルール化し、システムの見直しをするのか、やるべきことはたくさんある。政府は、民間に対し、個人情報を不用意に出さないよう、音頭をとって指導すべきである。国民に対しても簡単に個人情報を出さないように啓蒙すべきではないか。無料プレゼント等と称して、個人情報を書き込んでもらう形で、個人情報を収集するサイトがある。これは明らかに個人情報を盗む目的のものだが、それを知らずに懸賞品欲しさで、個人情報を書き込む人に対しては、この個人情報はどのように使われるかわからないということを事前に告知すべきだ。法的規制はできないと思うが、倫理的な問題としてはある。国民に対して、不用意に個人情報を出さないように啓蒙すべきである。
IT社会における政府の役割として、制度的なインフラの整備、特に法的枠組みの構築が必要である。消費者保護対策は必要なシステムの基本であり、消費者契約法に期待している。
第三者機関がきちんと日本で位置付けられるかというのは、議論が必要。例えば、郵政省が、不適正利用に関して苦情処理機能等を有する第三者機関を設置するという報道があったが、組織の在り方をどうするのか。財団、社団にするのか、公的な支援のない第三者機関としてできるのかというのは、深刻な問題。政府は関与すべきではないという単純な理由から第三者機関が良いというのは主張としては正しいが、運営をどうしていくかについても考えてもらいたい。日弁連は、消費者保護について実績をあげてきたが、今後は、個人情報保護についても110番を設ける等、基本法が遵守されるかNPO的に監視していかざるを得ない。我々はボランティアでやっていくが、このような第三者機関をどのように維持していくか、考えてほしい。
電子マネーの法的な環境整備がなおざりになっている。パソコンに対する償却制度についても、償却期間を6年から3年に短縮すべきである。また、単にインフラ整備だけでは駄目で、政府に積極的な施策をお願いしたい。電子商取引の決済を考えたときに、インターネット上で安全な取引を実現するためには、多機能ICカードしかない。2002年までにやる予定であるが、現在のネットの状況を見ると、2002年まで待っていると、ベンチャー企業がばたばた倒れる危惧がある。政府は、もっと早く国民にICカードを配布する等電子決済の仕組みを取り入れるべきではないか。低額決済ができる電子マネーを推進すべきであるが、それにはプリペード法等の改正は不可避である。電子署名認証制度のアプリケーションソフトの開発も必要である。これも民間の動きだけでは遅いので、政府も積極的に対応すべきである。
日本のインターネット普及は急速に増えており、99年には利用者は2700万人に達した。企業の88.6%に普及。モバイルインターネットも99年2月の開始以降急速に増え、9月末で契約者は2000万人に達しようとしている。衛星デジタル放送は、NHKが1000万超の加入、WOWOWが253万、スカイパーフェクTVが227万加入している。また、来年東経110度CSを打ち上げられ、放送開始される予定である。
通信と放送の融合は、サービス、伝送路、端末、事業体の融合として現れている。通信と放送の中間領域的サービスが出現してきている。NTTの光ファイバを利用したケーブル事業等通信と放送の伝送路の共用が実現している。また、通信と放送の両方が可能な端末や、通信と放送の両方を行う事業者が出現している。現行の法制度では、伝送路共用は既に実現している。事業体については、NTT、NHKを除き通信と放送の兼営は自由である。残っている問題は、通信と放送を二分している法体系をどうするかということである。
通信と放送の融合により、コンテンツの流通経路が拡大し、プレーヤーが増加している。具体的には、衛星放送の多チャンネル化による異業種から事業者の活発な参入、放送事業者によるコンテンツのインターネットを利用した配信、通信事業者によるケーブルテレビ事業者向け伝送サービスの提供が挙げられる。また、端末の融合の進展により通信・放送を意識しないで視聴する利用者が増えており、誰もがコンテンツの発信者になれる状況が出現している。
中間領域的サービスについて説明する。電話や地上放送のような典型的な通信、放送サービスは、通信の秘密と表現の自由という規律する哲学が全く異なっていることにより法体系が二つに分かれている。ただ、この中間のサービスが出現しつつある。インターネット放送は公然性を有する通信という色彩を強く帯びており、BS、CS、ケーブルテレビの順に特定性を有する放送としての性格が強くなり、両者の境目がなくなりつつある。
通信と放送を組み合わせた双方向機能が実現しつつあり、衛星放送と通信ネットワークとの連携でビジネスの動きが加速している。コンテンツのデジタル化によるマルチユース化が可能になり、2次利用等が進展している。制作段階から2次利用等の際の諸権利処理に配慮した契約内容が次第に一般化している。
日本の法制度は電気通信、放送、ケーブルテレビと分かれているが、米国、英国、仏国、独国等の諸外国でも国によって差異はあるものの、日本と同様、放送と電気通信は別の概念が設けられている。
IT戦略会議においても、電子商取引、電子政府の実現のほか、通信・放送の融合化に対応した制度の整備も重要課題に一つに挙げており、11月に御議論いただく予定。
郵政省では、「通信・放送融合時代の情報通信政策の在り方に関する懇談会」を開催しており、通信と放送の融合をめぐる課題と対応策について検討しており、12月中にも中間的な取りまとめを行う予定。今後の政策課題の視点としては、第一に、規制改革を含めた通信と放送の融合を促進するための環境整備がある。超高速インターネット網等のインフラの整備が、通信と放送の融合を加速させると考えている。通信と放送の融合に向けたプラットフォームの形成とビジネスモデルの開発支援により、起業化が進むと考えている。放送の多様化に応じた規制緩和も必要と考えている。第二に、利用者保護対策の確立として、インターネットを規制すべきかどうかという問題がある。第三のグローバル化への対応と関連するが、日本だけ規律しても意味がなく、グローバル性を十分踏まえることが必要である。インターネット放送等が大きな影響力をもつようになったときに、デマやポルノ等をどうするか影響力の度合いを踏まえつつ、違法有害情報にどのように対処するか検討が必要。
一つは、法制度であり、ITインフラ競争促進法の立案を提案する。二つ目は、体制であり、中立かつ独立した機関として「日本版FCC」の設置を提案する。三つ目は国民の財産である無線の周波数、電柱、管路、ダークファイバを開放し、競争事業者が容易に利用できるようにすることを提案する。3つの提言が実施され、光ファイバが自由に敷けるようになれば、民間による設備投資やサービス投資により約60兆円の経済効果があり、無線の周波数を開放することで約40兆円の経済効果があると推計される。日本のGNPが約500兆円であるが、合計100兆円の民間の自発的な投資が、日本の経済に与えるプラスの影響は、非常に大きい。
日米には基本的な規制の哲学について大きな違いがある。米国の場合、独占事業者を規制し、新規参入を促進することにより、競争を促進している。日本の場合は、既得権益者、独占的企業を守って、新規参入者を規制している。この哲学の180度の差が日本を遅らせた。
そこで、まず一つ目の法制度については、現在のアナログアプリケーションをベースとした各種事業法をデジタルにも対応した新しい時代に則したものとすべき。現在作業を行っているIT基本法に加えてITインフラ競争促進法を策定し、新規事業者の参入を妨げてはいけないということを明記し、競争ルールを確立すべき。米国では、新規参入を妨げてはならないということが明記されている。
二つ目の体制については、現在は郵政省が事業育成と競争監視の両方を行っている。OECD加盟国でFCCが無いのは、日本・韓国・ポーランド・トルコのみである。米国のFCCは中立性、公開性が徹底的に確保されており、FCCスタッフの独立性が確保されている。郵政省には優秀な官僚が大勢いるが、政治家や業者から様々なプレッシャーがあるという。FCCのような形で分離独立すれば、思っていることを実現できるのではないか。
三つ目のインフラ、国民の財産の開放については、現在は、無線は少数事業者に無料で割り当てられている。割当てのプロセスを全て公開してほしいと思う。使われていない周波数等を、公明正大な形でオークションを行い、新規事業者に提供してはどうか。FCCは実践している。
光ファイバについても、従来の銅線と同様、線の間を30センチ以上開けて敷設するようにという昭和28年に作られた規制が未だに残っている。電線の間が近過ぎるとノイズが生じるためであるが、光ファイバには電流が流れていないので100%ノイズは起きない。また、電柱一本ごとに申請が必要であり、線が道路を横断する度に膨大な手続きが必要である。1メートルの光ファイバは、そばよりもうどんよりも材料費の安いにも関わらず、書類作業のために、費用が嵩んでしまう。
この無線割当と線路敷設権の規制は可及的速やかに解決すべき問題であり、日本経済に100兆円もの経済効果を生み出す重要な問題である。
(須藤氏)インフラ整備について孫さんから説得力のある話を伺ったが、孫さんに1つ質問をしたい。ユニバーサルサービスの問題で、営利企業による整備を前提とする場合、コストパフォーマンスの悪い山間僻地へのサービスはどうなるのか。
(孫氏)光ファイバを全国に敷くのに国がやるのか、民間がやるのかという議論がIT戦略会議でもあったが、私は両方やるべきだと考える。山間僻地については、民間は後回しになりがちなので、そこは政府が率先垂範してやれば良い。政府は情報格差が起きない配慮をすべき。政府の役割は弱者救済にある。競争で満たされるところは、民間に任せ、それではカバーされないところを政府がやるべきと考える。
(須藤氏)通信回線は、ライフラインに匹敵するものになると考えている。山間僻地、離島等の事業性の乏しい地域については、誰が投資すべきなのか。投資主体としては行政体の役割が重要であるが、後の施設の運営管理は誰がやるのか。行政はできないので、今はNTTが行っているが、誰が責任主体になるべきか。
(孫氏)引き続きNTTが行うべき。元々NTTは国が作った会社であり、独占権を認められていた。今も政府が過半数の株式を保有している。民間企業とは性格が違う。現在のインフラを利用すれば、ADSLで全国の高度情報通信を実現できる。
(鍋倉氏)孫社長の3つの提言には賛成する部分と反対する部分、そして事実と少し違うのではと考える点があるので指摘したい。まずインフラ競争促進法については、そのような法律が必要かどうかは別として、当然、競争促進は必要と考えている。実際に、電気通信審議会に競争促進について諮問している。郵政省としては、新規事業者の参入をブロックしてきたことはないと認識。競争促進に関して、ユニバーサルサービスの確保が大きな課題としてある。光ファイバは、都心部で93%き線点まで敷設されており、需要があれば現在でもNTTは対応できる。ただし、10万人以下の地域では14%という状況。2005年までに全国に光ファイバを敷くというのが政府の努力目標であるが、これは難しいという声がNTTの中から出ている。どのようにして敷設を進めていくかという問題がある。また、事業者が携帯電話の基地局について、過疎地では採算に合わないということで建設を見送ろうとする動きもある。過疎地での光ファイバ敷設と携帯電話の基地局建設について、インターネットへの接続のデジタルデバイドの問題が生じてきている。今、与党を中心に過疎地の光ファイバの敷設や携帯電話基地局の建設に関して公共事業の見直しができないかという議論が出ている。郵政省としては、ユニバーサルサービスの問題について、電気通信審議会での議論も踏まえて取り組んでいきたい。
次に体制については、FCCは独立機関であるが、全世界の機関が独立機関という訳ではなく、米国とフランスが独立機関であるのは事実。また、米国FCCにおいても規制だけでなく、競争監視と事業育成の両方の役割を果たしている。規制と振興の両方の役割を果たさなければうまくいかないし、その方向に世界は動いている。EC、中国、韓国もそうしている。規制と振興は車の両輪である。それが独立であるべきかどうかは別の問題。
周波数オークションについては一部賛成、一部反対。透明性の確保という意味では良い手段。しかし、例えば米国の場合、高値がつき過ぎて、再オークションという混乱が生じている。ドイツと、イギリスでは、オークションの結果、高値がつき過ぎて、落札事業者の債権格付けが下がったり、最終的には消費者が高値のつけを負担しなければならないという問題も出てきている。メリット、デメリットを慎重に検討しなければいけないという意味で賛成でも反対でもない中立の立場にある。
電柱・管路の開放については、30センチの離間距離の話は別として、賛成。数年前から米国からも指摘されている事項でもある。規制緩和しないと、競争は進まない。光ファイバを事業者が敷き易くするということは、インフラ整備の意味で重要なテーマであり、IT戦略会議においても一つの重要なテーマになると思っている。
(孫氏)局長のご意見は、基本的には3点とも私の意見に賛成というように理解した。NTTとNTTドコモには当然ユニバーサルサービスを提供する義務がある。長年独占的地位を認められ、国民の金で作られた会社であり、政府が過半の株を所有している。ドコモが僻地には基地局を設置できないというのは言語道断。次世代携帯電話の入札に、僻地にも基地局を設置するという業者を参加させれば良い。国民の貴重な資源を無料でもらって、僻地には基地局を設置しないというのは、冗談ではない。例えば、入札の結果、欧米で携帯電話の通信料が高くなっているかと言うと、高くなっていない。競争者が増えることによって消費者への提供の値段は安くなっている。むしろ日本の方が高い。競争促進によって事業者が苦しい環境になることは、どの産業でも同じ。電柱の開放については賛同を頂き、心強く思えた。FCCについては、独立した機関があることによって、特定の政治家、官庁、事業者から影響を受けない、国民の為だけを思って実施する機関ができる。これは現在、郵政省でがんばっている方々の権限を強化し、さらに民間からも新たな人材をミックスして導入することによって、ポジションを明確化できる。
(藤原氏)ユニバーサルサービスの問題は重要であるが、だからと言って今のようにデータ通信の価格が高くて良いという訳ではない。現実に個人のインターネット使用料をどうするのかというのは緊急課題である。日本でITが遅れているというのは通信費が高いからである。これについては、電話代としてお金を徴収するからおかしい。デジタル通信費用は1/3とか1/5で良い。その価格体系も規制緩和の対象ではないか。
もう一つは、デジタルデバイド解消の方法として、光ファイバを敷設するというのは間違いである。光ファイバが無くてもインターネットをつなぐ環境があればデジタルデバイドは解消できる。
(鈴木委員)第2のポイントである電子政府の推進について、先程、須藤先生から日本は冠たるものであり、その実現に向けた動きは世界からも注目されているという話があった。私は現在の日本の行政サービスは、必ずしも世界に誇れるものではなく、シンガポール等のアジア諸国の方が進んでいるとも思うが、その点についてお考えを伺いたい。
(須藤氏)行政サービスをどのような基準により評価するかは難しい問題だが、鈴木委員の言う通り、今のままでは必ずしも進んでいるとは言えないだろう。したがって、世界有数の行政に匹敵する優れたサービスを提供するために電子政府構想が進められているのだ。現在の構想が実現されれば、行政はスピーディーにワンストップで動くことが可能になる。官庁の労働生産性は高まり、住民サービスという面でもコストを削減しながら、利便性を上げることができる。2003年に構築を完成して、電子申請や電子調達が行われるようになるのは2005年以降だろう。
(孫氏)遅過ぎるのではないか。
(鍋倉氏)前回のIT戦略会議で2003年をできるだけ前倒しするようにとの官房長官の指示があり、現在、前倒しのアクションプログラムを策定中である。光ファイバとデジタルデバイドが関係無いというのは理解できない。銅線ではADSLを活用しても限界がある。最終的には光ファイバが必要である。
(孫氏)光ファイバもADSLも高速無線も全部開放すればよいというもの。
(鈴木祥委員)第3のポイントであるが、IT社会における規制はどう在るべきかについて、藤原先生から個人情報保護法等の問題について御指摘いただいたが、他にどのようなことを検討する必要があるのか。
(藤原氏)特に電子政府を実現するためには、膨大な関係法令の整備が必要であり、今の各省庁ではマンパワー不足ではないか。政府は深刻な問題であることを認識し、外部の優秀な人材を調達し、民間人も入れてプロジェクトチームを作るなどの方法を検討しないと難しいと思う。現在のマンパワーで膨大な法令の見直しをやって間に合うのかという疑問・不安を抱いている。また、政府が電子化されれば、公的部門が管理する個人情報は、一層の保護が必要になる。したがって、現行の「行政機関が保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」は、全く役に立たないので、根本的な見直しが必要。
以上
(文責 規制改革委員会事務室)