規制改革委員会

−速報のため事後修正の可能性あり−

第17回規制改革委員会議事概要



1 日 時:平成12年11月21日(火)10:00〜12:00

2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

3 出席者

(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、大田弘子、河北博文、神田秀樹、後藤晃、鈴木祥弘、田中一昭、西村清彦、野口敞也、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントン、八代尚宏の各委員、永井信夫参与
(事務局)坂野総務庁行政管理局長、上村規制改革委員会事務室長、熊埜御堂主任調査員、上田調整官

4 議事次第
(1)見解の各論について
(2)行政改革大綱の検討状況について

5 議事概要

(1)各WGの主査から見解の各論について、方向性及び対応状況の報告があり、質疑応答を行った。概要は以下のとおり。

(情報通信)

(環境)

  • 市街地の土壌汚染の浄化に関する法制化の検討については、諸外国と違って水に溶けた場合の基準しかないが、土そのものを基準にするかどうか検討中。
  • 減量化を含めてリユース・リサイクル推進の観点からの廃棄物の定義及び区分の見直しを検討する。
  • 再生利用認定制度の対象範囲の拡充については、品目の認定区分を明確にすることを求める。
  • 容器包装廃棄物のリサイクル率向上のための総合的施策については、リサイクル率が向上してきていても廃棄物が増えているので、50%以上のリサイクル率を達成するにはどうするかということを検討する。
  • 廃棄物処理事業者に関する情報が外に出ていないので、一層の情報の開示を求めている。

    (競争政策)

  • カルテル・談合に関する執行の強化について、刑事罰はなかなか困難なので、悪質なものに対する罰が軽くなっている。そのため課徴金制度について悪質な違反行為の摘発を効果的に行い、また、公正取引委員会の調査に協力した者に対する配慮等について指摘する方向。
  • 景品類に関する規制の在り方については、競争は価格と品質で行うべきとの考え方があるが、ネット取引にもその考え方を持ち込むべきかどうかということであり、細かな規制については将来的に見直すべきである。
  • 下請取引に関する受発注の電子化については、どこまで問題があるかないかを明確にする方向。
  • 入札談合について発注者側の責任が問われないので、新しい制度の導入を含めた法整備について検討を行うことを促す方向。
  • 規制産業における競争政策について、公正取引委員会と事業所管官庁と緊密に連携すべきことを指摘する方向。
  • 一般集中規制の見直しについては、15兆円、5%の数量規制は必要ないのではないかということを指摘する方向。
  • 民事救済制度については、カルテル・私的独占について個人の差止請求を認めることを指摘する方向。
  • 独禁法違反に係る注意の運用については、酒・ガソリン・家電等に係る不当廉売について、価格競争を阻害しないようにということを指摘する方向。

    (法務)

  • エクイティ・ファイナンス手段の多様化については、優先株についての発行枠の拡大や発行手続の簡素化等制度の整備、トラッキング・ストックの導入、1株当たり純資産規定の廃止及び株式発行授権枠の拡大といった事項について、資金調達手段の拡充という観点から指摘を行う。
  • 検査役調査制度の改善については、検査役の選任や調査にかかる時間や調査費用といった過大な負担を軽減する観点から、検査役調査の手続自体の合理化、検査役調査を要する場合の見直しについて指摘を行う。
  • コーポレート・ガバナンスに関する制度の改善については、たとえば監査役・社外取締役どちらかの選択制を挙げている。
  • 100%子会社における期間の在り方の見直しについては、一定範囲で商法の強行規定の適用を排除することについて検討を行う。
  • ストック・オプション制度の見直しについて引き続き検討を行う。
  • 自己株式の失効及び処分の時期の撤廃についても指摘を行う。
  • 商法と証券取引法とで2種類の財務諸表を作成しなければならないことについても指摘を行う。

    (金融・証券・保険)

  • 長期信用銀行法の在り方と銀行社債発行制度の見直し、信託会社の在り方については、事実上長短分離制度が撤廃され、その役割を終えていると考えられる長期信用銀行制度の在り方・銀行社債の発行制度の見直しや、金融市場における参入促進の観点から信託会社の在り方などについて、検討することを求めている。
  • 債権流動化、証券決済等の基盤整備のための諸制度の見直しとして、「法例」についての特別ルールを設けることを求めている。
  • 金融機関の大口信用供与規制など資産運用規制の見直しについては、保険会社の資産運用に関する各種比率規制については、代替する監督手法の構築を図り、廃止することを求めている。
  • 分社化、アウトソーシングなど経営効率を高める諸規制の見直しについては、金融仲介業者のグループ経営を効率化するという観点から、昨年度からの継続案件である他業禁止に係る規制の見直しなどについて、引き続き注視することとしている。
  • 協同組織金融機関に係る規制緩和に関し、信用金庫等協同組織金融機関の機能強化については、協同組織金融機関の意義や在り方を検討することを求めている。
  • 保険会社の機能強化や競争促進の観点から、銀行等における保険販売や特別勘定の見直しなどについて検討を求めている。
  • 市場間競争を一層促進させる観点から、取引所外取引に係る事前明示義務を見直すことを求めている。
  • IT化関連事項として、有価証券届出書で株主上位100人の住所・氏名を記載しなければならないとしていることの見直しや保険募集に係る社員の雇用形態の見直しなどを検討することを求めている。

    (流通・農業)

  • 通信販売における通知の電子化については、書面一括法に基づく、必要な政省令の規定を整備し速やかに実施することを指摘する方向。
  • 薬剤師配置義務の総合的検討については、法律と実態とに乖離があるので、大衆薬を販売する場合にも常に薬剤師を配置しなければならないのかということについて検討することを指摘する方向。
  • 医薬品販売における範囲の見直しについては、体外診断薬も薬になっているので、このようなものはコンビニでも販売していいのではないか、医薬品自体のカテゴリーの見直しを指摘する方向。また、一方でカタログ販売が認められており、薬剤師が常駐しなければならないという規制と実態とが整合していない場合があることも指摘する。
  • 大店立地法の適正運用については、地方公共団体の条例・要綱等の中で新聞3紙に公告するなど厳しい規制があるので、商業調整を目的とするものが残置されていないかを確認し、必要に応じて、法の解釈を示すとの立場から適切な措置が講じられるべきことを指摘する方向。
  • 遺伝子組換え農作物・食品に係る諸問題については、遺伝子組換え農産物に係る品質表示の見直しに当たって、科学的・技術的な観点から十分な合理性を有すると認められる範囲を超えて表示を義務付けることは、食品製造面における費用を増やし、それは結果的にも消費者に転嫁されることになる。したがって、その見直しに当たって、食品製造業者等に対して過度の負担を強いる基準とならないようにするという観点から指摘を行う方向。それと同時に、遺伝子組換え技術の環境安全性に対する国民の理解を得るため、情報公開、広く国民一般を対象とした会議の開催等パブリック・アクセプタンス確保のための取組等、消費者の関心に的確に応える取組をより一層充実させるべきであるとの観点から指摘を行う方向。
  • 卸売市場の手数料についても、手数料が硬直化していることから指摘を行う方向。

    (運輸・エネルギー)

  • 船員に係る職業紹介事業等について見直しを行うよう指摘する。
  • タクシー事業の緊急調整措置については、需給調整規制の廃止が形骸化しないような運用となるように指摘する。
  • 電力については本年より部分的に大口需要家について自由化され競争が始まったが、施行していく中で浮かび上がった問題点があり、それらについて指摘する。
  • ガス事業については先行して自由化が進んでおり、更なる見直しを検討するよう指摘する。

    (雇用・労働)

  • 雇用関係法制である労働基準法は一昨年に大幅な改正が行われ、有期雇用契約、企画型裁量労働制が導入されたが、制度を利用するための条件が非常に厳しいものとなっており、現状では極めて使いにくい制度となっている。見かけ上規制が緩和されたが実質上使えない。早期に見直しに着手するように指摘する。
  • 労働市場法制である労働者派遣法についても派遣1年後の採用義務を課すなど、派遣形態そのものを否定するような規定が盛り込まれ、派遣活用意欲をそぎ派遣労働者が不利益を被っている。制度の見直しに早期に着手し、派遣労働者が利用しやすい形になるよう見直すべきだと指摘する。
  • セーフティネットは3点。社会保険制度は常用労働者を前提に作られており、パート、派遣労働者も公平にカバーするものとなるように指摘する。雇用保険は1年以上継続勤務が前提だが、派遣労働は実質上1年以内に押さえ込まれ、矛盾があること、また、私学教職員の雇用保険加入問題について指摘する。増加が見込まれる個別労使紛争に対応する制度の構築に当たっては広い観点から検討するよう指摘する。

    (教育)

  • 学校外教育をどう位置付けるか。独立したものとするのではなく、緩やかな連携とすると指摘する。
  • 学校経営に営利法人の参入を認めるよう指摘する方向。これは学校法人に非営利性が必要である理由が明確でなく、根拠が明らかではないため。
  • 習熟度別学習を明示的に取り入れるよう指摘する方向。小・中学校においても、クラス分けではなく、高校・大学にある飛び級の形で取り入れること、また科目も数学等に限定せずあらゆる科目で行えるようにする。
  • 高卒認定試験の導入を指摘する方向。中卒認定試験の高卒版。似たような制度に大検があるが、就職においては高卒要件が課されていることの方が多く、こちらの方が実社会においてはより重要ではないか。
  • 大学の学部学科設置を事前届出制にするよう指摘する方向。ただし、一定の留保期間を置くことは必要だろう。

    (住宅・土地、公共工事)

  • 市場メカニズムが働くための方策として、短期賃貸借制度の廃止や競売制度の見直しによる不動産の流動化、レインズ(Real Estate Information Network System)の拡充による不動産市場の構築を進めるよう指摘する。
  • 中古住宅ストックを活用するために、民間がイニシアティブを取って中古住宅について評価を行い、その情報が活用できるような環境を整えるように指摘する。
  • 市場メカニズムが働かない場合の政府介入の合理化について、特に中山間地域の計画的な保全が行えるよう、農地法の省令基準の弾力化などについて指摘する。
  • 公共事業の決定手続きの合理化について、全国的に見た国土開発計画と個別の公共事業計画の間にパブリック・インボルブメントを置いて広く意見を集約する場を設けることに関し、国の直轄事業についてモデル事業を実施するよう指摘する。

    (医療・福祉)

  • 医療分野における競争政策の促進には多くの課題があるが、患者の立場に立った競争政策について指摘する方向。具体的には、医療を支える人間の問題、医療機関の評価システム、広告規制、患者が選択できる情報の充実、営利法人の参入など。
  • 救急医療の再構築、医療事故防止のシステムの再構築により、安心して医療サービスが受けられる体制を確立するように指摘する方向。
  • IT化、ゲノム医療など、医療を取り巻く新技術については、総合的なグランドデザインを作るべきであると指摘する方向。
  • 介護については、介護保険制度設計の見直し、利用者の選択の幅を広げること、痴呆介護の在り方、膏薬塗り・目薬さしなどの業務を介護職に認めること、事故の補償制度、自治体による介護サービス機関の監視体制、資格制度について指摘する。
  • 保育制度については、公立保育所の民間委託や、保育サービスの直接補助方式について指摘する。

    (基準認証・保安)

  • 検査検定制度の見直しについては、自己責任を基本とした枠組とするとした閣議決定のフォローアップを行ったが、いずれの省庁も消極的である。その中で個別に、できるだけ自己確認・自主保安化、優良事業所へのインセンティブ措置の導入、基準の性能規定化を進めていくよう指摘する。
  • 基準認証については、個別の意見・要望に幅広く迅速に対応することとし、広範な項目について指摘する。
  • 保安4法については、関係省庁による検討会の結果を早急に実行に移すよう指摘する。

    (資格)

  • 一度資格ができてしまうと、利害関係が生まれ、資格ができたときと社会状況が全く変わっても、見直すことができなくなっている。資格者団体は独占的利益を守るため競争相手を排除しようとする。今後、より一層見直しを進めていくことが必要であろう。
  • 業務独占資格については、強制入会制の見直しについて、調査により実態を把握すること、チェック機能の強化として情報公開を行わせるよう指摘する。
  • 必置資格については、単に資格者を置いておれば良しとするのではなく、組織として目的を達成するマネジメントシステムの導入を推進するように指摘する。個々の資格について、検討が進んだものについては見解で具体的に指摘するが、取り上げなかった資格についても引き続きフォローアップが必要であり、検討の中間状況を報告させる。

    (議論の概要)(●:質問、→:質問に対する応答)

    ●ADR(裁判外紛争処理システム)の議論も重要である。

    ●エネルギー関連では、電気とガスの他に、省エネルギー、原子力廃棄物問題もあると思うが。
    →今年度までは電力・ガスの独占を崩すことについて注力してきた。省エネルギー、廃棄物については今後の課題。

    ●パブリック・インボルブメントが実現すれば、公共事業で、明らかに無駄なものができた理由が分かるようになるのか。
    →できてしまったものについては仕方ない。これからできるものについてはそのようなことがないようにできるのではないか。

    (2)行政改革大綱の検討状況について、総務庁行政管理局上村管理官より報告があった。

  • 平成17年までを目途に行政改革を実施。
  • 行政の組織・制度の抜本改革(与党の検討が中心)…特殊法人等の改革。公務員制度等の改革。行政評価システムの導入。公会計の見直し・改善。公益法人に対する行政の関与の在り方の改革。
  • 地方分権の推進…市町村合併の推進。
  • 規制改革の推進…新たな3か年計画の策定(重点分野である医療、雇用、教育等については方向付けを行う)。民事・刑事の基本法制の抜本的な見直し。新たな規制改革推進体制については、規制改革委員会がどのように考えるかだが、政府としては内閣府に制度化した審議会として設置してはどうかと考えている。経済構造改革についても取り上げることができるようにもしたい。本年度内に決定する、として盛り込みたい。
  • 行政事務の電子化等電子政府の実現
  • 中央省庁改革の的確な実施

    (質疑応答)(●:質問、→:総務庁の応答)

    ●NTTの在り方については、我々(規制改革委員会)と電気通信審議会が言うことは必ずしも一致しないかもしれないが、どうするか。
    →新たな規制改革推進3か年計画には、当委員会の見解のほか、他の審議会等の結果も盛り込むこととなるが、その際に調整することになるだろう。

    ●重点項目として運輸・エネルギーが入っていないが、新たな3か年計画から対象外とされるのか。また、経団連、外国政府などの要望から見て個別事項の見直しがかなりのウェイトを占めると思うが、これらについてもどうか。
    →無視するということではなくて、これまでの取組を前提として、今後は社会的な規制についても取り上げていくことを政府として明確にすることを意味している。全ての分野について新たな3か年計画でもきちんと盛り込んでいく。内外の要望について取り上げることは引き続き重要であると認識している。

    ●新たな規制改革推進体制については、内閣府におくことにした場合でも、それぞれの規制を所管する省庁とどのように距離を置くかが重要ではないか。
    →委員会を運営している総務庁は来年1月より総務省の中に入るが、事業官庁を含むことになる。内閣府は総理直結であり、こちらで事務を行うことで委員会の機能を弱めることはないと考えている。現在の委員会の活動根拠は閣議決定と行政改革推進本部長決定だが、今後は法令に位置付けられることが適当ではないかと考えている。

    ●規制改革委員会の位置付けについては、委員会としてもこれから検討する。

     次回は、総論と、再び各論の見解案についての審議を行う予定。

    以 上
    (文責 規制改革委員会事務室)