規制改革委員会
−速報のため事後修正の可能性あり−
第3回規制改革委員会議事概要
- 1 日時 平成12年5月19日(金)10:00〜12:00
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- 2 場所 中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
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- 3 出席者
- (経済企画庁)永谷総合計画局審議官、田町調査局経済効果分析官
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、石倉洋子、河北博文、川口順子、神田秀樹、後藤晃、鈴木祥弘、田中一昭、西村清彦、牧野昭次郎、八代尚宏の各委員、川渕孝一、永井信夫、宮村鐵夫の各参与
(事務局)坂野総務庁長官官房審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員、熊埜御堂主任調査員
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- 4 議事次第
- (1)経済企画庁からのヒアリング
- (2)論点公開の進め方等について討議
5 議事概要
(1)経済企画庁より資料に基づき、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」における規制改革の位置づけや経済企画庁が取りまとめた規制改革の経済や雇用面での効果分析について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(経済企画庁の報告)
1)「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」(平成11年7月閣議決定)における規制改革の位置づけと実施状況について
- 規制改革は、我が国経済社会の構造改革を達成するため、重要な戦略ツールとして位置づけられる。
- 「あるべき姿」の経済社会では、市場メカニズムの活用が最優先の原則とされ、あらゆる制度、システムがこの原則に反しない方向で組み立てられる。経済的な規則や制度は自由な活動を促すインフラとして位置付けられ、「原則自由」への発想転換がなされる。自由な市場にもルールは不可欠であるが、そのルールには説明可能な目的が必要であり、すべての規制には説明責任が伴うと認識される。
- 「あるべき姿」に向けた今後の具体的な規制改革事項としては、以下のようなものが考えられる。
ア)透明で公正な市場と消費者主権の確立
- 物流、情報通信分野について、包括的な改革方策を早急に検討し、明確なスケジュールで施策を実施。
- 規制に関する政策評価において、規制改革の視点を明確に位置づけ、「費用対効果分析」「規制インパクト分析」等の手法の確立、共通化を推進。
- 事後チェック型行政への転換について、許認可等の直接規制に係る体制のスリム化、ルール作りと監視を重視した体制への移行。基準認証等について、自己確認、自主保安、第三者認証への移行を促進。
- 消費者・事業者双方の自己責任に基づいた経済活動を促すための公正で明確なルールを確立。
イ)魅力ある事業環境の整備
- 国際的にみて魅力ある事業環境の整備(会社分割制度、倒産制度等の整備・充実)。
- 創業・起業の促進(店頭市場の改革、産業界と学校との人的交流の一層の促進、インターンシップの促進等)。
ウ)個人がより自由に選択したり挑戦できる環境の整備
- 長期継続雇用等特定の雇用システムを有利とする制度や、自らの希望による労働移動に抑制的な制度の中立的なものへの見直し。労働者派遣事業及び職業紹介事業に関する規制改革、企業年金のポータブル化等を通じ、労働移動に対応した外部労働市場を整備。
- 労働基準法による裁量労働制の的確かつ効果的な活用。
- 雇用分野における性差別禁止に向けての取組の推進。
- 雇用分野における年齢差別禁止という考え方についての検討。
2)「近年の規制改革の経済効果―利用者メリットの分析」(平成12年1月6日)について(別紙1参照)
- 本報告は、国内及び国際電気通信、国内航空、車検、電力、石油製品(ガソリン)、ガス、株式売買委託手数料の8分野において実施された規制改革が、料金・価格の低下を通じて利用者にもたらしたメリットを「消費者余剰」の増加を指標として表したものである。
- 8分野で合計8兆6千億円程度(98年度までの累計)の消費者余剰が創出された。98年度の時点において、利用者は、規制改革がなかった場合よりも、この金額分だけ大きな消費者余剰を享受している。この金額は、98年度国民所得の2.3%に当たる。規制改革の効果で、利用者に対しては、国民所得が2.3%上昇したのと同様の満足度の上昇があった、という解釈ができる。
3)「90年代の雇用政策が失業率に与えた効果について」(平成12年5月9日)について(別紙2参照)
- 90年代の雇用政策は大きく、イ)雇用調整助成金など、短期的・一時的な景気の要因による失業を防止するための政策(「雇用維持政策」)と、ロ)労働者派遣事業や有料職業紹介事業の規制緩和など、労働市場のマッチング機能を強化させ、労働市場の構造をより柔軟に変革させていく政策(「マッチング強化策」)に分けることができる。
- 推計結果によると、雇用維持政策が失業率に与えた効果は、90年代半ばに平均0.2%ポイント程度であった。一方、マッチング強化策は90年代の前半は0.2%ポイント程度失業率を押し下げる効果を持ったが、98年度には規制緩和の進展などにより0.3%ポイント程度となっている。
(質疑応答)(○:委員、参与の意見、→:経済企画庁の応答)
○規制改革の経済効果分析は、規制改革を進めていく上で大変良い材料であり、評価できる。ただ、「消費者余剰」という指標は、一般には理解が難しい。もう少しミクロの分析を行い、時系列で、雇用や所得がどれくらい増え、どんな新しい技術が生まれたのか、といったことを表すことはできないか。そうすれば、もっと説得力のあるものになると思う。
→おっしゃるとおりであり、これからやっていきたい。これまで、産業構造審議会や経済審議会で経済ビジョンをまとめる際に、規制緩和の結果全要素生産性がこれぐらい上がると仮定してマクロの面での雇用創出効果等は出しているが、個別の規制緩和によってどれだけ雇用が生まれるか、などについてはデータの制約等もあり、算出はしていない。
○雇用政策のうち、マッチング強化策による効果は、規制改革の効果と理解してよいのか。そうであるなら、マッチング強化策は最近になって効果が出てきたということなのか。
→そうではない。マッチング強化策は90年代通じて効果があった。
○規制改革の経済効果分析は、個別の規制緩和事項の成果を積み上げて算出しているのか。
→この分析結果は、98年度時点において、対象の8分野について規制改革前と比べてどれくらい価格が下がったかを分析し、そのメリットを消費者余剰の増加で表している。
○規制改革のみの効果で価格が下がっていることが分かるのか。
→価格の変動要因分析により分かる。
○雇用政策のマッチング強化策による効果が、98年度に前年度に比し0.1%ポイント上がり0.3%ポイントになっているのは、ネガティブリスト化による効果なのか。そうであるなら、業種が看護婦や家政婦に限定されていても、0.2%ポイントの効果があったということなのか。
→これは、有料職業紹介のネガティブリスト化によりポイントが急激に増えたということを表しているのではなく、紹介事業所や紹介者数がじわじわ増えてきたことを表している。
○雇用維持政策の効果分析の中で、なぜ失業率がマイナスのタイムトレンドで説明されないといけないのか分からない。
○この経済企画庁が公表している規制改革の経済効果は、規制改革委員会の成果として外部にも言えるほとんど唯一の公式の数字である。アメリカでは規制緩和により1500万人の雇用を創出したという意見があるが、日本では、むしろ、規制緩和により失業が増えるというようなネガティブな考え方である。そうした状況下においては、規制緩和の進行と雇用への効果といった分析があれば、外部にインパクトの強い説明ができると考える。
→マクロ的には、規制緩和の結果全要素生産性がこの程度上がるという形で雇用面への影響を計算することになるが、規制緩和と生産性との因果関係についてどの程度確信があるのかという大きな問題である。なお現在、循環型社会に変革することによって、GDPや雇用がどうなるかについて調べている。この調査の中では、雇用は伸びるという結果が出ている。
○経済企画庁が行っている規制改革の経済効果分析は、過去の結果分析である。今後の取組として、規制改革の経済効果の予測分析を行ってみてはどうか。
→例えば携帯電話の規制緩和による需要拡大効果があれ程まで出ることが予測できなかったように、将来の規制改革による経済効果を予測することは、データに制約があり大変難しいと思う。
○ある1つの分野おける雇用の増減要因分析することで、リストラによるものなのか、あるいは規制改革によるものなのか、を明確にできるのではないか。
→雇用の増減と規制改革、あるいは景気やリストラといった他の要因との因果関係が明確でないので、難しいと思うが、今後、どういうことができるか検討していく。
○規制改革の経済効果は、供給サイドからの分析だけでなく、需要サイドからの分析も必要ではないか。
→この種の計算はもっぱら供給面から行われるのが常だが、需要面からのチェックも必要だと思う。特に、IT関連は現在ブームの感も呈しているが、その規制改革の効果については、需要サイドからの分析が必要ではないかと強く思っている。
○経済効果の予測については、EU統合時につくられた予測レポートの手法を参考にすればよいのではないか。
→勉強してみたい。
○この規制改革の経済効果は8分野の上限値になっているのか。他への波及効果は組み込まれているのか。逆に8分野を限定的に分析しているのなら、そうした前提を明確に記述すべきである。
→波及効果は計測していない。8分野を限定的に計測したものである。
(2)今年度の論点公開の進め方案及び見解の総論のまとめ方案について、事務局から討議素材の説明があった後、自由討議が行われた。その際、情報化(IT)タスクフォース及び環境問題タスクフォースの議論の状況について、それぞれの進行役を務める委員から報告があった。
(ITタスクフォースの状況)
- 既に3回の会合を開き、現在、各メンバー委員・参与の関心事項を各関連WGに振り分ける作業を行っているところ。
- 各委員の関心事項はかなり広い分野にわたっているが、これを各関連WGに単に振り分けるだけでなくできれば何か横断的な視点で整理する視点をも併せて提示したいと思っている。例えば、電子商取引については、インターネットの普及により現在は技術的に可能となっているにもかかわらず、商取引は対面で行わなければならないとか、書面を交付しなければならないなど法制度がこの動きに取り残されているのではないかといったイメージである。インターネットの活用によってある面では情報の非対象性が大きく改善されることにより、従来の規制改革で取り上げてきたものとは違った仕組みが必要であるという切り口での検討も考えている。
(環境問題タスクフォースの状況)
- 環境の利益を享受する消費者は、将来の生活者であるということから始まって、環境問題が持つ時間的・空間的広がりの大きさ、不確実性の高さ等の特色を踏まえ、求められる環境政策はどのようなものかという総論の議論している。メンバー委員・参与から提出された個別関心事項は、非常に幅が広く他のWGに関連するものも出されている。
(自由討議における主な発言)
- 総論では、イッシューについては、国民に対し分かりやすさを期すために、まず個別テーマを整理した上で重要と考えられる部分はどこであるのかを示し、ここをイッシューとして決定したという論理展開が必要。
- 総論では、委員会として規制改革により変革される社会のあるべき姿を示すべきではないか。
- 委員会の特徴は各論をコツコツやること。経済戦略会議のような提言型の審議会とは異なり、自ら今まで着実に何をやってきたのか、今後何をやるべきかという形で的を絞ったまとめ方が必要である。この意味でもイッシューを中心に具体的なまとめ方が重要である。特にITは競争制限的な規制をなくす、環境は競争の枠組みを作っていくというコントラストがあり、まとめる上で面白いのではないか。
- 行革委員会から現在までの委員会の指摘事項を示す際には、指摘事項の中で実際に実現したものは何か分かるようにするべき。つまり成績表である。
また、利害関係者とのやりとりでは、規制改革に対し新自由主義であるという批判があるが、これに対してはきちんとセーフティーネットのための規制改革も提案しているという反論をすべき。利用者、消費者の視点で物を考えるのは重要であり、これは誰も抵抗できないはずであるので強調すべきである。
- 委員会のこれまでの活動はコツコツとしたものであることを示した方が良い。今年は少し違うということを言いたいとしても、これまでのような総論を書いても誰も読まない。委員会の特色をベースにしたものを書くべき。今年情報化(IT)と環境をイッシューとして選んだが、広がりが大きいのでまとめ方が重要となる。
- 医療分野は課題が多いが、政治力学的な問題から実現可能性という点で難しいものが多い。批判論者の意見も強く、公開討論会のようなものをやって議論したが時間の問題から結論づけられなかったという整理もあり得る。この点医療廃棄物に関する問題は分かりやすい。
- あるべき姿を総論として書くことには委員の方々の批判が多いようだが、論点公開の中身はなかなか読まれないので、1分間で短く説明できるような文言を用意する必要があるのではないか。個別具体的なものの前に全体を通じてどのような考えかを簡潔に明らかにするのは当たり前ではないか。
- 総論については、この意見に賛成である。しかしそもそも論じる必要がないというのであれば、例えば経済計画のまとめた総論をそのままもらっても良いではないか。あとは今年度のテーマの一覧表を整理し直して、どこが重要かどうか分かるようにしたものと、今までの委員会の提言の効果とその評価が総論として必要となるではないか。
- あるべき姿から議論して規制緩和を進めていくのは、必ずしも良くないのではないか。米国でも民主党と共和党の考える社会のあるべき姿は全然違うが、党派を超えて規制緩和に取り組むこととなったのは、あるべき社会の姿についてではなく、規制の現状についての批判で一致したからである。その意味で、むしろ今の規制が国民の負担になっているということを明確にすることから始めるのが重要であり、その方が一般の人にとっても分かりやすい。あるべき姿から入ると、どうしても弱者切り捨てではないかというようなイデオロギー的な反対論が出てきやすい。
- 論点公開がマスコミを通じて国民にアピールすることを目的とするならば、マスコミに理解されやすい書き方を工夫する必要がある。中身を国民に示すだけならば、ITを使って常時オープンにしておくことだってできる。マスコミを通じて論点公開の効果をあげることを考えるならば、論点公開のやり方自体をよく議論する必要があるのではないか。
- 今までは論点公開はかなり網羅的であったが、今年はこれまでやってきたことを整理してまだ仕事の残っている分野があることを示した上で、委員会の特色はこうだが、それでもやれなかったことはこの点だと訴えるのもひとつの方法ではないか。
- 今年は規制緩和推進3か年計画の最終年度であり、その後の推進体制等は未確定ではあるが、今年で終わりになるものではないから、何か今後につなげるための工夫が必要である。これまでは個別具体的な事項をギリギリとやって解決してきたが、今年の委員会のまとめには、今後やるべきことを社会に示すという意味も含まれている。実現可能性のあるものと同時に、困難ではあるが乗り越えなければならないものも取り上げていくべきではないか。たとい12月までには結論づけられない事項であっても意欲的に取り上げていく姿勢が必要ではないか。従来の論点公開は、言わば宣戦布告であり、ここまではやるんだという決意表明であったが、今述べたような意味で今年は少し違ってもよいのではないか。
(3)次回の委員会は、6月6日(火)に開催の予定である。
以上
(文責 規制改革委員会事務室)