規制改革委員会
−速報のため事後修正の可能性あり−
第4回規制改革委員会議事概要
- 1 日時 平成12年6月6日(火)14:00〜17:00
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- 2 場所 中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
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- 3 出席者
- (経団連)大賀典雄副会長、立花宏常務理事
- (連合)成川秀明総合政策局長、片岡正男社会政策局長、熊谷謙一労働法制対策局長、根本良作経済政策局長
- (米国)トーマス・S・フォーリー駐日米国大使、ケビン・E・ホーナン代理経済担当公使、J・グレゴリー・ブリスコ経済担当書記官
- (EU)オブ・ユールヨーゲンセンEU代表部大使、ミヒャエル・プルヒ参事官、エリス・マシューズ一等書記官、フィリップ・デュポンテイユ二等書記官
- (公正取引委員会事務総局)上杉秋則経済取引局取引部長、山木康孝取引部取引企画課長、酒井享平審査局管理企画課長
- (委員会)田中一昭(宮内委員長欠席のため司会)、石倉洋子、河北博文、神田秀樹、後藤晃、鈴木祥弘、西村清彦、野口敞也、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントンの各委員、川渕孝一、永井信夫、宮村鐵夫の各参与
- (事務局)斎藤内閣審議官、瀧上行政管理局長、坂野総務庁長官官房審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員、熊埜御堂主任調査員
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- 4 議事次第
- (1)経団連からのヒアリング
- (2)連合からのヒアリング
- (3)米国からのヒアリング
- (4)EUからのヒアリング
- (5)公正取引委員会からのヒアリング
5 議事概要
(1)経団連大賀副会長ほかから、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(経団連からの説明)
- 昨年度経団連が政府に提出した要望のうち、規制緩和推進3か年計画の再改定に盛り込まれなかった事項、盛り込まれたが十分な対応がなされなかったと我々が考えているものが少なからずあるが、これらは重要度の高い要望であり、経団連としては、引き続き重点的に貴委員会に検討をお願いしたい。また、今年度は、規制緩和推進3か年計画の最終年度であり、規制改革委員会の個別具体的検討課題の選定に当たっても、「経済的規制は原則撤廃、社会的規制は必要最小限」との規制改革の原点に立ち戻って、参入規制、設備規制、価格規制など取り残された課題の見直しに取り組んでいただきたい。
- 緊急的に取り組むべき課題として最も重要なものは、経済のIT化(情報化)である。規制改革委員会では、今年度、ITタスクフォースを設置して幅広い見地から問題点の洗い出しを行っていると承知しており、その中で是非経団連の提言も反映させていただきたい。
- 規制緩和推進3か年計画が終了した後も、改革の継続という意味では、新たな規制改革のアクションプランを策定し、規制改革の推進を継続することが重要である。同時に、規制改革を強力に推進していく仕組みが必要である。規制改革の実施状況を監視するとともに、制度改革に関連する問題を含めて検討し、必要に応じて、他の主要課題についても一体的に取り組むことのできる強力な仕組みが必要ではないかと考える。来年度以降の推進態勢については、経団連としても検討を進め、時期を見て、各方面に働きかけていきたいと考えている。
- 日本経済の構造改革を進め、経済を新しい軌道へ乗せるためには、規制改革は最重要課題と考えており、今後とも規制改革委員会の活動を最大限支援していく。
- 具体的には、今回の規制緩和推進3か年計画の再改定では、年金分野、医療・福祉分野、農業分野などにおいて、経団連要望のほとんどが実現されていない。少子高齢化の急速な進行、これに伴う医療コストの増大、農業の国際化等を背景にして、これら分野の改革の必要性は高まっている。郵便事業の民間参入についても、検討をお願いしたい。
- 「IT立国に向けた提言」を取りまとめた背景には、IT革命が世界的規模で進行している事実がある。IT(Information Technology)は、単に仕事の効率化やサービスの向上のみならず、電子商取引の急速な拡大、雇用の仕組み、ビジネスプロセスの変化に見られるように、経済社会の構造を変革し始めている。したがって、21世紀における日本経済の発展もIT革命の帰趨にかかっている。IT化は7月の沖縄サミットの主要テーマであり、日本がITの積極的な活用を行い議長国にふさわしい取組を示すことが不可欠であると考えている。
- IT革命推進のための国内的課題については、日本を世界最先端のデジタル・オポチュニティの国にするための環境整備が必要である。例えば、情報通信者の競争を確保する観点から、事業規制法の体系から競争促進法の体系に転換することが重要である。また、通信と放送の垣根が無くなり、一体的なサービスの拡大が予想されていることから、通信・放送を総合的に捉えた法制の整備も必要である。さらに、現行の制度や規制は、書面交付、対面での取引、事務所の物理的存在を想定しており、このためIT革命の足かせとなっている面があることから、電子商取引の特質に応じたルールを集中的に整備するべきである。貴委員会には既に書類の電子化及びIT化に対応した現行規制等の見直しに関して31項目の要望の概要を提出した。米国では、昨年11月より、ゴア副大統領がIT革命に対応していない制度や規制を政府全体で取り組んでいる。ITはスピードが重要であるので、米国から更に立ち遅れることのないよう、規制上の足かせを外すことは急務である。
(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:経団連の応答)
○政治のリーダーシップが必要であると資料にあるが、欧米の政府で実際にCIO(Chief Information Officer)を任命している例はあるのか。
→例えば、米国のゴア副大統領が正にそれに相当するのではないか。彼が「情報ハイウエイ」を打ち出したのは7年前であり、日本はその点でもかなり遅れている。
○「事業規制法から競争促進法へ」に関連して、日本では、この分野では郵政省が言わば産業政策・競争政策の両面の機能を担当しているが、産業政策と競争政策とを担当する組織が別々であるべきと考えるか。
→来年1月の省庁再編後を見て判断したい。政府のマンパワーの配分は、参入チェックの部分からマーケット監視やルール作成に重点を移していただきたい。また、公正取引委員会と郵政省の連携も期待したい。
○IT化を進めるためには、全ての人たちのマインドを変えなければならない。電子政府となっても、提出する側がそれに対応できないと意味がない。大企業は大丈夫だろうが、中小企業等への啓蒙が重要ではないか。
→御指摘のとおり。啓蒙の点については、経団連としても考えていきたい。電子政府への取組に関連して、経団連では、今月半ばに政府と共に「電子政府セミナー」を開催した。
(2)連合成川総合政策局長ほかから、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(連合からの説明)
- 規制改革に対する連合の基本的な考えは、厳しい雇用状況の中で、特に雇用をどう創出するのか、地域の活性化をどう作り出すのか、新規産業の振興をどう図るのかということに役立つ規制改革を行っていただきたいということである。また、規制の在り方として、消費者や労働者の安全・健康の確保、環境の保全、災害の防止などの社会的ルールについて透明で目的が担保されるものにしていただきたいと考えている。具体的には、以下のとおり。
- 競争政策分野においては、下請代金支払遅延等防止法で保護をされているが、役務等を含む適用範囲を拡大すべき。
- 交通・運輸分野においては、需給調整規制の廃止等により、バス・タクシーの雇用者の労働条件が厳しくなっている。バス路線についての「地域協議会」には労働者代表・地域住民代表の参加を保証し、法的な位置付けを明確にするべき。車庫証明については、車両代替時には書面審査を基本とし、ユーザーの負担を軽減すべき。ナンバープレートについても、車両代替時に継続できる制度に改めるとともに、国際的サイズに統一すべき。車検については、土曜日の実施や時間延長をすべき。自賠責保険の政府再保険については、無保険車や重度後遺障害者等への被害者保護を確保することを前提に廃止の方向で検討すべき。船員の脱船逃亡を生じた船舶に乗船している他の外国人船員に対して上陸禁止としている措置を撤廃すべき。
- 情報通信分野においては、電子決済・電子マネーにかかるルールの策定をすべき。コンピュータ犯罪については刑法や不正アクセス禁止法で対処しているが、コンピュータ情報の不正入手・漏洩については法整備を急ぐべき。
- 金融・保険分野については、企業年金制度において受給権を保証するべき。銀行による保険販売については、保険審議会報告を尊重し、慎重に検討すべき。
- 雇用・労働に関する規制改革については、安心して働けるルールを明確にする必要がある。企業再編に伴い安易な雇用継続の停止、解雇が見受けられるが、企業再編の場合に解雇の禁止、労働条件の不利益変更の禁止、労働者代表の権利義務の継承、労働組合の事前協議義務などについて法制化を急ぐべき。労働組合の無い中小企業では、それに代替する従業員代表制度を作るべき。雇用形態による差別を禁止するルールを整備すべき。雇用保険や年金など社会保障制度が全員に適用させる制度を整備すべき。
- 医療福祉に関する規制改革では、インフォームド・コンセントの努力義務を作為義務化するべき。医療保険の保険者機能を強化すべき。医療の広告・広報について、患者が知りたい情報を提供できるようにすべき。准看護婦と看護士の制度を廃止し、看護制度の一本化を図るべき。障害を欠格事由としている資格制度について、欠格条項を見直すべき。
- 環境に関する規制改革については、2002年に実施予定である排出基準を前倒しして適用すべき。
- 土地・住宅に関する規制改革については、乱開発防止のため、都市計画を活用すべき。敷地の集約化等のため、特定用途制限地域制度を積極的に活用すべき。公営住宅の入居者資格として、単身者を受け入れるべき。
- 教育に関する規制改革については、教科書を学校単位で採択できる制度に改めるべき。教科書検定については、検定意見・不合格理由の電子情報化を推進して国民に説明するべき。インターナショナルスクール等の各種学校等で当該国が本国と同等の教育を行っていると認定する学校については、自動的に資格を認めるべき。障害者と健常者が共に学ぶため、「特殊教育」の在り方を見直すべき。公的資格や受験資格の学歴要件を除去すべき。
- 司法に関する規制改革については、国民に開かれた、国民が利用しやすい司法制度にするため、資料の項目を推進するべき。
- 個人情報の保護については、早急に包括的な個人情報保護法を制定し、プライバシー侵害を防止すべき。
- 最後に、規制改革の進め方については、事前の政策評価として、そのマイナス影響に対策を準備して政策決定を行うべきである。事後のフォローアップにおいて、問題が発生している場合にも、改善策を迅速に打ち出すことが重要である。
(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:連合の応答)
○企業は構造改革を進め、合併などの意思決定においてスピードが重要となっている。雇用の流動化が前提となって、法規制を再構築するという観点から、こうした要望が書かれているのか。従来のように企業に引き続き雇用されるという前提で書かれているのか。基本的考えを教えていただきたい。
→我々は雇用の安定を目的としている。人がいない組織は無く、人が生かされる組織を作ることを労使で協議している。再編の場合であっても、労使の協議が重要である。産業の盛衰の中で、職業の変更も止むなしと思っているが、それを第一にするのではなく、人の能力を生かすという観点で規制改革を考えている。
(3)フォーリー駐日米国大使から、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(米国からの説明)
- 日米二国間で「強化されたイニシアティブ」の3年目を締め括る作業を進めているが、その中で、いくつかの分野についてなお課題が未解決のままである。その一つが電気通信である。「強い電気通信分野」はいかなる主要国においても絶対的に重要なものとなっているにもかかわらず、NTTの相互接続料金について、また線路敷設権及びアンバンドリングなどの案件において日米両国がいまだに意見の相違を解決できずにいる。我々が目標とするものは、「2年前のバーミンガム・サミットにおいて日本政府が合意したとおり、NTTの相互接続料金の算定にあたってはコスト・ベース方式を採用する」ということである。NTTによる支配を許しておくことは、インターネットや情報技術の時代において諸外国と競争するための日本の能力は著しく損なわれ、また日本より開放的で競争的な電気通信市場を有するアジア諸国にさえ遅れをとっている。
- 次に、我々は、日本は規制改革を先送りしようとしているのではないかという懸念を持っている。日本は現在、規制緩和推進3か年計画の最終年に入っているが、全省庁にわたる新しい規制改革行動計画の策定に向けての準備・意思表明はまったく出来ていないようだ。
- 規制改革というプロセスが常に抵抗を受け、政治的圧力にひるみがちになることは理解できるが、現在は、日本が規制改革を省略したり、見直したりするような時期ではないと考えられる。したがって、我々が、日本における規制改革に向けた努力を継続し、更に拡大するために役立つと信じる3つの展開(期待)について表明したい。すなわち、1)強力な政治的支持に基づく新たな規制改革3か年行動計画の策定、2)規制改革を代表する委員会の重要な職責について、それを継続する権限が更新されること、3)日米二国間の「強化イニシアティブ」協議の下での前向きかつ実質的な作業を更に一年延長することに日本政府が同調すること、である。
- 「強化されたイニシアティブ」協議を早計に終了することは、規制改革に向けた多くの機会が失われることを意味する。特に貴委員会に対しては、日本政府との会合の場でこの内容を強く勧奨していただくことを希望する。
- 日本におけるこれまでの規制改革についての実績は価値あるものであるが、更に見直さなければならない過剰規制の分野も多く残っており、また改革が必要な時代遅れの慣行も多く見受けられる。したがって、日本にとっては、規制改革を一休みさせる時期ではないということを再度申し上げたい。OECDは、昨年の報告書の中で「日本による迅速かつ強力な行動は、経済成長を再開することを助け、長期的に維持可能な成長のための新しい基盤を構築することに貢献する」と述べているが、これは賢明な助言であると考える。
(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:米国の応答)
○これまでの規制改革委員会の活動について評価していただいていることに感謝する。他方、依然重要な課題が未解決のままであり、その一つがNTTの問題という話をお聞きした。NTTについては、今政府間で議論をしているが、その他に米国側としてはどのような課題が未解決のままと見ているのか教えていただきたい。
→電気通信の問題は、強化された規制緩和のイニシアティブの下で今年解決されるべきものであると思っているが、なお未解決である。将来のことを見てみると、住宅や医薬品・医療機器の問題でさらにフローアップしていくべきものがあると考える。これまで私どもでは、規制改革の分野・項目に優先順位をつけることはどちらかというと躊躇していたが、経済活動の生産性・効率性に与える影響の大きさを考えれば、電気通信は本当に重要な分野である。したがって、この分野においては特別の考慮がなされていいのではないかと思う。
○電気通信の分野において、何らかもう少しドラスティックに進めるやり方があるとすれば、どのようなものか。
→規制緩和を直接的に刺激するようなイニシアティブが出てくるならば、それを歓迎するし、私としてもそれを是非見てみたい。しかし、現状を見ると、例えば貴委員会についても将来追加的なマンデートを与えられているというわけではないようであるし、また、日米両国間の強化されたイニシアティブももう終わりに近づいてきている。そのほか、今後規制緩和を進めているにあたってのモーメンタムについても、関心をもっているというシグナルを日本政府は出していない。日本政府及び日本内外から、規制改革の過程は終わったという感じでもう続けていくのは難しいというシグナルが出てきているようにも見受けられる。日本の経済において、規制を削減するような追加措置が更に取られればより良いと思う。競争政策・流通などにおいて、さらに透明性というものが出てくれば、外国からの投資などにもそれを奨励していくものになるであろう。かつては、日本に対する直接投資は低いものであった。OECDの中でも一番低い直接投資しか入ってきていない。それが、ここ2年間で変化しており、海外からの投資は確実に増えてきている。私は、この日本へのFDI(外国からの直接投資)をさらに増やしていくことが望ましいと思っている。特に規制緩和によってそのようなものが出てくればより良いと考えている。
これに関して一つ大変驚いたことがある。FDIが国別に見てどこから入っていているかというと、昨年フランスが第1位であり、米国が第2位であった。これを見ても、日本に対する直接投資は非常に高い関心が表れている。日本における投資環境が適切であるならば、これからもFDIはどんどん増えて、それが日本にとっても有益であると考えている。
○誤解があるといけないので、御説明申し上げたい。規制改革委員会には設置期限は設けられておらず、したがって、3か年計画が終了しても引き続き存続する。しかし、ポスト3か年計画の仕組みをどう考えていくかについては、今後議論していかなければならない。いずれにしても、自動的にこの委員会が消えてしまうわけではなく、規制改革推進のための活動を続けていくことになる。
→今の話を聞いて大変安心した。3か年計画が終了しても、皆様の仕事が継続し、規制緩和のフォローオンがなされていくことを希望する。しかし、同時に次のような懸念を持っている。日本政府や他の人の行動によって、規制緩和の精神がとまるのではないかというシグナルが送られていることである。そして、それによって、みんなが規制緩和の弾みがとまってしまうと読んでいることである。事実、日本の国会議員の中には、規制緩和は十分に行われたので、このあたりで小休止したらいいのではないかという提案をしている人もいる。そのような人の声が大きな影響力をもって、規制緩和の努力がとまってしまうという方向も十分にあり得るわけである。私としては、そのようなことに逆行することなく、今まで成し遂げたことをこれからもやっていただきたいと考えている。
○ストレートに言っていただき、誤解も解いていただいたと考えている。マンデートとは権限というよりはむしろ使命である。今後も引き続いてやっていきたいと考えている。それから、"Recalcitrant Bureaucracy"を「保守的な官僚組織」と訳しているが、本来の意味は「頑固で何もやらない官僚組織」であり、ストレートに大使にお返ししたい。
→ときどき強く反対するという感じで言わせてもらった。日本の官僚は、非常に優秀で、効率よく物事を解決していくが、何かやりたくないことがある場合においても、彼らのすばらしさが反映されているように思う。きちんとした態度も取るし、ゆっくり物事を進める場合や、保守的な解釈をする場合もあるが、対象が何であれ、日本の官僚の方々は仕事を上手にする。
私が、このような形容詞で申し上げるときは、誠実に申し上げている。他国と比べても、フランスのように、もっとも優秀な大卒の方々を政府が引き受けていると思う。その意味で官僚の方々は、Best and Brightestである。
(4)在日EU代表部オブ・ユールヨーゲンセン大使から、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(EUからの説明)
- 本日は3つのテーマについて申し上げる。第一に、再改定された規制緩和推進3か年計画について期待どおりであったか否かを含めたコメント、第二に、未解決のテーマのうち最優先課題と考えているものについて、第三に、規制改革を継続していくためのいくつかの提案である。
- 日本経済の本格的な回復のためには、規制改革を含めた構造改革が不可欠であると多くの識者が指摘している。規制政策が中心的な役割を担うはずであるが、その意味でNTTの民営化が競争促進の観点から効果的であったかどうかには疑問がある。独占的な地位を排除させるために、市場ルールをどのように作るかという問題であり、接続料金の問題の本質はここにある。
- 再改定された規制緩和推進3か年計画は全面的に歓迎できる内容ではない。いくつかの分野で前進が見られる一方で、そうでない分野も存在する。
評価できる点としては、以下の三つがある。一つ目は、規制緩和項目の半分以上が、規制改革委員会からの提言であったこと、二つ目は、規制を維持することのコストを考慮した分析を重視した点、三つ目は、内外の提言を広く受け入れていることである。
努力を要する点として、競争政策における執行の強化と通信分野の規制改革とがある。また、EUからの提言が3か年計画に含まれた割合は、34%から38%とあまり改善されていない。
- 次にEUとして、優先的に検討を希望する分野を挙げたい。一つは競争政策である。独占禁止法の適用除外の削減や民事的救済制度の導入については評価すべきものであるが、一方で競争政策の効果的な執行や罰金の確保については前進が見られない。課徴金が当該商品の売上げの6%というのは低いのではないか。
- 投資環境の改善も重要なテーマである。日本への直接投資は増加しているとはいえ、水準は低い。行政指導や行政手続、事業慣習などが障壁となっている。このような問題の解決を図っていくかどうかが、規制改革が起業家にとって有益なものなのかどうかの試金石となる。その意味で、ヨーロピアン・ビジネス・コミュニティーが最近発表した資料が参考になると思う。
- 個別分野では2つのテーマを挙げたい。一つは、電気通信の問題である。NTTは、予想以上の利益を計上した今こそ接続料金の大幅な引下げに踏み切るべきである。いまだにNTTの経営戦略は地域回線を収益源として保持していくことのように思える。電気通信分野において、既存の企業と新規参入者が公平な機会を持てるようなルールを作ることが、日本政府にとっての重要な規制に関する課題の一つである。
- 個別分野において、外国人弁護士の問題は道が開き始めている。法務省が外国人弁護士と日本の弁護士が総合的な法務サービスを提供することの検討を進めていることが再改定計画に記載された。また、最近出された通産省の研究会報告において、外国と国内の弁護士のパートナーシップにおける制限や、外国弁護士事務所による日本人弁護士の雇用制限の廃止について触れられたことを評価している。また、自民党の最近の報告でも日本企業における国際的な司法サービスの必要性について触れられた。法務省の今後の検討に期待する。
- 最後に、規制改革の今後の在り方について申し上げる。政治的なレベルにおいて、2001年3月以降も規制改革が継続することについて声明が出されるべきである。規制改革は未だ道半ばであり、電気通信分野では新しい規制の概念が必要である。また、例えば大店立地法のように国レベルで取り除かれた規制が地方レベルで復活するおそれがあるものもある。また、規制改革委員会の機能を強化することも必要である。欧州委員会としては引き続き規制改革に積極的に関与していくつもりである。
(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:EUの応答)
○環境問題に関するEUにおける検討内容を伺いたい。
→幅広い検討を行っているので、個別の内容を後日知らせて頂ければ資料を提供できると思う。
○競争政策において何が一番大きな問題と考えるか。
→執行の在り方である。厳しい罰則が不足している。
(5)公正取引委員会上杉取引部長、山木取引企画課長、酒井審査局管理企画課長が出席し、規制緩和後の市場における公正な取引の確保のための取組として、不当廉売の取締まりをめぐる問題を中心に説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(公正取引委員会からの説明)
独占禁止法45条1項に基づき、同法違反の事実ありと考えるときは誰でも申告ができることとされており、実際に毎年1500から2000件の申告がある。その場合、公正取引委員会は、同条に基づき、必要な調査を行わなければならず、また、具体的な事案を指摘した申告に対しては、その措置についても通知しなければならないとされており、法律上申告を放置しておくことは許されていない。
(質疑応答)(○:委員・参与の質疑・意見、→:公取委の応答)
○規制緩和によって価格競争が盛んになったにもかかわらず、不当廉売の取締りを通じて結果的に公取が競争をやめるように言っていることと同様になっていることを心配する。注意をした結果、価格がどうなったかということについて、フォローアップをしているのか。
→多数の情報提供があり、それを迅速に処理することを求められている。したがって、そこまでのフォローアップはできていない。
審査に際しては、価格そのものの水準ではなく、価格が仕入れ値を下回っているかということなどに基準を置いている。また、迅速な対応を求められており、価格の水準は我々の中心的な関心事項ではない。価格変動の中、新しい申告があったときに、新しい価格水準に対応するという状態である。
○事業活動を困難にする恐れがあることが、なぜ不当廉売の要件になるのか。これは、価格競争そのものを否定しているのではないか。経済学者や米国は、他の企業を潰した企業が市場で独占的に価格を上げるということを問題にしている。そうでなければ、安売りはほっておくということが、基本的なスタンスと考えるがどうか。
→独禁法2条9項及び最高裁の判例から見ると、委員が指摘したような運用しかできないとは思わない。むしろ、今の運用よりもっと強くしてほしいとの声が強い。フランスには仕入れ価格を割って販売した場合には処罰するという規定があり、同様の規定を導入できないかという国会質問もあったところである。
○要件を明確化するという意味で、警告に持ち込めないのならいっそ何もしないという断固たる対応は取れないのか。注意の法的な位置付けは曖昧で、はっきりしない。注意についての考え方はあるか。
→仕入れ価格を基準とするという方針に変わりはない。独禁法の執行官庁であり、申告がなされた場合、それに適切に対応することが必要であると考えている。注意の対象は、不当廉売だけでなく、他の一般的な事案についても、法的措置、警告、注意を行っている。
○リベートの取扱いについてはどうなるのか。また、競争事業者の実質的な競争を困難にするという運用であるなら理解できるが、影響要件についてはどのような運用をしているのか。
→リベートは差し引いて実質的な仕入れ価格を算出している。個別に影響要件を見ていると、迅速な処理ができない。また、影響がはっきりしない場合は警告にとどまる。
○注意の発出件数が非常に多く、公取委が本来やるべき業務が十分できていないのではないか。申告すれば得をするといった間違った考えを蔓延させる結果になっていないか。
→注意が多いということは、申告が多数寄せられていることの結果であろうと考える。
○申告が多すぎるのではないか。ということは、言っても無駄であるということを分かってもらわなければいけないのではないか。
→相手方に考え方を説明しており、無駄であるとは考えていない。
○事業活動を困難にするというのは、実質的な競争を困難にするということが本来の趣旨であると考えている。要件そのものをもっと明確化する必要があるのではないか。
→小売業の不当廉売に関するガイドラインの中で、供給に要する費用を著しく下回る価格とは、一応仕入れ価格を基準とするとしている。仕入れ価格を下回った場合には競争事業者の事業活動が困難になることが多いということで、処理を行っている。
○申告件数は年間2000件程度と変化していないのに、警告と注意の件数が4倍以上に増えていることは、その基準が変わったのか。
→基準は変わっていない。有効な申告が増えたということである。
○実際には、在庫一掃サービスなど、現実に黒字で売ることが困難な場合もある。そのような行為についてまったく定義に入っていないが、どのように考えているか。
→店閉まいのように正当な理由があるときは、不当廉売に該当しない。価格要件は、実質的なリベートを控除した仕入れ価格が一応の目安になっている。仕入れ価格を割っていると同様に判断できる場合も同じである。
○商品を売り込むとき、コストを割っていることは一般的に言ってあり得る。また、割った価格でどうしても売らなければならない場合もある。そのようなことを考慮すると、単に仕入れ価格を割っているということだけを基準にすることはいかがなものか。
→仕入れ値より低い価格ということはまったく元が取れていないということであり、本来そのような価格であれば、長く売り続けられないはずである。
○最近ネット販売が盛んになっているが、そこに影響要件を当てはめられると、本来のネット販売のメリットがなくなってしまうと思うが、その点についてはどのように考えるか。
→特定の業界で不当廉売が起こってきているため、それに集中して対応している。ネット取引について、特に摘発しているわけではないし、今のところ申告も無い。懸念はないと思う。
○注意等の処分をした場合、再発はないか。
→再発の状況はある。注意を喚起したということは、続けていたら問題になるおそれがあるということである。このため、もっと厳しく規制できる法体系にすべきという声もある。
(以上)
(文責 規制改革委員会事務室)