規制改革委員会

−速報のため事後修正の可能性あり−

第4回規制改革委員会議事概要



1 日時 平成12年6月6日(火)14:00〜17:00
 
2 場所 中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
 
3 出席者
(経団連)大賀典雄副会長、立花宏常務理事
(連合)成川秀明総合政策局長、片岡正男社会政策局長、熊谷謙一労働法制対策局長、根本良作経済政策局長
(米国)トーマス・S・フォーリー駐日米国大使、ケビン・E・ホーナン代理経済担当公使、J・グレゴリー・ブリスコ経済担当書記官
(EU)オブ・ユールヨーゲンセンEU代表部大使、ミヒャエル・プルヒ参事官、エリス・マシューズ一等書記官、フィリップ・デュポンテイユ二等書記官
(公正取引委員会事務総局)上杉秋則経済取引局取引部長、山木康孝取引部取引企画課長、酒井享平審査局管理企画課長
(委員会)田中一昭(宮内委員長欠席のため司会)、石倉洋子、河北博文、神田秀樹、後藤晃、鈴木祥弘、西村清彦、野口敞也、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントンの各委員、川渕孝一、永井信夫、宮村鐵夫の各参与
(事務局)斎藤内閣審議官、瀧上行政管理局長、坂野総務庁長官官房審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員、熊埜御堂主任調査員
 
4 議事次第
(1)経団連からのヒアリング
(2)連合からのヒアリング
(3)米国からのヒアリング
(4)EUからのヒアリング
(5)公正取引委員会からのヒアリング

5 議事概要

(1)経団連大賀副会長ほかから、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(経団連からの説明)

(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:経団連の応答)

○政治のリーダーシップが必要であると資料にあるが、欧米の政府で実際にCIO(Chief Information Officer)を任命している例はあるのか。
→例えば、米国のゴア副大統領が正にそれに相当するのではないか。彼が「情報ハイウエイ」を打ち出したのは7年前であり、日本はその点でもかなり遅れている。

○「事業規制法から競争促進法へ」に関連して、日本では、この分野では郵政省が言わば産業政策・競争政策の両面の機能を担当しているが、産業政策と競争政策とを担当する組織が別々であるべきと考えるか。
→来年1月の省庁再編後を見て判断したい。政府のマンパワーの配分は、参入チェックの部分からマーケット監視やルール作成に重点を移していただきたい。また、公正取引委員会と郵政省の連携も期待したい。

○IT化を進めるためには、全ての人たちのマインドを変えなければならない。電子政府となっても、提出する側がそれに対応できないと意味がない。大企業は大丈夫だろうが、中小企業等への啓蒙が重要ではないか。
→御指摘のとおり。啓蒙の点については、経団連としても考えていきたい。電子政府への取組に関連して、経団連では、今月半ばに政府と共に「電子政府セミナー」を開催した。

(2)連合成川総合政策局長ほかから、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(連合からの説明)

(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:連合の応答)

○企業は構造改革を進め、合併などの意思決定においてスピードが重要となっている。雇用の流動化が前提となって、法規制を再構築するという観点から、こうした要望が書かれているのか。従来のように企業に引き続き雇用されるという前提で書かれているのか。基本的考えを教えていただきたい。
→我々は雇用の安定を目的としている。人がいない組織は無く、人が生かされる組織を作ることを労使で協議している。再編の場合であっても、労使の協議が重要である。産業の盛衰の中で、職業の変更も止むなしと思っているが、それを第一にするのではなく、人の能力を生かすという観点で規制改革を考えている。

(3)フォーリー駐日米国大使から、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(米国からの説明)

(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:米国の応答)

○これまでの規制改革委員会の活動について評価していただいていることに感謝する。他方、依然重要な課題が未解決のままであり、その一つがNTTの問題という話をお聞きした。NTTについては、今政府間で議論をしているが、その他に米国側としてはどのような課題が未解決のままと見ているのか教えていただきたい。
→電気通信の問題は、強化された規制緩和のイニシアティブの下で今年解決されるべきものであると思っているが、なお未解決である。将来のことを見てみると、住宅や医薬品・医療機器の問題でさらにフローアップしていくべきものがあると考える。これまで私どもでは、規制改革の分野・項目に優先順位をつけることはどちらかというと躊躇していたが、経済活動の生産性・効率性に与える影響の大きさを考えれば、電気通信は本当に重要な分野である。したがって、この分野においては特別の考慮がなされていいのではないかと思う。

○電気通信の分野において、何らかもう少しドラスティックに進めるやり方があるとすれば、どのようなものか。
→規制緩和を直接的に刺激するようなイニシアティブが出てくるならば、それを歓迎するし、私としてもそれを是非見てみたい。しかし、現状を見ると、例えば貴委員会についても将来追加的なマンデートを与えられているというわけではないようであるし、また、日米両国間の強化されたイニシアティブももう終わりに近づいてきている。そのほか、今後規制緩和を進めているにあたってのモーメンタムについても、関心をもっているというシグナルを日本政府は出していない。日本政府及び日本内外から、規制改革の過程は終わったという感じでもう続けていくのは難しいというシグナルが出てきているようにも見受けられる。日本の経済において、規制を削減するような追加措置が更に取られればより良いと思う。競争政策・流通などにおいて、さらに透明性というものが出てくれば、外国からの投資などにもそれを奨励していくものになるであろう。かつては、日本に対する直接投資は低いものであった。OECDの中でも一番低い直接投資しか入ってきていない。それが、ここ2年間で変化しており、海外からの投資は確実に増えてきている。私は、この日本へのFDI(外国からの直接投資)をさらに増やしていくことが望ましいと思っている。特に規制緩和によってそのようなものが出てくればより良いと考えている。
 これに関して一つ大変驚いたことがある。FDIが国別に見てどこから入っていているかというと、昨年フランスが第1位であり、米国が第2位であった。これを見ても、日本に対する直接投資は非常に高い関心が表れている。日本における投資環境が適切であるならば、これからもFDIはどんどん増えて、それが日本にとっても有益であると考えている。

○誤解があるといけないので、御説明申し上げたい。規制改革委員会には設置期限は設けられておらず、したがって、3か年計画が終了しても引き続き存続する。しかし、ポスト3か年計画の仕組みをどう考えていくかについては、今後議論していかなければならない。いずれにしても、自動的にこの委員会が消えてしまうわけではなく、規制改革推進のための活動を続けていくことになる。
→今の話を聞いて大変安心した。3か年計画が終了しても、皆様の仕事が継続し、規制緩和のフォローオンがなされていくことを希望する。しかし、同時に次のような懸念を持っている。日本政府や他の人の行動によって、規制緩和の精神がとまるのではないかというシグナルが送られていることである。そして、それによって、みんなが規制緩和の弾みがとまってしまうと読んでいることである。事実、日本の国会議員の中には、規制緩和は十分に行われたので、このあたりで小休止したらいいのではないかという提案をしている人もいる。そのような人の声が大きな影響力をもって、規制緩和の努力がとまってしまうという方向も十分にあり得るわけである。私としては、そのようなことに逆行することなく、今まで成し遂げたことをこれからもやっていただきたいと考えている。

○ストレートに言っていただき、誤解も解いていただいたと考えている。マンデートとは権限というよりはむしろ使命である。今後も引き続いてやっていきたいと考えている。それから、"Recalcitrant Bureaucracy"を「保守的な官僚組織」と訳しているが、本来の意味は「頑固で何もやらない官僚組織」であり、ストレートに大使にお返ししたい。
→ときどき強く反対するという感じで言わせてもらった。日本の官僚は、非常に優秀で、効率よく物事を解決していくが、何かやりたくないことがある場合においても、彼らのすばらしさが反映されているように思う。きちんとした態度も取るし、ゆっくり物事を進める場合や、保守的な解釈をする場合もあるが、対象が何であれ、日本の官僚の方々は仕事を上手にする。
 私が、このような形容詞で申し上げるときは、誠実に申し上げている。他国と比べても、フランスのように、もっとも優秀な大卒の方々を政府が引き受けていると思う。その意味で官僚の方々は、Best and Brightestである。

(4)在日EU代表部オブ・ユールヨーゲンセン大使から、規制改革に関する意見・要望について説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(EUからの説明)

(意見交換)(○:委員・参与の意見、→:EUの応答)

○環境問題に関するEUにおける検討内容を伺いたい。
→幅広い検討を行っているので、個別の内容を後日知らせて頂ければ資料を提供できると思う。

○競争政策において何が一番大きな問題と考えるか。
→執行の在り方である。厳しい罰則が不足している。

(5)公正取引委員会上杉取引部長、山木取引企画課長、酒井審査局管理企画課長が出席し、規制緩和後の市場における公正な取引の確保のための取組として、不当廉売の取締まりをめぐる問題を中心に説明があり、それに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(公正取引委員会からの説明)

 独占禁止法45条1項に基づき、同法違反の事実ありと考えるときは誰でも申告ができることとされており、実際に毎年1500から2000件の申告がある。その場合、公正取引委員会は、同条に基づき、必要な調査を行わなければならず、また、具体的な事案を指摘した申告に対しては、その措置についても通知しなければならないとされており、法律上申告を放置しておくことは許されていない。

(質疑応答)(○:委員・参与の質疑・意見、→:公取委の応答)

○規制緩和によって価格競争が盛んになったにもかかわらず、不当廉売の取締りを通じて結果的に公取が競争をやめるように言っていることと同様になっていることを心配する。注意をした結果、価格がどうなったかということについて、フォローアップをしているのか。
→多数の情報提供があり、それを迅速に処理することを求められている。したがって、そこまでのフォローアップはできていない。
 審査に際しては、価格そのものの水準ではなく、価格が仕入れ値を下回っているかということなどに基準を置いている。また、迅速な対応を求められており、価格の水準は我々の中心的な関心事項ではない。価格変動の中、新しい申告があったときに、新しい価格水準に対応するという状態である。

○事業活動を困難にする恐れがあることが、なぜ不当廉売の要件になるのか。これは、価格競争そのものを否定しているのではないか。経済学者や米国は、他の企業を潰した企業が市場で独占的に価格を上げるということを問題にしている。そうでなければ、安売りはほっておくということが、基本的なスタンスと考えるがどうか。
→独禁法2条9項及び最高裁の判例から見ると、委員が指摘したような運用しかできないとは思わない。むしろ、今の運用よりもっと強くしてほしいとの声が強い。フランスには仕入れ価格を割って販売した場合には処罰するという規定があり、同様の規定を導入できないかという国会質問もあったところである。

○要件を明確化するという意味で、警告に持ち込めないのならいっそ何もしないという断固たる対応は取れないのか。注意の法的な位置付けは曖昧で、はっきりしない。注意についての考え方はあるか。
→仕入れ価格を基準とするという方針に変わりはない。独禁法の執行官庁であり、申告がなされた場合、それに適切に対応することが必要であると考えている。注意の対象は、不当廉売だけでなく、他の一般的な事案についても、法的措置、警告、注意を行っている。

○リベートの取扱いについてはどうなるのか。また、競争事業者の実質的な競争を困難にするという運用であるなら理解できるが、影響要件についてはどのような運用をしているのか。
→リベートは差し引いて実質的な仕入れ価格を算出している。個別に影響要件を見ていると、迅速な処理ができない。また、影響がはっきりしない場合は警告にとどまる。

○注意の発出件数が非常に多く、公取委が本来やるべき業務が十分できていないのではないか。申告すれば得をするといった間違った考えを蔓延させる結果になっていないか。
→注意が多いということは、申告が多数寄せられていることの結果であろうと考える。

○申告が多すぎるのではないか。ということは、言っても無駄であるということを分かってもらわなければいけないのではないか。
→相手方に考え方を説明しており、無駄であるとは考えていない。

○事業活動を困難にするというのは、実質的な競争を困難にするということが本来の趣旨であると考えている。要件そのものをもっと明確化する必要があるのではないか。
→小売業の不当廉売に関するガイドラインの中で、供給に要する費用を著しく下回る価格とは、一応仕入れ価格を基準とするとしている。仕入れ価格を下回った場合には競争事業者の事業活動が困難になることが多いということで、処理を行っている。

○申告件数は年間2000件程度と変化していないのに、警告と注意の件数が4倍以上に増えていることは、その基準が変わったのか。
→基準は変わっていない。有効な申告が増えたということである。

○実際には、在庫一掃サービスなど、現実に黒字で売ることが困難な場合もある。そのような行為についてまったく定義に入っていないが、どのように考えているか。
→店閉まいのように正当な理由があるときは、不当廉売に該当しない。価格要件は、実質的なリベートを控除した仕入れ価格が一応の目安になっている。仕入れ価格を割っていると同様に判断できる場合も同じである。

○商品を売り込むとき、コストを割っていることは一般的に言ってあり得る。また、割った価格でどうしても売らなければならない場合もある。そのようなことを考慮すると、単に仕入れ価格を割っているということだけを基準にすることはいかがなものか。
→仕入れ値より低い価格ということはまったく元が取れていないということであり、本来そのような価格であれば、長く売り続けられないはずである。

○最近ネット販売が盛んになっているが、そこに影響要件を当てはめられると、本来のネット販売のメリットがなくなってしまうと思うが、その点についてはどのように考えるか。
→特定の業界で不当廉売が起こってきているため、それに集中して対応している。ネット取引について、特に摘発しているわけではないし、今のところ申告も無い。懸念はないと思う。

○注意等の処分をした場合、再発はないか。
→再発の状況はある。注意を喚起したということは、続けていたら問題になるおそれがあるということである。このため、もっと厳しく規制できる法体系にすべきという声もある。

(以上)
(文責 規制改革委員会事務室)