規制改革委員会

第8回規制改革委員会議事概要



1 日 時:平成12年9月6日(水) 午前9時30分〜11時30分

2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

3 出席者

(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、石倉洋子、大田弘子、河北博文、鈴木祥弘、田中一昭、西村清彦、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントン、八代尚宏の各委員、永井信夫参与
(事務局)齋藤内閣審議官、宮城内閣審議官、坂野行政管理局長、畠中総務庁長官官房審議官、上村規制改革委員会事務室長、熊埜御堂主任調査員、上田調整官

4 議事次第
(1)大田弘子新委員挨拶及び総務庁行政管理局長等挨拶
(2)酒類販売規制緩和措置の実施時期の延期について経緯説明
(3)第2回IT戦略会議について
(4)電子商取引関係総点検について
(5)規制改革委員会のIT関係中間見解について
(6)産業新生会議について
(7)公開討論実施要項および見解総論のまとめ方イメージについて

5 議事概要

(1)冒頭、川口順子委員の退任に伴い新たに委員となった大田弘子新委員からあいさつがあったほか、事務局で人事異動のあった行政管理局長、審議官等からもそれぞれあいさつがあった。

(2)平成12年3月31日の閣議決定(規制緩和推進3か年計画再改定)に基づく酒類小売販売業免許に係る需給調整規制の廃止措置の実施時期が本年9月1日から平成13年1月1日に4か月延期される旨の閣議決定が8月30日になされ、この決定に至る経緯について総務庁より説明がなされた。また、この閣議決定に対し、規制改革委員会として、8月30日付けの委員長談話という形で遺憾の意を表明したということが報告された。
 委員長談話については、宮内委員長から以下のような発言があった。
・8月中は委員会の開催予定がなかったため、委員長代理をはじめ何人かの委員と相談の上、委員長談話という形で遺憾の意を表明することとした。強く反発するという選択肢も考えられたが、4か月という期間の延長に止まるということを重視した。今回の決定に至る過程では、続総務庁長官が、計画どおりの実施を行うべく終始一貫した姿勢でご尽力されたことに対しては感謝したい。再延長はないということを念押しして、今回はこういう形にした。

 その後質疑応答がなされた。主な質疑応答は以下のとおり。(○:委員、参与の意見、→:事務局の応答)

○酒類販売規制の問題は、今年3月に決着したと思っていたが、何故またここで出てきたのか。
→3月の段階での結論に玉虫色の部分があったためと思われる。

○今回のことから、与党や国会の動きにも留意が必要であるということを踏まえて今後の委員会の活動を行っていくべきではないか。

(3)続いて、8月30日に行われた第2回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議の報告が事務局よりなされた。実際に合同会議に委員として出席した宮内委員長より以下のような発言があった。
・IT戦略会議は出席者が活発に意見表明を行うなど非常に熱気があった。そこで議論されていることは、かなりの部分が規制改革にも関わる問題であり、当委員会の仕事となるものも多いと思う。合同会議においても。委員会として検討依頼されたテーマについては、前倒しを含め早急に検討を行っていく用意があるということを申し上げた。

 続いて質疑応答、意見表明が行われた。主なものは以下のとおり。(○:委員、参与の意見、→:事務局の応答)

○ITを進める上で規制緩和が必要だと言われているが、合同会議で実際に議論されているものは小さなものが多い。むしろITの推進を阻んでいるものは、もっと大きな従来型の制度的規制ではないのか。例えば、再販制度をそのままにしておいてインターネット・ビジネスのコンテンツの自由な流通はない。せっかくITの推進が政府の命題となっているという追い風が吹いているのだから、これを契機にこれまでできなかった制度改革的な規制緩和を思い切ってできないものか。

○全く同意見である。IT戦略会議が技術的な視点に収斂していくのではないかという不安がある。またITを普及させて経済が活性化すれば、もう規制緩和は必要ないではないかという議論をしている人もおり、懸念される。ITと規制改革は代替的な関係にはない。ITを促進するのは大きな制度的改革だという観点から言えば、その場合コアになるのは労働市場の流動化である。労働市場の流動性がなければ、いくら高いIT技術を持っている企業でも成長はできない。米国でITが伸びたのも自由な労働市場があったためである。金融市場と労働市場の自由化なくして真のIT化はできない。

○さらに言えば、ITの基本インフラの自由化も重要である。インフラの部分が整備されれば、コンテンツの部分も進む。

○IT戦略会議で当委員会にやって欲しいと言うことはやらなければならないのは勿論であるが、IT戦略会議の出井議長の問題意識でもある超高速ネットワークの実現のためには、構造改革の実施が不可欠である。また会議の出席者は異口同音に競争政策の重要性を強調している。

○書面交付の義務づけというような電子商取引を阻む細かい規制を検討するというのも非常に重要な問題である。ところで、今春当委員会はITを重要テーマと位置づけ、タスクフォースを作り検討しており、もしIT戦略会議ができなければ当委員会としてIT化への問題点について踏み込んだ指摘をする予定であったが、実際にIT戦略会議ができて、同会議との役割分担はどうなるのか。
→委員会としては、既定路線を粛々と進めることが重要と考える。IT戦略会議は規制改革以外にも広くさまざまな分野を取り扱うが、規制に関することについては、規制改革委員会の議論に反映させるということもあり得る。分担というよりは連携というイメージである。

○リアル・ワールド(real world)とサイバー・ワールド(cyber world)ということを考えるとき、サイバー・ワールドがどういう世界であって欲しいかを考えて、リアル・ワールドの制度等を考えるべき。

○当委員会の役割として、書面交付の義務づけの緩和等の細かい規制緩和をきちんとやると同時に、IT革命とは何であるのかつまりサイバー・ワールドを前提にすれば業法等何がネックになってくるのかということをはっきり述べるべきではないか。

○結局、官中心のIT化では、省庁の根幹を揺るがすような改革は排除するのではないか。そういった部分を外部から監視していくのが当委員会の役割。

○今春行った当委員会のITタスクフォースで、今回IT戦略会議で議論されている問題点は、制度的な改革の必要性のある問題も含め既に整理済みであるはずだ。したがって委員会としては、IT戦略会議のペースに必ずしもとらわれずに改革にどんどん着手すべきだ。韓国ではIT化が急速に進んでいる。電子商取引にしても、商店の取引ではインターネットを介したものが増えてきている。このままでは我が国は著しくIT化に遅れをとってしまう。

(4)続いて、内政審議室宮城審議官から電子商取引促進のための規制改革等諸制度の総点検の現状について、特に書面交付の義務づけについての点検を中心に、以下の説明があった。
・中川官房長官の指示により民間における取引等における法令上の義務付けのある制度についての総点検作業を行った。
・このうち、民−民間で書面交付を義務付けている法律については、電子商取引の可能性のあるものを一括して改正作業を行うべく作業中である。
・改正の趣旨は、現在の書面交付に加えて、電子的手段で行うことについても認めようというものである。

 主な質疑応答は以下のとおり(○:委員、参与の意見、→:宮城審議官の応答)

○電子取引の可能性のあるものについて電子的手段の利用を認めようという趣旨であるとの説明であったが、可能性の有無は本来「官」が判断すべきものではない。むしろ可能性の有無に係わらずすべて電子的手段を認めるという姿勢で挑むべきではないか。
→書面交付を義務受けているものについては全て載せたつもりであり、見直しの対象は広くとっている。ただし、現在の技術ではどうしても電子取引というものを想定できないもの等もあるので、こうしたものは今回の一括法からは除外せざるを得なかった。ただし、今後技術が更に進歩すれば今回除外したものについても電子取引化されるものも出てくるだろう。

○あくまで電子取引は追加的手段なのだから、電子取引の可能性を現在の技術で限定すべきではないと思うがどうか。
→省令で代替できる方法を明記する必要があるが、現在技術的にできないものはこうした省令が制定できないので難しい。仮にどうしてもやろうとすると却って煩雑な手続になってしまう。なお、電子取引は追加的手段だからという説明は我々も各省庁に対して行った。

○個人の確立ができている社会とそうでない社会とではITの使い方が異なるのではないか。日本は未だプライバシー保護が不十分であり、この点をきちっとしていくことが重要。
→プライバシー保護の重要性については認識しており、内政審議室においても個人情報保護のための基本法を検討中である。

○IT化が進んだ場合に、裁判外での紛争処理手続を整備しておかないといけないのではないか。
→電子取引の契約発生時期、錯誤、なりすましの問題やご指摘の紛争処理手続等についても、IT戦略会議における議論を進めてもらい、早急に整備していくべきであると考えている。

(5)引き続き、規制改革委員会のIT関係中間見解案について議論を行った。
 主な意見は以下のとおり。(○:委員、参与の意見)

○今後の変化に対応できるシステム作りという視点も必要。

○書類保存についても、書面交付と同じようなアプローチがあり得るのではないか。各省庁から上がってきたものの中には、支障があってできないと書いているものが多くあるが、そうしたものを含めて、広く国民に公表して、その妥当性について国民に問うてみるべき。そうすることで、各界からの具体的な要望を吸い上げることができる。

○IT化によって規制改革の遅れがより深刻なものとなっており、規制改革の緊急性が一層高まっているという視点が重要ではないか。

(6)次に、産業新生会議の動きについて事務室から報告を行った。

(主な意見)(○:委員、参与の意見 →:事務室の応答)

○産業新生会議の問題意識と当委員会の問題意識とでかなり重なっている部分があるが、それぞれの機関が連携をとりつつ進めていくということでよいのではないか。

○産業新生会議の議論と当委員会の議論とがタイミングの面でずれるようなことがあれば、その点は調整するのか。
→実際の検討作業としては、検討対象となる制度の所管省庁は同じところであり、結論は同じ方向になるはず。タイミング的にもそれほどずれるとは考えていない。

(7)さらに、今年度の公開討論、最終見解の総論部分のイメージについて事務室から報告を行った。(○:委員、参与の意見)

○公開討論は当委員会の活動をPRするせっかくの機会であるので、広報をしっかりやってほしい。

(8)次回は9月12日14時から開催することとなった。

以上
(文責 規制改革委員会事務室)