4 エネルギー

(1)電力供給システムの見直しと競争の促進

 電力供給システムについては、効率化という要請と、エネルギー・セキュリティ、ユニバーサルサービス、安定供給及び環境負荷等の政策課題が両立する新たなシステムとして、小売の部分自由化等が実施されることとなり、本年5月に電気事業法の抜本改正が行われたところである。これにより、従来、事実上の供給区域独占によって、当該区域を担当する電力会社から電力の供給を受ける他に選択肢のなかった区域内の大口需要家が、他の電力会社や、新規参入事業者からも電力供給を受けることが可能となり、電力市場の約3割を占める特別高圧電力需要について、これまでの各電力会社による地域独占供給制度が廃止され、市場競争メカニズムに基づく大口電力市場が我が国に誕生することとなった。

 同法は平成12年3月に施行されることとなっており、今後、大口電力市場に電力を供給する新規事業者(特定規模電気事業者)が参入することになる。その際、電力供給に当たって重要な役割を果たす送電ネットワークについては、これまで当該ネットワークを形成して来た各電力会社と、新たに参入する特定規模供給事業者とが共に同じ条件で使用することとなっているが、実際に特定規模電気事業者が多数参入し、大口電力市場が有効に機能していくためには、託送に係る料金・ルールをどのように設定していくかが重要な意味を持つことになる。

 当委員会は、今年度、こうした託送料金・ルールの重要性にかんがみ、引き続き電力供給システムの見直し状況について注視してきたが、この点については、電気事業審議会基本政策部会においてその後も検討が行われ、その成果が本年10月20日の同部会報告において具体的な形で示されるに至った。

 同報告によれば、託送料金の設定に当たっては、原価計算期間中における経営効率化の成果を織り込んで設定する方式(フォワード・ルッキング・コスト方式)を採用するとし、また、託送費用の特定に当たっては、いわゆるABC(Activity Based Costing)会計の手法によってその客観性・合理性を担保した仕組みとする枠組みを設けることとされている。また、こうした報告を受けて、通商産業省においては、電気事業法施行規則改正案や接続供給約款料金算定規則等、関連する省令案が公表され、パブリック・コメント手続に付されたところである。

 今後は、省令案の確定を経た上で、各電力会社が、具体的な小売託送料金等を接続供給約款として定め、通商産業省に対して届け出ることとなるが、当委員会としては、各電力会社が、定められた託送ルールの枠組みに基づき、託送利用事業者の実態を踏まえたきめ細かい料金メニューを設定することを期待するとともに、行政においても、各電力会社が届け出た託送料金・ルールが、定められた託送ルールに基づいて合理的なものとなっているかどうかを監視し、必要があると判断した場合には変更命令を発動するなど、公正かつ中立的な運用に努めることにより、新しく発足する電力市場が有効に機能するようにすべきである。

 また、これまで各電力会社が自主的に定め、公表してきた自己託送料金についても、小売託送制度の整備に伴い、各電力会社において、同じネットワーク利用制度である小売託送制度と比較して整合性の取れた制度とするなど、必要な見直しが行われることを期待する。また、今後、こうした状況を踏まえ、必要に応じて3年後の検証において、託送制度の在り方について検討すべきである。

(2)ガス事業における競争の更なる導入

 ガス体エネルギーには、都市ガス、簡易ガスやLPガスといった多様な供給形態があり、その効率化を促すためには、ガス体エネルギー全体を見渡して、消費者選択を拡充し、市場競争を通じた効率化を目指すことが必要である。

 ア 都市ガス(一般ガス事業)の休眠区域の見直しと簡易ガスの参入許可基準の明確化

 当委員会は、本年7月の「規制改革に関する論点公開」において、都市ガス(一般ガス事業)の供給区域内に簡易ガス事業者が参入しようとする場合において、消費者による選択の余地を拡大するとの観点から、特に都市ガスの供給区域内でありながら諸般の理由により都市ガス導管が敷設されていない等により事実上都市ガスの供給を受けることのできない区域(休眠区域)については、原則として簡易ガス事業の許可を与えるようにすべきとの問題提起を行った。

 都市ガスの供給区域において簡易ガス事業者が参入しようとする場合の許可は、従来は、地方ガス事業調整協議会への付議が法律上必要とされていたが、同協議会の制度は本年5月のガス事業法の改正により廃止された。これに伴い、今後は、供給区域内に簡易ガス事業者が参入しようとする場合は、行政庁の許可を受けるだけでこれが可能となったが、行政庁においては、同協議会を廃止した趣旨を踏まえ、具体的にどのような基準に合致する場合には許可が出され、どのような場合には出されないのかについて事業者が予見可能性を持ち得る基準を示すことが求められていた。

 この点については、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会において審議が行われ、都市ガス事業者及び簡易ガス事業者の双方の意見を集約しつつ、本年10月の同部会報告において具体的な運用方針が示されるに至った。同報告によれば、まず、休眠区域の取扱いについては、全体普及率が80%に達していない市区町村を対象に実態の見直しを行い、供給区域の見直しが必要と判断されたものについては、平成12年6月末までに、各都市ガス事業者の申請に基づく供給区域の変更許可を行うこととされ、また、今後も一定の条件の下、定期的に見直しを行うこととされた。

 一方、供給区域における簡易ガス事業への参入許可基準についても、需要家によるガス供給者選択を最大限尊重するとの立場に基づき、需要家利益の阻害性(ガス事業法第37条の4第3号)の基準及びガス工作物の過剰性(同法第37条の4第4号)の基準について、例えば分岐可能な既設導管から簡易ガス事業の供給地点群までの距離等の客観的な数値に基づく評点方式によって許可・不許可を判断するとの方針を明らかにすることとしたところであり、本年11月には、こうした方針に基づく具体的な審査基準が策定された。

 当委員会としては、こうした休眠区域の見直し方針が具体的な期限を切って設定されたことを評価しており、今後、該当するガス事業者が自ら休眠区域の見直し申請を行うよう通商産業省においても適切に監督すべきである。また、供給区域内における簡易ガス事業の参入許可に係る審査基準については、こうした定量的な指標を用いた具体的かつ客観的な許可基準が制定されたことを評価する。今後実際に簡易ガス事業者から都市ガスの供給区域内に対する参入許可申請が出された場合には、本審査基準に基づく厳正な運用に努めるべきである。なお、簡易ガス事業の許認可に係る権限は通商産業局長が有しているが、各通商産業局における運用が、本審査基準に基づき統一的に行われるよう徹底すべきである。

 イ LPガス取引の適正化・料金透明化

 LPガス(液化石油ガス)事業については、自然独占性を有する都市ガス等と異なり、行政が料金等を認可する仕組みとはなっていないが、都市ガスに代替し得る競合エネルギー源として、LPガスについても、消費者が料金を知り得るより効果的な仕組みを整備することが必要である。

 この点については、通商産業省も、消費者の選択の自由を一層拡大するような環境整備を図ることが重要との認識を共有した上で、当委員会の問題意識を踏まえて検討を行い、本年10月にLPガスの取引適正化・料金透明化に向けたアクションプランとして、「LPガス取引適正化・料金透明化に向けた措置」を取りまとめた。同措置においては、LPガス料金の透明化への対応として、行政府からLPガス業界団体に対して、LPガス販売事業者ごとに標準的な料金表を作成し店頭に置くなど、料金情報を積極的に提供するよう要請を行い、また、今後も主要各社に対してヒアリングや指導等を行うことにより、消費者が多くのLPガス販売事業者についてその料金やサービスの内容を比較できるような環境整備を進めることとされている。

 当委員会としては、通商産業省における以上のような取組を評価する。今後、同省においては、LPガス事業における更なる競争を促進する観点から、LPガス取引の適正化・料金透明化に関する取組の効果を注視するとともに、必要に応じてLPガス事業者に対して所要の指導を行うこと等により、引き続き競争環境の整備に努めていくべきである。


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