5 情報通信

(1)電気通信の接続や料金の問題

 ア 長期増分費用方式に基づく新たな接続料算定方式に係る問題

 長期増分費用方式とは、実際の費用発生額(ヒストリカル・コスト)によらず、地域通信網を現時点で利用可能な最も低廉で効率的な設備と技術で再構築した場合の費用(フォワード・ルッキング・コスト)に基づいて接続料原価を算定する方式である。長期増分費用方式に基づく新たな接続料算定方式の策定については、規制緩和推進3か年計画(改定)において「できるだけ早期に導入することができるよう、平成12年春の通常国会に所要の法律案を提出する」ことを定めている。当委員会としては、競争促進の観点からその実施状況を注視していく。

 イ インターネット通信料金に係る定額料金の導入の促進

 近年のインターネットの爆発的な普及に伴い、インターネット通信料金に係る定額制度の導入を始めとする料金の低下を求めるニーズが高くなっている。今後の電気通信市場の成長ポテンシャルは大きく、インターネットの更なる普及のためには、一般家庭が支払い可能な料金水準でインターネットが自由に使えることが重要であり、従来の電話線を活用するDSL(デジタル加入者回線)や無線による接続、CATV、衛星など次々に現れる多様なアクセス回線技術の速やかな導入を促進していくべきである。

 具体的には、現在開発と実用化が進みつつあるDSLを円滑に導入し、新規事業者による積極的参入の促進を図るべくネットワークのアンバンドリングと接続条件についての公正な整備を中心として、早急に検討し所要の結論を得るべきである。

 さらに、現在構想の出ている電話線を利用する代わりに家庭への接続を無線で行う方式については、多彩なメディアの出現として歓迎し、その積極的な利用に向けて技術的な検討等の環境整備を進めていくべきである。

 ウ 第一種電気通信事業者の利用可能なネットワークの柔軟性確保

 第一種電気通信事業者による他者回線利用については、現行制度の下で、1)破棄し得ない使用権(IRU)、2)相互接続、及び3)業務委託により可能となっている。第一種電気通信事業者の中には、電気通信事業法との整合性の下に、これらの利用の柔軟性を求めるニーズがある。

 この点については、本年内を目途に明確化のためのマニュアルが作成される予定とされているが、電気通信事業者による回線調達方法に関する理解の一層の促進を図り、透明性を確保することが重要であるとの観点から、当委員会としてもその状況を注視していく。

 エ 公正競争条件の整備および利用者利便の確保

 利用者が契約する電気通信事業者を変更しても、これまで使用していた電話番号を引き続き使用できるようにする番号ポータビリティの導入や、利用者が電話のサービスを利用する場合に、あらかじめ事業者を選択し登録しておけば、当該事業者の事業者識別番号のダイヤリングを省略して通話が可能となる事業者選択制(優先接続)の導入は、電気通信分野における公正競争条件の整備及び利用者利便の増大の観点から重要である。これらの制度については、導入のための必要な措置を講ずることとされており、当委員会としてもその検討状況を注視していく。

(2)電波の有効利用

 近年、携帯電話等の移動通信システム、加入者系無線アクセスシステム、無線を利用したインターネット構想など、無線による電気通信が特に注目されるようになってきた。このような電波の特性をいかした無線通信の発達は、経済社会の発展、国民生活の充実のための原動力として期待されるとともに、光ファイバや銅線を敷設するより低コストであり、多様なサービスを提供することから、地域通信市場における有効競争の促進に重要な役割を果たすと考えられる。

 有限希少な電波資源を一層有効に活用するために、周波数の割当方式の在り方について検討することは、21世紀の我が国における情報通信の在り方をも左右する極めて重要な課題である。

 近年の技術革新に伴う第3世代移動通信(IMT-2000)など新システムの開発、電気通信市場における競争の進展等から、電波利用ニーズが増大し、周波数が逼迫してきている。このため、周波数資源の開発等新たな電波の有効利用技術の開発・導入、既往の用途別周波数の再分配、効率的かつ透明性の高い免許処理手続の導入などを一体のものとして推進し、有限な資源である周波数の最大限の活用を図るべきである。

 以上のような状況を踏まえ、周波数の有効利用の促進及び無線局免許手続の透明性・公平性の確保の観点から、特に以下について速やかに検討し、所要の措置を着実かつ強力に講ずるべきである。

 ア 特定の電気通信業務用無線局等の免許申請の公募

 周波数の割当ては、現在、原則として先願順処理方式によって行われているが、携帯電話システムのように、全国又は一定の地域において占用的に周波数を使用する電気通信業務用の無線局等の免許申請については公募を行うこととする。公募により競願状況となった場合の免許の付与について比較審査方式を用いるときには、可能な限り客観的、具体的、定量的な審査基準を定めてこれを公開し、その基準に基づいて審査を行う。なお、当面定性的な判断基準を併用せざるを得ない場合には、定性的基準を構成する要素をあらかじめ公開することとし、その審査結果については、理由を付して公開する。公開の際には、情報公開法の規定を考慮しつつ行うこととする。

 イ 長期的かつ総合的な周波数使用計画の策定

 電波の有効利用と透明性の一層の向上を図り、周波数の開発、イノベーションを促進するためにも、周波数の使用に関する長期的かつ総合的な視野に立ち、かつ技術の進歩に合わせた柔軟性を持つ周波数の使用計画の策定を行うこととする。その際、免許を受けた周波数帯の実際の使用状況も考慮し、新たな周波数ニーズに対応して必要な周波数帯を確保するため、周波数の使用計画に沿って速やかに周波数移行がなされることなどにより、電波の有効利用を確保するための方策を確立する。

 ウ 周波数資源開発のためのイノベーションの促進

 周波数資源開発のためのイノベーションを促進するために、周波数使用に関する方針を明確に示し、さらに、電波法の技術基準については、今後とも国内外の技術開発を行う民間企業等の意見を反映させ、可能な限り自由度の高い基準となるように努める。

(3)行政情報化の推進(各種申請の電子化、オンライン化、ネットワーク化)(※)

 行政の情報化については、「行政情報化推進基本計画の改定について」(平成9年12月20日閣議決定)に基づき、総合的・計画的に推進されているところであり、特に、国民負担の軽減等を図る観点から、申請・届出等手続のオンライン化を一層推進することが重要な課題となっている。このため、電子文書の原本性の確保、ネットワーク上の申請者等の認証、手数料の納付方法など、行政手続のオンライン化に当たって解決を要する課題については、民間有識者等で構成される総務庁の共通課題研究会において検討が進められている。

 また、産業創出・産業競争力強化のための規制改革(平成11年7月13日産業構造転換・雇用対策本部決定)に基づき、この共通課題研究会の検討結果を踏まえて、平成11年度中に各種手続の電子化・オンライン化を一層推進するための基本的枠組みを策定し、これを受けて、推進事項と実施スケジュールを明確にした省庁別のアクション・プランを策定するとともに、政府認証基盤(GPKI)の構築に向けた取組を進めることとされている。

 さらに、ワンストップ・サービスについては、その整備方針として「ワンストップサービスの推進について」(平成11年3月31日行政情報システム各省庁連絡会議了承)が策定され、各種の行政手続について、平成12年度内を目途にインターネットを活用した行政手続の案内・教示、申請等様式の提供を進めるとともに、手続自体のオンライン化を進めることとされている。

 書類の電子データによる保存については、高度情報通信社会推進に向けた基本方針(平成10年11月9日高度情報通信社会推進本部決定)及びこれに基づくアクション・プラン(平成11年4月16日同本部決定)に基づいて、情報通信の高度化のための諸制度の見直しとして、引き続き推進することとされている。

 こうした動きの中、規制緩和推進3か年計画(改定)においては、多岐にわたる行政分野に係る計102項目について具体的な各種申請・届出等手続の電子化・オンライン化、書類の電子データによる保存を推進することとしており、これに基づく取組が進められている。

 インターネットの急速な普及、電子商取引の実用化の動きなど、行政情報化をめぐる動きは急速であり、また、情報通信技術を活用した行政サービスの向上への要請はますます高まっている。政府においては、行政手続に係る国民負担の軽減、許認可等の審査、処理の迅速化等の観点から、上に掲げた諸施策を一層強力に推進するとともに、ワンストップ・サービスの実現に必要な国の行政機関、地方公共団体等を通ずる公的部門のネットワークの構築に積極的に取り組んでいくべきである。


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