−速報のため事後修正の可能性あり−

第5回規制緩和委員会議事概要(その1)

(公開討論「農産物検査の在り方」)

1 日 時:平成10年10月8日(木) 午後2時15分〜午後3時40分
 
2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第1会議室
 
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、石倉洋子、川口順子、田中一昭、野口敞也、浜田広、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントンの各委員
(食糧庁)木下総務部長、同羽場検査課長
(全国農業協同組合中央会)山田常務理事
(全国食糧事業協同組合連合会)山田副会長
(日本米穀小売商業組合連合会)荒田専務理事
(主婦連合会)和田副会長
(農林漁業金融公庫)武政理事(農産物検査の実施業務の民営化検討会メンバー)
(成蹊大学経済学部)本間教授
(山種総合研究所)山崎会長
(政府)阿部正俊総務政務次官
(事務局)大澤内閣審議官、西村総務庁長官官房審議官、江澤規制緩和委員会事務室長、高野主任調査員
(総務庁)[行政管理局]岩本管理官、田中管理官
 
4 議事次第
(1)農産物検査の在り方についての公開討論(本議事概要)
(2)NTTの在り方についての公開討論(議事概要(その2)参照)

5 議事内容
 「農産物検査の在り方について」の公開討論が行われた。冒頭、流通分野担当の主査である田中委員から、論点の趣旨等について説明があった後、意見発表及び意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

[意見発表]

(食糧庁)

・検査の公正性の確保については、農産物検査は百余年の歴史があり、同業者組合による検査→都道府県による検査→現在の国による検査へと移り変わってきた。計画流通米については、現物を見ないで信用取引で流通しているという点で、他の農産物の取引形態と比べて進んでいるといえる。我々は、これを維持し、信頼性を確保していくにはどうしたらよいかという視点から検討してきた。

・計画流通米等に係る義務検査については、計画流通米は、年間を通じて安定的に供給すべき米であるが、計画流通米として出荷するか否かは生産者の任意となっている。義務検査のおかげで、計画流通米の流通コストは大幅に引き下げられている。仮に任意検査にすると、取引の都度検査の有無を確認しなくてはならず、流通コストが増大することになる。

・検査手数料の設定については、今後十分検討していくこととしている。

(全国農業協同組合中央会)

・米は、全国各地で多数の農家が生産している。地域、年産ごとに品質が違ってくるので、客観的に品質が確認されることが重要であり、やはり誰がどのような立場で検査したのかが明らかであることが重要である。

・生産者団体としては、農家から売渡しの委託を受けて消費者に販売することになるが、この場合、検査の結果が関係者から信頼されることが大切であり、このため、計画流通米の義務検査は必要と考える。

・現行の検査手数料の水準は低すぎるのではないかという指摘があるが、これを負担する生産者にすれば、民営化に当たっても現行程度の手数料で全国統一されることが必要である。一方、仮に今後、検査をJAが担うことになると、現行の水準でやるのは容易ではない。検査場所の集約整備やバラ荷化を進める等コストの低減に努めなくてはならない。

(全国食糧事業協同組合連合会)

・私共は卸売業者の全国団体だが、米については、サンプルを見てどうのというのではなく、検査証明を信頼して売買している。したがって、検査実施者について、その能力が客観的に確認されないままで検査が行われたことになると、信頼取引、規格取引ができない。米は、200万の生産者がおり、集荷業者は2千以上もいる。このような実態の中で、農産物検査が民営化され、生産者の自己認定のみで流通することになると、我々流通業者は大変困難な立場に置かれることになる。このため、検査の民営化に当たっても、国営並みの公正性が確保される必要がある。外国でも、国が検査規格を定めている。角をためて牛を殺すようなことにならないようお願いしたい。

(日本米穀小売商業組合連合会)

・米の流通は、検査が公正で信頼できるという前提で構築される必要がある。我々の組合員からは、現状の国営検査のままにしてくれという声が強い。民営検査になっても、最低限、現行の水準は確保してほしいという要望が強い。民間(生産者)の判断に自由に任せるというのは同意できない。実施業務を野放しにするのではなく、国が一定の監督を行うというのは、規制緩和に反しないと考える。

・米には、200万の生産者がおり、18万の小売業者がいる。検査の結果を受けた規格取引が大勢を占める中で、市場での現物取引に移行して円滑な取引ができるか疑問である。一定の量については、義務検査としておくことが必要と考える。

・検査手数料については、民間が独自で決めるのが原則だろうが、このことによって流通経費が増大するようだと、コストアップ分を消化する余裕は業界にはない。

(主婦連合会)

・消費者が農産物検査に期待しているのは、精米表示の裏付けである。適正で分かりやすい表示が必要だが、その基礎として検査制度がきちんとした納得できるものであることが必要である。したがって、誰がどのような立場で検査をしたのかが明確でないといけない。民営検査となっても、国が何らかの関与を行うことが必要と考える。

・消費者の大半は、米穀店やスーパーから米を購入している。この場合、精米表示は、検査の結果を基礎としているが、流通の大宗を占める計画流通米については検査が確実に行われることが必要である。計画外流通米については、売る側も買う側も自由な途が開かれており、検査を受けてない米でもよいという消費者には、それを購入する途が開かれている。入札制度も改善され、変わりつつあるが、検査を民営化するにしても、国が一切関与しなくなるというのでは、消費者団体にとって疑問が残る。

・仮に検査コストが大幅に上昇すると、消費者に転嫁されるので、その場合には何らかの歯止めが必要と考える。いずれにせよ、今後の検討課題であると考える。

(委員)

・外国では、国内流通に当たって義務検査を課しているのか。

・検査を受けていない計画外流通米でも信頼できるという消費者がいるならば、なぜ計画流通米ではそれができないのか。国が規格を定めておけば、でたらめな自主検査をしたならば信頼に基礎を置いた継続的な取引はできない。表示は、生産者が責任をもってやればいいことであって、検査をどうしても国がやらなくてはならないというのは理解できない。

・米は、規格取引・信用取引が一般的だというが、信頼が築かれれば、自主検査であっても現物を見ないでも取引できるという国営検査と同様のことができるはずである。

(武政理事)

・我々が検討会の中間報告をまとめるに至った経緯を中心に説明したい。そもそも論として、国の関与は極力減らし、民間活力を使っていくということは時代の要請との認識であり、農産物検査の世界でも、この流れをきちっと受け止めていくべきであると考える。

・農産物検査については、長年、国が自ら行ってきた経緯があり、これに民間活力を導入するということについては、関係者に色々な懸念・疑問があるのも事実。このため、こうした懸念にも気を配り、様々な立場の方から意見を聞き、着実に推し進めていけるものにするよう努力した。

・こうした意見の中で多かったのは、国の検査というものに対する信頼性・安心感の意識である。これまでの米取引自体、こうした信頼性を基に成り立っているものであることを痛感した。こうした中で、国の検査を廃止することは非常に難しい課題ではあるが、時代の要請に応えるため、信頼性を担保しつつどうやって民営化を進められるかという問題意識で取り組んだ。

・義務検査については、計画流通制度の根幹が、主食の安定供給に対する安心感の確保であり、計画流通米を円滑に流通させるためには、量のみならず検査による品質保証が重要と考えた。・手数料については、関係者からは国で決めるべきとの意見も強かったが、検査そのものを民営化するときに手数料を国が決めるのはいかがなものかということで、それぞれの関係者が一体となって透明性をもって決める仕組みを今後探ってほしいということで取りまとめた。

(成蹊大学経済学部本間教授)

・最初に意見を述べた5人の方に対する感想として、そもそもどうして民営化問題が出てきたかという理由が根本的に理解されてれいないのではないかと感じた。民営化問題は、私個人の解釈かもしれないが、市場に任せられるものは市場に任せるという基本思想の中で、これまで市場原理の導入が十分でなかった米という商品についても市場にまかせようということで出てきたもの。どういう米が取引されるべきかということは市場が一番よく知っており、かつ、最も効率がよい。品質とか産地は商品のIDであり、それを偽るようなものは市場から排除される。これまで検査が必要だったのは、市場が偽りのあるものを排除するシステムがなかったためである。政府が検査しないから誰かが検査しなくてはという発想自体、本質を理解していない意見と言わざるを得ない。小さい政府の形をとってはいるが、資格制度等を作ることにより、現在より悪いシステムとなる可能性すらある。本来、悪徳商人は検査によってではなく、罰則によって排除すべきものである。

・計画流通米の義務検査は全くおかしい。自分としては、米を計画流通米と計画外流通米に区別する理由が見出せない。この違いを何度も食糧庁に聞いているが、納得できる答えが返ってこない。もし、計画流通米が最低限の流通を確保するということであれば、どうして計画外流通米がこれほど増えた中でその流通の確保を言わないのか、もし、計画流通制度が緊急時の対応策ならば、今の食糧法の緊急時対応規定で十分であって、通常時から計画流通米という形で規制をかける必要はない。

・手数料については、手数料すら自分で決められない民営化というのはそもそもどういうものなのかということではないか。

・最後に、政府が認定した商品でないと売れないというのであれば、それは商人とは言えないのではないか。

(山種総合研究所山崎会長)

・現在の状態では検査は必要であるという認識である。現状では、偽物を排除できない仕組みになっている。後は国営でやるか民営でやるかということだが、中間取りまとめでは、民間でやる場合に第一種登録出荷取扱業者にやらせるような仕組みを提言しているが、これは、売る人が自分で勝手に格付けするということであり、問題である。

・食糧法で計画流通米と計画外流通米を区別したことがそもそも間違いである。備蓄米と自主流通米の2本立てでよかった。規制緩和の根本原理からして、こうした区分を残していること自体が大変な原則違反。米は自給率100%なのだから、何も食糧庁が計画をしなくても、流通はうまくいく。また、米の価格形成は、市場原理を反映していない。いずれ関税化の問題が出てくれば、国際的な価格比較が求められ、商品取引所において取引されることになるが、ここでは格付け、検査が義務づけられている。

・検査料は、民営・国営を問わず、コストに基づいたものとすべきである。

[意見交換]

(食糧庁)委員から質問のあった諸外国の例について、米国内で流通する小麦の場合は、小麦粉の原材料であることもあり、国内の流通については検査義務は課されていない。しかし、小麦を穀物として取引する輸出については検査を義務付けている。また、カナダの場合は、国内・輸出の双方について検査を義務付けている。

(全国食糧事業協同組合連合会)アメリカでも、米については、CCC(米穀穀物公社)が金を出すという関係もあるのか、籾を対象に国が検査を行っている。

(委員)計画流通米と計画外流通米の意味がよく分からない。現在は両方あるという前提で、今朝のある新聞によると、全体が約1千万トン、その中の約4百万トンが計画外流通米として流通しているということであったが、このように計画外流通米が多いことにより、生産、流通、消費の3つの段階で何か不都合が生じているのか。また、民営化の議論の中で、民営化というのは国に代わって特定の専門的機関が入るということかと思ったが、これはあり得ないと思うようになった。そうではなくて、米の生産・流通をしている人が自ら検査するというのが本来の民営化であるという現在は理解している。というのは、米というのは特殊な商品なのか通常の商品なのか。これまでは特殊な商品だったが、世の中の流れは通常の商品へとどんどん変化してきている。そうだとすると、生産・流通を担当する人が、最後の消費者に良い米を届ける責任がある。それなのに、その重要な部分を人任せにして一体何をしているのかという印象である。

(委員)第1点目として、消費者の信頼の問題がある。消費者が米の袋を見てその表示どおりの米が入っていると思うのは当たり前かもしれないが、実際には検査の後長い流通の過程を経て消費者の手元に届くものを消費者は信頼している。これは、消費者が流通過程を信頼しているからである。消費者が流通過程を信頼できるのであれば、同様の理屈で、農家も信頼できるはずではないか。
第2点目として、別の場で、計画流通米について、大きな企業が自由に売れるシステムであると聞いたが、お互いの顔が分からないので検査が必要という場合でも、任意検査にしたら必ずうまくいかないということはないのではないか。
第3点目として、手数料について、今後相談するという話だったと思うが、企業にとっては料金は経営の根幹であり、自由であるべきと考える。

(食糧庁)計画外流通米が約4百万トンという指摘については、農家の自家消費米が約120〜130万トン含まれるので、実際に流通しているのは約280万トンである。また、計画外流通米については、産直販売等に活用されており、これについては生産者と消費者の信頼に基づく取引であるので検査を義務付けていない。
民営化については、公正性の確保、消費者利益の擁護、採算性の確保の3つの視点から検討している。検査については民営化を担うべき主体として第一種出荷取扱業者が大きな候補であるが、これだけに限定するものではない。上記の3つの視点に合致するものであれば対象となる。

(全国農業協同組合中央会)生産・流通を担当する者が検査するのが民営化であるという委員の意見について、我々JAグループは食管制度以来の経験があり、検査業務の主体となり得ると考えている。野菜の場合はJAが集荷し流通させているが、これは自主検査になっている。野菜が米と違うのは、現物市場で取引されていることで、米の場合は、1年に1回しか収穫できない、重量物である、全国津々浦々で生産されている、全ての消費者に安定的に供給しなくてはならないといった特徴がある上、産地銘柄による銘柄取引に重点を置かざるを得ないのが実態である。このため、JAが検査するにしても、検査基準や検査体制等について法的な枠組みをきっちり位置付けてもらわないと難しい。
また、計画流通米と計画外流通米を分ける理由がなくなってきているのではないかという指摘があったが、米は30年にわたり生産調整を実施してきている作物である。仮に生産調整をやめれば大変な暴落に見舞われる。計画流通米は、こうした中で、米流通の大宗を担っているが、一年をかけて金利や倉庫代を負担して消費者に届けている制約の多い米であり、必要な米を必要な時期に確保するためには、米を安定的に流通させる計画流通制度は必要である。

(主婦連合会)先ほどの説明を補足すると、現在、計画流通米と計画外流通米という制度があり、これを前提に考えると計画流通米について検査が必要だということである。消費者の信頼性についての委員の質問に関していうと、これまで消費者団体として、米袋の表示と中身が違うのではないかということで色々な運動をやってきた。今までの40年の運動の中で、格上混米等について抜打ち検査をするよう、食糧庁に要請してきた。その結果として今の状態があるということであり、国が検査にどういう形でかかわるかは別として、一足飛びに国は手を引くということには疑問がある。

(本間教授)先程の意見に関して、自分の意図は、最終的に望ましい姿を言ったものであり、その中間段階として民営化ということもあり得るとは思う。ただし、今検討されているような民営化では、望ましい姿には行き着きそうもないということが第1点である。また、先程言い忘れたことを追加すると、自主流通米価格形成センター(自主米センター)の改革の中で、計画外流通米も取り込む形でやっていくべきという答申がある。これでは検査の義務のあるものとないものが混同されることとなり、同じ省庁の中で論理矛盾を来しているのではないか。さらに、検査需要がどの程度あるのか。検査需要が減っていく中で、国から認定をもらった人たちが、その仕事を確保するために、検査が永続化してしまうのではないか。したがって、民営化するにしても、資格制度は危険である。

(山崎会長)計画流通米が言わば「嫡出子」であるとするなら、計画外流通米は「継子」扱いである。計画米は全農が集めて、手数料を取って、自主流通米であれば自主米センターがやっている。昨年、米が豊作の時に、計画米を一部出荷調整して、米価を高留まりさせた。計画米があることによって、米の規制緩和が遅れている。検査の在り方を論ずる以前に、計画米があること自体が問題である。現在、米は自由に生産も販売もできない。「流通業者よ自信を持て」というのであれば、あらゆる規制を撤廃するべきである。

(全国食糧事業協同組合連合会)自主米センターの入札で中で計画外流通米を取り上げることの検討については、まだ結論が出ているわけではないが、現状でも計画外流通米で検査を受けているものもあることから、入札で取り上げるのは、最初は検査を受けたものということになるのではないか。計画外であっても検査を受けることはできるのであるから。
委員の意見で、流通業者を信頼できるなら農家も信頼できるのではという話があったが、精米については認証制度があって表示と内容の確認が行われているので、消費者から信頼されていると思う。

(全国農業協同組合中央会)山崎会長から、計画流通米は全農のためにあるのではないかという話があったが、誤解を生むといけないので言うと、計画流通米は米の安定供給のためにある。また、出荷調整を利益のためにやったかのような話であったが、実際には4年連続の豊作で、価格も2〜3割下がっている。こうした中で、200万の米作農家があるわけであり、現実問題としてこうしたことを考慮して、国に頼らずに、自分のコストで在庫調整したということであり、非難されるには当たらない。

(食糧庁)本間教授から、資格を設けるとそれが固定化するのではないかという指摘があったが、人のために制度を作るのではなく、検査の公正性・信頼性を確保するという観点でやっているので誤解のないようにお願いしたい。

(武政理事)規制緩和を行う時には、多少混乱があることは止むを得ないが、関係者皆が困るようなことは無理があることを申し上げたい。また、手数料の問題について検討を投げたのではないかという意見があったが、投げたのではなく、できるだけ機械検査等科学的かつ透明なものにしていくべきであり、機械メーカーの開発等でよいものが出てくる、そうすると民間の参入も大いに起こり得る、その中で手数料も関係者で決めればいいという考え方であったことを申し述べておきたい。


第5回規制緩和委員会議事概要(その2)

(公開討論「NTTの在り方」)

1 日 時  平成10年10月8日(木) 午後3時40分〜5時
 
2 場 所  中央合同庁舎第4号館共用第2会議室
 
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、石倉洋子、田中一昭、野口敞也、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントンの各委員
(政府)阿部正俊総務政務次官
(日本電信電話(株))宮津社長、三田常務取締役
(日本テレコム(株))坂田会長
(東京通信ネットワーク(株))岩崎社長
(郵政省)團電気通信局電気通信事業部長、桜井事業政策課長、貝沼業務課長
(事務局)大澤内閣審議官、西村総務庁長官官房審議官、江澤規制緩和委員会事務室長、高野主任調査員
 
4 議事次第
(1)農産物検査の在り方についての公開討論(議事概要(その1)参照)
(2)NTTの在り方についての公開討論(本議事概要)

5 議事概要

「NTTの在り方について」の公開討論が行われた。冒頭、情報・通信分野担当の主査である石倉委員から、論点の趣旨等について説明があった後、意見発表及び意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(石倉委員)NTTの在り方を主題に、東西地域会社間、その他地域の競争の促進、ドコモとの競争の2つの点について、集中して議論したい。ユニバーサルサービスについてもできれば、議論したい。情報通信分野は規制緩和が重要であり、進んだ分野ではあるが、制度上、競争は促進されたが、世界的にスピードは早く、更に消費者に料金を安く、使い易くするための促進は重要である。地域の競争をどうするのかが主要論点。地域競争の状況はどうなっていつのか。NTTは12月までのに長距離、東西、国際という再編作業をしているが、どう考えたらいいのか。競争業者はどう見ているのか。競争促進の観点から何をやっているのか。もう一点は携帯の問題である。加入者が増加し、固定電話6,000万に対し、4,000万とかなり力をつけた。携帯も消費者の選択になる。ドコモも強く50%のシェアがあるが、NTTはどう考えるか。分離について、他の携帯との競争は可能か。制度上の整備は必要か。

[意見発表]

(NTT)

NTTの再編の中で東西会社間の関係とドコモの経営上の位置付けをどう考えるかについて述べる。NTT再編については3年前の電気通信審議会で方針が決まったが、今日事情は全く変わったので今日の立場で話す。
マルチメディア事業は電話の次の事業で、インターネットが広がり、参入のための子会社も作り、移動体通信も増えた。移動体通信計4,000万台の半分がドコモであり、2000年予想で5,000〜6,000万と電話並になるが、伸びは鈍化している。固定通信も移動体へと変化しており、ポータブルで固定でも使えるような規格を考えている。方向として、無線と有線と補完しあっている。法人営業は大企業向けのネットワークのシステムの仕事をしている。インターネット、移動体、法人システムで金が動き、産業になる。これに伴い、会社の形態が変わる。国際化は参入の出入りがあり、WTOでも解禁になって国内競争が国際競争となることがあり、国内、国際をセットとして考える。料金下げのの動きは急であり、旧来のサービスを値下げしつつやるのではビジネスにならない。新しい事業により、特に情報関連で、光化によって、情報の流通、コンテンツのような新しい事業を技術によって開拓する。広い技術資源の市場が必要で、グループ内で通信サービスの資源を提供する。東西会社はNTT全体をリードするイメージではなく、設備・材料を提供する会社である。NTTグループ全体で33万人体制から24万人になっているが、このうち15万人を東西地域会社に分ける。再編成後は12〜13万人になり、構造も変わる。地域会社は、法律上は設備をやっていればいい。市内の設備は財産であり、使わせて使用料をとるのが基本である。この市内部分が独占で、独占だから自由放任にできず、規制をかける。ユニバーサルサービスとしては撤退する。一方、競争相手はスポットねらいであるから、一般的には均一料金では不公平になるという議論になる。銅線の時代からISDN、光ファイバになるという今の時代に全面的にサービス参入を展開する者はいない。設備守る仕事だけでなく、サービス開拓、設備能力を上げ、業務を広げると、東西地域会社、長距離会社でも互いに競争の状況になる。

(日本テレコム)

地域の競争をどう果たすかが課題である。接続、アクセスチャージ、加入者線の開放の問題があり、技術革新、グローバル化、ボーダレス化の中で、一方では移動体、インターネット問題があり、また、WTO合意にあるように国際的競争がある。ユーザーはワンストップ、ラストワンマイル、シームレスサービスを求めている。電話線専用線から複合的なサービスに転換する。ソリューション、コンテンツサービス、国内から国際的競争、二種事業者との境界がないという背景がある。再編成後も地域独占の状況は変わらないが、施策によっても変わり、3〜5年のレンジで決まってくるだろう。インターネット専用線の料金もアメリカの5倍、接続料金は4倍の問題ある。接続料金の約款化、アンバンドル化、番号ポータブルの優先接続等をセットとしての議論が必要である。当分の間は地域独占のままの接続は変わらない。東西会社の競争促進のためには自由な相互参入が必要であるが、問題は持株会社の役割が不明であることであり、資本、人事を握れば、巨大なコングロマリットが形成される中で、連結納税制度も認められ、公正な有効競争が保てるのかということになる。相互参入にしても、資本が競争できるような仕組みが出来るのかどうか、今のままでは期待できない。電気通信事業法についても、電波の制限がある。WLL(ワイヤレス・ローカル・ループ)等にしてもNTTの足場に依存しており、脱却するために数百億の設備投資をしてコスト低減を図っている。WLLの光ファイバの設備投資は都心で2億円(1km当たり)を要し、時間も掛かる。アメリカに比べ高い。地域網における競争は当分の間はない。約款ベース化しても、第三者機関で客観的にしてほしい。加入者の競争は若干時間あるが、非対象規制のなかできちっとしてほしい。

(東京通信ネットワーク)

東西間の競争が起きるのかどうか。起きるとしてもヤードスティック的な競争になる。再編成に当たっては、東西地域会社が別会社として当初から競争するるように、持株会社としてもコントロールすべきである。電力事業再編時にも地域差があり、人事、料金等に格差があった、それが競争意識につながり、料金が下がったということもある。東西間の競争だけではなかなか価格が下がらないので、NCCの地域の中で競争しなければならないが、直接費用が高く、時間がかかる。光ファイバを中心に各工場、家庭等に入れるよう努力した。日本の地域ダイレクトコスト、アクセスチャージは高い。加入者線開放を更に進め、新規加入者の競争の環境を作る必要がある。当社としても1月から東京電話をサービスを始めたところ。接続料については、郵政省研究会で検討している長期増分方式が欧米で標準であり、これを持ち込んでほしい。優先接続も同様に導入し欲しい。ISDNのサービスができない。これはISDNの接続料金が高くて、逆ざやである。インターネットの時代にできないのは問題であり、NTTの独占になっている。料金と接続料の整合性を検討いただきたい。ダイレクトアクセスコストが高いので、NTTの技術開発を開示して使えるようにしてほしい。移動体が増えており、移動体との接続問題の議論が必要である。NTTの固定網の接続約款がない。シェアが50%超えれば指定通信事業者として接続約款のルールを守ってほしい。

(郵政省)

公正競争と地域競争をどうやるかが大きなテーマである。NTTは再編成で持株会社として機能するが、前例はない。基礎的研究の一元化と地域会社の安定的な電気通信役務の提供確保が責務としている。東西地域会社は特殊会社で、長距離会社は純粋民間会社であり、公的監督は掛からない。地域の独占は続き、公正有効競争の促進のため接続ルールを作った。東西、長距離は分離し、その間にファイアウオールを設けた。東西間は比較競争により、効率化を図る。相互参入に期待しているが、すぐには無理である。株主は100%持株会社で、会計は完結し、料金策定、接続料金も別々で、透明性は比較できる。二律背反ということで競争とユニバーサルサービス、東西の格差がある。政治的配慮で完全な別会社方式は採っていない。ドコモの分離に関して、地域と移動体を一緒にやるのは公正競争上、問題があったが、NTTと無線という新しい次元の競争になっている。現行は移動体同士は全体の3.5%であるが、競争状況を見ながら検討する必要がある。

[意見交換]

(委員)地域における競争の実際の数字と、TTNetが地域に参入するに当たっての困難について教えていただきたい。また、競争が始まるとすると東西地域会社が自由に動けた方がいいのではないかと思うがお考えを伺いたい。

(郵政省)平成8年度のデータで、固定電話の地域において、NTTが97.7%、NCCが2.3%となっている。

(東京通信ネットワーク)加入者回線のオープンは2年前であった。そのためにはNTTの市内局に光ファイバが入っている必要があり、苦労したが、NTTの協力を頂きつつ、150万回線となった。損益分岐点が250万と見ている。しかし、市内通話のみでは実際には利益が出ず、市外通話の利用が延びてもらわないといけない。今年の1月、東京大阪間72円で始めたが、NTT等の値下げ追随があり、3月には63円で行っている。接続料が高いことが問題であり、利益が30%に対して70%がNTTへの接続料に回っている。NTT東西地域会社は接続料で儲けていただいて、販売の方は私達でやらせていただきたい。直加入については、10年間かけて3万回線というオーダーであり、工場とかを加入させるのは時間が掛かる。専用線については、データ伝送、IDOとかツーカーセルラーへの基地局までの専用線をやっている。これが1万回線で収入の大本になっている。専用線はNTTの三割くらいといわれていたが、ATMとか、NTTが安いサービスを出しており、私たちはもうNTTに追いついていけない。技術を開発しなければならないが、そういったところで水を空けられている。NTTにも技術の開示をお願いしたい。

(委員)電気通信の世界はNTTを含めて基本的にフリーになべきというのが哲学。ホールディングカンパニー(持株会社)を普通のホールディングカンパニーと考えているのか、それとも一味違ったものと考えているのか。

(NTT)本質の話になると元の分割論議に戻っていく要素がある。持株会社については国会の議論となり、国会の中で議論された。その内容がこの結論に至った問題点と考えている。何のための持株会社なのか、それは完全に分割すると国際的競争に負けてしまうと、国際的なレベルで競争できる。そのために持株会社を作ったのだと。NTTだけを持株会社にできないということで、持株会社論議が起きた。持株会社をやるときは、NTT固有の持株会社とそうでない持株会社制度が適応できるという一般的な意味と2つの意味があると理解している。あちこちから言いたいように言われて答えはこうなったから、うまくやれといわれている。やろうとしたって、10何年も議論してまとまらなかったものをお前1人でうまくやれと言われても、難しい。私なりには、実行の面からそれぞれの局面がある。現実的に東西地域会社の独占がある。その独占の弊害をなくすにはどうしたらいいのかという問題がある。また、長距離とか国際の会社、持株会社では、国際的な競争の中で闘っていくのにはどうしたらいいのかという問題もある。技術開発力の問題と、一体として通信を保証することがそれぞれ必要であり、会社を分けても、品質をどう保証していくのか。ある一つの考え方があってその考え方にそって、スパッと割り切るのは難しい。これらの課題のそれぞれについてどのようにこなしていくか、という形で具体的に答えを出していくしかない。そういう取組をやっていきたい。

(委員)抽象論はやめよう。それでは分割したのは東西地域会社で間接競争をしようとしたことに目的があったことは認めるのかどうか。

(NTT)東西を独立して競争させようとしたことは、そこに目的が合ったのではないのか。

(委員)人ごとみたいに言わないでいただきたい。人、金、物が重要であり、特に人に関してファイアウォールを設けることが重要だ。

(NTT)「競争」するとはどういうことなのか。競争するのは電話サービスだけについての話ではないのではないか。どういう競争があるのかがはっきりしていない。東地域会社がサービスをするには、他の会社から資源を借りる必要がある。その意味で東西地域会社間の協力関係も必要。再編成した中で会社の構造も決めていく。

(委員)競争者が同じ者では競争にならない。東地域会社の営業部長が、明日には西の営業部長になるのでは競争はできない。ここが一番のメルクマールになる。

(NTT)同じ人間がそこにいて、競争したら競争にならないと、その局面だけ言われたら、そうですとしか言えない。しかし、単純な競争の前にどんな競争があるかを考えなければならない立場なのでぐずぐずいっているように見える。

(委員)人事をどう考えるかは基本問題である。

(日本テレコム)NTTは問題を1つづつ潰していくことをやっている。国鉄分割の場合は人事はそこに帰属していくとした。ホールディングカンパニーと社長の位置づけが重要。そこを解決しないと東西間の競争はうまくいかない。JR東海は店舗を手数料を払うのがいやだから、東京に支社を作った。NTTについても、競争はそういうところから始まると思っている。一方、ホールディングカンパニーに研究所を持ってきたのはよかった。

(委員)電気通信の技術革新のスピードが早いが、長期増分費用方式とかいろいろなことを検討するスピードが遅くて時代後れになることがあるのではないか。

(郵政省)長期増分費用方式については、アメリカにおいても州内通信については行っていてかなり安いが、州際ではできていない。アメリカではいつやるのかと聞くと実に遅いペースである。長期増分をやるのは将来的に絶対的にマイナスにはならないし、日本の取組が遅いとは思わない。一方、技術の進歩が早いので、アメリカがファイバじゃなくてADSでやるとかいっているが、そういうのを積極的に取り入れていくことは重要である。安い料金は人を減らすだけではだめで、新しい技術を入れることが必要である。

(NTT)長期増分費用方式の話は、アメリカ企業が日本に入る時に不利だから日本に接続料を下げろといっている面もある。案外、アメリカも日本の状況を見て、自分のところにも入れようとしているのではないか。アメリカも同じで独占の部分がある。独占の人間に好きにやらせているとちっとも値段が下がらないということがあるので、そちらの方に動かしたいというのがある。通信手段をやろうとするところを国際的に引きずり出していくしかないということではないか。間に合わないかもしれないけれどもそれなりに動かしていくしかない。それほど希望がないという感じではない。

(委員)NTT株式の処分についての基本的な考え方を教えてほしい。非対称規制と一致して考えていかなければと思っている。株式を放出すべきだが、独占状態が続いているので放出してしまうと規制ができなくなるよということである。国庫収入を上げたいというだけで放出をするべき話ではない。

(郵政省)残念ながらNTTの株式の処分権は郵政省にはないが、85年に作った法律では国は1/3を持っておけばいいという考え方である。1/3までもっておけばいいと考えている。

(委員)1/3でそれで、株主権の行使ができるのか。

(郵政省)株主権の行使によって政策を進めるものではないと考えている。

(委員)NTTとドコモの関係、出資比率を減らしても67%、いかなる影響力も行使できるということだが、いかなる方法で競争を実現するのか。それとも競争しないのか。

(NTT)NTTのグループの代表として言えば、ドコモを引き離す気はない。ドコモを含んだ上で全体の経営上の効果が上がるように進めたい。独禁法のような問題でドコモの比率を下げろと言う議論はあるが、私の立場としては、ドコモをうちのグループに入れた格好のままで全体としての経営の効果をねらっていきたい。ドコモの比率をそれ以上に下げることには反対である。それが現在の経済の状況にどういった影響を与えるかの話は、私には難しくてできない。もっと自分に都合のよいことを言わしてもらうと、電線だけが電話ではなくなってきた。こんな世の中で、何が当たるか分からない。会社全体がある1つに「賭け」をするなんてできない。可能性のある物に手を出していくようにしたい。ドコモはそれを担う一翼である。ユニバーサルサービスに関して言うと、これは無線が発達すると案外にできるかもしれず、手段を多様化して技術的には可能性があると考えている。NTT全体としても、やってしまうかもしれない。

(委員)NTTが大き過ぎてというところが問題になっている。ドコモの経営をまさか地域会社にやらすことはないですね。

(NTT)ない。NTTは大きい大きいというが、世界の中では大きくない点を理解いただきたい。

(文責:規制緩和委員会事務室)