−速報のため事後修正の可能性あり−
5 議事内容
「産学連携の促進について」の公開討論が行われた。冒頭、教育分野担当の主査である川口委員から、論点の趣旨等について説明があった後、意見発表及び意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(三菱化学小野田専務)
・ 産業界の立場から発言したい。まず第一の視点として、国立大学は日本最大の知的生産潜在力を持っているというが自信を持って申し上げられる。科学の世界での成功も、多くは大学の教官を活用したことによるところが大きい。第二の視点であるが、現在の日本の状況は「出るくいは打たれる」という社会になっており、人の能力を見る時に、ボトムを標準に考えられているという問題がある。透明度を確保して、保証機能を強めることが重要である。
・ 現在の国際競争、地球規模の課題の制約という時代背景の下で発展をしていくためには、科学技術のブレークスルーによる産業発展への依存度が高い。しかし、長期の不況、リストラの進行の中で、新事業、新産業の創出が停滞し、新陳代謝が進んでいない。このような状況の中で、今こそ潜在力を顕在化させる必要がある。また、野心的かつハイタレントな若者は、より広い世界を目指している。日本の大学は、かびの生えた象牙の塔のイメージを払拭する必要がある。また、工学系人材の過半数は国立大学に集中し、他に代わるべき人材のソースがないという実態も問題である。
・ 我が国と比べて欧米での産学連携は非常に進んでいる。そのベースは軍備であり、国民の義務になっている。そのためにはどういう形で働くにしても、国としてのコンセンサスが得られる。この点で日本は逆作用であり、ハンデがある。大きな国益より小さな安住を目指すのでは、日本は半身不随になる。
・ 特許権の維持、活用には大変な努力が必要で、特許管理者として機能していない国が特許を持つのは無駄である。それが分かっているから、良質な共同研究、受託研究が活発に行われないし、インセンティブも乏しく、良質な特許が出来ない。一方、大学も企業も、運用しやすい奨学寄付金型を好む。これについては、金額が少額であるがために、結果として特許が出てきたとしたら企業が権利を受けるということが、言わば陰で行われている。この奨学寄付金は企業にとっては大学との関係を保つために大変便利であるが、不透明であり、これでは国際競争に勝てない。日本企業の大型委託、共同研究対象の大半が欧米大学となっているのは、契約としてやってもらえるという制度上の仕組みがあるからである。三菱化学でも、年間数百件の奨学寄付金と、数件の海外との共同研究を行っているが、金額で見れば後者の方が圧倒的に大きい。
・ 提言としては、高い費用対効果で国益としてのアウトプットを出す仕組みを考えるためにも、大学が公共的な経営体であるべきである。国に帰属する特許権も大学に帰属し、適切に管理運営し、アメリカ型のように果実が教官に配分されるべきである。ただ、すぐは難しいであろうから、次善の策として公共性を具備したTLO(大学の技術移転機関)を活用することが考えられる。このようなことから、文部省通達(昭和53年)を次にように改正してはどうか。1)成果について、特許を受ける権利(出願前)を発明者からTLOに承継する。2)TLOから大学、教官に収益を還元する。3)また、TLOが特許権を継承する場合は発明委員会の審議は不要とする。これらの前提として、外部評価実施と結果報告をし、透明性を確保することも必要である。
・次に、兼業の件である。大学の研究成果が事業に成長する過程のリスクテイクの活動がないというのが問題である。シーズ発明者が中核となってやることが重要だが、現状では制約が多い。国立大学教官の役員兼業という問題は、妥当な制限なしにパブリックアクセプタンスを得ること困難であるが、今道を開かねば国家的損失を招くだろう。提言としては、TLO活性化のためにもTLO役員兼業はすぐにも実現してしかるべきである。その他の民間企業役員兼業は範囲を特定して行うべきである。例えば、非フルタイム制、一定規模以下の非上場企業を対象とする制度(上場企業になると役員の責任が一気に重くなる)を考えたり、厳正な評価を受けるようにする。また、不利益を被ることなくフルタイム教官に戻れるようにする、といったことが考えられるのではないか。
(文部省)
・国立大学の教員等の兼業に係る閣議決定、答申等がいくつか出されている。「科学技術基本計画」では、国の研究者がベンチャー活動等の経営活動に参画することについては職務専念義務等の観点からの評価を含めて、国の研究者の活動に対する社会的認知の醸成を待つことになっている。また、「経済構造の変革と創造のための行動計画(第一回フォローアップ)」の閣議決定では、国立大学の研究成果の事業化又はその技術移転を図る企業の事業活動に、国立大学の研究者が積極的に・主体的に関与することを認めることについて早急に検討を行うとなっている。また、経団連からも役員としての主体的参画を提言されている。さらに、大学審議会中間まとめ(今年6月)でも、大学の社会貢献に資する業務を行う民間企業の役員等に就任する場合の兼職兼業の取扱の弾力化等について改善を図る方向で検討することが適当としている。
・大学の技術移転に関して、いわゆる技術移転促進法の衆・参議院の付帯決議があり、国立大学の研究者が技術移転機関の役員の職を兼ねることを可能とする措置について早急に結論を出すとともに、研究成果に係る事業化を図る民間企業の事業活動に対し、主体的に参画することが可能になるような制度の構築に向けて積極的に検討を進めることとされている。
・平成9年4月より、国立大学教官の兼業許可の基準の緩和が行われ、営利企業の研究開発、技術指導への従事については原則許可の対象とされた。また、産学の連携・協力を目的とする公益法人の役員を兼ねる場合を許可の対象とすることとした。さらに、従前なされていた許可件数、従事時間数の制限を撤廃した。この結果、平成9年度の兼業許可の件数は全体で37,600件あるが、研究開発分で1,500件が許可されているという状況にある。TLOや、研究成果の事業化を図るベンチャー企業の役員兼業については、産学の技術移転を進める観点から、あるいは大学の活性化に資するという観点から、基本的には結構であると考えている。しかし、あくまで国家公務員であるから、一民間企業の役員として株主のために働くということが、国民の納得、理解を得られるか、また、国家公務員法とどういう整理がつくのかを人事院と相談している段階である。
・国立大学における特許の取扱いについては、原則的として発明者個人に帰属するが、応用開発を目的とする特定の研究課題の下で行われた研究で、かつ特別の研究経費、研究設備を利用した場合には職務発明として国庫に帰属することになっている。平成9年度実績では650件中、国に承継したものが16.8%で、発明者に帰属したものは83.2%である。個人の特許は個人の財産として自由に処分してもらうことになるが、国に帰属する特許出願については、統一的な処理を行うため、国有特許出願事務を日本学術振興会に依頼している。また、ここから科学技術庁の特殊法人の科学技術振興事業団に情報提供を行い、民間企業にあっせん、委託開発をしている。なお、平成11年度からは、これまで日本学術振興会が行っていた事務についても科学技術振興事業団に一括して、出願からあっせん、委託開発までして扱うようにする予定であり、これにより、国が持っている特許権がより一層、活用される仕組みとなるものと考える。
(人事院)
・国家公務員法第103条として私企業からの隔離の規定がある。これは、憲法第15条の全体の奉仕者の規定から派生するものである。これを受けて、国家公務員法の第96条(服務の根本基準)、第99条(信用失墜行為の禁止)、第101条(職務の専念する義務)に具体的に定められており、私企業からの隔離を定めている。なお、第103条3項に例外規定があり、それをめぐって今回の議論がなされているものと考えている。人事院としては、この例外規定の適用を厳密に考えており、人事院規則14-8に基づき、官職と営利企業との間に利害関係がないこと、職務上支障がないこと、その他法の精神に反しないと認められること、という条件が満たされないと兼業の許可をしないという運用を行っている。人事院としても、大学での研究成果が社会に広く還元されることが必要であるということについては賛成である。ただ、なぜ役員になって企業に関与することが必要なのかについては疑問が残る。これまでのワーキンググループの議論を踏まえ考えてみたが、役員となって経営に参加しないと、なぜ積極的、主体的関与ができないのか。また、技術的判断が必要だということだが、役員にならなくても技術的判断はできるのではないか。大学教官が役員になると、責任者の顔が見えて、社会的信用ができて同志も集まり易いとのことだが、経営に失敗した場合はどうなるのか。その時に、自分は大学に席を維持しているということで、同志との関係はよいのかという気がする。
・国民は国家公務員に身分保証の代償として清廉さを求めているのではないか。兼業に際してはこの問題をクリアする必要があり、運用が難しい。公務員の不祥事に関連し、マスコミ各社から意見聴取を行ったが、マスコミの論説委員の多くは、講演、原稿の謝金について、公務員が得た知識や経験は国民の税金によって得たものであり、そこから私的利益を得ることは許されないということであった。大学教授であっても、一般の行政官と変わるところはないのではないかというのが、大半の意見であった。このような厳しい意見のある中で、利益追求の議論が国民の納得を得られるかどうか。これらの点がクリアできる具体案ができれば、文部省との協議に進めるものと考えている。
(東京大学軽部教授)
・ 現在のアメリカの好景気を支えているのは新規産業、ベンチャー企業である。バイドール法によりTLOの設立が促進されたのが1980年で、試行錯誤はあったものの、資料にあるとおり、96年の10大学のロイヤリティ収入はかなりの額にのぼっている。これらが、アメリカのベンチャー企業のシーズになっており、これによりアメリカでは、22万人の雇用が創出され、市場規模は1.2兆円となっている。これに比べて日本は寂しい状況である。そこで、私たちは、CASTIという技術移転のための企業を作った。教官が出資しながら、技術移転を行いたいと考えている。私のアメリカの友人には、月給は安いが、シーズができるまで大学でがんばって、よいものが見つかればベンチャー企業を起こすためにスピンアウトすることを考えている人がいる。また、ニューオーリンズ州立大学の友人は自分で会社を経営しており、週の1日だけ申請して州の役人を外してもらい、その日はフルタイムで会社のために働き、それ以外は大学で仕事をしている。
・ 私自身、22年間大学で研究を行ってきたが、専門分野からして産業界とのかかわりが非常に深い。毎年、十数人の企業の方を大学に呼んで一緒に研究を行ってきた。近年、文部省が若干兼業規制を緩めたため、共同研究を行うのが楽になった。かつては、企業への技術指導に行くのにも年次休暇を使う必要があり、しかもこそこそと行く感じだった。このような状況で、TLOが出来るかどうか当時は疑問だったが、最近では共同研究が成り立つと、企業で研究、指導ができるようになり、情勢は変わったが、相変わらず共同研究を証明するために多くの書類が必要という煩わしさは残っている。産学共同が日本の経済発展に不可欠であるのは明らかであるが、大学サイドから見ると、積極的な人もいれば消極的な人もいる。しかし、少なくとも産学共同は、21世紀の科学技術を進める上で不可欠である。
・ 技術の実用化というのは非常に大変なことで、私は5つの実用化特許をもっているが、これは稀な例である。実用化に当たっては、企業との研究が不可欠であり、これは、表面的な指導では不可能なことである。まさにその現場に行って、集中的に指導、研究を行う必要があるものである。人事院によれば、役員になる必要性の明確な根拠がないということだが、TLOを徹底的にやるために規制を緩和して欲しいというのが希望である。
・ 共同研究による成果の問題だが、いつも問題となるのが知的財産権の帰属の問題である。最近は企業も真剣に取り組んでおり、高額の研究費を出すが、成果としての知的財産権を企業に所有を認めてほしい、それがないと組めないという企業が多い。現在、受託研究の場合、その問題がデッドロックになっている。
(委員)共同研究の成果の帰属問題について、文部省の通達では一般的に個人に帰属するが、国が特別の経費を支出したような場合は、国に帰属することになっている。この通達の基になった学術審議会の答申を読んだが、この答申ではこの趣旨の共同研究については触れていない。個人としての教官が行う共同研究について書かれているものである。現在の共同研究、しかも実質的には企業が大半を出資しているような場合でも特許を受ける権利がなぜ国帰属するのか。この趣旨が依然として不明である。また、このような重要な問題の運用を私文書で決めているが、なぜそのようなことになっているのか、文部省に聞きたい。
兼業については、PA(パブリックアクセプタンス)が重要だということは理解できるが、これは黙っていてできるものではない。国民の理解を形成する努力が必要である。また、人事院からは、なぜ技術的判断や積極的な経営関与が役員にならないとできないのかという疑問を呈されたが、小野田氏や軽部教授からもお話があったように、責任をもって研究成果の普及に取り組むための意見を言うためには、経営に携われる立場が必要だと思う。
(文部省)共同研究の特許の帰属について、昭和52年の学術審議会答申の考え方は研究者個人の研究に焦点を絞ったもので、大学の研究者の研究は個人の研究であり、成果は個人に帰属するという考え方が基本であった。しかし、受託研究などは学内審査会を経て大学として実施するものであり、完全に自由な教官の研究ではない。あくまで制度としては、大学として共同で研究するという意思決定をしているということから、共同研究の問題は、個人の研究とは違い、従来の特許権の解釈に戻ると思う。また、企業から研究費が出ているとしても、いったん国庫に納入されたものを配分する形をとっており、また特定の研究課題について大学が組織的に決定した研究であるということで国に帰属している。
また、これらを通知で処理しているとの御指摘であるが、これは関係省庁とも協議した結果でもあり、これを変えるとすれば、根本的に共同研究の在り方を考える必要がある。また、大学関係者から話を聞くと、むしろ個人有より大学有にしてほしい意見が多い。
(人事院)委員から、役員にならないと責任をもてないとの指摘があったが、職務専念義務と経営責任が衝突することがある。兼業の時間枠を一定範囲で上限を設定すればよいという提案もあるが、例えば25時間、50時間限定の経営責任といったものがあるのか。また、これらの経営責任と、本務の職務専念義務との間に衝突はないのか。研究教育に直接関連する部分であれば兼業が一般の行政官と違う視点で実施されてもいいと思うが、経営についても同様に考えてもよいのかという点については、疑問を拭い去れない。
(委員)人事院の話を聞いていると、オールオアナッシング、すなわち公務に100%従事するか、逆に完全に民間企業に従事するかのどちらかしかない、いった考え方のようである。しかし、私企業からTLOのような公共法人的なものまで一律に扱うのはどうかと思う。アメリカの公務員制度はどうなっているのか。また、人事院として、そもそも問題解決の意志があるのかどうかを伺いたい。
共同研究について、大学として研究するという意思決定がされたからその成果についても国に属するのだということだが、共同研究が大学の意思決定を待たないとできないという根拠は何か。また、それは変えられないものか。研究者、研究グループが直接研究をするのを妨げているのはどういった規制なのか。100%国費を使いながらも個人に帰属することもあるのに、なぜ共同研究の場合は国に帰属することになるのか。
また、財産権の侵害にもかかわる問題を通達で決めているがそれでよいのか。基本的に法律が必要な問題ではないか。
大学有にという話もあったが、今の国立大学のままではどうかと思う。その場合は、民営化、独立行政法人化が必要だと思うがどう考えるか。
(人事院)アメリカのことはよく分からないが、そもそも社会の仕組みが違うのではないか。社会の仕組みを無視して、成果をどこに帰属させるかは考えられない。社会の仕組み全体を考える必要があり、その中で、例えば、兼業期間だけ公務員でなくなるといったような方法についても考えていくべきである。ワーキンググループでは、兼業期間だけ公務員をやめて、その後大学の戻るのが今の社会体制ではすっきりしていると申し上げた。
公務員身分に係る問題点を払拭するためには、国立大学の独立行政法人化ということも考えられるのではないか。また、正にこの独立行政法人というものは、社会の変化に対応するものとして検討されているものと理解している。
(文部省)なぜ共同研究が国としての意思決定に基づき行われるかということだが、共同研究制度は昭和58年に作られたが、大学と企業とが共同で研究をする際には、癒着がなく公的管理下で公明正大に研究を行っていくべきであるという考え方があり、そのため個人の契約ではなく、国がやることになっている。経費についても同様に公金ルートに乗せて透明に処理をするという考え方の下に作られたものである。
共同研究の成果は国に帰属することにしているが、相手方の民間側から優先的に特許を出願できるような配慮をしている。国有であることに自体が問題だという議論があることは承知しているが、今春に成立したTLO法の中で、平成11年度から国有特許を認定事業者に移すことについて特許料等の免除措置を作った。国有であることに不都合あれば、認定TLO等を活用することによって阻害要因を排除できないかを事務的に検討している。
一介の通知で解釈するのはどうかについては、特許法の理解としてはこれでよいと思っている。別の解釈があるということであれば、特許法そのものについて検討する必要がある。
(委員)先程、人事院から、いろいろな問題がクリアされれば、文部省との協議に入れるとのことだが、今この問題をブロックしているのは人事院という理解でいいのか。
また、論説委員に聞いたということだが、論説委員が国民を代表していると考える根拠は何か。
問題点がクリアになるということについては、誰が、どういう基準で判断することか。
この問題は、公務員全体の問題である。関係の審議会でも公務員の能力主義、能力に応じた報酬・賃金体系が議論されているが、身分保障の代償として清廉度を求められているという50年前の発想で、人事院自体がこの改革をブロックしているのではないのか。国民の意識が変わらないというが、国民の最も遅れた認識段階を代表しているのが人事院ということではないのか。
(人事院)国民の納得が得られなければ次の段階に進めないということを申し上げた。
(委員)ということは、文部省が協議の申し入れをしても、人事院が応えていないということか。
(人事院)文部省との話合いの中で議論しているところであり、文部省と意見の対立はない。
論説委員の大方がそういう意見であるという意味であり、国民全部がそうだと思っているわけではない。
人事院が旧態依然とした考え方をとっているので、公務員法制が遅れているという指摘については、我々のそもそもの立場が国家公務員法を守るという立場であるから、見方によればそうなるかもしれない。しかし、そうならないように、例えば公務員の給与についても能力主義を取り入れるなど、民間の動きに遅れないよう努力をしている。それにしても民間の後追いになる部分があるのはやむを得ないところであるが、今後ともできるだけの努力はしていきたい。
(委員)国民の納得性の問題だが、国民の納得の得られない提案をすることは簡単である。納得を得ながら前に進むには、相当の使命感をもって、知恵を絞っていく必要がある。人事院の話だと最初から日本では無理だという印象を受ける。文部省については、進めようとはしたが、ここから先は大変だというところで止まっている印象を受けた。国民の納得と現行の法体系との整合性の壁がある。これは確かに難しい。難しいけれど、前に進めようとする意志、姿勢があるのかどうかが重要である。あるいは既にに検討を始めているのか。
(文部省)この問題は、文部省内部でも結論は出ていない。ただ、TLO法に基づく承認、あるいは認定TLOがといったものについて、TLOがあっせんし得た収入を大学、研究者にフィードバックさせるスキームがある。TLOという株式会社が得た利益の一部は国立大学、研究者にフィードバックさせる仕掛けが内在されている。この点で、TLOは全くの私企業よりも公益性があるものであるかもしれない。とすれば、TLOの役員と私企業の役員との間に線が引けるかもしれない。しかし、その場合においても、公務員の服務の側面という問題はクリアしないといけない。勤務時間、役員報酬などのスキームを考える必要がある。このような考え方については、人事院にも理解を示していただいていると考えている。
(人事院)全く駄目だというスタンスで検討しているつもりはない。ただ、内部での検討、あるいは内閣法制局の意見を聞いている中では、仮に勤務時間や報酬等の限定を行ったとしても、経営責任と職務専念義務との関連で難しいということである。大きな仕組みの検討が必要で、独立行政法人も一つの方策である。しかし、これは我々が申し上げることではない。研究成果の社会への還元については非常によいことであると考えているので、できるだけの検討はさせていただきたいと考えているが、現段階では難しいということである。
(委員)国際的な相場はどうか。人事院の姿勢は保守的にすぎないか。国際的な動向をもう少し検討してはどうか。
また、企業の研究に関して、いったん国庫に入るから国の勘定であり、そこから生じた成果は国に帰属するというのは形式的な議論である。さらに、そのようなことが通達及び私的文書で決められているということだが、仮にこれを無視して大学教官と企業との共同所有にしたとすると(国立大学教官に対して)何らかの法的制裁があるのか。
(人事院)この問題について具体的処理を行うとすれば、法案を出すことになると思うが、国家公務員法第103条の規定だけでなく、憲法との関係が内閣法制局でも議論になるだろう。人事院としては、国公法をたてにブロックするつもりがあるわけではない。
(文部省)共同研究については、大学が行うという仕組みとすることで、企業と教官個人との癒着を防ぐという意味目的がある。通知の解釈については、特許法の出願発明ををどう理解するかであり、解釈の確認のためにも審議会で議論いただいてきたということである。
(委員)一片の通知を根拠とする制度に違反して、国立大学教官個人と民間企業の共有にしてしまったような場合に、当該教官に対して何らかの処分がなされるのかどうか、人事院に伺いたい。
(人事院)難しい問題であり、特許法の解釈そのものの問題であると文部省から問題提起されているところであり、即答できない。
(委員)文部省の通知は、特許法と関連付けて出してあると理解してよいか。
また、アメリカと社会の仕組みが違うという話があったが、どこがどう違うのか。アメリカでも大学が公的な存在である点に変わりはない。アメリカのみならず、諸外国をよく調査する必要があり、人事院でも具体的な調査体制を整えるべきではないか。
(人事院)残念ながら人事院では、現在のところそれだけの十分な体制を整える余裕がない。
(委員長)今日は、結論を出すのが目的ではなく、問題点を洗い出すことであり、その意味では非常に有意義な議論ができたと思う。
一言申し添えると、今日の議論は主として理工系における産学連携ということであったが、企業そのものを研究する学問としては、経済、経営、商学、法学などもある。企業の社会的要請から社外取締役、監査役を備えて企業活動の透明度を与える動きもあり、この産学連携の問題の中には文系の問題も大きいということを付け加えたい。
5 議事概要
「労働者派遣事業など労働需給調整関係規制について」の公開討論が行われた。冒頭、雇用・労働分野担当の主査である浜田委員から、討論の趣旨等について説明があった後、意見発表及び意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(浜田委員)
・本日は、労働市場にかかる規制、すなわち職業安定法等に関する分野を取り上げる。昭和22年に制定された職業安定法においては、1)第4条第1号で、労働力の需給調整を図るのは国の役割である旨を規定していること、2)第32条で、「何人も、有料の職業紹介事業を行ってはならない」と民間の事業活動については原則禁止の規定を設けていることにみられるように、労働力の需給調整は国の役割で民間事業者はその補完に過ぎないとの考え方を基本としており、その法体系を見直すべき状況にあると考える。
・景気が低迷する中で、雇用情勢は、完全失業者297万人、率にして失業率4.3%、有効求人倍率0.5倍(各数値8月)と最悪の厳しい情勢にあり、また、中・長期的にみても我が国の労働市場は、労働力人口の減少、労働力の高齢化の進展などが避けられない状況にある。このため、社会経済情勢の変化を踏まえ、雇用の流動化・多様化への対応を図り、雇用機会の創出に向け、民間の活力を導入して労働市場の活性化を図ることが必要である。
・雇用・労働分野の最近の動向としては、1)裁量労働制などを盛り込んだ労働基準法改正法案が去る9月25日に成立し、また、2)10月6日には適用対象業務のネガティブリスト化などを内容とする労働者派遣法改正法案が国会に提出されたところである。このように、雇用労働分野の規制緩和はある程度進みつつありるが、これらについても適用対象業務の範囲などが政省令で定めることとされ、今後の検討に委ねられている事項も見受けられる。このような状況を踏まえ、本日は、「論点公開」のうち労働者派遣事業、有料職業紹介事業、無料職業紹介事業及び労働者募集に係る規制について討議する。具体的な論点について、
1)労働者派遣事業では、適用対象業務の範囲の拡大、派遣期間の延長など、2)有料職業紹介事業では、取扱職業の更なる拡大、許可の有効期間の延長や許可要件の見直し、手数料規制の見直しなど、3)無料職業紹介事業では、同様に許可の有効期間の延長や許可要件の見直しなど、4)労働者募集では、通勤圏外の直接募集に係る届出制の廃止、委託募集の許可制度の見直しなどについて、規制の緩和・撤廃を行うべきと考える。
(日本経営者団体連盟)
・日経連は、規制緩和について、経済的規制は原則自由、社会的規制は必要最小限という基本的な姿勢を貫いている。有料職業紹介事業の取扱職業の範囲については、前回の改正時点においてはやむを得なかった面もあるが、ネガティブリストの範囲が広過ぎる。労働者数の多いサービス業、製造業など包括的なものが入っているので、さらに議論して見直すことが必要である。許可の有効期間の延長については、許可制を届出制にして問題がないなら、この問題は自然に解決するのではないか。職業紹介事業の手数料、有料か無料かということについては、マーケットの問題で、市場に任せるべきではないか。
・労働者派遣事業については、改正法案においてネガティブリスト化する「命令で定めるもの」の内容及び激変緩和措置の内容がはっきりしないが、適用除外業務は最小限のものとしてもらいたい。派遣期間については、これまでの労働者派遣法の適用対象26業務と新たに対象とする業務との取扱を別にして2階建てになっているが、現場での混乱が予想されるため一本化すべきである。また、「士」業等の国家資格を適用対象業務から除外するとの話もあるが、除外すべきではないと考える。
(日本労働組合総連合会)
・先般、規制緩和委員会が取りまとめた論点の中には、現在の世の中の動きにマッチしたものもあるが、基本的にいくつかの間違いがある。市場原理を通じて労使双方のニーズに応えるために規制を緩和するというのはおかしい。社会は成熟化しているが、労使の力関係は依然としてはっきりしており、特に中小企業等においては労使の力の差は未だ歴然として大きい。
・労働者派遣は、臨時的・一時的な労働力の需給調整のためのもので、常用雇用労働者に取って代わるものではないと承知している。論点公開の中に、本来、常用雇用労働者と非常用雇用労働者の間には雇用契約の違い以上の差はないとの記述があるが、現場における派遣労働者の実態には極めて厳しいものがあり、身分にも雇用条件にも極めて明確な格差がある。本当に趣旨どおりに制度が運用されるのであれば、ネガティブリスト化は止むを得ないと考える。しかし、雇用契約期間が中途での一方的な解雇や、派遣労働者を受け入れる際に派遣先企業がいくつもの求人票を集めて選んでいるなどの実態を十分承知した上で対策を考えるべきだ。派遣期間の延長問題については、延長すれば当然に常用雇用化する。
・有料職業紹介事業については、職務経験等を評価するシステムがなれければ、枠を広げても余り意味がない。日本では会社をかわる時に、前の会社での評価が次の会社に引き継がれない。職務経験が公正に評価されるようなシステムを作らなければならない。許可等の有効期間の延長の問題は、違反の場合に厳しいペナルティを課すことができるというセイフティーガードが担保されれば、特に問題はない。
(山本弁護士)
・現在の厳しい国際情勢の中で規制緩和は必要だが、何でもかんでも規制緩和をすればよいというものではない。現行の労働法制の中でも、憲法でも、団結権と労働条件の基準とは別立てになっている。団結できるところは団結権により交渉等を行い、団結できないところは国が労働条件を規制することにより労働者を保護することになっている。現在、組合組織率が28%を下回っている状況の中で、現行の労働基準法でさえ守られていない実態を踏まえた上で、どのようにするべきかを検討しなければならない。
・職業安定法は、戦後の終身雇用制と企業内雇用制を前提とし、また、戦前の封建的な労使関係を変えるために制定されたものと承知しているが、時代は変わってきており、見直す必要があることは否定できない。労働の流動化が進み、多数の職業紹介雑誌を使って職探しが行われている実態は直視しなければならない。公的な職業紹介は予算的な問題があるし、私的な職業紹介は野放しにすべきではない。不正行為をした事業者に対して許可を取り消すことやトラブルが発生した場合の対応策を検討することが必要である。
・問題は労働者派遣法で、現在の改正案には賛成できない。現場の実態をみると、現行法ですら守られていない。派遣労働者の平均派遣期間は3.8年となっている。労働者数に占める派遣労働者の割合は、独・仏では6.9%程度、米・英では1.5%から1.8%程度となっている。アメリカのように規制のない国で派遣労働者が少ないのは、派遣労働者と常用雇用労働者の賃金や労働条件が同程度だからである。日本の場合は、実態として短期雇用ではなく、尻抜けで不安定な地位に置かれている。結局、従来なら正社員であったであろう労働者を安い賃金で働かせるという使用者側のエゴに利用されている。本当に「一般的、臨時的」なことが担保されればよいが、それが担保されないで低い労働条件と低賃金で不安定な地位に置かれる労働者が増えるのは問題である。これは労働基準法を骨抜きにしていくことにもなる。労働者の企業に対する忠誠心を失わせるので、長い目で見るとマイナスである。今回の原則自由化の考え方は、実態を踏まえたものとなっておらず、実態をよく把握した上で判断すべきである。
(労働省)
・今日、労働者の働き方や希望が多様化し、企業のニーズや雇用形態なども多様化しており、効率的かつセーフティネットを備えた雇用システムを構築していく必要がある。労働者派遣事業については、平成8年12月に、適用対象業務の26業務への拡大、許可の有効期間の延長などの制度見直しを行っている。労働者派遣法改正法案については、規制緩和推進3か年計画において先の通常国会に改正法案を提出すべく閣議決定していたが、労使の意見の食い違いが大きく国会への提出が遅れた。先般、臨時国会の会期末(10月6日)に改正法案を提出することができたので、早期に国会での審議をお願いしたいと考えている。改正の趣旨は、臨時的・一時的な労働力の適正な需給調整のための労働者派遣事業を行うことができるようにするとともに、労働者保護のための措置を充実することである。改正の概要は、1)適用対象となる業務の範囲について、@港湾運送業務、A建設業務、B警備業務及びC中央職業安定審議会の意見を聴いた上で政省令で定める業務をネガティブリスト化して、それ以外の業務については労働者派遣事業を行うことができるようにすること、2)許可・届出制の基準の見直し、手続の簡素化を行うこと、3)派遣期間については、派遣先が同一業務について労働者派遣の役務を受け入れる期間の上限を1年に制限することとし、また、専門的な知識、技術や特別の雇用管理を必要とする業務であって、政令で定めるもの(現行26業務を予定)に係る派遣期間は現行どおりとすること、4)労働者保護等のための措置として、社会保険の不適用を理由とする処罰を許可の欠格事由とすることなどや苦情処理等のための方策を盛り込んだことなどである。国会での審議状況にもよるが、平成10年7月1日から施行し、法施行3年後に見直しを行うこととしている。有料職業紹介事業の更なる取扱職業の拡大、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可等の有効期間の延長、通勤圏外の直接募集に係る届出制や委託募集に係る許可制の見直しなどについては、規制緩和推進3か年計画に盛り込まれ、基本的方向の決定に向け、中央職業安定審議会で審議していただいており、同計画を踏まえ着実に推進していくこととしている。
(日経連)今日のように労働条件が厳しい不況時には、何より雇用の機会を見いだす機会、アクセスできるチャンスを増やすことを第一に考えるべきである。アメリカの失業率は4.6%で史上最低、日本の失業率は4.3%で史上最高となっている。これは世界的にみて、日本の労使が協力して雇用問題について上手くやってきている証拠であろう。基本的人権にかかる重要な問題だけはきちんと整備し、あとは自由にマーケットに開放することが雇用の促進に最も効果があるのではないか。
(委員)山本先生にお聞きしたい。特に中小企業の劣悪な条件下で働いている人々についてどうしたらよいのか。大企業の常用雇用労働者のように組織化するしかないのか。方法はそれだけか。わざわざ正規社員を辞めて、派遣を選ぶ人々がいるが、こういう人々の雇用を連合の説明にあったような考え方が狭めているのではないか。
今回の派遣期間を1年間に制限するというのは、かえって派遣労働者の雇用を不安定にし、1年で首を切るということになるのではないか。結果として経営者に首切りを強制することになるのではないか。日本では一度常用の形態で雇用されると解雇されることは少なく、大学を出た時点で身分が固定してしまい、それが受験教育を加熱させる一因にもなっている。派遣労働者が何か悪いことのように言われ、カースト制度における身分のように考えられている。現在は、働きのある労働者がそうでない人の役割まで担うという不公平なシステムとなっている。制度に守られた常用雇用者と市場賃金で雇用されている労働者との賃金格差が、男女問格差ともなっており、その格差は先進国の中で一番大きい。組織労働者の地位を保証する結果として、未組織労働者の地位を不安定にし、両者の賃金格差を拡大している。アメリカの場合、働きの悪い常用雇用者を簡単に解雇できるから、派遣労働者が少なく常用雇用の形態のままということである。連合の説明の中に、職務経験が正当に評価されないとの話があったが、年功等による生活給を要求しているから、会社を変わると条件が悪くなるのである。能力給になれば、これから労働条件がタイトになるので、むしろ労働者にとって恵まれた状況になる。自由契約を妨げるやり方は必ずなんらかの副作用を生む。ヨーロッパなどでは、恵まれた人は雇用されているがその他の人は雇われず、10%の失業率となっている。雇用された人の条件をよくすればよくするほど、未熟練労働者の雇用状況は悪くなり、日本もこのようになりかねない。これから未組織労働者の利益をどう図っていくのか。これからは夫だけでなく多くの主婦も働くようになり、多様な働き方に対応した労働環境の整備が必要である。組織労働者さえ守っていればよいという今のシステムでは20数%の労働者しか救えない。
(山本弁護士)中小企業の労働者の雇用条件がよくなるかどうかの問題は、職業安定の問題でも、労働者派遣の問題でもなく、日本経済全体の問題である。今日、非常に雇用が流動化しており、職業紹介制度を見直す必要があると考えている。現行の労働基準法は労働者のほとんどが組織化されるであろうとの前提で作られた。しかし、現在、組合組織率が2割8分を切り、未組織労働者が7割である状況を考えた上で法制度を検討する必要がある。組織労働者の賃金がよくない中では、未組織労働者の賃金はよくならない。組織労働者の賃金が上がってこそ、未組織労働者の賃金がよくなるという長い労働賃金の歴史がある。終身雇用の年功賃金がよいかどうかは、これから労使が真剣に議論していくべき大きな問題である。多くの主婦が4、5時間しか働きたくないと思っているのも事実である。現実には、本来の派遣労働者ではなく短期で安上がりの労働者になっているという事実や、使用者に制度を悪用されているという過去10年間の事実を踏まえる必要がある。派遣期間が1年に制限されたのは進歩だが、制限期間を超える場合の雇用が義務づけられていない。個々の労働者への思いやりが必要である。短期間働くことを希望する人がいることは認める。しかし、実態は長く働きたい人が派遣労働者として3、4年働いている。それが全体の6割から8割を占めている。それに対するチェック機能はゼロに等しい。義務規定のない改正案では、骨抜きになってしまうことを危惧している。
(連合)連合に加盟している約1400の組合の状況をフォローしているが、全て年齢給で賃金を要求しているわけではなく、現在では仕事給のウェートが高くなっている。年齢給にリンクしているケースはわずか7%程度で、ほとんどか仕事給と年齢給とを考慮したものとなっている。先程の話は仕事給で移動した際、給与が保証されないことについて問題提起したものである。私たちは、組織労働者の権利だけを守るという考え方はもってない。最低賃金制度の問題においても、未組織労働者を視野に入れて組織を挙げて取り組んでいる。組織労働者の労働条件を守ることが未組織労働者を守ることになり、その労働条件を確実に引き上げてきたことは、これまでの40年間の春闘の実績である。私たちは、未組織の労働者が増え、労使交渉の能力を持たない人達を保護する役割が増えていると考えている。労働基準法における裁量労働制の導入の問題についても、組織労働者であればきちんと労使で範囲を規定できると考えていたが、それができていない。
(委員)今後は終身雇用が変則的になってくると思われる。アメリカでは派遣労働者の割合が全体の1.8%しかないというのは、賃金が正社員と同じというよりも、正社員でもリストラできることが一番の理由である。
(山本弁護士)日本で労働者派遣が認められているのは現在26業務で、特殊専門分野に限られているが、同じ仕事をしていても、給料が安く、労働条件が悪く、いつでも首を切られ保護されない状態となっている。このような制度の濫用は放置されるべきではない。
(連合)これまでの専門的な26業務については、今までは労働者側の売り手市場であったから認めてきた。そういう労働者側の優位性がなくなってきた状態で、ネガティブ化・原則自由化されるのは問題である。雇用保険や社会保険について、加入して1年に2か月や3か月しか働けない職場が大多数になった場合の生活保証、年金の問題について、どのように考えているのか。
(山本弁護士)派遣労働者については、社会保険の加入率が大変低い。
(委員)年金の適用対象の問題にしても、派遣労働者が増えればそれに対応した制度の在り方を考えることになる。
(山本弁護士)委員の考えだと、労働が流動性を持てばよいということなので、労働者派遣法の適用範囲を広げなくても、長期雇用型の労使環境が変わればよいのではないか。
(委員)労働基準法では有期雇用期間を3年にすることとされたが、有期雇用期間を5年とかにし職種を増やしていけば、アメリカのように派遣労働者も減っていくのではないか。
(委員)有料職業紹介事業の場合、昨年、ポジティブリストがネガティブリスト化されたが、除外する職種が多く実態としてあまり変わらなかった。今回の労働者派遣事業の場合、法案で適用除外するとしている港湾運送業務など3業務以外に、どのようなものを考えているのか。ネガティブリスト化するだけで余り変わらないのではないのか。少なくとも営業、販売は適用業務になるのか。
(労働省)法律に沿わない政令は法律違反となるので、ネガティブなものが無秩序に拡大することになるとは考えていない。これから中央職業安定審議会において具体的に審議していただくことになっている。
(委員)法案にある「その他」の業務とはどのようなものか。
(労働省)法案に「派遣労働者に従事させることが適当でない業務」と明記してある。
(委員)適当でないと誰が決めるのか。基準が明確でない。
(労働省)審議会で決める。業を所管している省庁がどう考えるか、業を行っている事業主がどう考えているのか、業で働いている労働者がどう考えているのかが判断の基になる。無秩序に適用除外業務を増やすことにはならない。
(委員)どうしても適用できない業務は何か。ネガティブリストにしさえすればよいのではない。26業務より増えるのか。営業は入るのか。
(労働省)現行の26業務よりは増える。営業は入る。弁護士、税理士などの「士」業、医療関係業務などについては議論がある。有料職業紹介事業のようにはならないようにしたい。
(文責:規制緩和委員会事務室)