−速報のため事後修正の可能性あり−
5 議事概要
「法曹人口の大幅増員と関連問題」についての公開討論が行われた。冒頭、法曹分野の主査である鈴木委員長代理から、論点の趣旨等について説明があった後、意見発表及び意見交換が行われた。その概要は以下のとおり。
(鈴木委員長代理)
・論点1は、司法試験合格者数の増加それ自体である。法曹養成制度等改革協議会の多数意見であった司法試験合格者1500人が閣議決定され、昨年10月に三者協議がまとまり、今年度800人、来年度は1000人に増員される。1500人については、平成14年以降検討するとなったが、どういうことを検討し、どういう方向になるのかを取り上げたい。
・論点2は、法曹三者協議の在り方についてである。法曹三者が互いに対等の立場で話し合い、合意を得るよう努めることに異存はないが、歴史的にみると、対立の歴史であり、日弁連が反対し、重要な司法改革が進んで来なかったという指摘がある。最近は変わってきたようにも聞いているが、その原因の一つとして三者協議の在り方の問題があるならば、見直しの必要がある。三者協議に関する附帯決議もそのことを目的としてきたのではない。
・論点3は、研修制度の問題と関連するが、司法研修所の収容能力に規定されて司法試験合格者が1500人への増加も遅々たる歩みになっているのが現状である。実地研修は、ギルド・徒弟的なマンツーマン教育にこだわりすぎており、収容能力がなくて1500人に増やせないという循環に陥っているのではないかという視点も踏まえて議論していただきたい。それに加えて、内閣法制局参事官の経験など、司法試験合格後、司法修習を経なくても法曹資格を取得できる途が現在でもあるが、修習というボトルネックを当面解決する観点からも、そういうシステムを官民対等に企業法務にまで広げることを考えてみてもいいのではないか。
(日弁連)
・司法の機能を大幅に拡大強化することについて全く異論はない。問題は、法曹人口の大幅増員という形で問題が設定され、これが数年来同じ問題設定のまま今日に至っているということについて、今までのそれなりの論議の成果があったと私は評価しているが、いつまでもこの形で論議されていることは、事を前に進めるという観点からは適切ではないと思う。
・法曹人口という問題は、司法制度全体が大きく強く機能して行くための、重要ではあるが、様々な要素のうちの一つである。この問題についての基本的な問題はどこにあるのか、何を突破口として問題を解決していくかということについて考えてもらいたい。いつまでもこの問題で、何年までに何人をという議論をしていると、そのことを巡って対立点が拡大し、事柄を前に進まなくする由縁となる。司法を拡大する上で一番大切な要素に焦点を合わせて、そこを改革することに重点を置いて考えていくことが必要である。
・法曹人口の1500人への増加については、三者協議で合意が出来ており、これにしたがって誠実に対応していくつもりである。時間的余裕ができたから、またさぼってもよいのだという態度をとる積もりは全くない。いかなる問題について検討し、検証していくべきかということについては、これから詰めていくべき問題である。それほどまでに、需給関係に関する問題は極めて複雑な問題を含んでいるので、慎重に、しかし、歩みは遅くしないで検討を進めたい。
・法曹人口問題に関する一番大きな基本的問題は、国家の司法機能を最も有効に発揮させるためには、何が今障害になっているかという問題であり、規制緩和委員会もこの問題を正面から解決するための方策について考えてもらいたい。
・日弁連は、従来から口を酸っぱくして、裁判所の受容能力がその国の司法の枠組みなり容量を決定づける最大の要素であるという主張をしてきた。なぜ、法曹人口という人の数の問題だけを優先し、規制緩和委員会しか提言できない問題であろうと思われる最も基本である裁判所の物的・人的機能の拡大ということについて取り上げないのか、すなわち、裁判官及び関連する職員の数、物的施設等を直ちに大幅に増員・増加・強化することに取り組まれないのか不思議に思う。
・弁護士の分野における需要と供給の関係は、極めて複雑な問題を含んでいる。よく比較される医療の分野においては、医療は病気という形で顕在化する。しかし、法律紛争というのは、人と人との問題であり、同時に、我が国の場合、できるだけ争いを顕在化させないという国民性が加わってくるので、現状はどうなっているのか、どこに問題があるのか、どこを解決すれば問題がスムーズに決着するのか、そういう需給関係についての問題がビビッドに浮かんでこない。需給関係についていろいろな分野の方々と実態を語り合い、効率的に法曹の力を使うということについて、どうネットワークをつくり、どうアクセスをつけるかなど何らかの方策を提言したい。
(日弁連)
・三者協議が絶対的なものとは思っていない。三者協議の論点・討議状況を国会・マスコミなど世論に開示して透明性のある協議をしていく必要がある。法曹人口問題の三者協議についての指摘は、平成14年では遅いのではないかということであるが、我々としては質の確保ということも必要だという立場である。
・司法修習は、生きた事件、当事者に触れ、優れた法律実務家の先輩から具体的問題についての指導を受け、実務家としての能力を身につける機会である。さらに、社会の実情を学ぶ中で、弁護士の使命である基本的人権の擁護、社会正義の実現、公共的使命を学び、兼職禁止や非弁護士との提携禁止などの弁護士倫理を必須として学ぶことにより、弁護士自治の担い手としての自覚を身につけることができる。
・弁護士・裁判官・検察官のいずれの仕事も直接体験し、広く様々な法分野にも触れ、総合的な修習を経て初めて国民の生命・身体・財産に係わる資質を身につけることができる。今日の弁護士に期待される専門性も、こうした広い基礎的な能力の上に初めて開花するものである。
・企業法務への法曹資格付与については、司法修習の間の休職を認めて一緒に修習できれば問題は解決するのではないかと考える。
(帝京大学菊池教授)
・高裁・地裁の実態を知っている裁判官経験者として話したい。
・民事中心にいうと、件数は平成2年を底に増加し、今は横ばい。東京地裁は最高を更新している。民事事件の平均審理期間は、10か月。全体の4分の3が1年以内に終わり、90%が2年以内に終わる。2年を超えるものが10%程度である。最高裁までいって10年かかるものもわずかある。100件のうち、高裁にいくのは10.5件、最高裁にいくのは2件程度である。平均審理期間は、バブル末期は12〜13か月、平成5年以降は10か月である。
・なぜ審理期間が早くなったかというと、裁判実務の中で、今までサミダレ式にポツポツと期日が入り、だらだらと証拠調べをしていた民事訴訟のやり方を改善したからである。形式ばらないで、裁判官と弁護士が膝を突き合わせて話し合い、紛争の実態に焦点を合わせた審理をしてきた成果である。
・現在の状況は、大都市を中心に裁判官が忙しく、相当数の増員が必要である。検察官・弁護士の増員も併せて必要である。1人の弁護士が何件もの事件を抱えていて、早く期日を入れようとしても不可能なことがある。裁判官を2倍に増員しても、弁護士の数がそのままでは、審理期間の短縮につながらない。
・増員という場合、質の確保が不可欠である。法曹は1人の責任で処理することが求められる。判事補は合議体の構成員であるが、判決以外は1人でできる。また、合議体であっても、指示を受けてするのではなく、自分で考えることが求められる。医者の業務は生命にかかわるので、取り敢えず医者にしておいてから、淘汰されるのを待つということはしない。法曹も同様である。生命・身体・財産の安全に直接かかわる法曹の育成に重要なのは、法曹としてのバックボーン・心構え・モラルを身につけさせるということであり、司法修習が一番効率的に短期間で身につけさせる方法である。
(法務省)
・法曹人口の大幅増については、法務省は、かねてから1500人にすべきだと思っていた。その第一歩として、従来700人程度であったものを1000人まで増やし、修習期間を1年6月に短縮するという改正をした。1500人に増やすについては、質の確保という問題が必ずあり、1500人体制にしたときの問題点について十分把握した上でなければ難しいと思われるので、そのためにできるだけ早くデータを集め、検討をした上で結論を出したい。
・三者協議については、これは国会の附帯決議に基づくものであるが、法務省としては、行政府の一員として国会の意見を尊重しなければならない立場にある。内容的に見ても、司法制度の運営に直接携わる法曹三者が司法制度の改正に当たって意見を一致させ、円滑な運営に協力し合うということは合理性がある。
・修習については、アメリカのようにロースクールを卒業して試験に合格すれば直ちに実務に入る国もあるが、ドイツは2年間の司法修習を経て2回の試験に受かって初めて判事・検事・弁護士になれるという日本と同じシステムであり、フランスも裁判官・検察官になるには、国立司法学院で2年7か月の教育を受けてその後実務家になる。弁護士についても1年間の弁護士研修センターでの研修を受け、その後2年間の弁護士補としての研修が必要である。
・国民の生命・身体・財産の安全にかかわる法曹を養成するには、各国とも慎重な制度を採っている。大学における法学教育を補完するには、研修所における実務教育が不可欠である。実務修習に匹敵する訓練を経たと認められる者については、法曹実務家となる資格を与える仕組みがあるが、これを広げていくにしても個別に慎重な検討が必要であろう。
(委員)法曹の増員については、法曹全体を増やすということを主張している。国際比較をしても、日本の法曹の数は異常なまでに少ない。全体の数を増やすという議論をすべきである。
質の確保は重要な問題だが、修習期間がなぜ2年ならよくて1年半ではダメなのか。世の中一般での人材育成はOJTでやっているというのは本当のことであって、必要であれば、弁護士補という制度をつくる方法もある。合格者を増やして、入るのを容易にすれば良い人は必ず集まってくる。
また、附帯決議の内容についてだが、三者の意見を一致させろという付帯決議はなく、一致させるよう努めるべきというだけである。
(日弁連)日弁連としては、裁判官の増員を先行させるべきと言っているのではなく、法曹人口全体の増大と同時に取り組むべき問題だと言っている。法曹人口を増やすには、合格点数を2〜3点下げればおそらく何十人何百人増やすことは可能であって、司法試験管理委員会の裁量で法曹人口を増やそうと思えば増やせる。しかし、裁判所を大きくし、裁判官の能力を高めるには、今から手を着けないと、予算的にも人員の面においてもできない問題である。
大都市の裁判所では増員が必要で、地方はヒマだといわれているが、地方の裁判所支部などでは毎日裁判官が常駐しているわけではない。1週間1回とか2週間に1回とか裁判官がやってくるというところが多い。そういうところへ毎日裁判官を配すれば、これはムダだという評価を受けがちであるが、東京ではその日に仮処分申請ができるのに、田舎では1週間かかり、不利益を受けている。裁判所の規模・体制は、すべての国民がその利益を享受できるだけの規模を備える必要がある。それによって、弁護士も地方での仕事が可能になる。
(菊池教授)今の司法修習の期間の長さとか、やり方・内容というものについては検討の余地がある。しかし、専門技術の基本、モラルのバックボーンを効率的に養成できるのはやはり司法修習である。
(法務省)附帯決議の内容は先程の委員の御指摘のとおりである。
(委員)法曹の量(人口)を増やせば質が低下するというのは本当か。逆に、制限すれば、なぜ質が上がるのか。供給の制限は腐敗をもたらす。日本は自由主義社会であり自由が原則である。なぜ需要を増やさなければいけないか説明しろというのは、論理が逆ではないかと思う。
学校教育はダメで、そのギャップを埋めるのは研修だと法務省の方が言ったが、それであればこそ、実社会で研修を積んだ人をなぜ受け入れないのか。純粋培養でなければダメだという考え方ではなく、実社会で仕事の経験を積んだ社会人が容易に法曹になれるような米国型の流動性のあるシステムの方が、淘汰というメカニズムを通じてより質のいい人が選ばれるのではないか。
(菊池教授)合格者数を増やせば質が低下するとは思っていない。今と同じ司法修習が必要かどうか十分検討する必要があるが、司法修習の課程は維持すべきである。自然淘汰は時間がかかる。また、質が低下して被害を受けるのは国民であり、被害者が出た後で排除の論理が始まる。医者についてそういうやり方をしないのと同じである。
(法務省)菊池教授のおっしゃっているのと同じで、合格者数が増えれば自動的に質が下がるというのではなく、それなりの修習によって修習終了後実務に就く人の質を確保しなければならないということである。学生と実社会とのギャップといったのは、法律の世界、実務法律家の世界と法学部の学生の受けている教育との差が非常に大きいという趣旨である。それとは別に実社会の経験を積んだ人が法律家になるのは好ましいことである。その意味で、司法試験を受かりやすいものにしていこうと思っている。学校で受験勉強だけをしてきた人だけでなく、多様な人が法曹に入ってくることを希望している。
(委員)この議論に関連して、質の話がよく出てくるが、ここでいう法曹の「質」とは、何か基準かあってそれを誰かが評価してということだと思うが、その辺りをもう少し具体的に教えてほしい。
(日弁連)先程、多くの中から淘汰され、悪いものが振り落とされるのが自然の法則だという話があったが、法律の分野においては、何を基準に淘汰されるのだろうかということについて十分な配慮が必要である。つまり、悪徳商人がいたとする。彼の立場からみて使える弁護士と使えない弁護士がいるが、両者の質の違いは何なんだろうかということを考えると、無批判に依頼者の利益擁護のために動くことがその依頼者にとっては質の良い弁護士になる。
このように、法律の世界は価値基準が依頼者によって違う。法律家としては、独立して自らの価値基準によって何が正しいかを判断できる能力を備えることが一番必要なのではないか。そのためには、深い経験と熟慮が必要である。おいしい仕事が目の前にきたときに自分の行動をどう制御していくのか、どんなアドバイスをするのか、どんな仕事をするのか、そこの判断に迫られた時に仕事を振ってでも自分の信念を守るということが、法曹としてのあるべき「質」だと思う。とすると、自然界の淘汰にまかせるという考え方は法曹の世界ではあまり好ましいことでないのではないか。
(委員)今言われたことが、供給を制限すれば実現されるのか。
(日弁連)供給を制限しろとか、なぜ増やさなければいけないのかと開き直っているのではない。どういうふうに増やしていくのかということを申し上げている。司法の中枢機能を担っている裁判所と共に強化していくべきだといっている。
(委員)メーカーと違って安いものを造ればいいわけではないなど、他とちがって特殊なことを考慮に入れても、余りに市場の競争の要素を取り入れなさすぎる。一種のエリート意識を形成していて、本当の意味での市民の声というものに考慮が払われていない。淘汰される間に犠牲者がでるというのも国民の知性というものを見ていないような気がする。
根本的には教育から変えて行かなければならない。ロースクールをつくって完全な法曹教育をして、その後の試験で振り落とすのがオープンなシステムだと思う。
(菊池教授)消費者が自己責任で見る目を養うべきということは、全くそのとおりであるが、被害はいわゆる弱者に集中する。そういう人たちに直ちに「見る目」を求めるのは酷である。
(日弁連)競争原理とは何か疑問がある。互いに切磋琢磨するという意味での競争原理は理解できるが、企業・経済でいう競争原理をそっくり弁護士の世界に当てはめれば、利益を上げるために競争することによって、弁護士の力の及ばない人・権利が保護されない人が出てくるのではないか。企業における競争原理と弁護士の競争原理とは違う気がする。
(法務省)ロースクールについてであるが、先進国でロースクール方式を採っているのはアメリカ一国のみである。ドイツは司法修習を国費で運営、フランスも裁判官・検察官については国立司法学院、弁護士については弁護士研修センターで研修を行っている。イギリスについてもバリスター・ソリスター別々に供給機関を持って一定期間の教育あるいは士補と見習いという制度を採っている。各国のそれぞれの歴史に基づいてそれなりに能力のある者を確保する方策を講じてきているところであり、アメリカの国情からみるとロースクール方式が適合してきたのだろう。日本でロースクール方式を採ろうとすると、教える人をどうするか、どうやって教えて実務教育をどうするのかという問題がある。
(宮内委員長)論点を整理したい。今日の司法試験合格者の増員問題というのは、二割司法といわれるほど、司法が社会の紛争の中で役割を果たしていないということから発生している。今後の社会を考えると二割司法ではいけない、司法の役割を高めるためにはどうしたらよいかということ、そのための第一歩として法曹人口の問題がある。現行の極めて難しい試験を突破してきた人に制限して1年半の司法修習をし、ある種の質を確保した人間を養成することによって司法制度は十分だといえるかどうかというのが論点ではないか。したがって、二割司法にチャレンジしていくというのがこの会議の趣旨である。
(委員)合格者数を増やせば、司法修習がボトルネックになる。一方で修習制度は大変有意義であり、その制度を壊したくないとの発言があったが、どういう理由でそういうことが言えるのか説明していただきたい。合格者数が400人〜500人の時にはベストの制度であったかも知れないが、1500人になろうとするときに、今の制度が本当にベストであると言えるのだろうか。司法修習は国民の税金を使ってやっているのであり、どうやったら税金を活かせるのか司法修習の制度も不断に見直すべきである。修習制度がボトルネックだというのは中身の問題なのか、教える人の数・施設の問題なのかクリアでない。
供給を制限すれば、本当に良い人が集まるのか。供給を制限すれば、逆の効果を生むのではないか。今、医者でも面接試験をやってこの人が医者にふさわしい人格を持っているかということをみている時代になっている。法曹界に携わっている人は人を扱うわけであるから、人間が一番よく分かっているのであり、そういう人は必ずしも難しい試験を経る偏差値の高い人である必要はないと思う。
(委員)法曹の役割は、国民に早く納得のいく判決・解決を示すことではないか。民事訴訟の平均審理期間が10か月で早くなったというが、実は大変遅いのではないか。3日や1週間で解決できるものもあるのではないか。平均10か月というのは大変な長さではないか。諸外国と比べてどうなのか。
(法務省)司法修習は良い制度だと思うが、時代の変化と共にベストな制度とは何か検討すべきである。そういう観点から、合格者数を1000人に増やすに当たって司法修習の内容を洗い直して、2年を1年6か月にした。今後もベストな修習は何か検討して行かなければならない。
「裁判は、厳格な手続の基に誤りのないように」というのは各国共通である。日本の場合、75%は1年以内に解決している。アメリカは州の中では50%のところもあるが、連邦地裁の平均は8か月である。最終的に陪審をやって判決を出すものについては18か月かかっている。日本が諸外国に比べて長いということはない。
(委員)諸外国との比較は、和解についてか、判決についてか。
(法務省)日本で10か月というのは全部含めての数字である。アメリカの連邦地裁の8か月も同じ。対席の審理を経て判決に至るものについては、日本は15か月で、アメリカは18か月である。
(委員)件数はどのくらい違うのか。
(法務省)日本の地裁の件数は14万6000件、連邦地裁は18万7000件である。
(委員)平成14年に司法試験合格者数1500人について検討するというのは極めて不満である。規制緩和推進3か年計画でも即刻審議に入るように言っている。法曹三者協議については意見を一致させる努力はすべきであるが、どうしても一致できない場合は、法務省に法曹行政権があるのであり、推進してもらいたい。1500人については、当面1500人と言っているのであって、当面の目標として認めた上で裁判官、検察官、弁護士の配分を考えるべきである。
司法修習については、これをやってはいけないとは一言も言っていない。ただし、修習のために1500人にするのは無理だと言われたらかなわないということを言っている。平成14年まで待つ問題ではない。修習期間をどうするのかということも工夫して検討すべきである。
(委員)裁判に要する期間が早いか遅いかについては、先程の説明で分かったが、しからば、なぜ増員問題が起こってきたのか。関係者のオーバーワークで処理してきて、皆さんの方からの要望で出されたのか。
(法務省)諸外国と比べて極端に遅くないということであり、裁判所を利用する人からすれば、もっと早くできないかということではないか。できるだけ司法を利用しやすいものにしたい。法曹人口が増大しなくては、そういうこともできないだろうということだと思う。
(委員)日弁連の主張の中にある法律扶助、司法基盤の整備とは、具体的にどんなことを要請しているのか。
(日弁連)法律扶助の問題については、法務省との研究結果に基づいて更に細目を煮詰めて抜本的な解決方策が政治日程に上っている。これを踏まえて、弁護士人口その他の諸条件を拡大しなければならないだろうと考えている。
裁判にアクセスできない人は経済的理由以外にもあるだろう。需要を掘り起こす努力をしていこうということで、日弁連の費用で法律相談センターを全国津々浦々につくろうとしている。 裁判所の部屋が足りないから期日を入れられないことのないよう、国にも余裕を持った裁判所づくりをしてほしい、地方にも裁判官を配置してほしいということを要請しており、そういうことをすべて総合して司法基盤を大きくしていきたいと思っているのであって、決して法曹人口の増加に反対しているものではない。被疑者の段階で国選弁護人を付けることも要請している。そうすれば、年間何万件の被疑者について、弁護士は警察に行かなければならない。そういう制度をつくり出そうとしている。そうなると、国費なり公費の導入が必要になる。そういうことを一緒にやりながらできるだけ早い機会に、すべての人が司法を利用する機会に恵まれるような司法づくりをしたいというのが私たちの願いである。
(委員)日弁連に聞きたいが、日弁連も法曹人口を増やすという基本原則に賛成しているのだから、裁判所の増員、法律基盤の問題について14年まで待たずに、今日明日から、日弁連はかつてのようなかたくなな姿勢をとらないということを私が理解したということでいいか。
(日弁連)委員も御承知のとおり、日弁連の中には真っ向から反対する意見もある。単に弁護士人口が増えるだけの印象の法曹人口増員の話ではなく、法曹三者がそろって大きくなる方向性をとれないかと思っている。そのことが日弁連の中の障害を取り除くことになるし、社会からの要請に応える道であると思う。
(法務省)仮に司法制度審議会といったものが設置されれば、法曹人口の増員問題もそこで審議されると考えていることを最後に申し述べたい。
5 議事内容
(1)「規制の設定又は改廃に係る意見照会手続(仮称)」について
総務庁行政管理局江澤管理官より、「規制の設定又は改廃に係る意見照会手続(仮称)」(別紙参照)の検討状況について報告を行った。その主な内容は以下のとおり。
・名称について、「広く国民」からの意見を求めるというニュアンスが出ていないのではないかとの御指摘を頂いたが、「(仮称)」を付し、今後もなお適切な名称がないかどうか検討を続けることとしたい。
・意見・情報を提出した個人又は法人の名称の公表については、公表予定であることを募集時に明示している場合に限ることとするとともに、提出された意見・情報の内容についても、誹謗中傷を内容とするものなどは、行政機関の判断で公にしないことができることとした。
・本日の委員会でこの案について了承が得られれば、準備が出来次第この案自体を意見照会手続に掛けた上、本年度内に閣議決定を行うことを目指したい。なお、本案について国民から提出された意見・情報については、再度委員会に御報告をする機会を設けたい。
これを受けて、質疑応答・意見交換が行われた結果、「意見照会手続(仮称)」案が了承された。その際の主なやりとりは以下のとおり。
・「本手続の対象であるか否かは行政機関が判断する」とすれば、行政機関の裁量があるようにとられてしまうのではないか。
→「規制」に係るかどうかについては、規制緩和白書(1998年8月総務庁)第6章の記述を踏まえて判断することとしており、恣意的な判断とはならないと考えている。
・この手続が日本のために役立つものとなるようにするためには、緊急性等を理由としてこの手続を採らなかった案件については、事後的に公表し、その理由を説明することを義務づけることが必要ではないか。
→各省庁から提出されることになる実施状況報告の内容として検討していくこととしたい。
・行政手続法では適用除外の規定があるが、行政手続法の適用除外となっているものはすべて本手続でも適用除外となるわけではないと考えてよいか。
→本手続の対象は、行政手続法の適用範囲とは一致しない。
・アメリカでは同様の手続が法制化されているが、我が国は閣議決定で制度化するとしたら、国民の権利という意味において、両国でどのような違いがあると考えればよいか。
→法的に狭く権利の制限という意味合いで考えてしまうと、行政指導や価格支持制度のようなものがとらえがたくなる。立法化については将来の課題とし、まずは行政上の措置としてスタートしてはどうかと考えている。
(2)経済団体連合会からのヒアリング
経団連から規制緩和に関する要望書の内容について説明が行われた。その際、「日本経済が戦後最大の危機に直面している状況の中で、経済構造改革が不可欠であり、規制緩和はその牽引力となるものである。今後とも規制緩和の一層の進展が必要であり、その意味で規制緩和委員会に対する期待は大きい。経団連としても委員会の活動に対して全面的にバックアップしていきたい。」旨の発言があった。
引き続き、委員と経団連との間で意見交換を行った。主な内容は次のとおり。
・行政情報の電子化については、前々から議論がなされているが進んでいない。これを進めるための具体的方策があるか。
→行政の情報化は、欧米諸国では戦略として進めているところもあり、政府としてリーダーシップをとって進めていただきたい。例えば、担当の大臣を置くとか、専任の事務局を置くとかいったことが考えられてもよいのではないか。
・金融について、CPのペーパーレス化については、非常に法律構成が難しいこともあり、経団連が中心となり、社会的に納得されるような新しい方法を提案してもらってはどうか。
→考えてみたい。資金円滑化協議会などに相談をしたい。
・医療福祉について、保険者機能の強化という観点から、もう少し幅広く病院の評価、不正要求なども含め、システム自体を見直す必要があるのではないか。医療費の増大の中で、労使双方が動かしやすいシステムを作る必要がある。
→経団連でも少子化、高齢化の中で、単にレセプトの問題だけでなく、保険者機能の強化という観点から、格付け、情報の開示、不正のチェックなどについて、検討すべき課題と考えている。
・金融について、経団連の基本的な考え方は非常に結構だと思うが、それに加えて、委員会の問題意識として、これまで間接金融に依存してきた構造を直接金融にシフトすべきではないかと考えている。そういう観点から、委員会の活動をサポートしていただきたい。
→経団連としても、証券市場の問題に関しては、店頭特則市場におけるマーケットメイクの問題などについて、関心をもって見ていきたい。
(3)次回、第8回規制緩和委員会は、10月27日(火)午後2時〜5時の予定で開催し、外務省から、日米及び日EU間の規制緩和対話についての今後の段取りを聞くとともに、日本から米国、EU等に対してどのような規制緩和要望を出しているのかについて聞き、さらに、米国、EUがそれぞれ10月7日、12日に我が国へ提出した規制緩和要望についてヒアリングを行うこととなった。
(文責:規制緩和委員会事務室)